テニス大会参加Lメモ「流れのままに流されて」 投稿者:水野 響
  パコーン!
  パコーン!

  テニスコートでは、参加表明した選手達が練習をしていた。
  賞品が賞品なせいか、選手達は(一部除く)熱のはいって練習をしていた。

  ドゴッ!  バギッ!

「てめぇ、何しやがる!」
「お前が先にやったんだろうが!」

  まあ、違う意味で熱のはいってる選手も一部いるようだが……



<同時刻、校舎内>

「はやや〜〜」
  響は何故か通りすがりの生徒になでなでされていた。
  全然本筋には関係ないが。





        テニス大会参加Lメモ「流れのままに流されて」





「あ、響君。しばらく修行の相手できそうもないんだ。ごめんね」
  今日もSS不敗流の修行に裏山に来た響を迎えたのはその一言だった。
「ほえ〜〜〜!?  ど、どうしてですか!?」
  びっくりした表情のまま、風見につめよる響。

「うん、実はテニス大会に出ることになったから、しばらくは練習に出られそうもないんだ」
「あぅ〜〜」
  響は泣きそうだ。
  爆発数秒前。

「ということだから、ごめんねぇぇぇぇぇぇ」
  先手必勝とばかり、ドップラー効果で遠ざかっていく風見。
  どうやら泣かれる前に逃げたようだ。

「…………む〜〜〜〜」
  しばらく無言だったが数分後、やっと風見が逃げたことを理解した。
  響、おかんむり。
「いいですぅ!  わたしも帰るです!」
  ふくれた顔を裏山を降りていく響。
  一人で練習するという選択肢はないようだ。

  ちなみに響はまだ一度もまともな修行をしたことはない。





「はや〜〜みんなすごいです〜〜」
  しかし少し気になったのか響はテニスコートへと来ていた。
  みんなの練習光景を見て響は感心している。

「うらぁあああ!!!  外道メテオだ!  鬼畜サーブだ!」
「あぁあああ!!!  ひなたさん!  テニスの試合に暗器を投げないで!って、私も投げ
ないで〜〜!!」
  風見は見事なくらい暴走中だ。
  もちろん響には理由は分かっていない。

「ひなたさん、気合全壊です〜〜」
  明らかに誤字だが、様子を見るとあながち間違っていなさそうだ。



「ん?  どうしたの?」
  するとちょうど近くにいたはるか先生が近づいてきた。

「あぅ、ちょっと見に来ただけです!!  決してひなたさんが逃げたのが悔しかったから
ちょっと意地悪してみようとか思ったわけじゃないです〜〜」
  響はなぜかあたふたしたまま本音を口にする。
「ん、そうなの」
  思いっきり口に出しているのにはるか先生は気にしていない。

「そ、そうです!!  こっそり地雷を埋めようとか手榴弾をばらまこうとか、とかまった
く考えてません〜〜」
  さらに響の口から本音が暴露され続ける。
「考えてないならよし」
  ここまで言ってもはるか先生はまったく気にしていない。
  ほんとに気づいてないのか?(汗)

「なに物騒なこといってんねん!」
  バシッと、智子からハリセンで突っ込みが入った。ナイスタイミング。
「水野くん、それはあぶないですよ〜」
「水野さん……物騒過ぎますよ……」
「は、はぅ!?  いつのまに!?」
  突然の声に驚いて振り向くとそこには智子、猫町、八希が呆れた顔で立っていた。

「気配を感じさせないとは……すごいです!」
  きらきらと尊敬の眼差しを向ける響。

「いや……私は水野さんと一緒にテニスコートに入ってきたんですけど……」
  疲れたように呟く猫町の頬に汗が流れているのは熱いからではあるまい。
  八希も隣でうんうんと肯いている。
  もちろん響は周りは見えてなかった。

「……はるか先生も普通に応対してないで止めてあげてくださいよ……」
  猫町は苦笑しながら言う。
「なんかおもしろいから、どこまでやるのか見たかった」
  はるか先生は当然といった顔で言った。
  響、新種のおもちゃ扱い。

「……はぁ……もういいです……水野さんも他の人の練習の邪魔になるから外に出てまし
ょうね……」
  猫町は練習前からすでに疲れている。
  理緒は今日はバイトなので一人で壁打ちに来たのだが、もうほとんど気力は残ってない
ようだ。
  八希と智子は平気そうだが。

「うにゅぅ……わかったです……」
  とぼとぼと肩を落として去っていく響。
  心なしかバックに木枯らしが吹いている。

「あの猫さん、なにしてるんでしょうか?」
  八希が呆れたように呟いた先には、扇風機で枯れ葉を飛ばしているひび猫の姿があった。
「……演出に凝るとは……あの猫やるやないか」
「すごいですね〜」
  智子と八希は変なところで感心していた。
「……今日は帰ってゆっくり寝ましょうか……」
  猫町はすでに今日の練習は諦めていた。





「でもでも、なんかくやしーですぅ〜〜」
  購買部で買ったお菓子を屋上でぱくつきながら響は悔しがっていた。
「うじゅ〜〜仲間はずれはいやです〜〜」
  と思ったら今度は泣きそうになっている。
「……こうなったらやっぱり地雷でしょうか!?」
  再び不穏な考えを巡らす響。

「って、それはやめいゆーとるやろが!!!」
  スパコーン!
  智子の突っ込みハリセン、再び炸裂。
  テニスの練習のかいあってかスナップが効いている。
「あぅ!?  ナイスな突っ込みです! ……って智子さん、練習してたんじゃ?」
  ここにはいないはずの智子の出現に驚く響。

「ふふふ……どうせまた突っ込みたくなるようなこと考えるやろ思ってわざわざ尾けてたんや」
  不適な笑みを浮かべながらハリセンを肩に置く智子。
「うぅ〜智子さん、練習しましょうよ〜〜」
  その後ろで八希が懇願している。
  おそるべし、関西人の血!
  思わず冷や汗を流す響。

「ん〜〜また突っ込みたくなるようなこと考えてへんか?」
  智子がわくわくした顔で素振りをしながら迫ってくる。
「あぅあぅ〜〜」
  怯えたように首をぷるぷると左右に振る響。
  心まで読めるとは、恐るべし!

「ま、ええわ。いい突っ込みも出来たし練習にもどろか?」
「よかった〜」
  気分良さげな智子と一緒に八希はテニスコートへと戻っていく。


「はぅ〜〜うかつなことも考えられません〜〜」
  響はため息をつきながら残ったお菓子をお腹へと片づけていく。
「でも、どうしましょう……このままだとなんとなくくやしーです……」
  うつむいて、長考モードに入りそうになっている。

「ん〜〜……はぅ?」
  影が視界に入り、顔を上げる。
  そこには瑠璃子がいた。
「響ちゃん、お菓子ちょうだい」
  あぅ……電波届いた?、じゃなかったです……
  響は全然意味のないことを考えながら、残ったお菓子を差し出した。

「ありがと」
  にこっと、無垢な笑みをむけると瑠璃子は隣に座った。
  瑠璃子のお気に入りは甘納豆のようだ。



  しばし無言でお菓子を食べている二人。



「……はぅ!」
  響の頭に何かが閃く
「あの! あの! 瑠璃子さん!  一緒にテニスの試合に出ませんか!?」
「いいよ。あ、うまか棒もちょうだい」
  これぞ名案とばかりに切り出した響の言葉にうまか棒を手に取りながら二つ返事で返す
瑠璃子。

「やったです〜〜」
  ぴょこぴょことその場で跳ねる響。
「見てるです〜〜!  優勝してひなたさんの鼻を明かしてやるです〜〜!!!」
「もぐもぐ……カレー味もいけるね……」
  熱血モードに入った響とお菓子を食べつづける瑠璃子。

  ここに妙な目的で一つのチームが結成された。


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ということで、水野 響&月島瑠璃子チームで参加します。

……おそらくわたしの萌えキャラ、浸透してないから出してみました(爆)
なお、賞品のことはまったくわかってません。このチーム。
その上、練習するかどうかもあやしいです。

……ああ、最弱かも!(爆)