テニス大会エントリーL 「こりゃ参加申し込みだけだな…」 投稿者:幻八
…パチン…

『そう来ますか、幻八さん……なら』

…パチン…

「ほぉ……なるほどな」

…パチン…

 ここはLeaf学園仮眠館。
 今、命と幻八の静かなる闘いが繰り広げられている。



テニス大会エントリー  「こりゃ参加申し込みようだな…」

(追伸:自分でもつまんない(笑))



…パチン…

『さすがですね…でも』

…パチン…

「くっ…」
 どうやら幻八の方が押され気味だった。
『これで王手ですよ♪』
 命の嬉しそうな声が響く。
 事実上勝利宣言と言ってもいいだろう、それだけ将棋板の上は命が有利だ。
「はぁ…負けだ負け」
 にっちもさっちも行かなくなり敗北を認める幻八。
『やったぁ!!』
「まったく…この間のチェスと言い今回の将棋と言いどっちかと言うと苦手なんだけどなぁ」
 ぶつぶつと言いながら悔しそうな顔をする。
 命と幻八は今回、将棋で闘っていた。
「…そう言えば命ちゃん、東西は?」
 板上を整理しながら幻八は、いつも一緒に来るはずの東西がいない事を命に聞いた。
『テニスの練習中ですよ、東西なら』
「ああ、今度の大会に向けてか…」
 命の言葉に納得する幻八。
『それで、幻八さんは参加しないんですか?』
 そう言いながら、整理の終わった将棋の駒を抱き抱えるように持ち上げたりしている。
 東西が琴音と一緒に選手登録してから数日、意外と静かな日々を送っていた幻八だが
結構退屈だった。
 丁度、暇そうにしていた命に声をかけてこうして将棋で遊んでいる訳だ。
「テニス大会ねぇ…楽しそうだけどパートナーがいないからなぁ」
 軽く伸びをしながら答える幻八。
『パートナーって…いっぱい居るんじゃないですか?』

…パチン…

 抱き抱えた駒を置いてゲームを始める命。
『ティリアさん、サラさん、エリアさん、まやさん…』
 小さな指を折りながら思い浮かぶ人間を数えていく命。
 ……一部、人間じゃないのも混じっているが……
「……って今何かとんでもない事言わなかったか?」
『気のせいでしょ』
 動きが止まってどこかぎこちなく問い掛ける幻八にしれっと答える命。
「…まあ、居る事は居るけど……テニスが出来るかどうかが問題なんだよ」

…パチン…

 こちらも駒を動かしながら答える。
『あ…そうでしたね、ティリアさんたちって異世界の人でしたよね』
 幻八の答えに忘れていた事を思い出す命。
 そう、本来は異世界の人間であるティリアたちはこちらの世界のスポーツである
「テニス」を知らないのは当たり前の事。
 それらを考え、いまだにエントリーをしていない。
「今から教えても試合に間に合うかどうかだしな」
 肩を竦めて軽く微笑む幻八。
『彼女たちでしたら…教えればすぐに憶えるのでは?』
「そうかも知れないが…」
 思わず答えにつまる。

…パチン…

 沈黙が訪れた中、将棋の駒を置く音だけが響き渡る。
「いまさらテニスなんて言われてもな……」
『それが本音ですか……』
 命の言葉に静かに頷く幻八。
『ほんとに?』
 疑い深く幻八の顔を伺う命。
「ま、まぁ……誰を選ぶかってのも問題かな? …と」
『はぁ』
 命はうろたえている幻八にため息をつくしかない。
 それでも将棋の闘いは続けられていく。
『誰でもいいじゃないですか…折角のお祭り騒ぎなんですから……』
「それは…そうだけど…」
 どこか躊躇いが感じられる幻八の言葉。
 そんな様子の幻八を見て命は、
『楽しむのも…悪くはないですよ』
 と優しく語り掛ける命。
「…わかってるよ」
 一言呟いてそのまま黙る幻八。
 再び将棋に集中…
『はいっ、これでまた王手♪』
「ああああああああああ…」
 …していると思ったが勝負はついていたようだ。
『結構弱いですね、幻八さん♪』
 命の言葉にがっくりとうな垂れる幻八。



『思い切って誘っちゃえば?』
「やかましいわ」
 まやの提案を一瞬にして却下する幻八。
 ここは仮眠館の幻八の自室。
 また授業をサボってのんびりとベッドの上に転がっていた。
『ど〜して?』
「……どうしても」
 端から見れば独り言を呟く怪しい人だが、知ってる人間から見れば「またやってるよ」と
簡単に流せるまやとのやり取り。
『大会には出たいの? 出たくないの?』
「…………」
 しばし思案する幻八。
「どっちかと言えば……出てもいいかな」
『だったら!』
 幻八の曖昧な答えにまやが最後の後押しをしようとする。
『東西だって出てるんだし、幻八も出ましょうよ』
「う〜ん」
 まだ踏ん切りがつかないらしく唸っているだけ。
『……思い出を作る事も大切ですよ……』
 先ほどまでとうって変わって優しく幻八に語り掛けるまや。
「……わかってるよ」

コンコン

 幻八がその言葉に答えたと同時に部屋のドアがノックされた。
『誰かしら……ってここに来れる人間は限られていますけどね』
「は〜い、開いてますよ」
 ベッドから身体を起こしながらドアの外にいる人に対して返事を返す。
「やっぱりここね、幻八」
 ドアが開いて入ってきた人はティリアだった。
「あれ、ティリア……なんで?」
「エリアに聞いたら授業に出てないって言うし、どこにも居ないとなるとここしかないじゃない」
 不思議そうに聞いてくる幻八に、ティリアは当たり前のように答える。
「探してたんですか?」
「ちょっとね、それでこれなんだけど……」
 と言いながら何か紙を幻八に見せるティリア。
「ん…これって」
 その紙を覗き込んだ幻八はちょっと驚いた。
 ティリアが持っていた紙は、今話題のテニス大会のエントリー申し込み用紙。
「幻八、お願い! わたしと一緒に出て!!」
 両手を合わせてお願いをするティリア。
「…いや、俺も出たいな〜って考えてたとこだけど…」
「えっ!? そうなの?」
 期待に満ちた眼で幻八を見る。
 幻八はしばらく考えて、
「出場してもいいですよ、どうせ考えてた所ですから」
 と、あっさりと出場する事を決めた。
「やったぁ!!」
 幻八の答えに本気で嬉しそうなティリア。
 ……退屈してたのか?
 などとティリアの様子を見ながら考えた幻八だった。
「それで……相談なんだけど……」
「相談?」
 と、先ほどまでと変わってどこか言い難そうなティリアに返事をする。
「……てにすってスポーツのルールとか教えてもらえる?」
「…………」
 ――おいおいおいっ!――
 などと心の中で突っ込みを入れながら、一瞬ではなく確実に目の前が
暗くなるという現象を味わう幻八。
『幻八……一勝を目標に頑張りましょうね』
 どこか疲れた、そして悟りきったような口調で幻八に語るまや。



 後日、幻八とティリア組のエントリー申し込みが提出されたという。



『さ、悪あがきの練習でもしましょうね』
「……おう……」
まやの声に力無く返事をする。

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…と言う事で出しました。
何にも考えてないな自分……(汗)
実際テニスなんてしばらくやってないですよ、高校時に紛れて遊んだのを最後に。
ティリアたちがテニスを知らないのは当たり前かな?
だったら………
今から練習して勝てるのか?(笑)
恥かくだけじゃないのか?(笑)
……問題あるかなぁ、やっぱり(汗)
それからサラとエリアはど〜しよ(汗)
ま、まぁ…あとはよっしーさんにお任せします。(他力本願)