Lメモ報復伝「覚悟はいいかな、風見君?」 投稿者:Hi-wait
 朝。
 何となくさわやかだ。
 今日は一日、何事もなく過ごせたらいいなぁ。
 ……無理か……
 でもせめて、僕に災難が降りかかることはありませんように。
 風見が、そう思いながら校門をくぐったときだった。
「おはよーーーーーーーーーーーっ! ひなたちゃーーーーーーーーん!」
 後ろから声がする。
「おはよう? 美加香、貴様何様の……」
 そこで、風見の動きが止まった。
 後ろにいたのは……四季だった。
「どわああぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 思いっきり、ダッシュをかける。
「ああん! 待ってぇ、ひなたちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
 こうして、その一日は始まった。

 困った。
 教室に行けない。
 教室で動きの止まったところを奴に狙われたら。
 考えるだけで……
 風見は頭を振って、恐ろしい考えを脳裏から追い出した。
 それだけは勘弁して欲しい。
 以前から、四季に追い回されて半分ノイローゼ気味になっている生徒Aの事がさ
らに脳裏にフラッシュバックする。
「……オレは主役だ!」
 ……そうだったっけ?
「そうだ!」
 ふーむ……そう言えば、ここってリーフ学園だから、菜織とか真奈美とかは入学
できんよな……チャムナとレオンなんぞ、購買部で売れそうなのに……
「何の話だ!」
 別に。
 ただ、お前が主役だと言うことを認めるのに、時間がかかるだけだ。
 おっと、話が脇道にそれた。
 とにかく、風見が考え込んでいると。
「そこにいたのね、ひなたちゃん!」
「でええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
 四季が現れた!
 どうする?

1.戦う
2.道具
3.逃げる

 ちなみに、現在手持ちの道具は、外道メテオ用の暗器が一回分。
 ただし、美加香がいないので、役立たず。
 結論。
 風見は逃げ出した!
「ひなたちゃーーーーーーーーーーーん! どうして逃げる
のーーーーーーーー!?」
「ついて来るなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 逃げながら、風見は絶叫した……

 困った。
 四季から逃げている内に、風見は理科棟に入っていた。
 ここには、あの科学部がある。
 一刻も早く、ここからでなくては。
 風見はきびすを返した。
「とったあぁぁぁぁぁぁぁ!」
 遅かった。

「さぁっ! 今日の生贄(サクリファイス)は!」
「偶然近くを歩いていた、風見ひなた君だ!」
「むっ! ふぐっ! ふがへごぉっ!」
「くっくっく……見ろ、ジン君! 風見君も、快く自らの体を提供してくれた!」
「ひっ! ひがふだほっ!(訳:ちっ! 違うだろっ!)」
「さあ、ジン君! 今日の改造メニューは?」
「はいっ! 今日も何故か、ゼロシステムです!」
「はべぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!(訳:やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!)」
「それでは早速始めるぞ、ジン君!」
「おうっ!」

 がっちょんがっちょん……ごるごるごる……ぴーーーーーーーーーーーっ!

「さあ、風見君! 調子はどうだ?」
 柳川の声がする。
 今日は、ノーマルモードらしい。
(よかった……)
 風見は、ゆっくりと目を開けた。
 エルクゥユウヤがいた。
「………………!」
 エルクゥユウヤが何かを言っている。
 聞きたくもないが、聞こえてしまう。
「夏休みも終わって、なんだかちょっぴり寂しいの☆ 魔法少女エルクゥユウヤ、ブルーな気分で参上でぇす☆」
 そんなエルクゥユウヤの今日の扮装は……
 パジャマだった。








(パジャマで……お……じゃ……ま……)
 風見の意識の危機!
 と、その時。
「なんて格好をしてるの! そんなあなたは、このマジックナイト・ジンが……」







 風見の意識は、闇に落ちた。

「先生……気絶しちまったぜ?」
「うむ……何か嫌なものを見たのか……?」
 君たちには、『言わぬが花』という言葉を贈ろう。
「仕方在るまい……ゼロシステムをはずすぞ」
「分かった」

 ぎーきょろぎーきょろ……げしげしげし……ちゅどーーーーーーーーーーん!

「あーーーーーーーーーーー! ひなたちゃん、こんな所にいたんだ!」
「ん? 何だ、四季君か」
「風見に用があるのか? なら、とっとと連れていってくれ」
「はーい!」
 そしてそのまま、四季は気絶した風見を引きずっていった。
 しばらくして。
 なにやら、男子生徒の悲鳴が聞こえたような気もする。
 今日も一日、学園は平和だった。
    
                        <完>