歪んだ過去に決別を 投稿者:beaker
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今回も非常に自分勝手な作品で申し訳ありません(汗)。
まあでも過去編は一度やっておきたかったので。





beaker・・・現Leaf学園2年生、第二購買部主任。4月の直前に転校。
      祖父は購買部初代の主任。
      その他一切の過去は不明。







「・・・これだけ?」
「・・・申し訳有りません!委員長!」
ここは風紀委員の部屋、というより半ば広瀬ゆかりの部屋であることは公然の秘密になっていたりする。
塔の関係者は言うに及ばず、他のいわゆるSS使いなども9割の人間は大体の過去・・・バックグラウンドは分かっている。
だが、この男だけは例外だった。
両親はいる、だが学校の記録が無い。
小学校、中学校、転校して前の高校・・・日本、いや世界中の学校に彼の記録が一切無かったのだ。

どういうことかしら?

広瀬ゆかりはもう一度彼の経歴の報告書を読み直してみた。

beakerは祖父の推薦でこの購買部の後を継いだ事になっている。
そして、第二購買部を開き・・・現在はかなりの利益が上がっているらしいが・・・
次に久々野彰の要望で、生徒総会に参加。
そして風紀委員長・・・私だけど・・・が決まった直後、月島拓也と私に根回しして、
購買部の品物を没収不許可にさせた事もあった。
”確か私は購買部にゆかりコーナーを作ってもらう事で納得したのよね・・・”
月島拓也にどういう根回しをしたのは不明だが(作者が考えてないという説アリ)
ともかく購買部の品物は没収をしない、という事で折り合いがついたのだった。

・・・広瀬ゆかりはため息をついた。
草を持たないこちらではこれ以上の調査は不可能だろう。
まあ、いいわ。特にこちらに敵意を持っている、って訳じゃなさそうだし・・・
広瀬ゆかりは調査の打ち切りを決意した。


その頃beakerはタロットを一部のSS使いと、リーフキャラに配り終えたところだった。
「なんで!?」
「何の役に立つんだ!?」
「っていうか意味を考えずにイメージだけで配ったろ!!」
というかなりの好評を戴いた(ホントに?)。


・・・beakerは自分のタロットを見つめた。
”運命の車輪”か・・・
自分に・・・他人の運命をもてあそんだ自分にこのカードを受け取る資格が
あるのだろうか・・・

いつものようにbeakerは購買部倉庫に来ていた。
ここに来て、大量の品物に囲まれると何故か気分が落ち着く。
「・・・!?」
誰か・・・いる?
・・・・・・ここに鍵を持たずに来れる・・・つまり緊急解除用パスワードを知っている人間は、
2人しかいない。
すなわち・・・自分と祖父だ。

「・・・もうそろそろ来る頃だと思っていたよ。」
祖父は相変わらずの穏やかな笑みを浮かべていた。
相変わらず外見はどう見ても20代半ばだ。
「行動パターンを読まれていましたか」
beakerは苦笑した、相変わらず自分の心理を読まれている。
両親を除けばこの祖父は唯一beakerが尊敬し、畏怖する人間だった。

beakerの祖父は一年の半分をここ・・・第二購買部倉庫で過ごしている。
”凍れる時間の秘法”・・・この魔法は空間の時間を固定すると同時に使用者への代償も伴う。
すなわち年を取らなくなるのだ。
beakerに言わせれば永遠の命など地獄の苦しみ以外の何者でもないのだが、
祖父は自分の状況を案外楽しんでいるようだった。
この楽天的なところにもbeakerは憧れていた。
自分の悩みなどちっぽけに思えるから。

「・・・タロットは配り終えたのかい?」
「はい・・・、僕が思ったとおりに配りましたが、良かったんですか?」
「いいとも、お前がそのタロットにふさわしいと思った人間なら大丈夫だろう。」
「しかし・・・このタロットに意味はあるんですか?」
「この学園に通う人間は大なり小なり何かを背負って生きている・・・あのタロットは
彼らの秘められた力を引き出す”鍵”なのだよ」
「鍵・・・ですか。」
「そう、・・・その秘められた力に溺れるか、それとも道を切り開くことができるかは、
彼らの心がけ次第、ということだ。」
そう言うと祖父はマントを翻し、闇の中に溶け込むように消えていった。
「道を切り開く・・・か。」
beakerは懐から取り出したカードを見つめた。
祖父からこの”運命の車輪”の使い方は教わっている。
(自分に秘められた力にしては巨大すぎますよ、まったく・・・)
何かを背負って生きている・・・か・・・



beakerは5歳の頃に一度誘拐された。
中国のある権力者が子供の臓器のために世界中からドナーを探していたらしい。
気がつくと中国に連れ去られていた。
隙を見て脱出したものの、帰る場所もなく、寝る場所もない・・・

beakerは貧民街に潜り込んだ。
そこでbeakerは生き抜く術を学んだ。
生きるために、自分をこんな目に合わせた彼らに復讐する為に。
そしてbeakerは権力を得た。
上海の死の商人・・・わずか10年でそこまで上り詰めた。
人も殺した。自分の手を汚すこともあった。
・・・自分をこの状況に陥れた人間にも復讐を遂げた。
彼の子供は10年前に死んだらしい。

復讐を遂げてbeakerの心にぽっかりと穴が空いたようだった。
自分は罪人(とがびと)という自覚が毎夜頭をさいなめた。
beakerは何もかも放り出して自首した。
死刑はほぼ間違いなかったし、beakerも文句をつける気はなかった。
だが・・・
「釈放だ。」
「なぜ・・・?」
「そこの男に聞くんだな」
それが祖父だった。
祖父は裏の情報から自分の孫の居場所をようやく突き止めて、裏から手を回したのだった。
beakerは2年間祖父と共に世界中を見て回った。
文字を勉強し、知識を蓄え・・・
beakerは祖父に学校へ行く事を薦められた。
そして購買部の復興を頼むとも。
反対する理由もない。



こうしてbeakerはかつて祖父が教職として赴任したLeaf学園に入学したのだった・・・

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久しぶりに書いたやつがこれかい・・・
少しは反省しろ自分。
広瀬ゆかりを除いて他の人がまるっきり出てきませんね〜。
感想はどうしよう・・・感想掲示板に書き込んでおきます。
・・・月曜日にでも(爆)。

http://www.s.fpu.ac.jp/home/s9712056/koubaibu.htm