「クソゲーハンター(じゃないけど)の午後」風紀委員会編 投稿者:でぃるくせん






            【ハイドラントの野望・戦国群雄伝】


「ディルクセン先輩!」
 ばんっ、と音を立てて地下反省房管理室の扉が開け放たれた。わずらわしげ
にそちらを見て、意外な闖入者の姿にディルクセンはわずかに目を見開く。
「なんですか、委員長? 珍しい事で」
 その質問に彼女はすぐには答えない。つかつかと無言で歩み寄る彼女に危険
を感じ、ディルクセンは慌てて腰をあげかかった。その彼の動きを制するよう
に、広瀬は鞄から何かを取りだし、彼の鼻先に突きつけた。
「これで、勝負よ!」
「……『ハイドラントの野望』……?」
 突きつけられたそれをまじまじと見つめ、良くわからないといった風に広瀬
に視線を送るディルクセン。そんな彼に対し、広瀬はにやりと不敵な笑みを浮
かべて
見せる。
「そう。第二購買部で買ってきたの。先輩、SLGは得意だって言ってたわよ
ね?」
 その言葉を聞いて、ディルクセンもにやりと笑った。
「……得意分野でへこませようって言う訳ですか? 面白い、やってみましょ
うか」
 そんな訳で、因縁の二人のゲーム対決の始まりである。
「で、なんで戦国群雄伝からなんです?」
「一応前二作、一人用だから」
「……細かいところにこだわるなぁ」


>新しくゲームを始める
 続きから始める

どの大名で始めますか?

 山城 柏木千鶴
 摂津 来栖川芹香
>近江 広瀬ゆかり
>美濃 ディルクセン
 加賀 TaS
 尾張 ハイドラント
 甲斐 ジン・ジャザム
 相模 岩下信
 ・
 ・
 ・

《ゲームスタート》

 ポンポンポン……(コンピューター処理中の効果音)

 ブッブー!(何かヤバい事が起きた時の効果音)

《美濃でアフロ一揆が発生しました》

加賀大名TaS
『アフロ信徒の皆サン、頑張ってくだサーイ!!』

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!(戦闘の効果音)

 ブッブー!

《一揆を鎮圧できませんでした》

「なにぃっ、最初のターンで国力半減だとぉっ!?」
「日ごろの行いが悪いんじゃない?」
「……おのれ……あっ?」
「えっ?」

 ポンポンポン……(コンピューター処理中の効果音)

 ブッブー!(何かヤバい事が起きた時の効果音)

《近江の永井が広瀬ゆかりに対して謀反お起こしました》

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!(戦闘の効果音)

 ぴろりろ〜ん!

《謀反を鎮圧しました》



「……勝ったけど、ウチも国力半減……」
「こう言う時は……」
『リセット!』
 ぷちっ。




           【ハイドラントの野望・武将風雲録】


「さて、なにも見なかったことにして」
 再び選択画面に戻る。
「あれ? 兄さん、なにしてるの? 広瀬さんも一緒なんて、珍しいわねぇ」
「あー、なんかしらんがクソゲーらしきもの。お前もやるか?」
 巡回を終えて管理室にやって来た美也の物珍しげな様子に適当に応え、さっさと大
名の選択を終える。美也は軽く肩を竦め、ひらひらと手を振りながら応じる。
「いいわ、私は。疲れてるからちょっと眠るわね」
「ああ、そうか。ちゃんと自分で起きろよ……さて、始めましょうか」
「心機一転、やり直しましょ」
 げーむすたーと。

 二時間後。

「調子はどう? ……って、全然国が増えてないわねぇ。何してたのよ、二人
とも?」
 ふあぁ、とあくび交じりに美也が仮眠室から起き出してくる。それに応じた
のはなんだか殺気立っている二人ではなく、二人の様子を背後から見守ってい

た陽平だった。
「あ、姉さん、いたの? それが……」


《美濃のディルクセンが近江に攻め込みました》

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!

 ブッブー!

《ディルクセンは敗北しました》


「…………くっ!!」
「ふふん♪」


 ポンポンポン……

《近江の広瀬ゆかりが美濃に攻め込みました》

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!

 ブッブー!

《広瀬ゆかりは敗北しました》


「おやおや?」
「……なんか文句ある?」


《美濃のディルクセンが近江に攻め込みました》

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!

 ブッブー!

《ディルクセンは敗北しました》


「…………」
「これで通算成績どれくらいでしょうねぇ?」


 ポンポンポン……

《近江の広瀬ゆかりが美濃に攻め込みました》

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!

 ブッブー!

《広瀬ゆかりは敗北しました》


「先ほどの威勢はどこへ行ったのか……」
「…………ああもうっ、腹が立つっ!!」
「……さっきからずぅぅぅぅぅっと、この繰り返しなんだよね〜」
「……なんか血の雨降りそうな展開ねぇ」
「……あっ、委員長が先にキれた」
「ああっっと、ここで広瀬ゆかり、凶器攻撃! パイプ椅子を高く持ち上げて、
思いきり……」
 暗転。




          【ハイドラントの野望・覇王伝】


「なんか、永井の忠誠度低いわね……」
「(ふふん、さっさと寝返り効かせてあるからな)」
「まぁ、良いわ……先輩、勝負よ!!」
 ポンポンポン……

《近江の広瀬ゆかりが美濃に攻め込みました》

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!

「信濃のジン・ジャザムからの援軍で、三万対一万の戦力差。覆せるものなら、覆し
てもらいましょうか?」
 広瀬、勝利を目前にして自身満々である。一方のディルクセンも負けてはい
ない。
「ふふん、こんなこともあろうかと、お前のとこの永井には寝返りを聞かせて
るんだ
がな……ぽちっとな」

 ブッブー!

《永井は寝返りの約定を破棄しました》
 近江武将永井
『けっ、勝ち目の無い奴の下につけるもんかよ』

「……誰がどうしたって?」
「……………………美也、胃薬持ってきてくれ…………」




          【ハイドラントの野望・天翔記】


「ああくそ、今のは何やねん!! もうハンデなしや!!」
「ハンデなんてもらってないじゃない」
「やかましい! とにかく……」


 ポンポンポン……

《近江のXY−MENが、山城の柏木千鶴に引き抜かれました》


「…………(ニヤリ)」
「…………きしめん君、減給……あっ」


 ポンポンポン……

《美濃の松原美也が、若狭のギャラに引き抜かれました》


「……美也さん、橋本先輩にぞっこん何でしたっけ?(にっこり)」
「……………………あー、こう言うときは、だ」
 お互いに顔を見合わせ、頷き合う二人。
『リセット』
 ぷつん。





           【ハイドラントの野望・将星録】


 ピロリローン!

《ディルクセンは勝利しました
  貞本夏樹を捕らえました》


>登用する
 逃がす
 斬首
 越前武将貞本夏樹
『ゆかり以外の主君に仕えるつもりなど無いわ!』


「嬉しい事いてくれるわね、さすがは我が親友♪」
「…………」


 登用する
 逃がす
>斬首

 ブッブー!
 越前武将貞本夏樹
『ごめん、ゆかり……あぅっ』


「ああっ!!? な、なんて事するのよ先輩!!」
「いや、解放して近江の本国に戻られるのも癪だからな」
 ぷちん。背後で様子を見守っていた一同は、広瀬の中で何かが切れた音を聞
いたような気がした。
「……本日二回目?」


《近江の広瀬ゆかりが越前に攻め込みました》

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!

 ピロリローン!

《広瀬ゆかりは勝利しました
  松原陽平を捕らえました》

 越前武将松原陽平
『あうあ〜』

 登用する
 逃がす
>斬首

『はうあぁっ!?』

「……お前っ、広瀬ぇっ!! 今登用もせぇへんかったな!!?」
「指が滑ったのよ、なんか文句あるの!!?」
「だぁぁぁっ、二人を引き離せぇっ!!!!!」
 再度流血バトル。暗転。




           【ハイドラントの野望・烈風伝】


1582年6月。

 ちゃらちゃらちゃちゃ、ちゃらちゃらちゃちゃ♪(ヤバげな曲)


「なに? 突然……」
「どうも、『本能寺の変』みたいだなぁ」


丹波武将篠塚弥生
『敵は本能寺に在り!』

《丹波の篠塚弥生が山城に攻め込みました》

山城大名ハイドラント
『如何なる者の企てか!?』
山城武将川越たける
『旗印には、桔梗の紋が!』
山城武将電芹
『桔梗紋ならば、篠塚弥生!』
山城大名ハイドラント
『是非に及ばず!』

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!

山城大名ハイドラント
『人間五十年……』

《ハイドラントが死亡しました》


「おーおー、厄介な勢力が自壊してくれた」
「どっちかというと、現実世界で起こって欲しいかもね」
「ああ、なんか危険な魂の叫びを。っと、まだ油断できんな、ここから葛田が
勢力を受け継ぐだけか」


播磨武将葛田玖逗夜
『導師が死んだっ!? …………”どうし”よーーーー!!!』

《葛田玖逗夜は混乱している間に敵に攻められて死亡しました》


「…………あら?」
「…………胃が……」


河内武将神凪遼刃
『篠塚先生が導師を討った? ふーん』

越前武将T−star
『ふむ……まあ、良かろう』

信濃武将むらさき
『えーと、これからは弥生せんせいの言うことを聞けばいいの?』

甲斐武将高橋
『謀叛? ムホン? そそそ、そいつはワンダホォォォォォォォォ!!!」

山城武将神海
『ハイド家の武将は皆、殿を新たな主君として認めるようです』
山城大名篠塚弥生
『当然ですね』


「…………あらら?」
「…………なんとゆうか、これじゃハイドラントが生きてても変わらんぞ」


相模大名セリス
『篠塚先生とは、戦う理由がないな』

安芸大名藤田浩之
『ハイドラントの馬鹿ならともかく、弥生先生なら将軍として認めてもいいか』

越後大名風見ひなた
『じゃあ皆さん、戦いはこれまでって事で』

《篠塚幕府に参加しますか?》


「…………(ちらりとディルクセンを見る)歴史イベントみたいだし、ね」

《■/N》

陸奥大名広瀬ゆかり
『これからは、篠塚幕府に忠誠を誓いましょう』

「…………」


《篠塚幕府に参加しますか?》

《Y/■》

出羽大名ディルクセン
『広瀬が降るのなら、俺は断じて降らんぞ』


「……ふーん?」
「…………ええい、ままよ!」


山城武将神海
『出羽のディルクセン家のみが、我々に降りません』
山城大名篠塚弥生
『では、討伐令を発するとしましょう』


《諸国の軍勢が出羽に攻め込みました》


 10万対1万。
「勝てるかぁっ!!(吐血)」

 ブッブー!

《ディルクセンは敗北しました
  ディルクセンは囚われの身となりました》


山城武将神海
『捕虜の処置は、いかがいたしましょう?』
山城大名篠塚弥生
『……そうですね、私の邪魔をしたからには、彼には死ぬより恥ずかしい罰を
与えましょう』
出羽大名ディルクセン
『な、何をするっ…………うわぁぁぁぁあああっ!!?』

《篠塚弥生はディルクセンのヅ》

 ごがっ、ばめきょっ!!!!!!


「…………はーっ、はーっ、はーっ、はーっ」
「…………先輩、やっぱりヅラ」
「黙れぇぇぇぇっ!!!!!」
「だぁぁぁぁっ、止めろぉぉぉっ!!!」
 本日三回目の乱闘、開戦。


 ちゃらららんららんらん、ららら〜♪(エンディング曲)




「これ作った奴、絶対殺したるぅぅぅぅぅぅっっ!!!」

 負け犬の遠吠え。



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 ハイドさんの「ハイドの野望」ネタ、流用させていただきました(笑)

 と見せかけて、自爆ネタだったり(笑)

 ちなみに、断じてヅラじゃないので、その辺は誤解なきよう(笑
)