テニス練習L第二弾「そーいえば、必殺技考えてなかった」  投稿者:水野 響


  これは前回の練習Lとみせかけた自爆Lの続きです。


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  テニスコートから微かに声が聞こえてくる。
  二人は屋上で立っていた。

「はぅ〜〜コート使用禁止になっちゃいました〜〜どうしましょう〜〜」
  水野響が深刻そうな悩みをのほほんとした口調で呟いた。
「これじゃ、ひなたさんの練習の邪魔できないです〜〜」
  目的はやはりこれらしいが。

「あ。AMの電波キャッチ」
  隣では瑠璃子が電波の受信に成功している。
「……はぅ?  これは……FMですか?」
  何故か響も電波キャッチ。
「違うよ。それは韓国放送だよ」
「AMラジオを聞いてるとたまに入るんです〜〜困ったものです〜〜」
  すでに話題は脱線していた。





        テニス練習L第二弾「そーいえば、必殺技考えてなかった」





  二人の会議は教室で行われていた。
「ふに!  やっぱりここは必殺技をマスターするしかないですぅ!」
  しかし二人はテニスコートの立ち入りを禁止されている。
  机の上で小さな拳を天に向かってあげる響。
「今日はうまか棒ないんだ。残念」
  飴を舐めながらちょっとだけ眉間にしわを寄せている瑠璃子。
  どうやらうまか棒がないのが不満らしい。
  なかなか珍しい光景だ。

「でも必殺技ってどうしたらいいんでしょう?」
  小首をかしげて尋ねる響。
「電波は駄目かな?」
  チリチリチリ……
「はやや〜〜」
  響、ダウン。



「って、倒れている場合じゃないです!  ここはいろんな人に聞き込みして手がかりを掴
むんです!」
  電波の後遺症なのか、熱血モードに入る響。
「はい、これ」
  ホームズが被っていたようなハンチング帽、茶色いロングコート、そしてパイプ。
  わたし達は探偵です、と思い切り自己主張した服だった。
「……うにゅ?  なんですこれ?」
  響は目の前に差し出された服を見て不思議そうな顔をする。
「まずは格好からだよ」
  にっこりと微笑む瑠璃子。
「……そうですよね!  まずは見た目からです!」
  簡単に説得され、着込み始める響と瑠璃子。

  余談だが、二人ともまったく似合っていなかった。



  そして聞き込みは始まった。



「ん?  響君じゃないか。……なんかのお遊びか?」
  と思ったら、教室を出た途端しっぽに呼び止められた。
「はやや〜〜ち、違います!  聞き込みにいくんです!」
  出足をくじかれまいと胸を張りながら答える響。
  見事なほど似合っていないが。

「そうかそうか、なんだか知らないけど偉いな。がんばれ」
  しっぽが響の頭をなでなでしながら言った。
「はにゃ〜〜」
  にこにこと嬉しそうに微笑む響。
  すでにくじけそうだ。

「わたしも」
  何故かずいっ、と頭をだす瑠璃子。
「あ、ああ……分かったよ」
  びっくりしながらもしっぽは瑠璃子にもなでなでをする。
「ありがと」
  にっこりしながらお礼をいう瑠璃子。

「で、二人とも」
「……………」
  遠くから何かが聞こえた気がした。
「何を聞き込みに」
「………………コ」
  今度は確かに何かが聞こえた。
「いくん…だ……い……?」
「………………コ…リコ……」
  しっぽは何か危険なものが迫ってくるのを感じ、質問が尻つぼみな感じになった。
「はい!  実は必殺技を」
「ルゥゥゥゥリィィィコォォォオオオオ!!!!」
「なんだあんたわぁあああああああああ!!!!」
  響が元気に答えようとした瞬間、しっぽは一瞬にして通り過ぎていった謎の人物に連れ
去られていった。
  どうやら瑠璃子をなでなでしたのがいけなかったらしい。

「憶えよう……はや?  いないです?」
「いないね」
  二人はまったく気づかなかったらしい。
「ん〜〜次いきましょう!」
「うん。いこう」
  二人の聞き込みは続く。

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………………」
  遠くから何か絶叫らしきものが響いていたが、二人の耳には届いていなかった。



  二人は第二購買部に来ていた。
「あの!あの!  すいませ〜〜ん!」
「はい?  ……ん?  瑠璃子さんにクソガ……いや、響君じゃないですか。何のようです
?」
  店から出てきたbeakerは思わず本音を口走りそうになり、すぐに訂正する。

「あの!  必殺技が欲しいんですけど!」
  響が元気に欲しいものをいう。
「私はうまか棒10本ちょうだい」
  瑠璃子はまだ諦めてなかったようだ。

「……はい、ちょっと待ってくださいね。あ、響君はこっちへ来てください」
「はいです!」
  いよいよ必殺技を手に入れられるとあって響は勢い込んで中に入っていく。

「はい、うまか棒10本で100円です。消費税はおまけしておきましたから」
「beakerちゃん、ありがと」
  うまか棒をゲットして瑠璃子はごきげんだった。


  <購買部の中>

「あー……響君?」
「はい!」
  中へ戻ってきたbeakerの声に元気に反応する響。
「はい、必殺技です」
「ふきゅっ!?」
  響に対してbeakerのチャランボが炸裂した。
(詳しくはbeakerさんのテーブルテニスLメモ「静止した時間の中の僕ら」にて・笑)



「ふに〜〜必殺技を手に入れるのも大変です〜〜」
  涙目で顎をさすりながら今度は科学部前に二人はやって来た。
「うまか棒、おいしいよ」
  瑠璃子は最後のうまか棒を食べ終わって御満悦な表情だ。

「次はここです!  すいません!  必殺技が欲しいんですけど!」
  ガラッ、と扉を開ける響。
「必殺技なら任せとけ!  ロケットパーンチッ!」
「ふきゅぅ!?」

  轟沈



「はにゅ〜〜ま、負けないですぅ!」
「うん。がんばろ」



「必殺技をくださいっ!」
「……プアヌークの邪剣よ」
「ふにぃっ!?」


「必殺技をっ……」
「崩拳でいいですかっ!!」
「みゅっ!?」


「ひっ……」
「テニスを教えてくだされぇぇええええ!?」
「ふにぃ〜〜〜!!!」





「はぁ……駄目でした……」
  教室に戻ってきて、ぼろぼろになったコートを脱ぎながら脱力している響。
「お腹すいたね」
  瑠璃子が脱いだコートは綺麗なままだった。

「わたしは必殺技を使えないんでしょうか……」
  パイプイスに座って顔を伏せる響。
  辺りが急に暗くなりスポットライトが響に浴びせられ、EV○の最終話といった感じだ。

「なんだ!?  どうして暗くなった!?」
「見ろ!  あそこだっ!  またあのくそ猫だっ!」
  残っていた一般生徒達が響の方を見ると、周りにたくさんの猫達がロケ現場のように密
集していた。
  カメラワークをしている猫、プラックライトとスポットライトを浴びせる猫、時間を計
っている猫、他の猫に弁当を配っている猫……そして中央には監督椅子に座ったひび猫の
姿があった。
  瑠璃子は隣でスタッフと一緒にロケ弁を食べている。

「って、こんなところで落ち込んでる場合じゃないです!」
  再び熱血モードで響が立ち上がるとスタッフの猫達は神速で撤収していった。
  猫、あなどりがたし。



「瑠璃子さん!  何か必殺技のアイデアないですかっ!?」
「うん。あるよ」
  響が瑠璃子に詰め寄るとにっこりと微笑みながら答えた。

「ほ、ほんとうですかっ!  よかったです〜〜」
  どんな必殺技か聞く前からにこにこして喜ぶ響。
「じゃあ、見せてあげるね」



          ガラッ



「見つけたぞっ! このクソガキッ!  瑠璃子さんは返してもらうっ!」
  突然扉を開けて入ってきたのは目立たない主人公のNO、2  長瀬祐介だった。
「はぅ?」
  なんだか分からないといった顔で振り向く響。

「お前なんて……壊れてしまえっ!」
  いきなり祐介が毒電波を放った。
「はやや〜〜」
  焦って教室内を走り回る響は何故か毒電波をかわしていた。

「駄目だよ長瀬ちゃん。響ちゃんいじめちゃ」
「これは男の戦いなんだっ!  これ以上僕の周りの女の子を取られてたまるかぁあ!」
  なだめるような瑠璃子の言葉に思わず本音が漏れる祐介。
「しょうがないな」
  瑠璃子が祐介を見た。

「目レーザー」
  ピーーーッ!!!
  瑠璃子の目から発せられたレーザーが祐介にむかう。

「うぎゃぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああっっっっっ!!!!!」



  命中。



「す、すごいです〜〜!!!  どうやったんですか!」
  隣で響が感動と興奮の混ざり合った表情で瑠璃子をみた。
「電波を目に集めて発射したの」
  瑠璃子は淡々と言う。



  ちゃっちゃららら〜〜〜ちゃっちゃっちゃっ♪(音楽)

  ひび猫の、説明こーなー。

  にゃ(目には水晶体というものがある。これをレンズ代わりにし、水晶体を通すことに
より拡散していた電波が集中し、目にも見えるほどの紫電を持つ一筋の光線となるのだ!
  よいこのみんな?  わかったかな?)

  初等部生徒「は〜〜〜い」
  理奈先生「授業中、おまけに時間軸も無視してどこからわいてでたっ!?」
  ひび猫「にゃ(はっはっはっ)」

                   閑話休題っぽい説明。



「はぅ〜〜なるほどです〜〜」
  明後日の方向を見ながら納得する響。時空の彼方で起きた説明を見ていたらしい。
「うん。そうなんだよ」
  何故か瑠璃子にも見えていた。

「とりあえず、これで必殺技はOKです〜〜大会、がんばりましょう〜〜!!!」
「うん。がんばろ」
  熱血モードが抜けきらず、夕焼けに向かって叫ぶ響とマイペースに答える瑠璃子。

  二人はテニス大会に向けて、新たなる必殺技を身につけた。


  しかし二人は気づいてない。
  これは明らかに反則だと言うことに。
  おまけに一度も練習をしていないことに。



  月島  瑠璃子……目レーザー取得。
  水野  響…………妙な特殊効果を取得。


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  自爆L第二段ともいいます(笑)

  目レーザーは、アストラルバスターズのネタです。
  原理は適当(笑)

  この技は使っても使わなくても結構ですので(使ったら反則だろうけど)

  よっしーさん、また変な練習Lでごめんなさいm(_ _)m
  こんなのばっかり浮かびます(笑)
  しっぽさんも変な役でごめんなさい(汗)