グラップラーLメモ第6話「ギリギリのプライド」 投稿者:beaker
・・・すべては罠だった!!
腕を伸ばすのも、それを見破られるのもすべて計算の内だった!!
接近打撃専門だと思われていた葛田玖逗夜、
あにはからんや梓を寝技に引きずり込んだ!!
どうなる梓!?どうなるこの試合!?
つーわけでグラップラーLメモ、どうぞ!!

¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥


『な、なんと打撃専門だと思われていた葛田選手っ!!
梓選手を相手に寝技に持ち込みました!!』

「・・・ここからだよ、ここから本来の葛田の怖さが見られる。」
ハイドラントが誰に言うでもなくボソッとつぶやいた。

「梓先輩、僕のこの長い手の本当の使い方を教えてあげましょう。」
言うなり葛田は思いっきり腰から上をひねった。
手を水平に広げ、それから元に戻るように思い切り腰を回転させた。
当然足に絡まっていた梓はたまらず裏返った。
・・・つまりうつ伏せにされたのである。

『う・・・裏返ったっ!!!!!』

「あ・・・あずささん・・・・・・」
葵はカタカタ震え始めた。
恐怖だった。
目の前の光景が信じられなかった。
これまで常に自分の前を走ってきた人間の一人、梓が・・・
押されている

いや・・・負ける?

「梓ッ・・・・・」
綾香も呟いた。

葛田は梓をうつ伏せにしたまま、すっ・・・と肘を上げた。
そして打ち下ろす。

ヒット!

ヒット!

ヒット!

ヒット!

ヒット!

ヒット!

ヒット!

ヒット!

ヒット!

ヒット!

ヒット!

――友好なるものが――

ヒット!

ヒット!

他者の欲求する行動を察し

他者の欲求する行動を選択し

他者の欲求する行動を実行することならば――

ヒット!

ヒット!

『あ、梓選手、出血!!!額から血が流れていますが、なお葛田選手は肘打ちをやめないっ!』

ここで葛田は肘打ちを止め、
後ろにブリッジするようにのけぞり・・・梓の足首をつかんだ。

『〜〜〜〜〜〜っ!?』さすがの実況も言葉を失った。

秋山が呆れたように呟いた。
「と・・・届くかよ・・・普通・・・」
もちろん久々野も同感だった。


――闘争とは・・・その逆

敵の嫌う行動を察し

敵の嫌う行動を選択し

敵の嫌う行動を――実行する!!

葛田はつかんだ足首を一気に引き寄せた。

梓はちょうどしゃちほこになったような格好だった。
上半身の首と右手は足でがっちりホールドされ、
下半身の両足はプロレスでいう「逆エビ固め」のように極められていた。
ミシミシという関節の悲鳴が聞こえてくるようだった。

「梓先輩・・・こうなってしまっては脱出不可能。降伏をお勧めします。」
冷たい声だった。
凶悪殺人犯に死刑を宣告する裁判官のようだった。

(負けるのか・・・梓が・・・)

「・・・・・・・・・・・・」
綾香も葵も無言で闘技場を見つめていた。

誰も言葉を発することが出来なかった。

梓の表情は伏せっているので判別できない。

「ネ・・・・・・・」
梓が葛田にだけ聞こえるように呟いた。
「・・・?」
「ネバー・・・ギブアップに決まってんでしょ!!」
言うなり梓はただ一つ空いていた左手で彼の左足首を掴んだ。
「!?(何をする気だっ!?)」
すぐに分かった。
梓は左手で左の足首を潰さんばかりに握り締めたのだ。
骨が砕かれる独特の音がした一瞬の後、
葛田の全身に激痛が走った。
「があああああああああああああああああ!!!!!」
葛田は梓からたちまち離れて、辺りを転げまわった。
「ぐ・・・。」
「あんまり・・・私を舐めないでよね。」

『な、な、なんと梓選手ぅ!!葛田選手の右足首を握り潰したあああ!!!』

梓は立ち上がると手を握り締めて、骨を鳴らした。
「いくわよ・・・本気で。」
言うなり梓はアッパーを彼の鳩尾に向かって繰り出した。
テレフォンパンチだ。
普段の葛田なら楽に避けられただろう。
だが・・・
葛田はよけようとするが、足首にズキンと激痛が走る。
「くっ!・・・・・・」
たまらず葛田は十字受けでガードしようとする。
梓は構わず自分の拳をガードに叩き付けた。
梓の拳は両腕の骨を砕き、衝撃が背骨にまで届く。
「ガッ・・・・・・!!」

さらにもう一撃。
今度は顎。
顎に猛烈な衝撃が走ると葛田は上方へ吹っ飛ばされた。

「ちっ・・・・・・」ハイドラントは舌打ちした。
葛田の負けはほぼ確定だ。
だが、梓に少なからず手傷を負わせたことは評価できる。
ハイドラントは弟子を引き取りに闘技場に上がろうとした。

が・・・
梓はさらにそこから踏み込んだ。
もう一撃食らわせる気だ。
と、それまでグロッキー状態だった葛田が梓の腕を取って、
腕ひしぎに持ち込もうとした。

「!?」
油断していた梓もハイドラントも驚きの余り動きが止まった。
しかし、反撃はそこまでだった。
葛田は腕を極めることなく、ずるずると倒れ込んだ。

デコイがすばやく葛田の状態を確認し、志保に合図を送った。
志保は肯いて、こう宣言する。
『勝負あり!!勝者 柏木梓選手!!!』

わーーーーーっという歓声が再びあたりを支配する。
葵や、綾香といった面々も梓の元に駆けつけた。

ハイドラントはその輪から少し離れたところで葛田の状態を確かめていた。
命に別状はない。
両腕と足首が折れているが、すぐに直る。
梓はハイドラントに気づくと、彼に近寄った。
「・・・・・・何だ?」
ハイドラントは梓の方を振り返りもしないで問いただした。
「葛田君に伝えておいてくれない?」
「何をだ?」

梓は闘いの後とは思えないほどの穏やかな笑みを浮かべて言った。
「この試合は絶対忘れない・・・いつかまた・・・もう一度闘いたいって・・・」
「・・・お前に言われてもこいつは嬉しくないだろうが・・・まあ、伝えておく。」
ハイドラントは葛田を背負うと、保健室に向かって歩み始めた。
が、途中で足を止めて振り向かずに言った。
「梓・・・勝てよ・・・少なくとも俺と当たるまではな・・・」
「あら?私と闘いたいの?」
「・・・葛田がお前さんにそれなりのダメージを負わせたからな。それに・・・」
「・・・?」
「弟子の敵を師匠が討つのは当たり前だろ。」
「そうね・・・」
そう言って梓はニッコリ笑った。
ハイドラントは右手を挙げて、再び歩き出した・・・


葛田玖逗夜・・・・・・一回戦敗退

柏木梓・・・・・・・・二回戦進出!


¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥
よーやく一回戦が終わった・・・
このペースで行くと夏休みいっぱいかかりそうですね(笑)
楽しいからいいですが(笑)

というわけでこの試合のネタばらし。
葛田さんの最初の伸腕は当然「るろうに剣心」の般若と分かりますよね?
でも次は分かり難かったのではないでしょうか?
腕の関節を外して、パンチで攻撃というのは「ジョジョの奇妙な冒険」第一部で
ジョナサン・ジョースターがやっている基本攻撃なんですよ。
ちなみに「サッカー選手云々・・・」というのは某マガジンに連載中の
サッカー漫画です(タイトル失念、シュートのほうではないです)。
最後の関節技、および「友好とは・・・」のせりふは
「グラップラー刃牙」からです。
ね?パクリが二重三重(爆死)

http://www.s.fpu.ac.jp/home/s9712056/www/index.htm