Lメモ仮眠館業務日誌 「驚愕の新事実発覚!? 後編」 投稿者:幻八
 お昼の放送で全学園に知れ渡り、何人もの野次馬が幻八の教室に群がっていた。
「なあ、あの幻八先輩に恋人がいたんだってっさ」
「嘘だろ!?」
 と言う会話。
「先輩って仮眠館管理人のだよな・・・そう言ったことには興味がないと思ったが?」
「こそこそ隠れて作ってたんだろ」
 と言う会話。
「なんであいつの周りばっかり集まるんだ?」
「女性を惹き寄せる物でも出しているんじゃないか?」
 と言う会話。
「あいつってホモだったんじゃ・・・」
「いやいや、実は雌雄同体とか・・・」
「メカフェチ・・・」
 待て・・・何だかめちゃくちゃな会話が繰り広げられているようだが。
 爆弾をばら撒いた当の本人はと言うと・・・
「♪〜〜♪」
 実にのんびりと今の現状を楽しんでいた。
 その目線の先には仮眠館があるがそこはめずらしく人だかりが出来ていた。
 どうやら幻八に事の真相を聞こうとしている放送部員と単に興味本位でやって
来ている連中だろう。
 しかし目的の人物がいないのでどうしようかと思案していた。
 で、当の本人はとーると仮眠館某所でのんびりとお話なんぞしているが。
「まったく・・・この事を幻八が知ったらなんて言うかしらねぇ〜♪」
 まゆら・・・まやは本当に楽しんでいる。
 実は何人かの男子生徒が来たが幻八の恋人と念を押して話したらあっさりと
引き下がるしかなかった、と言う一幕もあったがこれは別にいい。
 (その中でも一段としつこかったのがYOSSYである事は言うまでもない)
 外見がかなり美少女に作ってあるため、それだけでも人目を引いたようだ。


 しつこいがその頃・・・
「・・・・・・なんですよ、どう思います?」
「そうだなぁ、人間として考えると・・・」
 何時の間にやら世間話と化していた。


たったったったった・・・

 数人が駆けてくる足音にまやは気付いていた。
 ちらりと隣を見るとエリアがいつのまにかいなくなっている。
 そしてくすっと微笑むと席を立ち、廊下に通じるドアに向かって歩いていく。
「ここね、エリア・・・ってあら?」
 どうやら走ってきたのはティリア、サラ、エリアの3人らしい。
 その内、ティリアが教室に入ろうとした時にちょうどドアから出てこようとしたまや
・・・いや、まゆらと鉢合わせとなった。
「あら、ティリアさんにサラさんそれにエリアさんも・・・お揃いでどうしました?」
 にこやかな顔でそう尋ねるまゆらに3人は・・・
「えっ・・・あ〜、その〜」
「どうしたって言われると・・・参ったな」
 初対面にも関わらず名前を知っていることを不思議がる以前に、勢いを削がれて
言い淀むティリアとサラ。
「あの・・・まゆらさん、お話があるのですがいいですか?」
 その2人を置いてエリアがおずおずとまゆらに話し掛ける。
「いいけど・・・ここじゃあねぇ」
 そう言って周りを見回すまゆら。
 つられて見ると、不思議に一定の距離を置いて男子生徒が集まっている。
「・・・そ、そうね」
「それでは放課後に、仮眠館で幻八を含めて話す・・・と言うのはどうでしょう?」
 ちょっと恥ずかし気に顔を赤らめながらしゃべるティリアにまゆらが提案する。
「そ、そうしよう・・・な、ティリア、エリア」
「そ、そうですね」
 こっちの2人もちょっと恥ずかしかったらしい。
「それじゃ、放課後に仮眠館に来てくれるわね?」
「はい、分かりました♪」


 やっぱりその頃・・・
「くぅ〜〜・・・」
 おや、いつのまにか幻八が1人で寝ている。
 どうやらとーるは帰ったらしい。


 ほんでもって放課後。
 仮眠館テラス・・・ちょっと一部破損はしているが・・・
「幻八〜、いる〜?」
「お〜い、帰ってるだろ〜?」
「幻八、ちょっと聞きたいので・・す・・・・・・が!?」
 学校が終わって帰ってくるなり幻八を探すティリアたちだったが、テラスに来るなり
その動きが止まった。
「くぅ〜〜・・・」
「すぅすぅ・・・」
 幻八と、まやことまゆらが寄り添って寝ていた。
 その様子を硬直したままで見続けるティリア、サラ、エリアの3人。
「ふぁぁ〜〜あ・・・って帰ってきてたんですか?」
 ちょうど起き出したらしい幻八。
 そして硬直している3人の姿を見るなり、
「・・・? どうしました?」
 不思議そうな顔で質問した。
「げ・・・幻八・・・あんた・・・その・・・」
「?」
 サラが何とか口にした言葉の意味が分からず首をひねる幻八。
「幻八・・・あなた、その隣で寝ているまゆらさんの事なんだけど・・・」
 硬直から復帰しつつあるティリアが幻八の方を指差しながら口を開く。
「・・・まゆら・・・?」
 ティリアが口にした名前を不思議そうに口にしながらティリアが指を差した方を見る。
「すぅすぅ・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
 そこには呑気に寝ているまやがいた。
「・・・ってまやぁぁぁぁぁ!?!?」
 幻八の叫びが仮眠館に響き渡る。
「すぅすぅ・・・」
 そんな事はお構いなくひたすら眠っているまや。
「ねえ、幻八・・・そのまゆらさんって幻八の恋人なの?」
「・・・はへっ?」
 ティリアの言葉に間抜けな声を思わず出す幻八。
「まゆらさんが言っていました・・・自分は幻八の恋人だって」
「・・・え゛!?」
 続いてのエリアの言葉に凍り付く幻八。
「・・・で、説明はしてもらえるのか?」
「せ、説明って・・・」
 サラの言葉に、人間であれば冷や汗を流しまくっていただろう。
「いや・・・だから、こいつはちょっと訳があって・・・」
「「「・・・・・・・・・」」」
 じっと幻八を睨む3人。
 その手には何故かそれぞれの武器が握られている。
 どうやら逃げだそうとしている幻八に気付いた為、逃がさない様にとの事と思えた。
「説明しないで逃げるつもり?」
「・・・・・・・・・ごめんっ!!」
 ティリアの念を押した言葉に幻八はしばし考えた後、あっさりと逃走を選んだ。
「ああ、逃げた!! エリア、逃がすな!!」
「はい!!」

チュドドドドドドドドドドドドドド〜〜〜〜ン

(・・・起きるタイミング無くなっちゃった・・・)
 実はかなり前から起きていたのだが、起きるに起きれなかったまやだった。
 この騒ぎはまや自身が事情を説明するまで続いた。
 当り前かも知れないが仮眠館テラス部分全壊。
 仮眠室の個室、並びに遊技場・・・一部損壊。


「ねえ、ところで幻八は?」
 お風呂上がりでいつも三つ編みにしている髪をおろしているティリア。
「さあ、私がここに来たときにはもういませんでしたよ」
 乾いたタオルで髪を優しく拭きながらエリアが答える。
「う〜ん・・・どこ行っちゃったのかしら・・・」
「いつもの事だろ、気にする事はないよ」
 同じくお風呂上がりでラフな格好をしているサラが言う。
「そうですけど・・・」
「今日はちょっとねぇ・・・」
 ばつの悪そうな顔で顔を見合わせるティリアとエリア。
「幻八がいつまでも気にするような奴だと思うか?」
 サラは少し呆れた顔で2人を見る。
「そう言うサラだって今日の事、悪かったなって思ってるんじゃない」
「う・・・そ、それは確かにな」
 ティリアの指摘に図星を指されたサラはうろたえていた。
「明日・・・みんなで誤りましょう、幻八だって許してくれるはずよ」
 エリアが横から落ち込みかけている2人にそう言う。
「そう・・・だよな」
「そうね、それじゃ今日は嫌な事を忘れる為にもう寝ましょうか?」
 ティリアの言葉に頷くサラとエリア。


 その頃幻八とまやは・・・
「ねえ幻八?」
「・・・なんだ、まや」
 仮眠館の屋根の上、お互いに背中を合わせて座っていた。
「今日の事・・・怒ってる?」
「怒ってないさ・・・かえって楽しかったよ」
 恐る恐る聞くまやに優しく話す幻八。
「でも人の姿でこんな事するのって・・・・・・」
「ああ、なつかしいな・・・」
 そして訪れる沈黙。
 どちらとも話を持ち出す事もなくただ静かに座っている。
 2人にとっては永い・・・永すぎる時を経て再びこうする事が出来たのだ。
 しかし過去のあの時とは違う。
 幻八は全身をARMSに・・・まやはHMと言う身体を借りて・・・
 人間としての肉体を持っていたあの頃とは違いすぎた。
「なあ・・・最後にこうやって星を見たのっていつだった?」
 幻八は星空を見上げながらまやに聞く。
「そうね・・・人間だったわたしが死ぬちょっと前だったはずよ」
 幻八につられて星空を見上げ寂しげに答える。
「そうか・・・」
 そのまま再び沈黙が来る。
「でも・・・」
 その沈黙を破ったのは幻八。
「まやって昔とずいぶん性格が変わったよな」
「何言ってるの、この性格は幻八に影響されたんじゃない」
「そんなに影響を受けたのか?」
「当たり前よ・・・ずっと一緒だったんだもん」
 2人の顔はいつのまにか微笑みに変わっていた。
「それより・・・幻八はわたしがこうして人型をとっている方がいい?」
 振り返り幻八の背中を見ながらまやが聞く。
「ん〜いつもコアでいるまやに慣れてるからなぁ・・・そっちだと違和感があるな」
 幻八の答えにまやの顔がちょっと曇る。
「でも・・・まやはまやだ、姿が変わろうがどんな姿であろうが・・・」
 それを気配で察したのか幻八は優しく口を開く。
「幻八・・・」
「それに・・・一生守ってやると誓ったからな」
「・・・・・・うん」
 優しく幻八を後ろから抱きしめるまや。
 自分を抱きしめているまやの手に優しく自分の手を重ねる幻八。


「おはようございま〜す」
 翌日、リビングに現れる幻八。
 そこにはすでに3人とも集まっていた。
「あのさ・・・幻八」
「昨日の事だけど・・・」
 昨日の決意はどこに行ったのか、言いにくそうにしているティリアとサラ。
「ああ、昨日の事なら気にしなくていいですよ・・・楽しかったですから」
 あっけらかんとあっさり言ってのける幻八。
「楽しかったって・・・幻八」
 エリアがその明るいまでの態度に疑問を覚えた。
「さあさあ、今日も一日がんばっていきましょう!」
『そうそう、くよくよしてたって良い事はないものね』
 幻八の掛け声にコアに戻っているまやが同意する。
「そうね・・・幻八がそういうなら」
「そうだよな、こんなのあたしららしくないな」
「そうと決まれば、早く支度しましょう」
 幻八の言葉に今までの事を吹っ切って心を入れ替える。
 ・・・こうして仮眠館は新しい一日を向かえていく。



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まや:(真っ赤になって踊っている)
みゆ:どうしたのまやお姉ちゃん?
まや:ふふ・・・うふふふふ・・・ふふふふふふふふ(なんか喜んでいる)
みゆ:・・・まやお姉ちゃん・・・ちょっと変だよぉ。
まや:ふふふ・・・ってみゆ、幻八は?
みゆ:・・・あるじなら・・・・・・あっち。
まや:ん?(みゆの指差した方を見る)

 どうやら死に絶えて転がっている幻八。

まや:あ・・・これ書いた影響でみごとに死んでる・・・
みゆ:あるじ・・・・・・(涙)
まや:でも、普通のLを書いていたのを途中で挫折して、それでこれを書いて見事に
   ここまで書けたんでしょ?
みゆ:うん。
まや:それから、次に考えているのも変な外伝でしょ?
みゆ:・・・うん。
まや:・・・普通のLを書きなさい、幻八。