テニス大会参加Lメモ「トリプルGの場合」 投稿者:トリプルG
「うっ・・・ううっ・・・」
 オカルト研究会部室内で、トリプルGは涙を流していた。手には一冊の本が
開かれている。
 普通、彼がこの場所で読んでいるのは魔道書である。しかし、今日は違う。
彼が読んでいるのは図書館で借りた漫画だった。15年前に少女と交わした約
束を守るために東大を目指し、現在二浪中の青年が、ひょんな事から女子寮の
管理人になるというストーリーである。ジャンルは『ラブコメ』に入るだろう
か。
 ちなみに現在開かれているページでは、剣術家の少女と主人公の青年が徳島
県のマイナー観光スポットの1つ、『土柱』の上で死闘を繰り広げている。泣
くような場面ではないのだが・・・まあ、本人は感動しているようなのでよし
としよう。


「うっ・・・ぐすっ・・・や、やっぱり人生、恋愛があると潤うものなんです
ねえ・・・」
 トリプルGは漫画を読み終わった後にしみじみとそう呟いた。
 彼にも思い人はいる。同じオカルト研究会の来栖川芹香だ。彼女のためなら
死ねるかもしれない、とさえ思っている。しかし、彼はその思いをあまり行動
に出さない。自分では彼女につり合わないと思っているから。自分の周りに自
分以上に彼女を幸せに出来そうな人物がたくさんいるから。
(でも・・・このままでいいんでしょうか・・・?)
 このままいけば、自分は生涯を魔術の研究とビーム兵器の収集に費やす事に
なるかもしれない。おそらく芹香は自分以外の誰かと幸せな家庭を築くだろう。
彼女の幸せを見守り、彼女が悩みを持てばそれを聞いてあげる。そんな人生も
悪くない。それなりに潤いのある人生だと思う。
 ・・・しかし、しかし出来ることなら・・・10年後の自分の隣には、芹香
がいて欲しい・・・。
 ふと、一枚のビラが目に映った。
『暗躍生徒会主催・テニス大会』と書かれている。
「・・・・・・よしっ!!」
 決意を固めたトリプルGは、オカ研部室から飛び出した。


 ――Leaf学園三年生校舎『アズエル』。
 ずんずんと芹香に近付いたトリプルGは、自分に気付き、こちらに顔を向け
た彼女の両手をがしっと握りしめた。
「せ・・・芹香さんっ!私と・・・私とテニス大会に出て下さいっ!」
「(びくっ!)・・・・・・!!(こくこくっ!)」
 驚いた芹香は、反射的にコクコクと頷いた。
 
 その日の昼休みに、来栖川芹香・トリプルGのコンビがテニス大会へとエン
トリーされた。


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というわけで、テニス大会に参加させて下さい・・・。
橋本さん・・・あなたに芹香さんは渡しませんよ・・・(笑)。