Lメモ「魔術部に入った話」 投稿者:トリプルG
トリプルGは、オカルト研究会の部室の前に来ていた。深呼吸を一つして、ドアを
数回ノックし、開ける。
「失礼します。あのー、オカルト研究会に入会したいんですけどー・・・」
部屋を覗き込んで驚く。外からの見た目より数倍大きい。
中では、部員と思われる貫頭衣を纏った二人の生徒が何やら難しい顔をして考え込
んでいた。ドアを開ける音に気付いてこちらを見る。
「入部希望の方ですか?歓迎しま・・・え、ちょっとすいません」
眼鏡をかけた方の男子生徒が話しかけてくるが、横の中性的な感じのする方の男子
生徒に服のそでを引っ張られ・・・二人で何やら相談を始めた。
「・・・それはちょっと・・・」
「・・・人間とは構造が・・・」
言葉が断片的に聞こえてくるが、会話の内容を理解できる程の量ではない。
トリプルGはどうしていいのか分からないらしく困ったような顔をしていたが、し
ばらくして、話が終わったらしく二人が近づいてきた。
「待たせてしまってすいません。私は神凪遼刃といいます。で、こちらが・・・」
「僕は神無月りーずといいます。君の名前は?」
「あ、はい、今度転校してきた一年のトリプルGといいます」
二人が口元に妖しい笑みを浮かべているのが非常に気になったが、とりあえず答える。
「では早速ですがトリプルG君。ちょっとこれを・・・」
そう言ってりーずが懐から取り出したのは・・・ハンカチだった。
「え?ちょっ・・・」
嫌な予感がして逃げようとしたトリプルGの顔にそのハンカチが押しつけられる。
・・・ぱたっ。ぐー、ぐー。

・・・しばらくして気が付くと、何故かイスに縛り付けられていた。
「あ、気が付いたかい?」
「むっ、むぐー!むぐむぐ、むぐー!」
猿ぐつわまで噛まされている。
「いや、すいません。実はさっき『猫に羽根を生やす薬』という物を気まぐれに作
ってみたのですが、実験用の猫が逃げてしまいまして・・・新しい実験体を探してい
たのですが・・・その薬を人間に使えばどうなるか、興味ありませんか?」
「むぐむぐ!!」
神凪のその言葉に思いっきり首を横に振り、否定の意志を表すトリプルG。
「そうですか、では早速実験を開始しましょう。ご協力感謝しますよ」
「はーい大丈夫だよー死にはしないからねー」
横から注射器を持ったりーずが近づいてくる。
なんとか逃げようともがくトリプルG。頭がパニックになっており魔術を使うなどと
いうことは忘却の彼方である。
そして、腕に一瞬痛みが走る。
・・・・・・・・・
「・・・おや、変化は無いようですね」
変化が無いのを見て、神凪がトリプルGの猿ぐつわを外す。
「もけけけけけけけけけけけけ」
すると、トリプルGが突然笑い始めた。
「もけけけけけけけけけけけけけけけけけ」
よく見ると目がイッている。
「・・・なるほど。あの薬、人に使うと精神に影響を与える・・・と」
状況を細かくメモりながら、りーずが呟いた。

「う゛ー・・・」
数分後。何とか薬の効果から解放されたトリプルGはぐったりと床に寝ころんでいた。
「え、えーと、意識があるうちに改めて自己紹介しておきます・・・」
そばのイスに体重をかけ、ぐぐぐっと立ち上がる。
「名前はトリプルG。少々変わった魔術・・・まあ、私自身は古代魔術と呼んでいま
すが・・・を研究中です。好きな物はビーム兵器と魔術研究、嫌いな物は薔薇な人と妖魔
と、暗殺者です・・・よろしくお願い、しま、すっ」
どさっとその場にへたり込む。体力が限界のようである。
「ではこちらも改めて。僕は神無月りーず。錬金術の研究などをしています。よろしく」
差し出された右手を震える手でなんとか握り返す。
「私は神凪遼刃。りーずさんと同じく錬金術の研究などをしています。それと・・・後からでは何かと問題が起こる可能性がありそうなので今のうちに言って
おきますが、私は何体かの妖魔を支配下に置いていますよ?」
「・・・!」
トリプルGがぎっと神凪を睨み付ける。
・・・しばしの沈黙。
「・・・まあ、対人関係は良好といきたいですし・・・」
数秒の後、右手を差し出したのは、トリプルGの方だった。そして神凪もその手を握り返す。
かくして。トリプルGはオカルト研究会に入部した。
「それにしても・・・凄い数の魔導書でしたね・・・これは研究がはかどりそうですねえ・・・
くくく・・・ふははははははははっ!!!」
帰り道、研究者モードに突入し、誰もいない夕焼けの河原で一人笑うトリプルGは思いっきり
怪しかった。


その次の日、オカルト研究会に顔を出したトリプルGは、そこにいた来栖川芹香に一目惚れす
るのだが・・・それはまあ、別の話である。

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これだけ書くのに一週間程かかりました・・・(汗)。
えーと、今回のごめんなさい大賞は神凪さんとりーずさんです。すいません・・・
トリプルGを焼くなり煮るなり好きに仕返ししてください(笑)。
では・・・