このLにはSS不敗流のSS使い以外、出てきません。 ------------------------------------------------------------- ある日のこと。 テレビを見ているものがいた。番組タイトルは「機動武闘伝Gガンダム」 ガンダムファンの間では邪道と囁かれる作品の一つだ。 だが熱いストーリーに燃える漢もいることは事実! そしてここにまた一人、マスターアジアの生き様に燃えている漢がいた! 「はぅ〜〜ますた〜かっこいいです〜〜(きらきら)」 ……漢……か?…… Lメモ・SS不敗流入門編「強いって何だろう?」 「ということで、入門させてくださいです〜〜!!!」 「……いきなり「ということで」と言われてもさっぱり分からんのだが……」 目をきらきらと輝かしながら入門願いに来たのは水野響。 そして返答に困っているのが西山英志、SS不敗流の宗主だ。 西山は今日も楓に会いに行こうと廊下を歩いていた所、突然服の裾が引っ張られたので振り返ったらいきなりこの会話である。 分からなくても無理はないだろう。 「あぅあぅ……手が光って唸ってどっかーんでますたーみたいに強くなりたいんです〜〜!!」 さらに意味不明。 熱意だけは十分だが、熱意の方向が違うベクトルに向いている。 「???」 予想通り、西山は困り果てていた。とりあえず分かったことはただ一つ。 この子は興奮のあまり混乱している。 それだけだった。 「ああ……お嬢ちゃん……とりあえず深呼吸しようか?」 西山は困り果てた末にそう言った。 「はぅ!? ……す〜〜は〜〜す〜〜は〜〜」 言われた通り深呼吸する響。ラジオ体操の振りつきだ。 「……落ち着いたか?」 「はいです〜〜」 西山の問いに、にこにこしながら答える響。 「で、何に入門したいのかな?」 西山の口調もすでに子供をあやす口調になっている。 「もちろん、SS不敗流です〜〜!!! で、手が光って唸って轟いてきらきらでどかーんです〜〜」 響の興奮再発。 「あーー……お嬢ちゃんがかい?」 思わず聞き返す西山。頬に汗が一筋流れている。 「あぅ〜〜、わたし男で高等部の一年生なんです〜〜」 落ち着いたのか、ようやく会話が続くようになったようだ。 少し困った顔で言い直す響。 「……男? しかも高等部? ……ま、まあそれはいいとして……本当に入る気なのかい? 止めたほうがいいと思うんだが……」 西山はさらに冷や汗を流しながら、聞き返した。 「いやです! 絶対に入りたいんです〜!!」 くりくりとした大きな目を輝かせ、小さな手を握りしめながら迫る響。 迫力はまったくないが妙な気迫だけは全快だ。 後ろにはオーラすら見える。 「(おお! オーラが見える……こいつはひょっとして……って、コ、コアラのオーラ!?) ……じゃ、じゃあ、とりあえず仮ということでよければ……」 妙な気迫に押され、思わず答えてしまう西山。 「わーいわーい! よろしくお願いしますです〜〜」 喜びに顔を輝かせた後、ぴょこんとお辞儀をする響。 一房だけ長い右側の髪もぴょこんと揺れる。 西山はただただ、冷や汗を流し続けていた。 「……ということで、今日から仮入門することになった水野響君だ」 「えへへ〜〜よろしくです〜〜」 突然集まれと言われ、集まったSS不敗流の弟子達はいきなりな展開に呆然としている。 おそらく普通の反応ではあると思うが。 響は分かっていないのか、にこにこと微笑んでいる。おまけに猫連れだ。 「この子はひび猫っていいます。一緒によろしくです〜〜」 猫を抱きながらにこにこと言う響。 なんだかどうでもいいような雰囲気が流れ始めていた。 「あ〜〜師匠? 本当にその娘を入門させるんですか?」 止まりかけた脳を再び活動させて聞き返す風見ひなた。 光と美加香は既に燃えつきかけている。 「あと響君は男の子で、高等部の一年生だ。念の為」 『男ぉぉおお!!!! さらに、同学年!!!!』 風見、再び脳停止。 光と美加香は真っ白になった。既に活動限界だ。 「ま……いちおう顔見せだから……来てもらったわけだが…… ひなた! お前にとりあえずの教育係を命ずる!」 「はひいぃぃぃぃいいいいいいいい!?」 風見、絶叫。 「師匠! 僕は既にに袂を分かった身! ここは光君に任せます!」 「いえ、僕ごときじゃとても! やはりここは師匠が!」 「何を言う! 一番弟子が稽古をつけるのは必然! そして師匠の命は絶対!」 西山、風見、口論を始める。理由は簡単。 『見た目が女小学生な子と組み手やったら、体裁が悪い!』 しかし三人にとって死活問題だ。 「ええい! 楓に嫌われたらどうする! ここは貴様がやれぃ!」 「僕だってそうですよ! 体裁悪いでしょーが! ここは光君に!」 「僕だって変な噂が立つのはごめんですよ! ここはやはり師匠が!」 言葉の中に本音が見え隠れしている。 口論は泥沼の様相を呈し始めていた。 「……ぐす……わたしに稽古つけるの……いやなんですね……」 響、いつまで経っても始まらないので涙ぐみ。 『ああああああ!! 泣くなぁあああああ!!!』 全員、絶叫。 そこで思わず一歩踏み出したのは風見だった。 やはり子供に対する父性本能のせいか? もちろんその隙を逃す二人ではない。 『ひなた(さん)、後は頼むぞ(頼みました)!』 西山と光は驚異的な速さで逃げ出した。 「あああああああああ!!!! 待てやぁあああああ!!!」 風見は泣きながら絶叫し、追いかけようとした…… くいっ。 ガンッ! ……が、転んだ。 「がふっ! って!?」 そこには響が逃げられないように裾を掴んでいた。 もちろんにこにこしながら。 「えへへ〜〜よろしくです〜〜」 風見は思った。ある意味、今までで最大のピンチかもしれない、と。 ぽんっ。 肩を叩かれた先を振り向く。 「にゃ(よろしくな)」 その瞬間、風見は違う世界へ旅立ちかけた。 「って、旅立ってどうする!?」 おお、のりつっこみ。 「はぁ……まあ、いいです……じゃあ初日ですし、軽く流して終わりましょう」 妙に疲れた口調で風見は言った。 「はいです〜〜」 響は相変わらずにこにこしている。 「じゃ、まずは腕立て伏せを……100回やってください」 初日だし軽くしときましょうか、そう思って風見は言ったつもりだった。 「はぅ!? い、いきなり凄い試練です〜〜!」 しかし響は目を丸くして驚いている。 「……はぁ……とりあえず、やってください……」 風見はおもいっきりな脱力感に襲われた。 「はいです! せーの……は〜〜ぅ! は〜〜ぅ!」 妙に気の抜けた掛け声と共に響は腕立て伏せを始めた。 「は〜〜ぅ!? ……きゅ〜〜……もーだめです〜〜」 腕立て伏せ二回でダウン。 「……今日は終わりましょうか……」 「……そうですね……」 まぶしそうに空を見上げながら呟く二人。 我が家が妙に恋しかった。 「あのあのあのあの!! 待ってくださ〜い!」 しかし、まだ終われなかった。 「……はい? 何です?」 今日の晩御飯は何だろうなー、などと考えながら風見は振り返った。 「お願いがあるんです〜〜! ぜひ、必殺技を見せて欲しいんです〜〜!」 目をきらきらさせながら風見を見上げる響。 「え……必殺技……ですか?……でも……あれは……」 思わず汗を流す風見。 風見がSS不敗流奥義を使う時は楓に萌えないといけない。風見は躊躇した。 「えぅ……駄目なんですか……」 この世の終わりが来たように悲しそうな顔でうつむく響。 爆発5秒前という感じだ。 「ああああああああ!!! 泣かないで泣かないで! 見せるから! うん! 見せてあげるよ!」 思わず口走ってしまう風見。 後ろで美加香が妙に覚めた目で見ていたのが、ちょっと恐かった。 「じゃ……いくよ?」 それでも約束しただけに今更破ることも出来ず、結局やるはめになった。 手近な木に向けて構える。 「はいです〜〜!!!」 後ろで響が目をきらきらさせている。 「僕の拳が真っ紅に燃える!」 響は一挙一動を見逃すまいと見つめている。 そのまた後ろでは猫があくびしている。 「…楓に萌えろと轟き叫ぶ!(なんかあの猫むかつく……)」 風見は心に愛が芽生えるのを感じた。 (楓、激ラブっ!) それと同時に猫に対しての殺意も芽生えた。 「爆裂っ! メイプルフィンガー!」 風見の手が真っ紅に輝き、拳を受けた木は一瞬で砕け散った。 「ふわぁ〜〜すごいです〜〜!!!」 響は感動して思わず抱き付いた。風見に対する親愛度が10上がった。 猫は後ろ足で身体を掻いている。気持ちよさそうだ。 「あ……ちょっと!?(ひび猫……絶対シメる!)」 風見は少し照れながらも殺意が育っていくのを感じた。 ひび猫に対する殺意が100上がった。 「…………」 美加香は冷ややかな目で風見を見ている。風見の御飯のランクが5下がった。 「(ああああああああああ!!! なんか嫌な予感がぁああああ!!!)」 風見の中で封印を解いた後の楓萌えと照れくささと殺意と寒気が入り交じっている。 表現できないものすごい気分だ。 「絶対、わたしもおぼえるです〜〜!」 響は抱き付いたまま、目を輝かせて言った。 「ああ、がんばってね……」 風見はひび猫をどうやってシメようか、その方法を考えながら言った。 「…………」 美加香はしばらくは晩御飯は二人分でいいかな、と考えていた。 響のSS不敗流への道、その初日はこうして終わった。 余談 夜中、裏山に蠢く一つの影があった。 ひび猫だ。 彼は必殺技によって砕かれた木の辺りでうろうろしている。 しばしとてとてと歩いた後、近くの石の上に座り込んだ。 そして考え始めた。 TVで見たあの技と、今日見た技の動きを。 しばらくの時間が音もなく流れた。 ふっと石から身を翻すように降りると、先ほどの隣の木の前で止まった。 流れるように二本足で立ちあがるひび猫。 そして目を閉じて構える。 カッ(両目を開く) 「にゃぁああああ!!!!」 にくきゅうが輝きながら、木にその猛威を振るった。 風見の時のように木は一瞬のうちに砕け散る。 「…………にゃ(ふっ)」 ニヒルな笑みを浮かべ、響の待つ家へ戻っていく猫。 彼はこの技に「にくきゅうフィンガー」と名づけたらしい。 まあ、どうでもいいが。 --------------------------------------------------------- やっと入門できました(笑) なんだか感無量って感じです。修行、なにもしてないですが。 わたしもいつか必殺技を!(爆) ===++=== >春夏秋冬さん ラストL完結おめでとうです。 とうとう四季とは分離したんですね。 綺麗な感じの文章がわたしは好きです。 あと森博嗣シリーズのセリフがちょこちょこ見えてたのも(笑) >beakerさん リザーバーはレッドさんですか……むぅ、あと一人は? 素手部門……まさかあの伝説がまた!?(予想:爆) beakerさん、がんばれ〜〜 完結したら、次はタロットですね。期待してます(笑) ええ、結構です(笑)<感想 >夢幻来夢さん 格闘ものですか。 グラップラーとはまた違った感じですね。硬派っぽいのかな? あと、わたしも言われたことあるんですけど、少し改行したほうがいいですね。 つめすぎるとオンラインで見づらいですから。 もしそういう文体で書いてるんだったら、聞き流してください(ぺこ) >東西さん 不思議な感じの話になるのかな?などとおもいつつ。 早く続きを〜〜(笑) >風見ひなたさん やっぱり巧いなぁと思います。さすが兄さん!(爆) ギャグとシリアス、きちんとかき分けてますから、すごいです。 >OLHさん OLHさん、笛音ちゃんとられそうなの?(笑) ここを耐えるために必要なのは……愛です、愛(爆) >Tさん やりましたね。ええ、ほんとに。 このままくっつけちゃえ〜〜!!!(爆) 今日はこれくらいです。