Lメモオムニバス「招かれざるSS使いたちのビュッフェ」 投稿者:beaker




 と、ゆー訳でオムニバスで新人さん書いてみようLメモ。



 ・平坂蛮次

 Q:キャラを一言で言うと?           A:「ロリ番長」




 仮に、だ。
 目の前に身の丈二メートルはあろうかという学ランの男が「ゴゴゴ」という効果音を出しながら、
自分を睨み付けているとする。
 顔は――一言で言うなら獣(ケダモノ)だ。
 眼は爛々と紅く輝き、口からは涎と共に牙を剥き出し、「ふしゅるふしゅる」という咆哮が聞こえて
いたとする。
 更に言うなら、学ランはズタボロ、おまけに靴は鉄下駄だ。
 要するに。
 どっからどー見てもおおよそ初等部とは関わりのないはずの番長(ここ最近、このフレーズを誰か
聞いたことがあるか?)が、初等部のお子様を唸りながら見ていたとして。


 初等部である、キミ。ティーナはどうするべきか、って事だ。
 とりあえずまずは、睨み返してみよう。
 向こうがこちらの視線に気付いて近付いてくる、狼が、否、鬼が服を着て歩いているような男だった。
 少し、怖かった。
 手の震えを拳を握って抑える。
 近くで見れば見るほど、まさに野獣だ、ケダモノだ、ヘンタイさんだ(OLHに「ヘンタイさんには
気をつけるんだよ」と言われていたので、多分彼のような人間がヘンタイさんなんだろう、とティーナ
は思った)。
 とにかく、声を掛けてみよう、言葉が通じるかどうかは妖しいところだが。
「こ、こんにちわ!」
「……」
「ボ、ボク、ティーナって言うんだよ」
「……」
「な、何か用なの!?」
「う」
「鵜?」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!! つるっ、つるっ、つるぺたじゃあああああああ!!」
「つ、鶴!? ペタ!?」
「萌え萌えぇぇ!!!!!!!!!」
 咆哮する、服が北斗の拳の如くビリビリと破れる。
 そして構えるは二足歩行をするライオンの如き型。
「きゃああああ!! ボクってばて、ていそうのきき!?」
 貞操って何なのかまでは良く知らなかったが。

「さあ! キミというつるつるぺたぺたな幼子をワシのギンギラギンにさりげない欲望の赴くままに
凌辱してお気に召すまで尽くしてあげちゃう挙句は奴隷に学園ソドムぅぅぅぅ!!!!!!!!!」
 ティーナには言っていることの半分も解らなかったが、よーするにとっても自分が今そこにある危機
的状況に陥っていることだけはよーーく理解できた。

「ふふふ、安心せぇ、このまま(体形が)育たなかったらワシの(何番目かの、現在0番から空き)
嫁にしちゃるわぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 と、突然ティーナが手を突き出して、「ストップ」と言った。
 釣られて、男の動きも止まる。
「む?」
「お嫁さんにしてくれるの?」
「そうじゃあ!!」
 飽きたら捨てればいいし、と腐れ外道な発言は心の内に秘めておく。
「駄目だよっ! ボク、もう結婚してるもん!」
・
・
・
「けっこん?」
「うん!」
 えへんと、無い胸を張るティーナ。
 カイゼル髭なんかを付けて、どこからともなく出てきた黒板に結婚の文字を書いて懇切丁寧に
説明してみる。
「結婚:見知らぬ男と女が恋愛財産その場凌ぎ他の理由で籍を一緒にすること、オーケー?」
「よくわからないけど、そうだよ」
 すぅぅぅぅぅ、男は大きく深呼吸。
 3.2.1.


「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?」


「ま、まってよ!」
 突然、慟哭する男の前に現れたのは、薄紫の髪をした美少女だった。
 きっ、とした目付きでティーナを睨み付ける。
「わたしだってOLHおにいちゃんとけっこんしてるもん!」
「ぐああ!!!」
 衝撃、第二弾。


「な、なんて外道な奴じゃあ!! こんなぴっちぴっちのつっるつるのぺったぺたな幼子を二人も
己の欲望の赴くまま(以下略)とはあ!!」


「そういう訳で、あなたとはけっこんできないの。ごめんなさいっ」


 ぺこり、と謝られた。
 しかし、既に二人の前に男――平坂蛮次の姿はもうなかった。
「畜生!! OLH! OLH! 貴様、男の風上に置けぬ奴じゃ!!」
 蛮次は走る、走る、ラン・バンジ・ラン。


 道行く野郎を捕まえてOLHがどこに居るかを問い質す。
 そう、来栖川警備保障へ彼はひた走った!


「OLHはいるかぁ!!!!!!!!!!」


 扉を半ば蹴破るようにして、平坂蛮次は警備保障に殴り込んだ。
 机で書類を書いていた青年がちょっと吃驚した顔で立ち上がった。
「俺がそうだけど?」
「貴様ッッ……幼子のッ、二人の幼子のッ、一生を台無しに……」


 OLHは優しかった。
 平坂蛮次が身振り手振りを交え、自分の妄想も取り混ぜながら叫び、語るのを
うんうんと頷いて聞いてやった。
 笑顔のまま、ダークウィンドでLeaf学園の端まで吹き飛ばしたことを決して
責めることはできまい。


「ううう、つる……つる……ぺた……ぺた……」
 Leaf学園の端にある池に飛び込んだ蛮次は、水を吸ってズッシリと重たい学ラン
に苦労しながら、何とか陸に上がった。
「つるつるぺたぺたが欲しいよぅ……欲しいんだよぅ……」
「ボクはつるつるだよ」
「何ぃ!?」

 平坂蛮次はその声の主に反射的に抱き付いていた。
 頬を寄せて、すりすりと擦る。
 おお、確かにつるつるだ。
 ……しかし、抱き付いた腕にはザラザラとした感触がある。
 ザラザラというか……鱗?
 蛮次は眼を開いた。



 巨大な魚が目の前に立っていた。



 ……その晩、ダーク十三使徒の鍋料理には蛮次の持って来た謎のお刺身が大量に振舞われたそうである。









 ・真藤誠二

 Q:キャラを一言で言うと?           A:「魚(ぎょ)」


 仮に、だ。
 目の前に人間の足が生えた魚が歩いていたとして、失神するのは全く持って真っ当な反応だと
言えはしないだろうか。
 確かにこの学園には(検閲)や(以下略)や(ああっ、そこはやめて鈴木さん)みたいな連中がいるには
いるが、それにしたって今まではまだ、何とか、人間の姿をしていたように思える。
 人間からまるっきり外れたポチだのペンギソだのはそもそもが動物だから、省く。
 しかし、ここにただの馬鹿デカい魚ではなく、中途半端に人間の足が生えていたりする「何か」が生徒
だったとして(そして人間の言葉を喋っていたとして)、失神するのはやはり真っ当な反応だと言える。
 ちなみに筆者見解、あくまでも私的なものだが――真藤誠二のそっくりさん(俺的に)イラストを
探し出したので、ここに公開する。ちなみに描いたのは筆者の知り合いである。


http://ya.sakura.ne.jp/~mkgw/kp2/jank/c33.jpg


 笑ったら駄目だよ(すず声)


 さて、そんな事はどうでも良くて順調にスキップしながら歩いていた真藤誠二が突如苦しみ出し、
バッタリ倒れたとする。
「うわっ、魚が倒れた!」
「きゃあ! ピクピク動いているわよ!」
「ぎょぎょっ!?」
「今言った奴、処罰だ処罰!!(ディルクセンの吐血しながらの台詞)」


 さて、そこに通りがかるはセーラー服美少女戦士、柏木千鶴?(疑問形)


「まあ、大変!?」
 柏木千鶴は慌てて駆け寄った、これでも一応仮にも保健室の先生でもある。
 単に「美人保健医と受系少年とのめくるめく官能の世界」的シチュエーションのためという説もあるし、
筆者もそれに賛成なのだが、まあ、それはそれ、これはこれだ。

 柏木千鶴は真藤誠二の口元に手をやった。
「息……してないっ!?」
 危険な兆候である、心臓発作か、心筋梗塞か。
「解ったわ!」
「千鶴先生! 一体真藤はどうしたんです!?」






 魚は地上で呼吸できません。






「ひでぇ、エラ呼吸しかできんのか!?」
「その人間の足は所詮ただの飾りかっ!! お偉方には解らなかったりするのか!!」
「……仕方ない、ディルクセン君!」
「はい、何か?」
 柏木千鶴に呼ばれたディルクセンは、何の用かと不思議に思いながら、
患者(真藤誠二)の傍らにいる彼女に近寄った。
「人工呼吸しておあげなさい」












 我々十傑集が集まれば人工呼吸の一つや二つ(意味不明)










「って何故ですかぁ!!!!!(盛大に胃の底から涌き出てくるような吐血)」
「だって……わたし、恥ずかしいんだもん☆ミ」
 頬を赤らめていやんいやんと首を振る柏木千鶴。
「やっぱり、ファーストキッスは好きな人としたいしぃ……」
 もじもじと壁を指でほじくる、おいおい壁に穴開いてるぞ。


「うわー、まだだったんですねー……」
 思わずそう呟いた水野響は音も無く瞬殺させられた。
「地雷を踏んだらサヨウナラ」そんな感じだった。



「しかしですね! ここここんな廊下という公共の場所で風紀委員長の私ともあろう者が公然と破廉恥な
真似をする訳にはいかないのでございまして第一俺も最初の接吻が生物だなんてあんまりだとは思いませ
んか神様ぁ!!!!」
「ディルクセン君、人一人の命が掛かっているのよ?」
 あっという間に廊下の温度が零下四十度くらいまで下がったりする。
「ヤラサセテイタダキマス(ロボ声)」
「とってもよろしい」







「くっ、魚臭いっ……」
 ディルクセンはもしかしたら自分は三国一(問題発言にあらず)の不幸者なのかもしれないな……
と、人ごとのように思った。もしかしたら、それはただの現実逃避なのかもしれないが。
 ……この後、ディルクセンに何があったかは読者諸君の想像に任せるとしよう(エラリィクイーン声)。
 だが、敢えて言わせて頂くならば、彼は、


「立派にやりとげた」


 そう言っておこう。



「……せ、先生! どーですか!? 息を吹き返しましたか!?」
「うーん、駄目ね……あっ!」
「あ?」
「エラに人工呼吸しなきゃいけないんだった、てへ☆」
 再び、ディルクセンは盛大に吐血した。
「ブレインデッド」もかくや。












 その後、真藤誠二はエラに空気を吹き込まれて絶命した。
 魚ってエラに空気を出されると死ぬんだよね。
 しかし安心したまえ、必ずや第二、第三の真藤誠二があなたの枕元に佇んでくれることを
約束しよう、イヤでもな。






 ・雅 ノボル

 Q:キャラを一言で言うと?           A:「ふわふわのもっこもこ(初等部談)」


 仮に、だ。
 夜、机の中に明日までに提出しなければならない宿題を、忘れてきたとする。 
 キミは寮に住んでいるんだから、学校へ再び戻るのは楽なものだ。
 勿論、先生に見つかったらお目玉を食らう羽目になるが。
 さて、こういう場合、同室の友人を巻き込む……じゃなかった、誘うというのが筋ってものだ。
 そう思わないか?
 一蓮托生、旅は道連れ世は情け、果報は寝て待て殺愛万歳。
「――そう言われても」
「うう……電芹はわたしが明日柳川先生に『何だ川越は宿題を忘れてきたのかそんな駄目な生徒は
先生嫌いだなァ〜(アミバ口調)』なんて言われてショックで藁人形無差別ルーレットのめくるめく
恐怖の夜を繰り広げてもいいって言うんだね……」
「――そこまで言っていませんが」

 それでも、あっさりと付き合うのは電芹の性格の良さかはたまた二人の仲の良いせいか。
 ともあれ二人――川越たけると電芹は、夜の校舎へと踏み込んだ。

 さて、そんな夜中の校舎――昼間の騒々しいほどの人の気配が全くしない――で、
バッタリうっかり両目が光る謎の生物に出会ってしまって、思わず電柱で撲殺してしまったとしても
電芹に何ら罪はない、と言えないだろうか? 無理か。


 という訳で最後の主人公である雅ノボルは出てくるなり死んでしまった。
 流れるBGMはセリーヌ・ディオンの
「My Heart will go on(邦題:タイタニック 愛のテーマ …恥ずかしっ)」


「ふもぅっ!!(訳:死ぬかぁ!!)」
 

 おお、みやびんよ しんでしまうとはなさけない


「ふもっ!! ふもふもふもっ!(訳:だから死んでないっつーの!)」


 これだからいなかものはこまるのだ


「うわあ、しかもエジンベアだよっ」
「――何もかも懐かしいですね」
 いや、確か当時お主は存在しなかったはずだが。


「……で、こんなところで何してたんですか?」
「ふもっふもっふもっ(訳:提出しなけりゃいけない宿題を取りに来たんだよ)」
「わあ、奇遇ですねー、私達もそうなんですよー」
「――達?」
「電芹、何か言いたいことでも?(ニッコリ)」
「――いいえ、ぜーんぜん(即答)」


「……そういえば」
 結局、二人より三人の方が(……いざという時、他人を犠牲にして逃げやすい、と思ったのかもしれない)
良い、という結論に達したこの珍妙な一向は共に教室へ向かうことになった。
 ちなみに今の発言は川越たけるである。
「夜の学校って何か出そうだよねー」
「ふもっふもっ(訳:驚かすなよぅ)」
 雅ノボルは両手を振り上げて抗議した。
 この手の話には結構弱いのである。
「――例えば」
 電芹が言葉を繋ぐ。
 驚くほどの冷徹な声。
 二人は夜の校舎に嵌った雰囲気にゾクリとさせられた。


「――夜な夜な冷蔵庫の食べ物を食い荒らす巨大ゴキブリ」
「てめーハイド! 人の食い物取るなボケ!」
「誰が貴様の食い物じゃ、これは我がカフェテリアの食い物だから優先権は俺にある!」
「良太ー、あとどれくらい持てる? 目一杯持っていかないと明日の夕食ヤバいよー」


 全員撲殺。


「――例えば」


「――夜な夜な踊り狂う謎の自爆(髪が)霊」
「HI! 電芹もたけるさんもこんな夜に歩いていては幽霊に出会って取り憑かれマスヨー!」
「いや、もう逢ってますって、既に」
「――既に憑かれてるかもしれませんしね」


「――例えば」


「――夜な夜な悪臭と悲鳴が木霊する家庭室」
「うふふ、耕一さん! もうすぐお夜食できますからね!」
「い、いや千鶴さん、要らない! マジ腹一杯! 食べられないって!」
「大丈夫ですよぅ、消化に良いお粥を作ってるんですから☆」
「いや、本当にもう水も飲めないほど満腹! マジ!」
「あ、そろそろ煮立ってきたわね、あとは隠し味としてジャムと沢庵とセミの抜け殻を……」


「見なかった!」
「もふっ!(訳:見なかった!)」
「――何も見ていません」


「……という訳で夜の校舎はスッゴク怖いね」
「……もふっ(訳:別の意味でな)」


「でも、雅先輩のその眼が光ってるダダの着ぐるみも十二分に怖いと思うけど……」
「――そうですね」
 これまで書くのをスッカリ忘れていたが、今日の雅ノボルの着ぐるみはダダである。
 そう、ダダ。
「ウル○ラマン」のダダね、ダダ。
 確かに真夜中、学校の廊下でダダの眼が光ってるバージョンに出会ったら怖いよな。
「ふもっ?(訳:そうかなぁ?)」


 その頃、宿直の七瀬彰は校舎を歩きながら(途中途中の犠牲者は見なかったことにした)、
人の声に耳を澄ましていた。
(……誰か、生徒が出歩いているな)
 微かに聞こえる話の内容を考慮すると、宿題を忘れて取りに戻ったらしい。
 七瀬彰は苦笑しながら、
(説教はしておかないとな)
 そう思って声の聞こえる方に近付いた。


「あ、あったあった☆」
「もふっ(訳:よし、あった)」
「――良かったですね」

 ここか。
 七瀬彰は教室の扉を突然引き開けて、懐中電灯を彼等に向けた。
「コラッ! こんな夜中に学校……」


 そこにはダダがいた(注:言うまでもなく雅ノボル)。


 そして、校舎に七瀬彰と川越たけると雅ノボルの叫び声が響き渡った――


「それじゃあ、全員宿題を提出しろ」
「はーい」
「せんせー……」
「ん? どうした川越に雅」

          . . . . .
「「宿題、やってくるの忘れちゃいました……」」


「……」
「……」
「……」
「……廊下に立ってろ」


「――宿題を取ってきたのはいいんですが、やっておくのを忘れてしまっていたとは思いませんでした――」
「うう、あの後電芹がすぐに充電モードに入っちゃうからいけないだよ〜」
「もふっ(訳:うう、バカみたいだ……)」


 ――そして、一方その頃。

 冷蔵庫の食べ物が食い荒らされていて、
「……何か冷蔵庫の中の食べ物がやたら減っているんだけど……」
「マウスでも出たのカシラ?」

 幽霊が夜通し踊っていて、
「あら、TaS君、また夜通し踊っていたの?」
「エキサイトしてしまいマシター」

 教師が謎の惨殺死体で発見されと、
「ああっ、耕一さんが見るも無残な猟奇死体に!?」
「だ、誰のせいかしらっ?」


「本当です! 僕は宇宙人を見たんですってば! アレは間違い無くニャントロ星人……」
「はいはい、良い子だから病院行こうね!」
「いや、さもなきゃアレは噂のドルバッキー……」


 そして全ての原因は宇宙人にあるという言い張る男がいた。