初挑戦Lメモ「Ghost」後編 投稿者:FENNEK
初挑戦Lメモ後編
「End of the ghost regend」












 午前零時。
 隆山市側峠入口。

「こちら誠治。各員、準備はいいか?」
 菅生誠治は低いアイドリング音を響かせるランサーGSRエボリューショ
ンWの車内で、各ポイントに配置されたメンバーを無線で呼び出す。
『こちら八希、準備完了です。いつでもいけます』
『こちら保科や。いつでもええで』 
『こちら美加香です。”トラップ”の設置完了。予定通りです』
 八希望、保科智子、赤十字美加香の順に返答してくる。ちなみに本来の作
戦参加メンバーではない風見ひなたは、パートナーの美加香と行動を共にし
ているはずだった。
 誠治はその答えに満足そうに頷くと、ランサーの右側に停まっている青の
シビックSiRUを見やりつつ側にいる東雲忍に話しかける。
「忍君、そんなに堅くしているといざという時に体が動かないぞ」
 見た限り、忍はいつもと変わらない、ぼ〜っとした様子で運転席に座って
いる。だが、その拳が固く握られているのを誠治は見逃さなかった。
「こういう時はいつでも来いってくらいにドンと構えてたほうが,いい結果
が出るものさ。気楽に行こう」
「・・・・・・・」
 忍の様子はさっきとは変わらない様に見える。が、少しは緊張も解けたよ
うで、固く握っていた拳の力を抜いて楽な姿勢にしていた。



 今回用いられた作戦は”追い込み”である。ターゲットを二台の車で追い
立て、あるポイントまで誘い出す。そして、追いつめたところで全員で一気
に襲いかかる・・・という寸法だ。この場合追い立てる誠治と忍、二人のコ
ンビネーションが作戦の成否を分ける。それだけ重要な役回りなのである。
忍が緊張するのも無理からぬことであろう。
 ちなみにこの作戦を実行するにあたって、目標である幽霊車には”ゴース
ト”という暗号名がつけられていた。



「さて、そろそろか・・・」
 誠治は時計を見やり、独りごちる。
 そのとき。

 ビーッビーッビーッ

 無線の呼び出し音が鳴り響く。誠治は無線のスイッチを入れ、ヘッドセット
のマイクを口元に寄せた。
「こちら誠治だ、どうした?」
『こちら美加香、センサーに反応あり。”ゴースト”と思われますっ!」
「おいでなさったな・・・!」
 誠治は無線を切ると、隣にいる忍に声をかける。
「忍君、”ゴースト”が現れた、出発するぞっ!」
「・・・は、はい!」
 二人はあわてて車を発進させると、目標の待つ峠道に進入していった。








 人気の途絶えた峠道を、目標めがけて疾走するランサーとシビック。
 誠治は無線で、”ゴースト”を捕捉し続ける美加香に呼びかける。
「みかちょん、こちら誠治。目標の現在地知らせ!」
『こちら美加香。目標は現在、そちらの前方300メートル付近を毎時40
kmで走行中。N町方面に向かっています!』
 これで一般車ではないことは判明した。誠治たちは午後十時頃からずっと
隆山市側の峠入口を張っていたのである。つまり、ここ二時間はN町に向か
う車は峠に入っていないはずなのだ。もしいるとすれば、そいつが目標であ
る”ゴースト”に他ならない。
「よし、それならすぐに追いつける・・・」
 誠治はシフトレバーを2速から3速に切り替えると、アクセルを一気に開
けスピードを上げる。後ろを走っている忍も一瞬遅れて速度を併せてくる。
「・・・見えたっ!」
 曲がりくねった峠道の森の木々が乱立する合間を縫うように、ふたつの赤
い光が見える。間違いない。車のテールランプだ。
(2000GTか・・・)
 ヘッドライトが照らす相手の正体を、誠治は一目で見抜く。
 2000GT。
 今から20年以上前に制作された、来栖川モータース製のスポーツカーで
ある。現在では現存するものはわずかな、大変貴重な車だ。
「あれで峠を攻めるとはね・・・忍君、聞こえるかっ?」
「はい・・・なんとか・・・」
 忍は使い慣れないヘッドセットに悪戦苦闘しつつ、何とか答えた。
 激しく動く車内での無線使用は、きわめて難しい。慣れている誠治はとも
かく、普段こういったものを使い慣れていない忍はいらぬ苦労を強いられて
いた。
「よし・・・まず僕から仕掛ける。サポートしてくれ!」
「わ、わかりました」
 そう言うと、誠治は目前に迫った”ゴースト”に対し、追い込みを仕掛け
るべく車を近づけていった・・・。








 十数分後。
 峠中腹付近。

 誠治の駆るランサーと忍の操るシビックは、作戦通り順当に”ゴースト”
を追いつめていた。
「次、忍君右だっ!」
「は、はい!」
 右に車体を振る”ゴースト”を抑えるべく、相手の右側と路肩の隙間に滑
り込むシビック。誠治は次に左に逃げるであろう”ゴースト”の先を潰すた
めに左側に入り込む準備をする。
 右に左に高速に移動する三台のマシン。矢継ぎ早にポジションが入れ替わ
る。

 ギャァァァ!ギャッ!ギィィィ!

 タイヤと路面が擦れ合う音が、深夜の静寂が横たわる山中に激しくこだま
する。
 右から入るヘアピンカーブ。誠治は”ゴースト”の鼻先を抑えるために先
行する。たまらず減速する”ゴースト”。テールランプが激しく点滅する。
「よし、次は左の緩いカーブだ。忍君、先行してくれ!」
「わかりました!」
 高速を維持しつつ次のカーブに飛び込む三台。
 アクセルワーク、ブレーキタイミング、ステアリングコントロール・・・。
 どんな小さな失敗でも大きな打撃となる、高レベルなバトルが続く。
 初めは慣れないコンビプレイに戸惑っていた忍も、持ち前のテクニックと
天性のカンで驚くほどの短時間にコンビプレイをマスターしていった。
 左右に時々現れる側道に逃げ込もうとする”ゴースト”を逃がさないよう、
誠治と忍は交互に牽制していく。
 次々に退路を断たれ、暗闇の中でも解るほどの焦りを見せる”ゴースト”。
そして、

 ガツンッ!

 側道に逃げ込もうとした”ゴースト”の右側面と、それを阻止しようとし
た誠治のランサーの左側面が接触する!
「・・・誠治さん!」
 あわてた様子で、忍が無線で呼びかける。
「大丈夫、軽く当たっただけだ。それより・・・今のではっきりした。僕た
ちが相手をしているのは、ちゃんと実体をもった『自動車』だ。この作戦、
いけるぞ!」
 そう忍に返すと、誠治は無線でメンバーに指示を飛ばす。
「誠治より各員へ。作戦を第二段階へ移行する。間もなく”ゴースト”が
”トラップ”に到達する。”トラップ”の準備をしてくれ」
『『『了解』』』
 メンバーからの返事を聞いてのち、誠治は忍に無線で合図をする。
 忍は了承の意を誠治に伝えると、速度を上げ”ゴースト”の前に回り込む。
 ”ゴースト”はその行動を阻止せんと、さらに速度を上げる。
 三台はほぼひとかたまりになって、峠の頂上を目指し激走していた。
(”トラップ”まで・・・あと、200)
 ”トラップ”が仕掛けてあるポイントはあの大カーブのすこし手前、この
峠には珍しい少し長めの直線に仕掛けられていた。
 作戦を考案する際、忍にこの峠について聞き出していた誠治は”トラップ”
の設置ポイントをここと決めていた。この峠の中で最大の難所であるここが
今回の作戦にもっとも適した場所であると判断したからだ。
 誠治は”トラップ”までの距離をはかりつつ、”トラップ”起動のタイミ
ングを窺う。

 ・・・・・5、4、3、2、1!

「・・・・・ここだ!」
 その瞬間、誠治はブレーキを一気に踏み込む。同じタイミングで忍も急減
速する。
 一台だけ突出する形になった”ゴースト”に次の瞬間、

 バラバラバラバラバラッ・・・・・

 無数の丸い玉が襲う。着弾したした玉は弾け、うすく発光する白い塗料を
周囲にばらまく。丸い玉の正体は、工作部特製の蛍光ペイント弾。これで
”ゴースト”の視覚を潰すことがこの”トラップ”の目的だったのだ。
 狙い通り、”ゴースト”はコントロールを失い、右に左にふらつき始める。
そこに再加速した誠治と忍が追いつき、前後に挟み込む形となる。そして最
後にあの大カーブで、速度の落ちた”ゴースト”を智子と望が持つ対幽霊用
特殊ネットで押さえ込めばこの作戦は終了する。
「やった!」
 作戦の成功を確信して、誠治は後方で”ゴースト”を押さえつけている忍
に親指をびっと立てた。
 だがしかし。
「・・・んなっ!」
 ふらついて、停止寸前だった”ゴースト”が突然加速を始めたのだ。
 カーブの入り口まであと100メートルほど。ここから加速しては、この
大カーブを曲がりきるのは不可能だ。
「・・・くそ!」
 前を押さえていた誠治はあわててブロックする。そうこうするうちに問題
のカーブの入り口にさしかかる。その瞬間、

 フワッ

 ”ゴースト”の片輪、ちょうどカーブの内側を向いているほうのタイヤが
浮き上がる!
「か、片輪走行だとぉっ!!」
 誠治が驚愕の声を上げる。
 そう、あの日忍を打ち負かしたのはこの技だったのだ。「リーフフォーミ
ュラ」で四強の一人、藤田浩之が使っていた技なので初めて見たという訳で
はないが、まさか実車でやらかすものがいるとは思わなかった。
「まずい!」
 ”ゴースト”は先行する誠治のランサーをまたぐように、カーブの最外郭
を片輪走行のまま走り抜ける。
 既にコーナーリングの体勢に入っている誠治には、これ以上のブロックは
できない。もしやろうとすればバランスを崩してしまい、”ゴースト”と忍
をも巻き込んだ大クラッシュを引き起こしかねない。忍もあわててサポート
に入ろうとするが間に合いそうにない。
(だめだ、逃げられる・・・)
 そう誠治が毒づき天を仰いだ瞬間。
 カーブの内側に突然人影があらわれた。
 人影は騒音だらけの車内でも聞き取れるほどの叫びを上げつつ、”ゴース
ト”に向かって懐から出した物を投げつける!
「冷血グレネェェェドォォォッッッ!!!」

 ちゅごおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!

 片輪走行のままカーブを突破しようとした”ゴースト”のがら空きの横っ腹
に派手な閃光、そして大爆発が生まれる。
 片輪走行というのは運転技術の中でももっとも高い難易度を誇るが、それ
故に実践するには大きな危険がつきまとう。片輪を上げて走る状態は、一歩
間違えばバランスを崩して、横転する可能性があるからだ。さらに、片輪走
行中に車体に大きな外圧が加われば、そのバランスはいとも容易く崩れ去る。
 結果・・・、

 ガッシャアアアアアアアァァァァッッッ!!

 脇腹に爆風を喰らった”ゴースト”はやたらと派手な音を立て横転、その
ままガードレールに激突して止まる。
「・・・風見君かっ!」
 誠治は車を停めると、現れた人影〜風見ひなた〜に向かって、感謝するよ
うな非難するような複雑な気持ちを視線に乗せて投げかける。ひなたはこち
らの心情を知ってか知らずか、不敵に笑っていた。
 その間に、
「いまのうちやっ!」
「それっ!」
 今まで様子を窺っていた智子と望が、持っていた対幽霊用特殊ネットを、
今までの鬱憤を晴らすように次々と撃ち込む。
 ネットは”ゴースト”の上に覆い被さり、完全にその行動力を奪い去った。
「よっしゃぁ!幽霊捕まえたでっ!」
 嬉しそうに叫ぶ智子と望のところに全員が集まる。
 そして、ネットに絡まっているひっくり返った車、”ゴースト”に皆の視
線が集中する。
「うわぁ・・・。ちょっとやりすぎじゃないですか?」
 ”ゴースト”を一瞥して、声をかけてくる美加香に
「何を言うんですか。どうせ相手はまともじゃないんのだからいいんですよ」
ひなたはそう断言する。
 誠治以下他の面々はそんなやりとりに呆れたような視線を送る。
 なんにせよ。
 苦労の末に捕らえた幽霊車。
 いよいよ峠を騒がせていたその正体を拝もうとした、その時。

 ぱっ!

 ネットに絡まっていた”ゴースト”が光を放ったかと思うと一瞬で姿が消
え失せる!
「「「「「へ?」」」」
 一同、目を疑う。次の瞬間、ネットに絡まっていたのは・・・
「くそ、ちくしょう、はなせぇっ!!」
 ネットに絡まっていたのは全身に蛍光塗料をべったりとつけた、あちこち
焼け焦げだらけのの一人の青年だった。
「く、くるまがにんげんに・・・なった?」
 呆然と呟く美加香。他のメンバーも完全に面食らっている。
 そりゃそうだろう。目の前でいきなり車が人間に化ければ誰だって驚く。
 なおも暴れるその青年に、その場を代表して誠治が話しかける。
「あの・・・ええっと・・・その・・・、きみ、誰?」








「俺の名前はFENNEK(ふぇねっく)と言います・・・」
 ひとしきり暴れた後、落ち着きを取り戻したその青年、FENNEKは
ぽつりぽつりと話し始めた。
「俺は見ての通り、本性は車です。前に会った霊媒師が言っていたんですが、
俺のような物品が命を持った存在を”付喪神”(つくもがみ)というらしい
です・・・」



 FENNEKの話を要約するとこうなる。25年ほど前、来栖川モーター
ス製2000GTとして生産された彼は、”オーナー”(彼の持ち主だった
らしい)に大事にされていたそうだ。そのうちふとしたことから彼は自我
を持つが、そのすぐ後に”オーナー”が亡くなってしまい失意のうちに放浪
の旅に出たらしい。



「・・・それでふと立ち寄ったこの町で、毎夜レースをしている人たちを見
る内に自分も走ってみたくなってしまって・・・」
「それで、あんな騒ぎになった・・・というわけか」
「はい・・・」
 ついでに、バトルの後消え失せるトリックも判明した。彼はバトルが終わ
ると人間の姿に戻ってその場を後にしていたのだ。それも走行中に。相手の
ドライバーにすれば、消えてしまったと錯覚してしまうのも無理はない。
「騒ぎを起こすつもりはなかったんです。ごめんなさい」
 頭を下げてくるFENNEKを見ながら、一同は困っていた。
「それで、どうするんや?」
 問いかけてくる智子に、
「どうするったって・・・なあ」
 誠治は困ったような、いや実際に困っているのだが。とにかくそんな顔で
一同を見渡す。
「どうしましょうか?」
「どうするんですか?」
 美加香、望も誠治の判断に委ねるつもりのようだ。ひなたはあくまで部外
者のスタンスを守るつもりらしく、事態を黙って見守っていた。
 誠治は腕を組み、考えを巡らせる。
 もともと興味本位ではじめたことなので、幽霊の正体を見極めてから先の
事など考えていなかったのだ。
 やがて、溜息をつくと、誠治はFENNEKに尋ねた。
「これから、どうする?」
「べつに、どうするってこともないんですけど・・・」
 FENNEKは少し考えるように頭をもたげていたが、ふと聞きたいこと
ができたらしく誠治に話しかけてくる。
「それにしても、先ほどの手際といいなんといい・・・みなさんいったい何
者なんですか?」
「何者といわれても・・・。僕たちはこの隆山にある、試立Leaf学園の
生徒なんだけど」
 その答えを聞くとFENNEKは驚いたような顔を浮かべる。
「ええっ!みなさん高校生なんですか?」
「あ、ああ」
「すごいですねぇ。あれだけのこと、普通の高校生ではできませんよ」
「そんなことはないよ。うちの学園には僕らよりも強い、百戦錬磨の猛者が
山のようにいるし・・・・・・・」
 そういいかけた誠治だが、途中で言葉を切ると何事かを考え始める。
 そして、ひとつ頷くと一同を見回す。
「みんな。この人のこと、僕が預かってもいいかな?」
「どうするんや、誠治さん?」
「まあ、任せておいてくれ」
 いたずらを思いついた子供のような表情を浮かべる誠治に、問いかけた
智子や他のメンバーはただ訝るばかりであった。








 三日後。
 試立Leaf学園、三年生棟「アズエル」。

 いつもと変わらない、朝のさわやかな風に乗せて今日も展開される日常と
いう名の壊れた現実。
「今日こそ決着をつけてやるぜ、D芹いいぃぃぃっっ!!!」
「ジンさん、しつこいです・・・・・・サウザンドミサイル!」
「かぁぁぁぁえでぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇっっっ!!」
「綾香ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」(×2)
「俺は主役だぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁっ!!(涙)」
 そんな、絶叫やら怒号やら悲鳴やら、ついでに爆発音やら破砕音やらが鳴
り響くのも、まぁこの学園では日常の一コマにしか過ぎない。今日もまた、
足立教頭の頭痛の種は減りそうにないようだ。
 外の騒ぎとは対照的に静かに時が流れる三年生教室内では、マルチ(なぜ
かいる)としゃべる幸せそうなセリスや、生徒会関係の報告に来ている藍原
瑞穂と話す岩下信、授業前だというのに机に突っ伏して寝ている幻八、愛剣
似非逆刃刀・真打の手入れをするきたみちもどる、教室の片隅で怪しげな密
談を交わすギャラ&橋本の薔薇部コンビ、やたらと嬉しそうに大量の薬(?)
を飲み込む九条和馬、さらにはタロット占いに興じる来栖川芹香withエ
ーデルハイドやそれを覗き込む柏木梓等々・・・(順不同)がそれぞれ授業
開始直前の教室内を自由に過ごしていた。
 そんな中、忍はひとり自分の席に座りぼ〜っと外の景色を眺めていた。
「おはよう、忍君」
「・・・・あ、おはようございます」
 忍ははっと気づいたように、話しかけてきた誠治に挨拶を返す。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・この間の彼の事が気になるかい?」
「・・・!?」
 忍は一瞬驚いたような表情を浮かべるが、すぐに落ち着きを取り戻すと
ぽつぽつと応えてくる。
「・・・・・・・・そう、ですね。気にならないと言えば嘘になります。
・・・この間のことで、彼との決着がついたとは・・・・言えませんから」
 誠治はそんな忍を面白そうに見つめている。
「そうかい?まぁ、そのあたりはもうすぐ解決されるとは思うけどね」
「?」
 意味深な言葉をかけてくる誠治に、忍は訳が分からず頭にでっかい疑問符
を浮かべていた。



 やがて始業ベルが鳴り、一時間目の担当である日本史教師の柏木耕一が教
室に入ってきた。
「きり〜つ、れ〜い、ちゃくせ〜き」

 ガタガタガタ・・・・

「え〜と、授業を始める前に転入生を紹介する」
 教室内では「え〜、またか」とか「どんな人だろう」とかいったざわめき
が起こる。
 そんな生徒たちの反応に満足した顔を見せ、耕一は廊下の方に声を掛ける。
「よし、入ってきてくれ」
 そして、その声に応えて廊下から一人の男が壇上に向かって歩いてくる。
「あ・・・」
 男の顔を見て、忍は思わず驚きの声を上げる。横では誠治が「な?」と
いった感じの表情で頷いていた。
 男は壇上に上がると、黒板に名前を書き自己紹介を始めた。
「初めまして。このたびみなさんと勉学を共にすることになった、FENN
EKです。よろしく」
 一礼して教室内を見渡すFENNEKの顔は、初夏を思わせるようなさわ
やかさを漂わせていた・・・・。





                 −了−



注釈:この作品内において、試立Leaf学園が隆山市にあると表現されて
  ますがこれは便座上のものです。共通設定には関係ありません。
    また、三年生の教室内風景についての表現も同様です。Leaf学園
  には学級制度はないそうです。よって各キャラの皆さんは「たまたまそ
  こに居た」という形になります。ご了承ください。


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 ・・・・・・・・・・自分の無謀さ加減に乾杯。
 どうも。というわけで、初挑戦Lメモ改め初登場Lメモお送りします、
FENNEK(ふぇねっく)です。



 生まれて初めてSSと呼べそうなものを書いてみたのですが・・・。おも
いっきり自分の力量無視してますね、これ。初登場Lメモのくせに自分主役
じゃないし。おまけに三話構成だわ自分の趣味に暴走してるわで、まったく
もってお恥ずかしい限りです。(恐縮)

 こういった”事件”となると、自分を主役にしては面白くも何ともないの
で東雲忍さんと菅生誠治さんの視点で書いてみたのですけど・・・。なんか
見事に失敗したような気がします。

 それに、キャラクターの使い方もまだまだです。特に保科智子などは全く
なっていませんし。ファンの方、申し訳ありません。(平射)



 この反省をふまえまして、次回はちゃんとしたLメモを書きたいと思いま
す。まだ自己紹介にはほど遠いのですし。(笑・・・えない)



 最後に。
 全編通して、出演してくださったSS使いのみなさん及びLeafキャラ
の方々。こんな私の我が儘に付き合っていただき、ありがとうございました。
 また、今作の校正・確認を引き受けて下さったSageさんと東雲忍さん
にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。



 と、いうわけで。また次の機会にお会いしましょう・・・。