あらゆる光の届かぬ闇の底。 その闇の中に蠢く、四つの影があった。 「長かった……」 「ついに、我等の時が来た……」 「今こそ、あの男を……」 「我等の同志に……」 声。 未知なるものへの恐怖を呼び起こさせる、その声。 声の種類は四つあった。 「………………」 「………………」 「………………」 「………………」 取りあえず、言うことがなくなったらしい。 濃厚な沈黙が、場を支配した。 「……取りあえず、出ない? ここ、暗いし」 「そーですね」 そして、なにやら引きずる音。 ばたん。 暗幕を閉め切った視聴覚室のドアを開け、彼らは出ていった。 暗幕をそのままにして。 放課後。 Hi-waitは、暗躍生徒会室で爆睡していた。 「Hi-wait、生徒会室で爆睡。その頭上に、突如鉄球が落下。脳挫傷。死なず」 ごすっ! Hi-waitの脳髄が飛び散る。ついでに血液も。 「くぉらっ! 痛いじゃないか、何しやがる!」 Hi-waitは、飛び起きざまに(頭からだくだく血を流しながら)Runeに詰め寄っ た。 「はっはっは。ここは睡眠の場所ではないぞ」 にこやかにかわすRune。 「それだけ言うために、鉄球落とすなっ!」 「あのー、それよりも頭どうにかしないと……」 「そうそう。彼女の言うとおり」 「その原因が威張って言うなあぁぁぁぁぁぁ!」 その時。 突如、部屋全体の明かりが消えた。 「な……なんだ!?」 「何をあわててるんだ?」 「こう言うときのセオリーだろ?」 「そんなこと言ってる場合じゃないですよ!」 瑠香に言われ、RuneとHi-waitは視線を前に戻す。 そこには、四人の男達がいた。 「我が名は、北の守り……沙留斗!」 「南の守り……春夏秋雪!」 「東の守り……天神昴希!」 「西の守り……へーのき=つかさ!」 「四人揃って……」 「「「「『喰われちゃった四天王』!」」」」 ……しーん。 「……あれ?」 三人が無反応なのを、いぶかしむ『喰われちゃった四天王』。 「……誰です?」 「さあ……」 「自分も、記憶にないな」 で、Hi-waitとRuneは二人揃って向き直り、 「「で、あんたら誰?」」 「うぅ……どーせ俺達、存在忘れられてるよ……」 「ちょっとオリキャラの方が目立ってるからって……」 「ここまでひどい扱いしなくても……」 「いいじゃないですか……」 いきなり、しゃがみ込んで『の』の字を書き始める。 しかも、四人揃って。 「しかし、どうやってここに入ってきたんだ? 結構トラップがあったりするんだ が……?」 それを聞いて、いきなり四人が立ち上がる。 「ふっふっふ。聞きたいか?」 「ならば、教えてやろう!」 「そう、何故かと言えば!」 「答えは一つ!」 そこで、四人ハモって、 「「「「俺達存在感薄いから、素通りできたの」」」」 「あっそ……」 なんだか疲れた声で呟くRune。 「そう、今回の我々の目的は……」 しかも無視して話進めるし。 「きさまだ、Hi-wait!」 「……僕?」 全員の視線が、Hi-waitに集中する。 「そう……」 「貴様のオリキャラ……月島瑠香と言ったか? そいつに存在を喰われたと き……」 「貴様は我々の同志となり……」 「我々は……」 「「「「『喰われちゃった五方陣』となるのだっ!」 「断じて嫌じゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」 思いっきり叫ぶHi-wait。 「初めはみんなそう言うのさ」 「けど、そんなことを気にしちゃやってけないし」 「ま、犬にかまれたと思って諦めろ」 「そうそう、我慢したらそのうち慣れますし」 Hi-waitは、黙って頭を抱えていたが、しばらくして、 「……瑠香」 「はい?」 「ちょっと、こっちに来い」 「はい」 とてとてと目の前に来た瑠香の額に手を置く。 「ちょっ……ちょっと、Hi-waitさん!?」 「黙ってろ!」 そして、二人が閃光に包まれる。 「絶対正義! デレンガイヤァァァァァァァ!」 はい、出てきました。 どこぞの誰かにおしつけられた合体技、絶対正義デレンガイヤー。 それを見た『喰われちゃった四天王』、あわてて逃げようとする。 「じゃ……じゃあ、我々はこれで!」 「いやぁ、いい汗かいたなぁ!」 「全く、放課後は運動するに限りますね!」 「さぁ、冷たい麦茶でも飲みに行こうか!」 「逃がすかっ! デレンバスターデレンバスターデレンバスターデレンバス ター!」 どか。めきょ。ぐしゃ。べし。 「「「「Hi-wait! 我々は、いつでも歓迎するぞぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」 そう叫びながら、『喰われちゃった四天王』はお空のお星様になった。 「だれが……入るか……」 それを見上げ、Hi-waitは決意を新たにする。 がんばれHi-wait! 瑠香に存在を喰われるんじゃないぞ! <完>