21世紀記念SS 史上最大のリレーL「学園食糧難事情〜いかにして僕らは餓えに至ったか〜」VOL.2 投稿者:雅 ノボルと血を見た参加者達

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「さて……。ここで問題なのは如何に食いもんを調達するかじゃなく、如何に
無事に食い終えるかにかかってるわけだ。わかるか、あかり?」
「うん。勿論だよ浩之ちゃん」
 ニッコリと微笑みながらあかりが肯く。
 威嚇の為に振られるその右手の中の包丁が銀光の軌跡を描きながら、ヒュン
ヒュンと風切る咆哮を上げる。
 そして左手には当然のように、可愛らしいナプキンに包まれ、多段に重ねら
れた弁当箱。
「じゃ、目的地はこの校舎……エディフェル屋上でいいね?」
 浩之達の背後を護るように、オーラを纏うインテリジェンス・ソード――運
命――を構え、佐藤昌斗。
 彼の背負うザックにもまた、弁当が詰まっている。
 彼と、そして従兄妹である降雨ひづきの分の弁当が。
 その彼ら――食を持つ者達――を取り囲む一団は、ただ飢えを満たすために。
そして食の恐怖から逃れる為に、先ほどまで友であった存在に襲い掛かろうと
していた。
 馬鹿馬鹿しくもシリアスに振舞う彼らの中。食を持つ側に、佐藤雅史の姿も
見える。
「ふっふっふ。これは浩之に食べてもらうんだからね。君達に渡すわけにはい
かないのさ。ふっふっふ」
 うつむいているため顔の上半分が影になり、その中で爛々と炯炯と、瞳が禍
禍しい光を放っている。
「……浩之、あ〜んして。……いや、でもよ……人前でそんなの恥ずかしいだ
ろ。……僕と浩之との仲じゃないか。遠慮なんかする必要あるもんか。……そ
れもそうだよな、あ〜ん」
 突然始まった一人劇に、周囲の目が点になる。
 ピタリと雅史の動きが止まった。
「くっくっく……。そう、これだよ、これ……。ククク……ハ〜ッハッハッハッ
ハ! 至福! これぞまさに至福のひととき!!」
 両腕を開き、天井に向かって歓喜の笑い声を上げる。
 ――狂ってやがる!!
 その場に居た全員がそう直感した。
 ――っつ〜か、イッちゃってる!?
「あ〜。盛り上がってるとこわりぃんだけどよ。今日はあかりが弁当持ってき
てくれてっから、垣本にでもわけてやれよ」


 雅史は燃え尽きた。


「ひ、浩之ぃぃぃぃぃ!? 何もこんな時に言わなくても!」
「わ、わりっ! つい!!」
「ほらほら〜。道開けないと斬っちゃうよ〜」
 その場にパッタリ倒れた雅史を見て、好機と見た生徒達が一斉に襲い掛かる。
 先頭に立って微笑みながらそれらを切り伏せるあかり。運命による遠隔攻撃
でフォローしつつ、撃ちもらしを蹴散らす昌斗。
 そして役に立ってない浩之!
 ――目指すは屋上!!

 時を同じくして、食を持つ者達は集結しつつあった。
 誰が言い出した訳でもない。
 ――エディフェル屋上へ!!
 同じ想いを胸に、血刃を振るい、拳を振り上げ、ただ前へ。
 最期の砦を築くために。

 試立Leaf学園の昼休み。
 そこはまさに戦場だった。


            <狼は眠らない……。戦う悠朔ネタ投げっぱなし>

−−−


「いきますよ、美加香。必殺、鬼畜ストライクっ!!」
「みきゃぁぁあああ」
 風見ひなたの必殺技が炸裂する。

「我は放つあかりの白刃っ!!」
 Runeの口から紡がれた呪文が力を帯び、生徒たちを巻き込む。

「だぁぁ、誰か助けてくれっすぅ」
 二人の攻撃から必死で身を守るように逃げ回る軍畑鋼。

 ある見方では見慣れた、そしてまた別の見方では見慣れぬ光景が中庭に繰り
広げられていた。
 風見ひなた&赤十字美加香、Rune、軍畑鋼の三人である。
 風見ひなたが美加香を投げる。この行為そのものはさほど珍しいことではな
い。
 嘘だと思うのならば昼に購買部に見に行けわかるのだから。
 だが、今は普段とは違った。
 彼は奪うために戦っているのではない、守るために戦っているのだ。彼らの
背後にある屋台を。
「うぅぅ、私が作ったお弁当があるのに……」
「僕はまだ死にたくありませんから……。そこっ、冷血グレネードっ!」
「久しぶりのあったかい飯ぃぃいいい。絶対に邪魔はさせない!!」
「なんでオイラがこんな目にあうんすかぁああ」


「どうだね、まい同志。我輩が集めてきた傭兵の実力は」
 満悦の表情で九品仏が声をかける。だが。
「なんや、そのタコの切り方は!?」
「うるせぇ、これが俺の作り方なんだよ!!」
「作り方も何もあるかい!! んなたこ焼きを売るのは許さんで!!」
 火花が飛び散るかと思えるほどのにらみ合いが屋台の奥で繰り広げられる。
 かたやLeaf学園きっての名たこ焼き屋、XY−MEN。
 かたや本場は大阪のたこ焼き通、猪名川由宇。
 どちらも己がプライドにかけて退くに退けないという状態にまでなっていた。
(ここで退いたらたこ焼きが不味くなる!)
 そんな想いが二人とも頭の中をよぎっているのだ。
 もっとも、その程度は関東風、関西風のたこ焼きの作り方の違いに過ぎない
のが……。
「第一、その味付けはなんや。たこ焼きはソースだけに気まっとるやろ!!」
「馬鹿いえ、マヨネーズにソース、これが美味いんだ!!」
 どうやら傭兵に関しては成功したが、売り子に関してまでは成功しなかった
ようだ。
「……。まぁ、そう言うときもあると言う事だな、まい同志」


※ ここまでが夢幻来夢です。なんか長いかな?
※ うーん、上手く展開できてないなぁ。おちばっか浮かんだし(笑)


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 飢えた狼の目をした生徒たちは、食料を求めて校舎内やその近辺をうろつい
ていた。
 その中の一人に、独り者柔道部員山浦もいた。

「ハァ…芹香先輩どんが弁当を作ってくれるはずないですしのぅ…」

 何故か漢弁もどきになっているのはさておいて、とにかく山浦は落胆してい
た。
 山浦の腹の虫も、「さっさと飯よこさんかい、ゴルァ!」とご立腹のご様子。
 そんな山浦に、希望の声が!

「…あの…お弁当………要りませんか…?」

 ちょっと芹香っぽい彩がそんな事を言っています。
 山浦的には、もうキュピーン!って感じです。ええ。
 そして、顔を上げて看板を見てみるとッ!!


『食用アフロ、食用ひげ、食用おさげ、食用ヅラ(風紀委員専用)の各種弁当
有りマス!                        …第一購買部』

.
.
.

「後半三つがパチモノくさいーッ!?(ガビーン!) ………おいどんはもう、
駄目ごわす………」

 すでに誰だか分からない口調の山浦。口から山浦っぽい感じの魂が出ている
気もする。
 しかし、そこでとりあえず食用おさげを頼む辺り、漢の哀愁を感じるような
気がしないでもない。

 ちなみに売り子はフランク長瀬&ひげ4のひげコンビ。
 ………山浦は、心の中で
「あの………クーリングオフ、効きます? ねぇ、効きます?」
などと訴えていたが、 当然聞こえるわけもなく、泣く泣く、なんかトカゲの
シッポみたいに蠢いたり泣いたり笑ったり怒ったり怒ったと思ったらやっぱり
笑ったりする、やたらと多芸な食用おさげを購入した。

「…食用アフロとかって、ホントに買う人がいたんですねぇ…。
 切れた品物の代わりに冗談で売ってみただけなのに…」

 などと、ひげ4がやけに感心した感じで言っていたが、すでに山浦には聞こ
えていなかった。
 魂が肉体から離れかけてるし。

 ちなみに食用お下げ弁当とは、タッパーに、暴れるおさげを無理矢理詰め込
んだシロモノだった。



#うぃ、すいません、ひげ4です。
#なんか…どーやって続けて良いのか分からず、こんな風にいきなり話が飛ん
じゃってます(^^;)


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