平坂編入! 投稿者:平坂 蛮次


 Leaf学園校門前。
 一人の男が立っている。
 筋骨隆々とし身長は2mを軽く越えるだろう。
 袖がボロボロになった学ラン、下駄、学生帽という酷く前時代的スタイル。
 ご丁寧にも学生帽のツバは先割れしている。

 どこからみても見紛う事無き「番長」。

「ここが、Leaf学園やね・・・」

 その男はLeaf学園の校舎を見上げ、つぶやく。
 
「くっくっく・・・があーはっはっはっはっはっはあっ!!!」

 男は、大声をあげて笑っていた。
 心底嬉しそうに。

 豪放磊落。
 そんな言葉がしっくり来るような笑い方。
 しかし、その瞳には狂気とも言えるようなどす黒い情念が見える。

 名は「平坂 蛮次」。
 この後、Leaf学園に混乱と恐怖をもたらす男である。

 蛮次は、誰に聞かすでもなく、独り叫ぶ。


「ここに、ワシを満足させてくれるヤツがわんさかおる
 そう、直感がいっちょる!!」


 そう言って、さらに邪悪な笑みを深め、校舎見つめた。

 感じる。
 自分を満足させてくれる者の波動を。

 確信する。
 戦いの日々を。

 余りに、強烈な高ぶりから、蛮次は思わず叫んだ。



「ちゅるぺた萌えーーーーーーーーーーーーーーー〜〜っっ!!!!!」


 直後、

「ゲッタービーム」


 ちゅどーん。


 蛮次は大爆発した。
 というか、させられた。
 もうもうとした煙が晴れた後は、口から煙を出しながら虚ろな目になった
蛮次が立っている。
 そして、彼の正面にはやたらトゲトゲした髪型の男・・・
 ジン・ジャザムがいた。
 これがかの有名な<Leaf学園に転入してくると必ずジンさんに会う>
現象である!
 ま、ソレはともかく、蛮次はジンに吹き飛ばされた訳だ。
 倒れてぼーぜんとしている蛮次にジンは問いをぶつけてみた。

「とりあえず聞こう、何者だ?お前」
「そういうのは火力ぶっ放す前に言ってほしいもんじゃが・・・」
「余りの不審人物っぷりについ、な。」
「つい、で人を撃つな!」

 もっともである。

「まあ、いいわい・・・」

 蛮次は長ランをばさりとはためかせ、びしいっ!と自分を親指で指し言った

「ワシの名は平坂 蛮次! ちゅるぺたを求めてここに来たんじゃ!!」
「・・・・・・」

 ニヤリと不敵に笑う蛮次の顔を見ていると頭痛がする。
 変態が一人、転入してきたらしい。
 今だけでも相当に濃いのに。

「というわけで、いきなり同好の志と会えるとは幸先がいいのう!」
「まてこら、誰がだ!!」

 ジンは抗議してみたものの、蛮次はさっぱり聞いちゃいない。

「ちゅるぺたはいい・・・
 中性的なボディ!
 まだあどけない表情を残したあの顔つき!!
 ちゅるぺたにあらずんば女にあらずじゃ!!
 貴様もちゅるぺたが好きなのではないか?
 いや、そうに違いあるまいっ!!」
「違うわ!!」
「そうかな?
 貴様の周りには、胸の無い女の匂いがただよっとる・・・
 ワシには・・・ワシには分かるぜよ!!」
「なにいっ!?」

「くっくっく・・・」

 またもやニヤリと笑い、自分のはなを指差した。

「この<番長ノーズ>は誤魔化せんよ・・・
 女体を匂いだけで判別できる。
 それがこの<番長ノーズ>の力じゃあっ!!!」

「・・・変態め・・・しかもそれ番長と関係無いし」
「・・・とにかく!
 貴様がないちち女の傍にいるのはわかっちょる!
 とっとと同好の志であることを認めんか!」
 
 千鶴さんがつるぺた?
 いや、違う!!

「違わんだろう?
 まあ、歳はくっとるようじゃが」

 違う。
 断じて違う!
 俺は・・・

「ちゅるぺた好き。」

 ・・・・・・・・・

「人のモノローグに合いの手入れてんじゃねえっ!!」
「はっはっは!細かいこと気にするやつじゃのう」
「偏頭痛がしてきた・・・」

 とにかく!!
 俺は千鶴さんがないちちだから好きになったんじゃない!!

「往生際の悪い奴じゃのー・・・」

 千鶴さんが千鶴さんだから好きになったんだ!! 

「ひゅーひゅー、お熱いのう!!
 んで、その千鶴さんとは何処までいったんじゃ?」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・(ぷちり)

「おい・・・平坂とやら」
「なんじゃ?」

「ロォケットパンチ、メテオオオオオオオオオオオオッ!!!」

ずがごぎげががごがごがごがががーーーーーーんっ!
「みぎゃーーーー!?」

「成敗!!」

 ばんじはおそらのむこうへととんでいきました。

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 蛮次は、半分土に埋まったまま、目を覚ました。
 なんだか頭がぐらぐらする。
 それに、体中が痛む。
 
 目を開けると視界が真っ赤に染まった。
 時刻はすでに夕方らしい。
 とりあえず、職員室に行かねばならなかったことを思い出したが、
もう既に遅いだろう。
 それに、ここはどこなのだろう?
 雰囲気からして裏庭・・・のような感じもするが・・・  


「あ、あの・・・大丈夫ですか?」


 背後からの声。
 まるで、鈴の音のような声。

「こんなところで寝てると、風邪をひいてしまいますよ?」

 振り向いたそこには少女が立っていた。
 きゃしゃな体つき、あどけない表情、そして、不思議な形の耳当てと
緑色の髪。
 HMX−12・マルチである。
 マルチは困ったような表情で呆然としている蛮次を見ている。
 それがまた、夕日の中に映え、美しかった。

 しばらく、周りの時がとまったように、二人は見詰め合った。

「あ、あの?」

 沈黙を破ったのは、マルチの方であった。
 マルチは心配し再び声をかけてみた。

「・・・・・・・・・」

 しかし、蛮次は動きもせず、それだけ、なにごとかをぼそりと
つぶやいた。

「はい?なんですか?」

 聞き取れなかったため、マルチは蛮次のほうに一歩踏み出した。
 それが、仇になった。
 マルチのさらりとした髪がゆれる。
 これには、ひとたまりも無い。

「も・・・・・・も・・・・」
「は、はい?」

「萌えーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

 蛮次は飛び起きた。
 目の色が妖しい。
 というか、光ってる。
 こーほーこーほー、というウォーズマンじみた吐息。
 その状態で、ユラユラとマルチに近づき始めた。
 マルチも身の危険をじわじわと感じ始めた。
 絶対的なまでのヤバイ気配があたりを包む。

「あ、あの・・・その手は何ですか・・・?」

 前に突き出されたままワキワキと握ったり閉じたりされてる手を見て
マルチは聞いた。
 しかし、蛮次は答えない。

「あ、あの・・・なんで、口からよだれがだばだばでてるんですか?」

 確かに妖しい吐息とともに口からよだれがダパダパ出ている。
 しかし、蛮次は答えない。

 身の危険MAX。
 『逃げなければヤラレル。』
 漢字変換すると意味が露骨になるような、そんな新しい予感。

「し、しつれいしますぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 マルチは逃げた。
 背を向けて、逃げた。
 力の限り逃げた。

「逃げろ!逃げ惑うんじゃ!!そして、絶望せい!!
 お前は逃げられん!
 絶望に歪むちゅるぺたの顔こそ我には最高の美酒ぅぅぅぅぅっ!!」

 聞こえない
 何も聞こえない
 そう言い聞かせた。
 そうしなければ、恐怖で足がすくんでしまうから。

 早く・・・早く校舎に!
 しかし、

 ガッ

「は、はわわわわ〜〜〜っ!!」

 すってーん、と下草に足をとられ転んでしまった。
 思わず涙目になってしまい

「ふえ・・・・・・・・・ふえええええ〜〜〜〜ん」

 ついには泣き出してしまった。
 マルチの背後に迫っていた、蛮次だったが、流石にそれを見て、
足を止めた。
 ちゅるぺたの娘が泣いている。

「・・・・・・」

「ふええええええ〜〜〜〜〜ん」

 蛮次は、深く後悔した。


「最高じゃあ・・・」


 こんな萌えな状況があることに気付いてなかったことに。

 転んで泣いているちゅるぺた!
 まさに自分にとって最高のスパイス!!
 萌え、萌え、萌え、萌え、萌え、萌え、萌え、萌え、萌えっっ!!!

 間違い無く、外道。


 流石のマルチにも、背後の強烈な邪悪な気配は感じられた。
 泣きたい気持ちを限界まで押さえ込み、ふりむくと・・・・

「かっはあ〜〜〜〜〜〜〜・・・」

 口から蒸気、目の輝き30%増、影の付け具合45%増。
 マルチは混乱の余り言葉も紡げず、パクパクと口を開けたり
閉めたりするしかできない。
 感情回路に過負荷がかかり、ついには

ぷしゅう〜〜〜・・・

 オーバーヒートした。


「突然どうしたんじゃあ?」

 動かなくなってしまったマルチにいぶかしげな目を向けた。
 獲物が動かなくなっては面白みに欠ける。
 抵抗を精一杯してくれ。
 逃げて、悲鳴を上げてくれ!
 そうでなくては、

 萌えない。

「・・・・」

 蛮次はマルチの寝顔をしばらく見ていた。
 手も出さずに。
 ふと立ち上がり、ぼそりとつぶやいた。


「まあ、泣き疲れて眠るちゅるぺた、ってのも萌えじゃな」

 ド畜生であった。
 ズボン、脱ぎ始めてるし。

 ズボンと学ランを脱ぎ去り、たたんで脇においた。
 マルチに向かい行儀良く手を合わせて

「さーて、いっただきまーす♪」

ざく。

 モビルスーツではない。
 何かが何かに刺さった音。

 さて。何が、何に刺さったんでしょう?


「んぎゃああああああああああああっ!?」
「なにをしている・・・」
「頭が、頭が割れるように痛いっ!?」

 (答え:セリスの霊波刀が蛮次の頭に刺さった(貫通))

「いてええええええよおおおおおおおおっ!!!」
「マルチ、大丈夫?」

 蛮次は頭から血を吹いて地面を転がっているが、
そこら辺はOut of 眼中。
 何時の間にかマルチに駆け寄り、介抱している。
 やさしく抱きかかえられたマルチは、セリスの胸の中で
目を覚ました。

「う・・・うん・・・っ!!はう〜・・・せ、セリスさん!?」

 頬が真っ赤に染まるマルチ。
 セリスの顔を見て安心したのか、涙がその目からぽろぽろとこぼれた。
 突然、マルチはセリスに抱きつく。
 ひっくひっくとしゃっくり気味になりながら、ぎゅっと彼を抱きしめる。
 セリスはそんなマルチを落ち着かせるように、そっと頭を撫でる。

「大丈夫?マルチ・・・」
「怖い・・・ヒック・・・怖い夢を見たんです」

「おっきくて、怖い、人に、追いかけられて、もう駄目だって、そしたら・・・」

 しゃくりあげながらたどたどしく言葉を紡ぐ。

「・・・大丈夫、今はボクがいるから・・・君を守るから」

 セリスはそんなマルチを強く、強く抱きしめた。
 マルチは先ほどまでの恐怖がそうしていると和らいでいくのを感じていた。
 セリスも、マルチのことをひどくいとおしく感じていた。
 その抱擁に、まったく他意はなかった。
 ただ、マルチの恐怖を和らげてあげたい、それだけでした行動だった。

 だから、

「んぎゃあああああっ!!抜いたら血が止まらーーん!!!」

 先ほどの大男が頭血をだして悶絶、辺り一面血の池地獄。
 そんな光景をマルチに背中越しにみせてしまったのは全くの偶然である。

「・・・はう。」

ぷしゅう〜〜〜

 再びオーバーヒート

「ああっマルチ!?」
「ぐおお・・・痛かった・・・死ぬかと思うたわい・・・」
「なぜ、死なないんだ・・・」

 ピンクのおミソがちょっと出てた気がしないでもない。

「くっくっく・・・ちゅるぺたに萌える心は誰にも止められんのじゃ!」
「一見、単なる熱血に聞こえるのが怖いところだね・・・
 しかも、理由になっていないし」
「ちゅるぺたはサイコーじゃぞ?貴様もその口じゃろう?」
「違う。ぼくはマルチが大事なだけだ」

「・・・・・・・・ほう?」
「ぼくは・・・」

 一旦言葉を止めてから下を向いて一瞬呼吸をため、いった。

「マルチと一緒の時を歩めるだけで幸せなんだ」


 きっぱりと言い切るセリス。
 その瞳に何ら邪念無し。
 まぶしいぐらいに。

 あまりの純粋さに、蛮次はふと表情を緩めた

「なるほど・・・おんしの心意気、確かに理解した!」

 そういって、蛮次は右手を突き出した。
 握手を求めたのだ。

「目的違えどココロザシ(マルチ萌え)同じ、じゃからな!」

 セリスも思わず、右手を出しかけた。
 しかし、あることに思い当たり、ふとその手を止める。


「・・・ならば聞くけど、きみの目的ってのは?」


 蛮次はさわやかに笑った。
 歯がキラリとひかっていた。
 そして、告げた。





「監禁陵辱」




 ・・・・・・・・・・



どばずばばどずばらば。
「のっ、のぎゃあああーーーーーーーーーっ!!!」
「死んでろ!人生の敵!!」

その日、秋でもないのに
盛大にLeaf学園の裏庭が赤色に染まった。







・・・平坂 蛮次、

転校初日にセリスに体を切り刻まれ
再起不能(リタイア)

←To be continued ...



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風だけが吹き抜ける学園裏庭。
すでに日が暮れきって辺りは真っ暗になっている。
そこで蠢く影があった。


「・・・・ま、まだ、死んどらんぜよ・・・・」


結構、しぶといね。



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<後記>
ども、L初参加の平坂 蛮次です。
この度は私の稚拙な初Lをお読みいただき、真にありがとうございます!
初Lらしく、校門前で一人つぶやいて見ました!!
まだまだ未熟ですが、これからがんばっていきますので、
どうぞ、よろしくお願いします!!
こんな感じでいつも暴走してますが(爆)

今度はもっと笑っていただけるものを目指して頑張っていきます!
それでは!!