図書館は熱く萌えているか!? 投稿者:智波
「今日も平和ですね」
  司書室でお茶を飲みながら、図書館長であるまさたは清々しく言った。
「ふみふみ」
  その隣では彼の恋人であるゆかたが一匹の虫をその手に捕まえたところだった。
「ゆかた、その虫は駄目ですよ」
「なんでぇ?」
「ちょっと」
  まさたはゆかたの手から、その親指の先ほどもある黒い虫を摘まむと、すぐ隣で寝息を立てている食虫植物に放り
込んだ。
  ギョウェェェェェェ!!
  悲鳴、というよりは奇声。そして肉を焼いたようなおぞましい匂い。
  人間のものに酷似した歯が生えている食虫植物が、その身をくねらせて悶絶する。
「やっぱり、菜園の飼育場から漏れてきてるんですね」
「お薬なの?」
「同じのには触っちゃ行けませんよ。ゆかた」
「うん」
  そう元気よく宣言して、ゆかたは司書室の中を駆け回って遊び始めた。
  ……おい、なんでそんなに広いんだ?
  それよりもその虫、ほっといていいのか?
「ふぅん、人間相手の実験には良い向きですね。風紀委員のお手並みも拝見」
  風紀委員?  どういう意味だ?
「人の精神にどう影響するか?  単に刺された人間が暴れるくらいなら飼う必要ありませんしね」
  そう言ってまさたは手元の本に視線を戻す。
『食人植物の類型』
  あの、そうなんですか?
「自分で捕食してくれた方が世話も省けますよねぇ」
  まさたは意味ありげに笑う。しかし、その顔も端から見れば単に可愛い笑みでしかない。これほど凶悪でなければ、
すでに薔薇の手に……
「おやおや、借りてみた最初の一株が食事中ですね。ふーん、榊君でも誘い出して戦闘力でも調べますか」

  はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、何とか脱出できた。
  ぜぇぜぇ、と、とにかく、そういう風に不気味に微笑んだまさたもまだ度重なる図書館の瓦解で、……ふぅ、実験区
域からあらゆる、生物、無生物が流れ出していることには気がついていなかったのである。


『図書館は熱く萌えているか!?』

  こ、これは。
  図書館の前で榊は絶句した。
  図書館のいたる壁から、植物のものと思しきツタが、壁を突き破って生えている。
  それらは図書館を締め付けるようにびっしりと張り付き、図書館の概観を不気味な洋館に変えていた。
  さらにはそれらのツタは一定の期間で、蠢いている。生きているのだ。当然ながら植物は生きている。しかし、
このツタは明らかに別格である。意思すらあるのではないか。見るものにそう思わせる何かがあるのだ。
  榊は一度唾を飲み込むと、
「……いつもの事か」
  と、あっさりと中に入っていった。
  おい、おまえ、それでいいんか!!

  図書館内はむっとした熱気に覆われていた。
  植物が呼吸しているためである。
  鬱陶しいな。
  シュルシュルと絡み付いてくる蔓を手で払いながら、榊はふとIDに手を伸ばす。
「第七……、いや、止めた方が賢明か」
  今は館長がいる。
  システムをむやみに使った事がばれたら……
  榊の脳裏に『あの部屋』が浮かぶ。
  ぶるぶる、考えるな。考えるんじゃない。
  それに、これは多分館長の趣味だろう。
  強制排除なんかしてみた日には……
  ふと榊の脳裏に強制排除される自分の姿が浮かぶ。ついでに空高く舞い上がる自分の姿も。
  …………危ない!  イエロー!  ぐあぁぁぁぁぁ!!
「レッド!」
  叫んでから、榊は自分の耳を疑った。
  なんだ、今のは…………
  気のせいだ。気のせい。
  そう思いつつ、あたりを見渡してみる。

「ふふふ、マルチぃ〜〜」

  あえて描写は避ける。
  榊はセリスの目の異常さに気がついていた。
  マルチを抱きしめている手にいつも以上の力がこもっている事にも。
  そして、マルチが痛がっているのにもかかわらず、その手を緩めない事にも気がついていた。
  ……いつもの事だ。
  榊はそう結論した。
  ドクン!
  もしそこにいたのが楓と西山だったら、どうしただろう。
  ドクン!
  訳の分からない胸の焦燥が榊を苦しめる。
  なんでもない。
  俺は太田さんが好きなんだ。
  楓は……
  榊の脳裏に浮かぶ、楓の顔、楓の声、楓の脹脛、楓の耳たぶ、…………楓の二の腕!!
  その瞬間、彼の名前が榊Yになった!!
「なんでYなんだっ!?」
  ……………それはすでに私が榊REDだからだ!
「誰だぁ!  おまえは!!」
  声に振り返る榊。そこには!!
「榊レッド!!」
「榊ブルー!!」
「榊グリーン!!」
「そしてモモ榊よ☆」
  全身タイツの4人組み、それぞれ自分が叫んだ色なのだが、どこか薄汚れている。そして、股間にはちょっとした
膨らみが……、全員に…………?
「何で女装なんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あら、そんな事言わないで」
  モモ榊が腰をくねらせながら榊に接近する。顔が見えないのにそういうことをすると結構不気味だ。
「おまえ」
  三白眼で榊が呟く。
「なにかしら☆?」
「脛毛が出てるぞ」
「えっ、ウソっ(汗々)」
  咄嗟に自分の足を見るモモ榊。
「やっぱりかぁぁぁぁぁ!!」
  榊は下を向いたモモ榊に超至近距離から龍翔閃を放つ!!
「あごがっ!!」
  モモ役とは思えない叫びを吐いて、モモ榊の上体が反りかえる。
「止めだぁ!!」
  龍翔閃の勢いで飛び上がっていた榊は、空中で無銘の刀を握り直す。どうでもいいが、ここは図書館だぞ。
「天明一刀流奥義!!  龍追閃!!」
  ごぉぉぉぉぉぉぉん!!
  絶対に刀だけでは不可能な破壊を撒き散らし、榊は地に降りる。
「ふっ、悪即斬」
「イ、イエロー、なんてことを……」
  赤タイツが狼狽した声を上げる。
「イエローって呼ぶな!!  ところでキサマら、今助けに入ろうとすれば入れたはずだが?」
「……だって、なぁ?」
  青が同意を求めるように緑を見た。
「うん」
  緑が肯く。
「まあ、わからんでもないが」
「う、うう、逆刃刀を使うなんて、イエローのお茶目さん」
「これは諸刃の刀だが?」
  ふと榊が目を瞬かせた。
「龍翔閃、龍追閃と天明一刀流の奥義を二つも立て続けに食らって無事とはキサマ、まさか!」
  どうでもいいが、字、伏せなくて大丈夫か?
「あら、ばれた?」
  そう言って、モモ榊が地に伏せたままタイツを脱ぐ。ダメージ残ってるやん。
  そうして、そのタイツの下から、現れたのは……
「お、俺?」
  それは榊本人だった。
「そうだ。俺達はみんな同一人物だ。俺が深層意識で望んでいた5つの心。その顕在化した姿さ」
  ばっ、と。色とりどりのタイツが図書館の中を舞った。
「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
  次の瞬間、図書館の床から飛び出した触手が榊レンジャー達をふっ飛ばした。
「DK細胞、これが俺が俺である証だ!!」
  そして、今、榊の名に、ようやくRの字がついたのである。
「み、みんな……」
「ん?」
  その声は榊Gのものだった。
  彼だけがタイツを脱がず、緑タイツのままでそこにいた。
「おまえはどうして脱がないんだ?」
「そ、それは……」
  それは、ねぇ、作者にも事情があるんだよ。
  榊Rは何も無い空間をジロリと一瞥して、刀を構えた。
「そのまま、死ねっ!」
  天明一刀流抜刀横一文字は刃で斬る技ではなく、衝撃波で相手を真っ二つにする技である。
  真空を伴った衝撃波が榊Gに襲い掛かり、
「テケリ・リ!」
  脇から飛び出してきた陰が、榊Gを奪って、そして建物を支配する植物の陰に消えた。
「ぎぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
  おぞましい叫び。
「天罰だ」
  榊Rはそう呟くと歩き出した。
  ねえ、何処に向かってるの?

「あの、ひなたさん」
「何ですか?  美加香」
  図書館内である。
  先ほどから何度か言っているが、図書館内では謎の植物が根を張っている。
  どう考えても尋常な雰囲気ではない。
  しかし、この二人もそういう意味では尋常ではなかった。
「お弁当を作ってきたんです☆」
「……ふざけないで下さい」
  そう言ってひなたは弁当箱ごとごみ箱に……
「ありがとう、美加香♪」
  あれ?
  ごみ箱はそこにありますよ。ちょっと植物の陰に隠れてますが……
「えへっ、私、頑張ったんです!」
「どれどれ、美味しそうじゃないですか」
  えっ?  それが?
  弁当の中身についての詳細は、空腹な作者に追い討ちをかけるのでさて置いて、少なくとも美加香の料理の
腕が上がったわけではないようだった。
「ぱくっ」
  死ぬぞ、ひなたさん。
  一瞬、ひなたの顔が引き攣る。
「どうですかぁ?  美味しいですか?」
「うん、美味しいよ。美加香♪」
  顔が青ざめてるってば。
  大体、あんた非道はどうしたんだ?
「えへへっ、美加香、嬉しいです☆」
「僕も嬉しいですよ」
  そう言いつつ、美加香の首の骨を折る事もしない。ひなたと美加香はとてもしあわせそうな顔をしていた。
「おんどりゃぁ!!  楓はどうしたぁぁ!!!」
  そんな叫びとともに幸せな二人の後方で機関銃がせり上げって来る。
「図書館内は飲食物の持ち込み禁止ぃ!!」
  どがががががががががが!!!
  着弾とともに煙が上がる。
  濛々と立ち込める着弾の煙。
  図書館内でも発砲も禁止するべきだ。
「立て!  ひなた!  てめえにだってDK細胞があるんだろうが!!」
  しかし……
「ひなたさん……」
  そこには美加香を守って、地に伏せるひなたの姿があった。
「美加香、大丈夫ですか?」
「はい、私は、でも、ひなたさん」
「美加香が無事ならいいんです」
  そう言って、ひなたは立ち上がる。
「さて、説明してもらいましょうか?  榊委員。僕の至福の時を邪魔した罪は重いですよ」
「楓はどうしたぁ!!」
「楓?  僕は美加香と……、美加香一筋ですよ」
「いいんです、ひなたさん。私の事は気にしないで」
「美加香……。そうです。僕は美加香と沙織一筋ですよ」
「それは一筋とはいわねえだろうがぁ!!」
  榊Rがぎらりとした瞳でひなたを見る。その手には既に刀が握られていた。
「美加香下がってなさい」
「でもひなたさん」
「いいから」
「……はい」
  美加香は私がいなくちゃ鬼畜拳が使えませんよ、と言えなかった。
  どごしゃぁ!!
  ……………………
「……ひなたさん」
「腑抜けたな!!  それでもSS不敗流の継承者か!!」
「……うう、……僕はSS不敗流を継ぐ気はない」
「弱いな、弱すぎる!!」
  そして榊Rはその場を立ち去った。
  後に残された美加香は精一杯の心と愛を込めてひなたの看護をしたが、全治一週間のはずが、2ヶ月かかったのは
また別の話。
  しかし、榊R、あんた本当に何処に向かってるんだ?

  ………なんでこんなことに!?
  ハイドラントは悲痛な心の声を上げる。
  場所は図書館の休憩室である。生徒達が本を読む場所として使用されるべき場所であるが、今は生い茂った
植物のせいで誰も、いや、たった二人を除いて誰もいない。
「ハイド♪」
  その妙にリズミカルな言葉は、ハイドラントにのしかかった女性の唇から漏れている。
「あっ、綾香、いったいどうしたんだ?」
「そんなことはどうでもいいじゃない。ねぇ」
  嬉しい。非常に嬉しい。
  もし綾香の瞳が正常であったなら……
  すぐ側に綾香の唇がある。息がかかる。その息吹に、細い、細い理性の糸が揺れる。まるで揺らめく蜘蛛の
糸のように……、揺れる。息吹に…………
「うがぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
  ハイドラントは思わず綾香を突き飛ばしていた。
「きゃ」
  綾香がおおよそ彼女らしくない声を上げて、尻餅をついた。
「いったぁ……」
「す、すまん。大丈夫か?」
  そう言ってハイドラントが差し出した手を、綾香がたいして力も込めずに引っ張った。
「うわっ!」
  そもそも手を差し出しているのだから前かがみの姿勢である。
  抵抗する事もできずに、ハイドラントは綾香に覆い被さるようにして、倒れた。
「ふふっ、ハイド♪」
「あっ、綾香」
  全身が綾香を感じている。
  二人はぴったりと重なり合っていた。
「いいのよ……」
  なっ、なにが?
  からからに渇いた喉がその言葉を紡がせない。
  心臓が馬鹿になったドラムみたいになっている。痛いくらいに。
  温もりと熱い息吹がハイドラントの薄い氷のような理性を、バーナーで焼いた飴のように融かした。
「あっ、綾香っ!!」
「あっ☆  ハイド」
  ハイドラントの両手が綾香を強く抱きしめる。
  構わない。どうなっても。
  そう思った時だった。
「図書館内での不純異性交友は禁止ぃ!!」
  読者の予想通りである。
  ここで超ペンギソが出てきて二人が食われる。というのも面白いと思ったがしない。
  必然性が無いからだ。
  ちなみにこれらの駄文はハイドラントが呆気に取られる時間を示している。
「そんな規則、聞いた事が無いわよ」
  綾香の切り返しは冷たかった。
「今決めた!!  たった今決めたんだぁ!!」
  懲りずに図書館内防衛システムを起動させつつ、榊Rは声も高々に叫んだ。
「ヤキモチ?」
  意地悪く笑うと綾香はハイドラントの頬に唇を当てた。
「うおぉぉぉ!!  キサマらぁ!!」
  榊Rは何故か泣いていたが、そのことに突っ込むものはいなかった。
「レールガン発射!!」
  電磁加速された弾丸が雨のように二人に降り注ぐ。
「タマカンマの玉よ!!」
  咄嗟に張ったハイドラントの障壁が音速を変える弾丸を弾き飛ばす。
「かかったなぁ!!」
  図書館の床が捲れあがりDK細胞の触手が二人を縛り付ける。
「くっ!」
  しかし一方でレールガンは弾丸を吐きつづけている。
  つまりハイドラントは魔法の構成を解く事ができない。
「俺のこの手が真っ赤に燃える!!」
「あれは!」
  綾香が悲痛な声を上げる。
  無理も無い、3ミリの鉄板を貫く力を持つDK細胞の触手に縛られているのだ。
「楓に萌えろと轟き叫ぶ!!」
「いけない!」
  しかしその瞬間、DK細胞の触手が二人の口を塞いだ。
  声が出せなくては音声魔法は使えない。
「ひぃっさつぅぅ!!  メイプルフィンガー!!!!!!」
  どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!
  図書館の壁を吹き飛ばし、SS不敗流の奥義が炸裂する。
「ふっ、勝利とは空しいものだ」
  立ち込める濛々たる煙の中、榊Rは自らの拳を見つめ呟き、そして歩き出した。
  だから何処行くんだよう。あんたは。

「はい、お兄ちゃん、あ〜〜ん」
  西山は困っていた。
  ここは図書室のサロンルームである。
  例によって、植物に支配されているが描写はさて置く。
  彼の右には彼の妹であり、敵対しているはずのEDGEが、左には楓がいた。
  困っているのには二つ、理由がある。
  一つ、楓が彼の左腕にしがみついて離れない。
  一つ、EDGEがいつもの苛めとでも言うべき甘えをいつもの数倍の濃さで行ってくるのだ。
  ちなみにもう一つ理由があるらしいが残念ながら、作者はまだその情報を得ていない。
  とりあえず差し出されたものは食わねばなるまい。
  西山はしぶしぶと口を開けた。
  そう思っているのは実は本人だけで、顔を真っ赤にしつつ、だし巻きを口で受け止める彼の姿は、
「けっ、なんだよ」と誰もが思うようなものだった。
「……はい、お茶です」 
  楓が差し出した茶を受け取り、一服つく西山。
  何かがおかしい。
  それは気がついていた。
  しかし、どうでも良かった。
  楓がいれば、彼はどうでも良かったのである。
  そんなことは誰でも知っている。Leaf学園のものならば自らの命に関わる事であるから、熟知している。
  良く分かってないのは彼の妹であるEDGEその人であった。
  頼む、今貴方は全校生徒の命を握っているんだ。それ以上楓に刺激を与えないでくれ。
「楓ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
  その時であった!!
  疾風のごとく現れた榊Rが楓を背後から抱きしめたのは……
「……………」
  楓はちょっと困っていた。
  いや実は物凄い困っていたのかもしれないが、傍目にはそれぐらいにしか見えなかった。
「…………」
  …………EDGEはもういなくなっていた。彼女はそれなりに危険を知っていた。
「……きぃさぁまぁ!!!」
「楓ぇ……」
  榊Rの目はイッテいた。これがDK細胞の力……
  ごうっ、と風が吹いた。
  西山の周囲に異常なほどの力が集まっていく。
  戦いはもはや避けようが無かった。
「俺と楓の中を邪魔する奴は叩っ斬る!!」
  榊Rが刀を出す。
  今ここにR対Rの戦いが始まろうとしていた。

『業務日誌』OLH
  15時15分、図書館休憩室で壁が損傷。犯人は不明。
  15時23分。図書館サロンルームで榊委員が意識不明で倒れていたので、これを実験区域まで運ぶ。
ここでもテーブルや、壁に損傷が見られた。休憩室とともに榊委員の所為と断定。
  15時44分。気絶した生徒ハイドラントを発見。右頬に強烈な平手の後あり。犯人は不明。処置無し。
  16時01分。榊委員を3名発見。反応オレンジ、榊委員のクローンと判明。焼却炉に。
  16時12分。謎の植物を確認。判定を

  そこで業務日誌は途切れていた。

  結局、虫とか植物って何だったんだ?
  ここに榊委員の言葉を借りよう。
「いつもの事だ」



<<<後書き>>>

  Lメモ初挑戦です。
  ごめんなさい。尻つぼみですね。ギャグは苦手なんです。
  これからも書いていこうと思いますので、よろしく。

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Denei/3148