夏は要注意  投稿者:デコイ
= = = + + + = = =
:注意:

お食事中の方
心臓の弱い方
夜一人でトイレに行けない方
オケラやアメンボが友達な方

以上の方はとりあえずこのSSは読まない方が良いかも知れません(笑)
= = = + + + = = =



「……なにか間違ってねーか?」
 そんな言葉を、誰かが発した。
 ………部屋の中央でタマダンスを踊ってるTaSで無いのは言うまでもないが。
 ちなみに、大いに邪魔だ。
「何か文句ある!?」
 TaSのデカアフロに隠れて見えないのだが、んなことはものともせずに緒方理奈、
確か現役アイドルがファンには見せない素敵な素顔で凄む。
 このなんだか解らない集団を取り仕切ることになった時点で、諦めてるような気も
しなくはないが。
 ともあれ、

「ぬおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっ!!??」

 一拍おいて、デコイが絶叫をあげのたうちまわった。
 彼の被るアフロが見る見る膨れ上がり、増殖し、彼を蝕み始める。
 そのまましばらく藻掻いていたが、やがて動かなくなり、今度は徐々に縮んでいく。
 縮んで縮んで…………ただのアフロになった。




 ゲプッ。




「(何ですとおおおおおおぉぉぉ!!??)」
 その様子を見てた、というか目をそらせなかったYinととーるがムンクよろしく
ねじれ上がった。
「OH!? スデにアフロの粛正機構をマスターとは!! やりマスネ!! ティー
チャー理奈!!」
 タマダンスからブレイクダンスに変わったTaSだけが、何やら感心している。
 邪魔なのには変わりないが。
「………えーと………」
 やっぱり見えない理奈が、何かを確認しようとして、止めた。
「今後の行動指針は解ったわね?」
 過去を振り返るのも止めたらしい。
「(ぶんぶんぶんぶんっ)!!」
「は、はははいぃぃ!!」
「……電波、届いた?」
「HA♪ HA♪ HA♪ HA♪ HA♪ HA♪ HA♪ HAAaa♪」
 何も言わずひたすら頭をシェイクなYin。
 何故か敬礼してるとーる。
 そもそも今まで何処にいたのか解らない瑠璃子。
 腰にあわせてときめく鼓動は誰のせい? なTaS。

 ………結局いつもの光景だった。




「で、早速だけど何か案のある人」
 お立ち台(何故かあった)を囲んで座るアフロ達に意見を求める理奈。
「……アフロSモン、ゲットだね」
「ズバリ! タマダンスの普及デース!!」
「アフロの良さを知らしめるとか」
「ラテンの文化を広める?」
「Leafにアフロキャラを出すよう投書するとか」
 ザ・似たり寄ったり。




「………まぁ、良いわ。で、そのために何をするのが良いのかしら」
 行動指針とはかけ離れてっていうか、もうどうでもよさげな理奈。
 人間諦めが肝心なのかも知れない。見えないし。
「「何をするって言ってもなぁ………」」
 ぴったり息を合わせて呟くYinととーる。
「オーソドックスにポスターなんてどうです?」

 ………。
 ………。
 ………。

 ふいに、沈黙がおりた。
 とりあえず、Yinととーるが顔を見合わせる。
 それから二人そろってお立ち台の上、悩ましげに踊ってるTaSを見る。
 ていうか、視界に入ってきた。
 ついでに目も合ってしまう。

パチッ☆

 何故かウインクされる。はだけた服がポイントだ。
 でも怖いので無視する事に決める。
 仕方ないので、とりあえず大人な緒方理奈を見ようとして、そこで初めて彼女の姿
が消えていることに気がついた。
 いや、よく見れば、後ろに倒れ込んでいるだけのようだ。
 瑠璃子がつんつんしてるのにぴくりともしないところを見ると、気絶でもしている
のだろうか。
 ともあれ、他に見るものが無くなった。

かさり。

 何かが自己主張してる。
 忘れたいのに。

かさりかさかさ。

 その悲痛な願いを無視するかのように、自己主張は続く。
 耐えきれなくなったのか、あるいは万に一つもない希望に賭けたのか、ひょっとし
たら生物部員の意地なのかも知れないが、ともかくYinが音の方へと顔を向けた。
 精一杯の勇気を振り絞った彼の視線の先には………アフロがあった。
 てっぺんにデコイの顔がプリントされてたりするが、紛れもなくアフロだ。
「あ、あ、あ………」
 腰を抜かしながら”それ”を指さす。
 指さされた”それ”は、





かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ!!





 這い回った。






「「うどわあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」
 抜けた腰を引きずって無理矢理逃げ出す二人。

かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ
さかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさか!!

「わはははは!!」
 それを追う多分アフロ。
「HAHAHAHAHA!!」
 何故かTaSも一緒に追いかける。

「「嫌あああああああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!??」」
「………」
 限界を超えて逃げる二人。早くも走馬燈。
 何かを狙ってるような瑠璃子。

かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ
さかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさか
かさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさかさ!!

「ぬほほほほほほ!!」
 笑い声を挙げながら這い回る、どことなくストーカーなアフロ。
「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」
 負けじと笑う、やっぱりアフロ。

「「こっち来んなああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」」
「……えぃ!」


「あっ…」
ぷちっ。


 潰れた。電波の女神に踏まれて。


ぱららぱっぱっぱーー!!

 月島瑠璃子はレベルが1あがった!!
 かしこさが上がった!
 筋力が上がった!
 最大電力が上がった!
 お腹がすいた!


「……転職まで後少しだね」
「うう、もう嫌だぁ……」
「なまんだぶ、なまんだぶ」
 瑠璃子がステータスを確認している後ろで、なんだか敗北寸前って感じでYinが
呟いた。
 とーるは、騎士のくせに読経。


「Ouch!!!」
 ダメージ受けてるし。

                        (作者もついていけない内に完)