体育祭Lメモ『情報特捜部 体育祭特別号外第一号』 投稿者:悠 朔
「まったく何考えてるんだ? 副部長は……」
 別にそれを疎んじていると言う訳ではなく、楽しみながらも愚痴をこぼす、まぁなんと
いうかそういう状況に悠朔は置かれていた。
「ま、良いんじゃないですか? 結構楽しめますし、良い思い出になると思いますけど」
 面倒臭がりで出席率の極めて悪い部長に反し、建設的な事を言うYF−19――通称シ
ッポ。
 彼らはグラウンドに机とワープロを持ち出し、競技を見ながらガチャガチャとせわしな
くキーボードを叩いていた。
「まったく……言い出した本人は放送部の活動で忙しいだと? 無責任な……」
 そう言いながらも朔の顔が笑っていることに、シッポは気付いていた。
 なんだかんだ言って、彼もまたお祭り好きな人間なのである。




『情報特捜部 体育祭特別号外第一号


 いよいよ始まった我がLeaf学園の体育祭。
 年々過激になる演目(演目自体はごくごく普通のものであるのだが、これが過激な内容
に化けるのがこの学園らしいとも言える)に、保護者から"止めた方がいいのでは"等の声
が上がっていたが、お祭り大好きな人間が集ったこの学園でそんな意見が通る訳もない。
 開幕に当たって選手宣誓があったのだがその内容は素晴らしいものだった。
 宣誓をしたのは三年生の代表として台に上がったジン・ジャザム。

「宣誓! 我々は、力の限り戦い抜く事をここに誓ってやらぁぁぁぁ!!!!」

 スポーツマンシップも正々堂々という言葉もすっ飛ばしたのは、もはや計画的と言うよ
り他有るまい。
 余計な事は一切誓わず始まった体育祭。
 準備体操の段階で"日射病"で倒れた者が続出したが、概ね順調にスタートしたと言える。
 順調、とはいえこの体育祭が波乱含みであることは、もはや言うまでもないだろう。



          第一競技で早くもそれは起こった。

 第一競技として設定されたこの借り物競争は、誰が言ったか「ルール無用のデスマッチ」。
 血で血を洗う事を許された選手達に襲う悲劇とは!?
 その借り物の内容がどれだけ苛烈なものであったのかは想像するしかないが、妨害を受
ける以外でも戦線から脱落する者が続出!
 競技者でない生徒の大量乱入といったハプニングを起こしながらも競技は続行。無事完
走者があったことは行幸であった。
 完走した者達が学園公認となりつつあるカップルであったせいか一部からやっかみを含
むヤジが飛んだりもしたが、当人達の幸せそうな顔が印象的だった。

 デスマッチルールとはいえ多大な脱落者を出したこの競技。選手とは別に妨害工作が行
われた形跡があり、現在我々はこの件を鋭意調査中である』




「よし! シッポはこれ持って志保の所で発行の許可貰って来い。許可が出たらそのまま
印刷の準備に回っておけ!」
「悠さんは?」
「デコイから写真を回収して来る。急げよ! 次の競技が始まるまでにここに戻らないと
いけないんだからな!」
 嬉々として駆け出していく朔を見て、シッポはポツリと呟いた。
「部員は私達だけじゃないんだし……そんなに張り切らなくてもいいんじゃないかな?」
 なんだかんだ言いながらも、朔も楽しんでいるのである。


****************************************

朔 「体育祭乱入計画発動〜!!」
綾香「競技じゃないみたいだけど?」
朔 「ま、一応こういった大きなイベントは"情報特捜部"がどういった部か知ってもらう
  良い機会だと思ったんでね」
綾香「……壁新聞部?」
朔 「身も蓋もない言い方をするとそうなる(笑)」
綾香「第一号っていうことはまた書くの?」
朔 「書きたいね〜」
綾香「書きたいって……(汗)」
朔 「さすがにこのあとどうなるかわからんからな〜。それを見ておいおい書いていくし
  か無い訳だ(笑)」
綾香「無計画」
朔 「おうその通り! ではまた〜」