そんなこんなで季節は秋、時刻は放課後、場所はご存知Leaf学園。 ああ電芹よ、電柱かついでどこへ行く。 「こんにちは。私の名はHMX-13Gグレース・セリオ。電芹、とお呼び下さい」 ぺこり。 カメラに向かって愛殺、もとい挨拶する電芹。 「趣味は特訓、特技はプロレス、大切なものはたけるさんと電柱です。 高額の生命保険がかかったお金持ちの彼氏募集中です」 ふたたびカメラ目線でぴっとVサイン。 「今日は、秋山さんとの特訓で裏山に来ています。私は最近、情操学習の一環として、 TaSさんにも弟子入りしたので、毎日忙しいですが、充実した生活を送っています」 「どらぁあああああ!!」 「きゃあっ!」 突如地面からドリルのよーに回転しつつ出現した秋山登(本人曰く:土遁の術)、 電芹の足首をむんずと掴むと、そのままジャイアントスイングで回す。ブンブン回す。 「あうあうあう〜!」 電芹、解放されるもグルグルまなこでぱったり倒れる。 「どうした電芹、スキだらけだ! そんなことじゃ嫁の貰い手が無いぞ!」 「うう、三半規管がアレです」 「何を腑抜けたツラしとるかっ! たるんどると死ぬぞっ! 燃えろ! 燃えろ電芹!」 「はっ、はいっ!」 (そうだ、私は虎だ、虎になるんだ!!) みるみる、電芹の瞳に炎が燃え上る! 「はあぁぁぁぁぁーーーーっっっ!!!」 「そうだ! 今こそ! 魂に生じる炎魂(えんこん)を解き放てぃ!」 「はいぃぃぃぃっっ! 電芹っ、ビィーーーームっ!」 電芹の両目から、燃える闘魂が炎となってほとばしる! おお仰ぎ見よ、神の放ったメギドの火を! あたり一面焼け野原! 燃やせ燃やせ真っ赤に燃やせ、いたるところに火をつけろ! 「秋山さん、できましたっ!」 「よくやったっ! これぞ忍法、爆・炎・竜っ!」 「なんかいけそーです! 今ならゼットンだって倒せちゃいそうな気分ですっ!」 「そうだっ! お前ならやれる! お前は、輝けるメイドロボの星になるんだっ!」 「セリオさんのようなサテライトサービスも無く、Dセリオさんのような重火器も無い、 こんな、セリオタイプの落ちこぼれな私でも、輝くことができますかっ!?」 「できるっ! お前の正式名称『グレース・セリオ』とは、『優美なるセリオ』の意! お前には、あらゆるセリオタイプを凌駕できる可能性が秘められているっ! だから自信を持て、希望を捨てるな! 明日という字は明るい日と書くんだっ!」 「はっ、はいっ! がんばりますっ! 元気根気やる気の三本の木を植えますっ!」 「うむっ! ……だが待てよ、よく考えたら恥ずかしいかな。 『私の名前は素原椎子(すばらしいこ)ですっ!』って吹聴してるよーなもんだし」 「はうっ……。やっぱり私はいらない子なんだ……。死んじゃったほうがいいんだ……」 「馬鹿野郎ぅぅぅぅぅ!!!!」 「きてはぁっ!!」 百キロ超の巨体が弾丸のように宙を飛び、必殺の雷龍飛翔脚を顔面に食らった電芹は、 縦方向に高速回転しながらあたりの木々をなぎ倒して吹き飛んだ。 「電芹っ! 死んだほうがいいなんて、二度と言うんじゃない! 言ったら殺すっ!」 「はううっ、すいません、師匠っ!」 「わかったら特訓だっ! お前は世界を掴める! お前の技で全人類の度肝を抜けっ!」 「わかりましたっ! 私勝ちます! 勝って勝って勝ちまくりますっ!」 「そうだっ! 勝負とはっ! 人生とはっ! 犯るか犯られるかの二つに一つッ!!」 「習性というかむしろ本能として突っ込みますが秋山さん! 字が違います!」 「いいや違わん! 電芹、雌雄を決するとはつまり凹凸を決することだっ!」 「えいっ!」 「ぶべしっ!」 電芹、背後から秋山を強襲、電柱唐竹割りで一本勝ち。頭骨変形。 「良く分かりませんが、つまりこういうことですねっ!」 「そうだ! 頭で分からなくてもいいっ! 心で聞けっ! 魂で感じろっ!」 「ああっ! なんか身体が熱くなってきましたっっっ!!」 「わはははは! ならばやるぞ電芹、あの夕日にむかってっっっ!!」 「Yerh!(ヤー!) 電柱格闘術・Death cramp zone!」 「萌えろリピドー! 弾けろパトス! 殺法! 天破雷神斬んんんん!!!」 「ねえ電芹、最近あっきーとどんな特訓してるの?」 「はい、今日はテニスを教えていただきました」