vsジン・ジャザムLメモ「サンプル品」  投稿者:beaker
===サンプル用のLです、これくらいの出来だったら良いそーです(笑)===


……あるいはキッカケは些細な事だったはずだ。
この学園のたいがいの争いは些細な事が原因なんだから。


曰く、
「あいつが俺の弁当を取った」

「俺の肩にぶつかった」

「かえでええかえではあかえでえええええええええええええええ」



……だから、これも些細な事がキッカケに過ぎない。



今から闘う者達の名前は……


「てめーとは……初めて闘うよなあ」
鋼鉄の男、比類無き強さ、ジン・ジャザム。

「そうですねぇ……元々僕は……戦闘自体を好まないですし……」
悪魔の計算機、冷徹電卓男、beaker。


今からこの二人が……激突する


「vsジン・ジャザムシリーズ〜〜beaker編〜〜」




――二年生棟廊下



「さて……」
beakerは胸ポケットからサングラスを出した、片手で器用につるを立ててかける。
「やるかい?」
がしっがしっと両手の拳を打ち鳴らしながらジンが答えた。
そんな彼にbeakerは人差し指をピンと伸ばして突き出した。
ゆっくりと、たしなめるように横に振る。
「まあまあ、ここでは他の人に被害が及ぶかもしれませんし、別の場所で……」
「けっ、今更遅いんじゃねーか?」
「僕の、引いては購買部の評判が落ちると困ります……ついてきてくれますか?」
そう言ってくるりと後ろを向いた。
渋々ながら後についていこうとするジン。
「全く、御大層な事……!?」

背中を向いた、

彼の着ているブレザーが一瞬はためき、チラリと背中のホルスターを覗かせる。

そして、彼の右手は既にその背中へ挿し入れられていた。

スケート選手並みのスピードでくるりとこちらに身体を回転させる。

「グッバイ」

そう言ってニヤリと笑った。

トリガーが引かれ、銃弾が高速回転しながらジンの装甲へ激突する。

「ぐっ……!!!」
装甲がぐにゃりと弾の跡がつくほどにへこむ。
一瞬の驚愕、そして恐怖。
次に……
「てんめええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」
激昂した。

右腕を真っ直ぐ伸ばして狙いをつける。
「ロケットパ−ーーーーーーーーーーーーーーーーーーンチ!!!!!!」
発射された。
それより一瞬早くbeakerは駆け出していた。
だが、彼の駆け出した先は行き止まり。
貰った、とジンは思った。
だがbeakerは左手でもう一つの拳銃もホルスターから抜いた。
両手に持った拳銃で前面の窓ガラスを粉々に破壊する。
そして何の躊躇いもなく窓から飛び降りた。
一年生棟のベランダに腕を引っ掛ける、ロケットパンチが彼の真上、上空を過ぎ去って行った。
その窓に足をおくジン。
ニヤリと笑った、
「上等……」

そう言い残して、彼も飛んだ。
一年生棟へ向かって。



ゆきは思わず持っていたシャープペンシルをポロリと落とした。
初音もあんぐりと口を開けている。
まあ突然窓から上級生が「失礼します!」と飛び込んできたならば無理もない。
しかも彼が第二購買部でいつものほほんとしている男なら尚更だ。
さらに言うならば両手に拳銃を二丁持っている事も驚きの種の一つだった。
教師は一瞬口をもごもごとさせたが、
「はい、どいてどいて!」
beakerが無理矢理手で彼を押しのけるとたちまち沈黙した。
厄介事には関わらないのが一番だ、この学校で勉強を教えている彼はこう悟っていた。
「では授業を続ける……」
二人もため息をついて授業に集中した。


息を切らせながら廊下を走る。
時々振り返るが、誰かが追ってくる様子は見えない。
おかしい、と思った瞬間だった。
微かに風を切る音がした。
何だ? と思う暇も無く天井が突き破られた。
「なっ!?」
ロケットパンチが床に突き刺さった。
ゆっくりと顔を上げて天井を見上げた。
ジンが左手で右手を押さえながら、バーニアで空中を浮遊していた。
ニヤリと笑う。
「おいおい」
続いて第二撃が自分の顔5cmを掠めた。
咄嗟に拳銃を天井に向かって撃つ。
だが学園の天井と床は思ったより頑丈らしく自慢の鋼鉄弾も弾き返された。
まずい、とbeakerは走り出した。
次々と天井に拳より大きな穴が空く。
背中がロケットパンチによって裂かれた。
激痛が彼の背中を襲った。
間に合わない――このままでは直撃するだろう、そうなれば終わりだ。
ピタリ、とbeakerは立ち止まった。
上を見上げる。
すぐに目の前の天井の穴が開き、ロケットパンチが飛び出してくる。
beakerは身体をくるりと回転させた――、ロケットパンチを紙一重で避ける。
そのまま床に倒れ込み、背中から一丁の拳銃を抜き、両手で握り締める。
そして狙いをつけた。
金色に輝く銃身がキラリとジンの目を眩ませる。
「くっ……」
ズギュン!
弾丸は天井の穴を通過して、ロケットパンチを放った直後の左腕の付け根の部分を破壊した。
「ちぃっ……」
左腕をやられたか、ジンは舌打ちした。
しばらくはロケットパンチは生えてこないだろう。
仕方有るまい、ジンは床を蹴破った。
beakerはなおも逃げ続ける。
「あの野郎……のらりくらりと」
ジンもそれを追うためにバーニアを吹かした。
スピードは桁違いだ、すぐに追い付く。
二回、三回と角を曲がり、次第にbeakerの姿を捕らえられるようになった。
そして次の角を曲がった瞬間、拳銃の弾丸がジンの身体を襲った。
良く見るとbeakerは廊下のど真ん中に立ち尽くしている。
諦めたか、とジンは腕を十字に交差させてガードしながらそう思った。
「ここまで頑張ったが……ここで終わりだっっ」
右腕から息付く間もないほどロケットパンチが大量に発射された。
「ロケットパンチメテオ食らえええええええええええ!!!!!!!!」

「ぐああああああああああああああああああああああっっ!!!!!!!!!」
beakerは思い切り吹き飛ぶ。
やがて廊下の終わりのドアを吹き飛ばしながら倒れ込んだ。
「フン! 峰撃ちだ、安心しなっ!」
勝利を確信してゆっくりと歩き出す。
beakerもうめきながらゆっくりと起き出した。
そして
「はははははは……」
突然笑い出した。
ピタリと足を止めるジン。
何だ、こいつ?
「かかりましたね、ジンさん……どうやら知恵比べは僕の勝ちのようです」
「何だと……?」
言っている事が良く分からない。
きょろきょろと辺りを見回す、やがて理解した。
「こ、このドアは……まさか……」
顔面が真っ青を通り越して真っ白になる。
やがてゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……という擬音がどこからともなく聞こえてきた。
「ジイイイイイイイイイイイイイイインンンンンンンンンンンンンちゃあああああああああああん?」
ヤバい、ここは最低最悪にヤバい場所だ。
「そう、ここは……校長室、柏木千鶴校長のね」
beakerは隠し持っていた胸の鉄板をヨロヨロと取りだした。
拳の形が綺麗にかたどられている。
「授業にも出ないで何してるのかなああああああああああああああ?」
ジンはたちまちしどろもどろになる。
「いや、あの、その、だな、じゃなくてですね、えーっと」
「ちょっとお仕置きが必要みたいねえええええええええええええ?」
「ってちょっと、千鶴さん、引き摺らないで」
やがて、ジンの悲鳴が一際高く学園に響いた。


「ふーん、そんな事があったんだ……」
「凄いねー、ジンお兄ちゃんに勝つなんて」
ゆきと初音が第二購買部に来ていた。
やはり先程の一件が気になっていたようだ。
「それで、喧嘩の原因は?」
「それが……」


「あっ……10円足りないわ、まけてくれ」
「ダメです、今度来た時に10円貰っておきます」
・
・
・
「10円返して下さいよお」
「は? 何の事だ?」
「……覚えていないんですかっ!? たった三ヶ月前の事を!!」
「覚えている訳ないだろおおおおおおおおおお!!!!!」
「ともかく10円!」
「断わる!!」
・
・
・
「と、言う訳でして……」
「……」
「……」
はあ、と二人は同時にため息をついた。





<おわり(笑)>