Lメモ超外伝「ひなた、覚醒?」 投稿者:Hi-wait
 それは、唐突に始まった。
 何の変哲もない、その日の授業。
 その平凡さを壊すかのように、教室の扉が開かれた。
「ひ・・・ひなたさん?」
 驚いて立ち上がる美香加。
 そう。
 そこに立っていたのは、ある日唐突に旅に出て、そのままになっていた風見 ひ
なただった。
「戻ってきたんですか?」
 心底嫌そうな美香加だが、ひなたはそんなことは気にしない。
「ふ・・・僕は、ついに気付いた! この流派・ss不敗の極意を!」
 ここで、大きく右手を振り上げ、
「それは・・・楓に対する愛だっ!」
 と絶叫する。
「ひ・・・ひなたさんが洗脳されたっ?」
 怯えた表情を見せる美香加。
「いや、違うな・・・」
 そう呟いたのは、Hi-waitである。
「ひなたは、かつての自分を封印し、鬼畜と化していた・・・その封印が解けたの
だろう」
 おいおい、なんだかいつもと雰囲気が違うぞ、Hi-wait。
「ふん・・・ひなたが封印を解いた以上、奴を利用して悪を滅ぼすのがもっとも上
策・・・」
 良かった、いつものHi-waitだ。
 それはともかく。
 こうして、その一日は始まったのだった。

 放課後。
 体育館の裏。
 そこには、西山英志と風見ひなたの姿があった。
「流派・ss不敗の師弟が二人揃って、何事ですか?」
 木の陰に隠れているのは、もちろんハイドラントである。
 本人は「消火栓の如く」目立っていないつもりかもしれないが、はっきり言って
その姿は異常である。
 しかし、そんなことに構わず、西山とひなたの会話は進んでいた。
「流派・ss不敗は!」
「王者の風よ!」
「全新!」
「系列!」
「天覇狂乱!」
「「見よ! ssは紅く燃えている!」」
 型どおりの挨拶が住んだ後。
「ひなた・・・腕を上げたな・・・」
「師匠、本日は僕の新しい力を見ていただきたく思います」
「ほう、新しい力? それは無論・・・」
「はい! 楓のための力です!」
「よし! では、早速見せて見ろ!」
「はいっ!」
 と、ここでひなたは息を吸い込んだ。
 そして、
「出ろぉっ! ガンダム!」
 ぱちんっ!
 ひなたが指を鳴らすと同時に、そばにあった木が割れ、中から巨大なロボットが
姿を現した。
「こ・・・これは・・・?」
 驚愕する西山。
「はいっ! これが、僕のssファイト専用機、『メイプルガンダム』です!」
「メイプル・・・?」
 そう。
 ガンダムの胸の部分に、大きく『楓命』と書かれている。
 そんな二人の後ろで。
「メイプルガンダム・・・そうか、これがss不敗の極意か!」
 いや、違うと思うぞ、ハイドラントよ。

 そんなひなたを見つめる影があった。
「ジンよ・・・あのガンダム、欲しいとは思わんか?」
 柳川が、どっちかというと自分が欲しそうな顔をして傍らのジン・ジャザムに問
う。
「あのセンスは気にいらんが、それを除けば、な・・・」
 ぼそ、と答えるジン。
「ならば、あのガンダムを奪ってこい。ならば、お前にあれの武器をやろう」
 柳川のその言葉に、ジンの顔が輝く。
「よっしゃ!」
 そのまま身を翻し、ジンは走っていった。
 ひなたのいるところへ。

「風見! そのガンダム、譲ってもらうぞ!」
 突然現れたジン。
「何かと思えば、そんなことですか。無理ですよ。ガンダムを譲るわけには行きま
せん」
「ならば・・・勝負だ!」
「望むところです!」
 そう言い捨てて、ひなたはメイプルガンダムに乗り込んだ。

『モビルトレースシステム、作動。脳波、血圧、心拍数、呼吸、代謝機能、オール
グリーン』
 無機質なアナウンスが響き、メイプルガンダムの目が光る。
「準備はいいか?」
 ジンの声が聞こえる。
「ええ、いつでもどうぞ!」
「よし!」
 ひなたは叫ぶ。
「ssファイト、スタンバイ!」
 ジンが、それに答える。
「レディー・・・」
「「ゴー!」」
 そして、両者は地を蹴った・・・

 勝負は、あっけなくついた。
 メイプルガンダムの足下では、ジンが白目をむいてのびている。
 早い話が、踏まれたのだ。
 それを見た柳川は、一人呟いた。
「・・・やはり基本サイズの違いは、如何ともし難いか・・・」
 その背中には、哀愁が漂っていた。

「へーのきさん、体育館裏で、何かが暴れているようです」
「そうかい?」
「いってみましょう」

 ひなたは、メイプルガンダムのコックピットで、戦慄を覚えていた。
 圧倒的すぎるのだ。
「強すぎる・・・」
 ひなたが恐怖を覚えるのも、無理はなかった。
 しかし、そんなひなたに、休息は許されなかった。
 メインカメラに、巡回中のDセリオとへーのきの姿が映ったのだ。
 無論、彼らがこんなものを見逃すはずがない。
「何だこれは!」
 誰何の声を上げるへーのき。
「僕はこのメイプルガンダムで、楓を守らないといけない・・・だから、見逃して
下さい!」
「そんなことが出来るわけないだろう!」
 その横では、すでにセリオがVモードに変形している。
「ならば仕方がありませんね・・・ssファイト、スタンバイ!」
「レディー・・・」
「「ゴー!」」
 両者は突進し、お互いに組み付いた。

 勝負は熾烈を極めた。
 メイプルガンダムのキックが、Vセリオに襲いかかる。
 それをガードし、反撃に出る。
 さらによけて、後ろに下がる。
 両者ともに、限界が近づいていた。
「そろそろ、ですね・・・」
 ひなたは呟く。
(楓のおかっぱ、楓の無表情、楓の切なさ!)
 ひなたの目が光る。
(楓の微笑み、楓の二の腕、楓の暗さ!)
 ひなたの全身に、力がこもる。
(楓の突っ込み、楓のお笑い、楓のギャグセンス!)
 メイプルガンダムから、オーラが立ち上る。
(楓の前世、楓の運命、楓の憂い!)
 ひなたの右手に、キングオブエディフェルの紋章が浮かぶ。
(楓の…膝小僧ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜!)
 ひなたが、文字通り燃えた!
「僕の拳が真っ紅に燃える!」
 へーのきはそれを聞き、ひなたが何をするつもりか悟った。
「こちらも・・・シャイニングは?」
「最終調整は完了しています」
「よし!」
 そして、へーのきも叫ぶ!
「俺のこの手が光ってうなる!」
「楓に萌えろと轟き叫ぶ!」
「お前を倒せと輝き叫ぶ!」
「爆裂!」
「喰らえ! 必殺!」
「メイプルフィンガー!」
「シャァァァイニングフィンガァァァ!」
 両者は、再び激突した・・・

「く・・・僕のこの愛が、まだ足りないと言うのか!」
 ひなたは苦悶していた。
 Vセリオのはなったシャイニングフィンガーに、ひなたは気絶させられていたの
だ。
 そして気付いたとき、そこにDセリオの姿はおろか、へーのきもいなかった。
 実際は、メイプルフィンガーでVセリオが壊れたため、へーのきが運び去ったのだ
が、ひなたはそんなことは知らない。
「く・・・くくく・・・」
 やがて、ひなたは低い笑いをあげる。
「やっぱり、この僕には鬼畜が一番ふさわしいようですね!」
 何のことはない。ひなたは再び自らの「デビルカエデ細胞」、略して「DK細胞」
を封印しただけだった。
 やけに慌ただしい一日であった・・・
                           <完>
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 はっはっは・・・
 どうも、こんなところでお久しぶりなHi-waitです。
 久しぶりなところに、いきなりこんなもんを書き込んで・・・
 まあ、いいか(無責任)
 Lメモ解凍したとたん、こんなもの書き込んでていいんでしょうかねぇ・・・全
く・・・
 まあ、細かいことは気にしないでおきましょう。
 では、この辺で。