VSジン・ジャザム「戦闘能力ないのに参加しようと思うこと自体、間違ってる気がしないでもない。でもそーすると手は限られる、って長いぞタイトル。いや文も長いけど」  投稿者:水野 響


  授業が終わってざわざわとしている教室に一人の男が現れた。

  名をジン・ジャザム。
  人は彼のこと炎の熱血サイボーグと呼ぶ。



  多分。







                        VSジン・ジャザム
      「戦闘能力ないのに参加しようと思うこと自体、間違ってる気がしないでもない。
        そうすると手は限られる、って長いぞタイトル。いや文も長いけど」







        第一幕・鋼のサイボーグ現わる!
       「な、なんだかどきどきするタイトルです〜〜」





「がきんちょ、勝負だっ!」
  突然一年の教室に現れたジンの開口一番のセリフがそれだった。
  何故か自慢の装甲はぼろぼろだが。
「……はぅ?」
  響、思考中。



(今の台詞の後、自分の中ではザ・ワールド  時よとまれ……って感じでモノクロ調にな
ってジンさんがオラオラってやってそして時は動き出す……で、っていきなり終わりそう
だからやめとこう。でもなんでジョジョあそこまで伏線ふっておいて終わるかなあ……っ
ていうか再開しないかなー)

  響の頭の中はこんな感じだった。
  やや混乱しているらしい。



「……はやや〜〜」
  響の中の時間が動き出してからの第一声。
「ど、どうして勝負なんですか〜〜!?」
  しばしの思考の結果、勝負を挑まれる筋合いはないということにやっと気づく。
  しかし響の周りにはジンどころか誰の姿もなかった。
  ジンは台詞を言った後、突然活動停止してしまった響を突っついたりゆすったりしたが
全然動き出そうとする気配もなかったので既に家に帰ってしまっていたのだ。

「はぅ……?  誰もいないです……って、もう夜ですか〜〜!?」
  響、びっくり。


  ――同時刻


  ――水野家周辺にて

  帰りの遅い響を心配して姉が半狂乱になりながら通行人を片っ端から締め上げていたりする。
  被害者はそろそろ三桁に上ろうとしていた。


  ――さらに別の場所にて

  家に帰り、ご飯を食べ、真・ゲッターの最終話を見終わって、さあ寝ようかとナイトキャップをかぶって布団をかぶるジンの姿があった。





  ジン・ジャザム VS 水野 響  第一戦結果。


  響の活動停止により勝負にならず。
  次回に持ち越し。





        第二幕・戦う理由、それは戦場で見つけた一つの優しさの為。





  次の日、登校していきなり捕まっていた。

「昨日の続きだ!  まあ、俺も鬼じゃない……ってエルクゥだけど。そっちに勝負方法く
らいは選ばせてやるぞ。さあ決めろ今決めろすぐ決めろはよ決めろ」
  ジンはすでに気力150、十段階改造済みだ。
  何かいい夢をみたらしい。
「と、とりあえず勝負方法より理由を聞かせてほしいです〜〜
  バスターライフルを突きつけられて、半べそになりながら響は言った。

「理由!?  それは世界名作劇場の仕返し……は、とりあえず置いておくとして……いや
、それも理由だがとりあえず本筋には関係ないから置いておくとして……」
  作者:すみません。
「……昨日のことを忘れたとは言わせねえぞっ!」
  ジンがびしっと指を突きつける。

「……ほえ?  昨日……勝負だ、って言いに来た時以外で会いましたっけ?」
  響には覚えがないらしい。
「覚えてないだと……?  なら聞かせてやるっ!  あれはそう……」
  ジンは何故か遠くの見詰めながら語り始めようとした。
  しかし、その視線の方角には「beakerサンに負けてられまセーン」と言いながら、タマ
ダンスの練習をしているTaSの姿があったりする。

「……あれはそう……」
  くるりと反転して別の方角を遠い目で見るジンは台詞を続ける。
  見なかったことにしたらしい。



        ――前日――



  ジンは走っていた。

  誰よりも速く、
  誰よりも早くあの場所にたどり着くため。

  本能を呼び覚ますもの。
  自らを熱くさせるもの。
  糧と成り得るもの。


  それらが集う場所。


  辿りつくためにはどんな障害にも耐えられる。
  辿りつくためにはどんな敵でも撃ち滅ぼしてみせる。





  ――辿り着いた!

  その瞬間、ジンが吼えた。





「メシぃいいいいいいいいい!!!!」
  寝過ごしてしまい、朝食を食べる時間もなく投稿してDセリオとの戦闘を繰り広げたた
め飢えていたジンは、文字どおり飢えた獣となって食料を求めるカオスの中に飛び込んで
いった。
「てめぇらっ!  俺の欲求を満たすための儀式を邪魔するなら……ああ、腹へっててかっ
こいい言葉がおもいつかねえ!  とにかくメシの邪魔するやつは全員抹殺だぁああああ!
!!」
  購買はいつも以上の混戦となっていた。
  さながら地獄の蓋を開いたような有り様だ。



  そしてジンが最後の敵、セリスの前に立った。



「セリス……そこをどいてもらうっ!」
  ジンが血走った目でセリスを睨む。
「そうはいかないっ!  すべては彼女のためなんだ、いくらジンとはいえここを退くわけ
にはいかないな!」
  セリスは一歩も譲ろうとはしない。

「マルチのためマルチのためマルチのためかっ!?  それは全然構わんが俺のメシの邪魔
をするのは許せんっ!」
  ジンがゲッタードリルを構えながら言った。
「そうさっ!  彼女の笑顔が永久に続くのなら僕は喜んでこの命投げ出そうっ!」
  セリスがビームモップを構えながら言う。
  ジンのお腹がぐーぐー鳴ってさえいなければ最高の対決となっていただろう。



  しばしの沈黙が二人の間を流れた。

  そして――



「セリスッ!!!!」
「ジンッ!!!!」
二人が動き、一瞬の閃きだけが残像のように残る。



  そして決着がつこうという時――

「はぅ〜〜間にあったです……そういえば今日はお弁当ないことをすっかり忘れてました
〜〜」
  のほほんとした口調が聞こえ、
「あぅ、良かったです〜〜パンがのこってました〜〜♪」
  ジンの生きる糧を最後の希望を、セリスの愛する人の笑顔を見るための品を
「これください〜〜」
  奪っていった。





        回想終了――





「そういうわけだ、わかったか坊主!  セリスはマルチに「あの、あの……さっきの言葉
とってもうれしかったですぅ」なんて頬を染めながら言われた途端に忘れたみたいだが
、俺はそうはいかんっ!
  てめえのせいで五時限目の授業は腹なりっぱなしだったんだっ!  しかも千鶴さんの授
業……くっそぉおおおおお!!!!  てめえにあの後の『ジンくん、あとで指導室にきて
ね☆』の言葉の恐怖とちょっぴりのどきどきが分かるかぁああああああ!!!!」
  ジンは絶叫しながら血の涙を流していた。
  ぼろぼろだったのはそういうわけだったらしい。

「はぅ〜〜それはすみませんでした〜〜」
  ぺこり。
  申し訳なさそうにお辞儀をする響。
「あ、いやそう丁寧にお辞儀されると……」
  あんまり素直に謝られたため、気勢を削がれるジン。
  脱力x8といった感じだ。
  もうプログナイフも使えないだろう。



  キーンコーンカーンコーン



「……はっ!?  って、そう簡単に許すと思ってんのかっ!!」
  頭をかいて困っていたが鐘の音で本来の目的を思い出し、再びびしっと指を突きつける
ジン。
  しかし指差す方向には誰もいない。

「はやや〜〜遅刻しちゃうです」
  辺りを見渡すとあたあたしながら廊下を走っていく響が見えた。
  途中で由綺先生に「響くんっ、廊下は走っちゃだめだよっ!」と怒られ「す、すみませ
ーん、急いでるんです〜〜」と謝っている姿が見えた。
「………………はっ!?  てめえ!  まだ話は終わって……って、ああ、授業始まるっ!
?  1限目、千鶴さんの授業だよ!?」
  ジンはブースターを全開にして校舎に突っ込んでいく。

  そして数秒後、景気のいい破壊音が響いた。



  ジン・ジャザム VS 水野 響  第二戦結果。

  遅刻しそうになったため勝負になる前に中止。





        最終幕・永遠なれ、ジン・ジャザム!





「……こ、こんどこそ……しょ、勝負っ……」
  息も絶え絶えにジンは放課後の教室に入ってきた。
  ちなみに今はクラブ活動中、つまりお料理研の部室だ。

「ジンさん、しばらく見ない間に変わり果てた姿に〜〜」
  響は頬に汗を伝わせながら言った。
「ふっ……今日のお仕置きも強烈だったぜ」
  結局遅刻した上に、教室も壊してしまったので当然といえば当然だった。
  しかし意外に元気そう。
「愛の戦死だからな」
  字が間違ってますが、今の姿を見ると意味的には間違ってなさそう。

「あぅ〜〜異次元掛け合い漫才してないで相手してくださいよ〜〜」
「お、すまん」
  忘れ去られそうなって涙目で抗議する響に謝るジン。


「じゃあ、勝負方法をきめろ。十秒で」
  ジンが言った。カウントが始まる。
「なんで十秒なんですか〜〜!?」
「思い付きだ。ほれほれ、あと五秒だ……四、三、二、一、ゼロ」
  響のつっこみは一言で切り捨てられカウントも終わった。
「よし、言え」
「はぅはぅ〜〜」
  ジンの容赦ない一言に思考モードに入る響。
  カウントが終わってるのは気にしてないらしい。





  ちゃっちゃっちゃ〜〜ちゃちゃっ!  ちゃっちゃ!

『ひび猫の、三分間クッキングーー!』

「にゃ(はい、今日はゲストに千鶴さんをおまねきしてまーす)」
「はい、千鶴ですっ!  今日の料理は……○ヨ汁ーーー!」


  ぴーーーーーー!!!(放送コードに引っかかった音)

  テロップ:やばい方向に走り始めた為、この放送は中止いたします。





「な、なんだ!?  今、異次元で妙な光景が!?」
  おもわず明後日の方向を確認するジン。
  しかし何の痕跡も見つけることは出来ない。
「あの〜〜、料理でお願いしますです〜〜」
  異次元の方向を見ながら口にする響。
  やっぱり見ていたらしい。

「あ、ああ分かった…………………………………………って料理!?」
  思わず額に汗をだらだらと流すジン。
  方法は決めさせるといった上返事までしてしまったので、反論につまってしまう。
「はい、ジンさんエプロンとマジックハンマー☆」
  何処からか現れたルーティが、エプロンと一緒にハンマーを渡そうとする。
  まだジンの魔法少女化を推進したいらしい
「な、なんで貴様がここにいるっ!  それに俺は料理勝負なんて……」
  ジンは魔法少女にさせられてなるものかと後ずさりをしながら、さっきの返事を否定し
ようとした。


「漢は一度いった言葉を撤回したりしないんだよね☆」
  ティーナがジンの言葉をさえぎるように言う。
「あぅ……料理勝負はだめですか?」
  響はうるうるしながら言う。
「にゃ」
  ひび猫が、『漢だったら吐いた唾をのみこむような真似をするなよ』といった感じの泣
き声で鳴く。
「みなさん、この線からは出ないでくださいね。指定席はこちら。あとはこちらになって
まーす。なお倍率は8:2で水野君が優勢です。券に掛け金を書いたら坂下さんに払って
認め印を押してもらってくださいねー」
  何時の間にかbeakerが仕切り始めている。トトカルチョも始まっているようだ。
「えー、飲み物はいかがですかー」
「あ、コーラ三つね」
「まいどー」
  沙留斗が飲み物の販売をしている。周りには雛山理緒、勇希らの姿も見えた。
  売れ行きも上々でbeakerはほくほく顔だ。
「ジィィィン!  勝負に負けたら俺が特訓してやるぞぉおおお!!!」
「ジンさんも響くんもがんばれー」
「ジンさん、ふぁいとー」
  エルクゥ同盟も応援に駆けつけている。
  垂れ幕には『ジン・シャザム、適当にがんばれ』と書かれていた。
  微妙な悪意が見え隠れしている上、字が間違っている。
「めしか!?  めしがくえるんだな!?」
  何処からか現れたRuneが目的が一目瞭然な言葉を吐いていたり、
「るーちゃん、そうがっつかないで……きっと試食させてくれるからさ」
  興奮するRuneが暴走しないように押さえている健やかがいたり、
「ワタシの奥義はタマダンスだけじゃないんデスヨー!  ホラホラ!」
  Tasがフラフープをしたまま、フラダンスを踊ったりもしていた。

「何時の間にかギャラリーがふえてるぅうううううう!?  っていうか、てめえらどっか
らわきやがったぁあああああああ!!!!」
  ジン、絶叫。かなり泣きたい気持ちだ。
  学園最強の一人と言われた熱血サイボーグが、見た目女の子と料理勝負をしようとして
いるのだ。
  俺の人生、どこで間違ったのだろう?
  ジンは人生の矛盾について真剣に考え始めていた。



「はい、では二人とも位置についてくださいねー」
  何故か審判をやっているとーるの声で現実に帰ってくるジン。
「しかも料理勝負で決定されてる!?  ってそれよりなんでエプロンつけてる俺!?  し
かもフリフリのレースのエプロンだとっ!?  くっそーーーー!!!」
  ジンが迷いなく脱ごうとした途端、
「「ジーンくーん、脱いだらお仕置き☆」」
  という四季、EDGEの声が聞こえた。
  瞬間、動きが止まるジン。
  脱いだら、殺される……
  しばしの硬直のあと、冷や汗をだらだら流しながらがっくりと肩を落とした。
  しかしフリフリのレースのエプロンはサイボーグなジンには素敵なくらい似合っていな
かった。
  男が似合っても困るが。



「はい、ジンさん☆  し・あ・げ☆」
  ぽこんっ。
「へっ?」

  突然、音楽がどこからか流れ出した。
「必中、閃き、あめあられ!  どんな勝負も受けます殺りますマジックナイト・ジン!
  料理勝負もおまかせです!って、ひさびさの変身んんんんんんんんんん!?」
「ジンさんもこれで立派な魔法少女ですネ☆」
  ティーナにマジックハンマーで叩かれて変身してしまったジン。
  うれしそうににこにこ微笑んでいるティーナの横でひび猫が音声&編集をやっていた。
「ありがとね、猫ちゃん、はい、お礼のモンプチ☆」
「にゃ♪」
  さっきの登場音楽はひび猫の仕業らしい。
  一通りのフレーズの後、びしっとポーズを決めていたジンだが、我にかえった瞬間、床
に手をつきながら血涙しながら呪いを込めた言葉を吐く。
「……はかったな、シ○ア」
  ジンの中でひび猫への殺意がふつふつと沸き上がった。
  その時はきっと風見と手を組むことになるだろうという根拠のない予感も沸き上がる。

「ジンさん、早く位置についてくださいね」
  とーるがうな垂れているジンの背中を押して調理場の前に立たせた。
「では、幸運を☆」
  とーるがぴっと指を立てて敬礼しながら去っていった。
  後ろ姿がかっこいい。
  ……TaSがこっそりかぶせたアフロを脱いでさえいればだが。
  結局、本人は気づかないまま審判を続けていた。


「…………ふっふっふ……やるからには勝ってやらぁああああああ!!!!」
  ジン・ジャザム、立ち直る。
  吹っ切れるともいうが。
「はぅ〜〜まだ始まらないです〜〜」
  響は出番がなく、退屈していた。



「はい、みなさん、おまたせしましたっ!」
  とーるの一声に観客が声を上げる。
「お題は……卵料理です!  卵を使った料理なら何でも結構です!  制限時間は30分! 
 では双方…………はじめ!!」
  とーるの合図で二人は動き始めた。

「なお、実況は長岡志保さん、しっぽさん、カメラはデコイさんがやってくれてます」
  妙にスケールが大きくなってきた料理対決がやっとスタートした。



「はーい!  学園のアイドル、人気なら広瀬ゆかりにも負けないわ!でおなじみの志保ち
ゃんでーす」
  きゃぴっ、という擬音とともにターンを決めて、志保がカメラに向かって喋っている。
  志保の姿はいつのまにか観客に見えるようにセットされた大スクリーンに投影されてい
る。協力はひび猫とゆかいな仲間達。全員猫だ。
「いや、どーみても負けてるだ「しっぽっ、うるさいっ!」ぐはっ!」
  皆が思っている言葉を代弁した為、志保ちゃんキックを受けてしっぽ撃沈。

「さて、実況が一人になったところでつづけまーす♪」
  楽しそうに志保は実況を再開した。
「じゃあ、水野響選手からいってみましょう!」



「るる〜るるる、る〜るる〜る〜るる〜〜るる〜〜♪」
「おおっと、趣味でもあり、お料理研の一員でもある水野選手!  手慣れた様子で料理の
準備にとりかかっています!  おまけに楽しそうに鼻歌を歌いながら包丁で材料を刻んで
います。これは余裕の現われでしょうか!?」

「響ちゃん、がんばってーー!」
「はいです〜〜!」
「今、クラブの先輩でもあるあかりからの声援が飛びましたっ!  志保ちゃん情報による
と料理の腕も確からしいですからこれは期待が持てそうです、ってコラっ!  包丁を
振り回しながら手を振るんじゃないっ!」
「はぅ〜〜す、すいませーん!」
  首をふるふるしながら謝る響。
「だから、謝りながら包丁をふりまわすなーーーーー!!!」
「そう怒るな志保、放送中だぞ。いや、響君の料理はおいしいですよ。私も食べたことあ
りますから」
  怒鳴る志保をなだめるようにしっぽが言った。

「しっぽ……あんた、いつの間に復活したのよ」
「せっかくの出番を気絶で終わらせてたまるか」
「ところでいつ食べたの?」
「前に響君の家に遊びに行ったんだよ」
「……確かあの子のお姉さんって……」
「言うな、思い出したくもない」
「いったい、なにがあるのかしら……これは取材をしてみるべきかも……」
「命が惜しかったら行くな。これは忠告だ。」
「……あんたがそこまで恐れる家って、なんなのよ」
「いろんな意味で恐ろしい場所、それしか言えん」
  二人はマイクに入らないようにぶつぶつと呟いているが、影の行動だ。



「さて、代わってマジックナイト・ジン選手ですが……おおっ!」
「だぁああああああああああ!!!!!」
  ジンの手が無数に見えるくらいの勢いでジンは動いていた。
「ジン選手、すさまじい勢いで材料を刻んでいますっ!  すごいっ!  手が見えませんっ
!  何か刻んでいるようですが速すぎて何も見えませんっ!  というか何をしてるのかも
分かりませんっ!」
「っていうか、何してるか分からん料理ってのもなんだがな」
  しっぽの何気ないつっこみが入る。
「しっぽ!  その言葉、出来上がりを見てから言えやぁあああああああああ!!!!」
「さらに動きが加速しましたっ!  速い、速いです!  あまりの速さと危なさに私達もこ
れ以上近づけませんっ!」
「……何してるか分からんから後で感想いうわ」



「さあ、なんだかんだで時間もわずかっ!  勝負もおおずめっ!  勝つのは混乱と破壊の
担い手、水野選手かっ!」
  「その二つ名はなんなんですか〜〜」
「血と鋼と硝煙の香りをその身に纏う美少女戦士、マジックナイト・ジンかっ!」
  「志保、あとでシメるっ!」
「おおっ、審判のとーるが時計をみました!  カウントどーぞっ!」
  志保が二人の抗議を無視してオーバーアクションで合図をするとデコイがカメラをとー
るにふる。

  ゴンッ

  妙な音にデコイがカメラを戻すと後頭部に大きなたんこぶを作った志保がうつ伏せに倒
れていた。
  しばらくデコイは映してみたがまったく動かないので見なかったことにしてカメラをと
ーるに戻した。
「5、4、3、2、1、0……終了っ!」
  ちょうど良いタイミングでとーるが手をクロスさせながら言った。

  観客から大きな声援が飛ぶ。
「めしぃいいいいいいい!!!!」
  これは誰の声援だか一目瞭然。





「では、判定ターイムっ!」
  復活した志保がカメラに向かって言うと、審査員を紹介し始めた。
  頭に巻いた包帯がさっきの光景が夢ではないことを思い出させている。

「たまにはまともな料理を食わせろっ!  耕一先生!」
  「聞かれたらどうするっ!」
「食わせないと暴れてやると脅しをかけてきた慢性空腹児っ! Runeっ!」
  「久々にまともなもんが食える!?」
「今日もどこかでデンパマン!  月島拓也っ!」
  「懐かしい名前だな」
「少しはまともな人がほしいという理由から抜擢!  由綺先生!」
  「そんな理由だったの?」
「小さな身体のどこに入る!?  柏木楓っ!」
  「…………」
「以上5人の判定でおこなわれます!」
  いつのまにかADをやっているひび猫が手を回すと観客から拍手が起こる。



「では最初は水野選手から……
  おお、普通です!  普通の料理ですっ!」
「どういう意味ですか〜〜」
  志保の実況に半べそで抗議する響。
「いや、面白い料理がでてこないかと期待してたのよ」
  笑いながら志保は弁解した。

「む〜〜まぁいーですぅ。私は卵焼き、卵スープ、オムライスの三品です〜〜」
  説明する響。しかしすでにみんな食べ始めていた。
「聞いてくださいよ〜〜」

「へー、うまいもんだな。いい嫁さんになれるぞ」
  的外れな意見をだす耕一。
「ひさびさのまともなご飯!……がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ…………」
  ただただ食べつづけるRune。
「ふむ、この砂糖とのバランス、それに卵の混ぜ方……」
  うんちくを語り出す拓也。
「うぅ……おいしいけどわたしよりうまいかも……」
  なぜかショックをうけている由綺。
「……ごちそうさま」
  食べるところを見たものがいないが、すでに食べ終わっている楓。
  審査員の言葉が終わった。

「好評で良かったですぅ」
  ほっと一安心な響。
「よしよし、えらいぞー」
  しっぽがねぎらうようになでなでした。
「おにーちゃん、ありがとうです〜〜」
  しっぽがなでなですると更ににこにこと微笑んだ。



「……えー審査員にはおおむね好評のようですね。ほらしっぽ、戻りなさいよ!
  では次、マジックナイト・ジン選手!  って…………これ…………………………………
…………………………………………………………………………………卵ぶっかけご飯?」
「…………………………」
  ジン、無言。
  さっきのすさまじい包丁さばきはなんだったのだろう?

「……なんか独り身の寂しさがしみじみと……」
  妙に達観した意見の耕一。
「白い米!  がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ…………」
  やっぱり食べつづけるRune。
「卵ご飯は、ご飯と卵の微妙なバランスが……」
  やっぱりうんちくを言う拓也
「……お、おいしーね」
  愛想笑いを浮かべる由綺
「……ごちそうさま」
  やっぱり誰も食べるところを見ていない楓。

  審査員の言葉が終わった。


「だぁああああ!  まともに作ったことねーんだからしょうがねえだろうがぁああああ!
!!」
  ジンは半泣きで言った。
  調理場のほうには材料と同じだけ真っ黒に焦げた材料が見える。
「ブレストファイヤーでいためるのは間違ってたのか!?」
  んなことしてたんですかい。



「はぁ……まー、いいわ。さて、判定……ん?  なにしっぽ?」
  いよいよ判定というところで、志保の後ろで耳打ちするしっぽ。
「まだ一品きてるぞ」
「はぁ?」

  志保がふりかえると確かにそこにはオムレツが並んでいた。
  しかも観客全員分用意されていた。

「?  出し忘れかしら?  ……まあいいわ。ならべちゃいましょ」
  その言葉とともに黒子が料理を審査員の前に並べていく。
  黒子はそのまま観客にも配っていく。
「えー、もう一皿あったみたいです。観客のみなさんも一緒にどうぞっ!」

  志保の合図でその場の全員が同時にスプーンを口に運ぶ。


「これって……」
  耕一の額に汗が流れ落ちた。
「がつが……つ……」
  Runeのスプーンの動きが止まる。
「このハーモニーそれ……は……」
  うんちくを言おうとした拓也が固まる。
「………………」
  口にスプーンを咥えたまま、由綺フリーズ
  楓の姿はすでにない。

  ジンは響の、響はジンの料理だと思い込んでいた。



  周りからざわめきが消える。



  ――そして

「わたしの料理どうでしたか?」
  黒子が覆面をとると、そこから出てきたのは想像どおりの人物だった。

































                ザ・ワールド  時よ止まれ










































                そして時は動き出す……



「Xdkajriajjgjaojoaojofejoajeof;ajo;j!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
  阿鼻叫喚の幕が開いてしまったようだ。

「失敗しちゃった、てへ☆」
  千鶴の爽やかな偽善者スマイルが妙に心に残った。





  ジン・ジャザム VS 水野 響  最終戦結果。



        ジン・ジャザム、水野響、生死不明。

               勝者、千鶴。







        打ち上げ:第二購買部の宴



「いやーもうかりましたねー料理勝負。またやってくれるといいんですけど」
  beakerがほくほく顔でお金を数えている。
「?  まあ、結構儲かったけど、そんなに売れたっけ?」
  坂下が妙に多いお金を見ながら言った。

「いや、トトカルチョですよ。トトカルチョ」
  お金をしまいながらbeakerが言う。
「あれは勝負つかなかったじゃない?」
  いまだに不思議そうな坂下。

「やっぱり予想どおりでしたよね」
  トトカルチョの看板を片づけていた沙留斗が言う。
「そーそー、料理勝負といえば千鶴さんですからねー」

「……まさか!?」
  坂下が看板を取り上げ、隅々まで目を凝らした後ため息をついた。
「……はぁ、あんたねぇ……」

  看板の賭ける人の枠の隅っこに、「千鶴」という言葉が小さく書かれていた。

「でも、これってサギじゃない?」
  坂下がジト目を向ける。
「書いてあるなら賭けることが出来る。これは当然でしょう?」
  にやりとbeakerが笑う。
「そ、でも残念だったわね」
  呆れると思っていた坂下が不敵な笑みを返したことにbeakerは戸惑った。
「どーいうことです?」





「……すいません」
  そこへ一人の黒髪おかっぱの少女が入ってきた。
「ほら、噂の彼女よ」
  坂下が笑いながら言う。

「…………ま、まさかっ!?」
  beakerと沙留斗が慌てて飛び出していき、券を見つめる。
「マスター……これって……」
  確かに千鶴、と書かれている。
  坂下は爆笑していた。
  券を売っていたのは彼女なのだ。
「換金、お願いしますね」
  そよ風のような笑顔で楓は言った。



  トトカルチョの売り上げは楓に全て持っていかれてしまったのだ。
  beakerと沙留斗は石化してしまい、坂下はまだ笑っていた。






  ザ・ワールド  時よとまれ









                                     <時間が止まったまま、終劇>

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  そして時は動き出す……(笑)
  はい、やっちゃった(笑)

  beakerさん、企画内容と外れた気がする。ごめん(笑)
  おまけに儲けもなくなっちゃったね☆
  トトカルチョの儲けは差し引き0ですけど、ほかの売り上げは残ってるので安心してく
ださい(笑)

  やってはいけないことをやったような気がしないでもないけど、わたしがVSジン・ジ
ャザムを書いたらこんなもんです。
  途中からなんか違う方向に走りまくってますけど(笑)
  なお、途中で出てくる題は全然意味ないですのであしからず。

  というか、長いぞおい。20kこえたよ(笑)

  作者注:モンプチとは猫まっしぐらなキャットフードです。