Lメモ外伝「すごいよ瑠璃子さん 第一話 ――目指せ、Sモンマスター!―― 」  投稿者:水野 響

  いつものように屋上で電波を集めている瑠璃子に一つの電波が届いた。
  それは不思議なストーリー。
  不思議な動物達と友達になって、世界を巡る物語。
  っていうか、ポケ○ンだった。
「届いたよ」
  瑠璃子はにっこりと空に向けて呟いた。
  空よりも澄んだ瞳と微笑みで。






        Lメモ外伝「すごいよ瑠璃子さん 第一話 ――目指せ、Sモンマスター!―― 」






「というわけなの」
  にっこり。
  瑠璃子の笑顔は今日も素敵だった。
  思わず微笑み返す響。
  だが、
「……はぅっ!  というわけ、じゃなくてこれはなんなんですか〜〜!?」
  響は一瞬で気を取り直して聞き返す。
  もとい……水色の物体が答えた。

「はぅ〜〜なんで電気鼠な上に水色なんですか〜〜」
  響は水色のぴか○うの着ぐるみを着せられていた。
  はっきりいって動きづらかった。
  なぜ、こんな格好をしているのか、いくら考えても結論は出ない。
  響はおたおたしながら瑠璃子に尋ねた。



  それは数十分遡る……



「お魚、お菓子、とっころてん〜♪  バターにみっずあめ、ままれーど♪」
  響は妙な歌を歌いながら廊下を歩いていた。
  今日はお料理研に顔をだすつもりだったのだ。
「響ちゃん」
  その時、瑠璃子が背後から声をかけた。

「兎穴の〜ひっびねっこに〜♪  まっとめてまとめてぬりまっしょう〜♪」
  しかし、響はまったく気がつかない。
「響ちゃん」
  瑠璃子は再び声をかけるがやはり響は気づかなかった。

  瑠璃子はしばらく無言で後をついていくが、歌に夢中なのか一向に気配すら悟ることは
なさそうだった。
  …………
  瑠璃子はちょっと不満そうだ。
  眉の辺りに少しだけしわがよっている。

「レンジで一分、強火でごっふん〜♪」
  響はまだ歌を続けている。
  瑠璃子はごそごそと懐をさぐっていた。
「あっという間に猫料理〜♪」
  ごんっ。
「秋田名物ですぅうううううう!!!」
  妙な叫びをあげて倒れる響。
  瑠璃子の手には殴り倒すために使われた棒が握られている。
  きりたんぽだった。


「くすくす……響ちゃん寝ちゃったね」
  ずるずる……
  瑠璃子は響の襟を持って去っていった。
「……瑠璃子ちゃんって恐い……」
  廊下の影では瑠璃子の意外な行動をみて脅える瑞穂の姿があった。



  そして目が覚めたら電気鼠の着ぐるみを着せられていた。



「こういうわけなの」
  瑠璃子は簡単に説明した。
「ふえ〜〜動きにくいし暑いしむれるし光る畜生だし嫌です〜〜」
  水色電気鼠になった響が半泣きで抗議している。
  着ぐるみの口の部分から顔を出している姿はほとんど小動物だ。
「似合ってるよ」
  にこっ。
  瑠璃子の無垢な微笑み
「はぅぅ……」
  響は何も言えなくなり沈黙した。

「響ちゃん、今日からミズモンね」
「……ほえ?」
  唐突に決め付けられた名称にきょとんとしている響。
「水野響だから、最初をとってミズモン」
「はぅ??」
  響は説明がよく分かっていない。

「一緒にマスターを目指すの」
「はぅ〜〜……あの、わたしの意志は?」
「さあ、いこ」
  ないらしい。
  既に決定事項のようだった。
「うぅ、わたしの意志はどこですか〜〜」
  涙にくれながら明後日の方角を見る響の目に映るのは「ルリコォォォオオオオ!!!」
と叫びながら窓に張りついている月島拓也の姿だった。
「……うぅ、わたしの意志はどこですか〜〜」
  無言で視線を別の方向へ向け、再び台詞を再開。
  見なかったことにしたかったようだ。

「大丈夫だよ」
  嘆いている響に向かって瑠璃子が言う。
「突然、大丈夫って言われても困ります〜〜」
  理由が分からずにやっぱり半泣きの響。
「歩いてみて」
「ふに?」
  ぴこぴこ☆
  歩くと可愛らしい音がした。
「わぁ〜かわいーですぅ♪」
「気に入った?」
「はい〜〜」
  響、陥落。




  ぴこぴこ☆
「えへへ〜〜」
  響は零れ落ちそうな笑顔を辺りに振り撒きながら歩いている。
  かなり気に入ったようだ。
「あ」
  瑠璃子が突然歩を止めた。
「ふきゅ!?  あぅ、いたいですぅ……どうしたんですか〜〜?」
  急に止まったせいで鼻を打った響はさすりながら聞いた。
「とーるちゃん発見」
  瑠璃子は目の前を歩いているとーるを指差す。
「とーるさんですね〜〜」
「とーるちゃんだね」
  何故か確認し合う二人。

「響ちゃん、ごー」
  とーるを指差して言う瑠璃子。
「はいです〜〜」
  すでに飼われている猫状態で、とーるに向かっていく響。

  ぴこぴこ☆
「ん?  何か妙な音が……あ、響く……ん?」
「はろです〜〜!」
  ぴこっ☆と手をあげる響。
  着ぐるみは腕が短いのだ。
「……なんです?  その服っていうか着ぐるみは?」
「ミズモンなんです〜〜足音もぴこぴこでかわいーんですぅ☆」
  響は嬉しそうだがとーるには意味不明だった。


「とーるちゃん、こんにちわ」
「あ、マスター」
「瑠璃子だよ」
  瑠璃子はにこっと微笑みながら訂正した。
「あ……す、すいません……瑠璃子…さん」
  とーるはまだ普通に呼ぶのに慣れていないようだ。

「何かご用ですか?」
  丁寧な口調で尋ねるとーる。
「とーるちゃん、一緒にマスターを目指そ」
「は?」
  瑠璃子は本題のみな会話をした。
「ぴこぴこなんです〜〜」
「はい?」
  響は思ったことしか口に出していない。
  二人の言葉を総合した結果、とーるの頭には疑問符の嵐が吹くだけだった。

「まずはゲットしないとね」
  がしっ!
  瑠璃子は響の着ぐるみを片手で掴んだ。
「はぅ!?」
  突然のことに驚く響。

「あの……?」
  てくてく……
  瑠璃子は響を掴んだまま少し離れていった。
「……何を?」
  とーるは立ち止まったまま瑠璃子に尋ねる。

  次の瞬間、
「とーるちゃん」
  と瑠璃子が言った。
「はい?  何で」
「ゲットだよ」
  とーるが言い終わる前に瑠璃子は微笑みながら言った。
  ぶんっ!!!
「うきゅぅぅぅ〜〜〜〜〜!!!!!」
  とーるに向かって響が投擲される。
「だから何なんですかぁああああああああ!!!!!!」
  ごんっ。
  見事にとーるに命中した。

「これで二匹目だね」
  瑠璃子はにこっと微笑むと二人を引きずりながら視聴覚室へと戻っていく。
「瑠璃子ちゃんがまた……」
  再び見てはいけないものを目撃してしまった瑞穂は震えながら廊下の隅に隠れていた。





「ミズモンは強いね」
「はやや〜〜」
  瑠璃子になでなでされて響はにこにこしている。
  強いといっても一方的に弾丸扱いされていたが。
  その隣にはとーるも一緒にいた。

「なんで私までこんな格好してるんでしょう……」
  そう呟いたとーるは白い電気鼠の着ぐるみを着せられていた。
  すでにトルモンと命名されている。
  一文字かえるとかなりやばいものになるが。
「いや?」
  瑠璃子がその言葉を聞きとがめ、なでなでを中止してとーるを見た。
  童女のように澄んだ瞳にとーるの姿が映っている。

「い、いえっ!  そんなことはっ!」
  とーるは慌てて否定し、
「マスターの為、私は一肌でも二肌でも脱ぎますっ!」
  その後、胸をはって答えた。
  しかし白い電気鼠の格好では素敵なくらい格好がつかなかった。
「はやや〜〜火も吹けるです〜〜」
  ごぉおおおお!
  その横では何時の間にかひび猫によって改造された着ぐるみで遊ぶ響の姿があった。



「んー、後一人くらい欲しいね」
  瑠璃子は目の前の二人をしばらく見た後、そう言った。
  妙に間抜けな光景だが、生徒達は誰も関わり合いにならないように三人を避けて通って
いく。
「まだ増やすつもりですか……」
  とーるが額の汗を拭きながら言う。
  暑いのか冷や汗なのか分からないが、多分両方だろう。
「わーい、仲間が増えるです〜〜」
  短い着ぐるみの手足をぴこぴこさせて喜ぶ響。

「誰かいないかな?」
  瑠璃子は周りを見渡した。
  瑠璃子の顔の動きに合わせて一斉に目線をそらす一般生徒達。
  皆が関わらないようにしている。
「とーるちゃん、響ちゃん、ゲットしてきて」
  くるりと振り返って二人に言う瑠璃子。
  めぼしい人は見つからなかったようだ。
「はいです〜〜」
「はぁ……」
  響は元気よく、とーるは疲れきったように返事をすると勧誘を始めた。


「あぅ〜〜一緒に着ぐるみきませんか〜〜?」
「結構ですっ!」
  響に誘われた瞬間、全力で断って去っていく生徒達。
「あの……」
「いそいでますんでっ!」
  とーるのほうも同様だった。



「空が青いね」
  瑠璃子は二人に任せた後、窓を開けて外を見ていた。
「雲は白いね」
  そよそよと頬を通り抜けていく風はそろそろ暖かくなってきている。
  柔らかい髪を優しく撫でていく。
  もうすぐ夏だ。
「壁には葛田ちゃんだね」
「……こんにちは、瑠璃子さん……」
  葛田が壁にはりついていた。
  視線が合うとへばりつきながら葛田が挨拶を返す。

「何してるの?」
「……趣味です……」
  葛田は思い付きで答えた。
  実は二人が瑠璃子と一緒に行動しているのでなんとなく悔しくなって後をついてきてい
たのだ。
「でも壁に張りついてると危ないよ」
「……はっはっは、大丈夫ですよあぅちっ!……」
  べしっ!
  なかなか景気のいい音がした。

「ごめんなさーい!  あ、瑠璃子ちゃん。こっちにバレーボール飛んでこなかった?」
「うん。飛んできたよ」
「えっと、どこいったの?」
「葛田ちゃんに当たって外に飛んでったよ」
「ありがと〜〜!」
  沙織はボールのありかを聞き出すと去っていく。
  葛田に当たったという言葉は気にならないらしい。
「いい天気だね」
  瑠璃子は再び空を見始めた。



  しばらく後、瑠璃子に声をかかった。
「……いやー、ひどいめに合いましたよ……」
  葛田だった。
「落ちたの?」
「……ええ、見事に首から……でも大丈夫ですよっ!  ほらっ!……」
  元気に腕を振り回してみせる葛田。
  首が変な風に傾いているが本人は平気そうだ。

「はぅ〜〜誰も一緒にやってくれませーんっ!」
「……こっちも駄目でしたよ」
  軽い世間話というか、漫才のような会話をしていた二人の元へ、響達が戻ってきた。
「……ちっ、もう戻ってきちゃったんですか……」
  葛田は不満そうだ。

「駄目だったの?」
  瑠璃子が綺麗な瞳を二人に向けると、
「はぅーです〜〜」
「すいません……」
  響はうなだれ、とーるは頭を下げて謝った。

「でも大丈夫だよ」
  瑠璃子がにこっと微笑みながら落ち込む二人に声をかける。
  そして葛田のほうを指差し、
「葛田ちゃんがやってくれるって」
  と言った。
「……はい?……」
  葛田はいつ言ったっけ?という顔をするが、瑠璃子はまったく気にしていないようだ。

「わーい、葛田さんも仲間です〜〜」
「……葛田さん」
  響は純粋に喜んでいるがとーるはお気の毒に、といった表情だった。

「やってくれるよね?」
  にこっ。
「……も、もちろんですともっ!  こう見えても希代の着ぐるみ師と言われた事だってあ
りますからっ!  まかせてくださいっ!……」
  葛田もあっさりと陥落。
  瑠璃子の無垢な笑顔はすさまじく効果的だった。



「……ふむ……関節のあたりの動きがいまいちですねー……」
  緑色の電気鼠着ぐるみを着た葛田が呟いた。
「どうかな?」
「……はははっ!  瑠璃子さんのプレゼントですから気に入ったに決まってるじゃないで
すかっ!  わははははっ……」
  瑠璃子が聞くと葛田は腰に手を当てて笑った。
  命名、クズモン。
「パーティは出来たね」
  水色、白、緑色の三体の電気鼠気ぐるみを着た三人をしばらくじっと見た後、瑠璃子が
言った。
「あとは敵を倒してSモンマスターを目指そうね」

「Sモンマスター……って?」
  とーるが聞き返す。
「SS使いモンスターのマスターだよ」
  当然という顔で瑠璃子が答える。
「やっぱり私達がやるんですね……」
  諦めきった表情でとーるは呟き、二人も呆れてるんだろうなと考えながらも顔を向ける。

「……ふむ、やっぱり電気発生装置とかつけたほーがいーですね……あと、関節部の強化
したり……」
  葛田はどうやって着ぐるみを強化しようかと顎に手を置いて考え込んでいる。
「目からビームも出るです〜〜」
  ぴーー!
  響の着ぐるみは目ビームを出し、火を吐いている。
  子供のイメージを見事なまでに打ち崩すなんだか訳の分からない生物になっていた。
  というか、子供が見たら泣くだろう。

「まて、二人とも。とりあえず疑問に思うことはないんですかい」
  すでに着ぐるみにはまり切っている二人をみてとーるはつっこんだ。
「……ん?  そーですね……やっぱり電気鼠だけではバランスが悪いかと……」
  葛田の答えは理にかなっていた。
  とーるが聞きたかった答えではなかったが。
「じゃあもう一人ゲットにいこ」
  瑠璃子は葛田の意見を聞いてさらにゲットする気になっていた。

「えへへ〜〜怪獣です〜〜」
  ごぉおおお!!!  ぴーー!
  響は火を吹き、ビームを出しながら辺りをぱたぱたと歩きまわっている。
  すでに聞いてすらいないようだ。
  とーるは現実がすでに扉のむこうに置き忘れられていることを感じて黙ってだくだくと
涙している。
「みんな行こ」
  にこっ。
  瑠璃子の笑顔はある意味、三人を動かす鞭のようなものだった。





  しばらく歩くとTaSに遭遇した。
「OH?  瑠璃子サンじゃないですカ?  ……HAHAHA!  愉快な三人組み連れてマ
スネー!」
「貴方に言われたくはなかったです」
  とーるはジト目で睨みつける。
「……くっ、アフロに愉快といわれるとなんか屈辱感が……」
  葛田は妙な復讐心に燃えていた。
「はぅ?」
  響はやっぱり分かっていなかった。
「TaSちゃん仲間になろ」
  瑠璃子は単刀直入だった。
  はたから見るとかなり嫌なパーティだ。


「ハイ?  瑠璃子さんととーるさんは仲間じゃないデスカ?  OH!  ナルホドっ!  そ
この二人も新たなアフロ同盟の仲間になりたいト」
「……違いますっ!……」
「わたしも違います〜〜」
  TaSの言葉を速効で否定する二人。

「……0.1秒で否定されるとナンカ悲しいですネ」
  珍しくTaSが落ち込んで見せた。
「TaSちゃん、仲間になろ」
  瑠璃子は繰り返して言う。

「シカシっ!  アフロ同盟は不滅デスっ!  さあ、二人ともこのアフロをかぶりなサーイ
!!!」
  TaSはすばやく後方へ飛ぶと、懐から二つのアフロずらを取り出した。
  昼ご飯用の食用アフロをかぶせる気らしい。
「……くっ!  アフロなんぞになって堪りますか!……」
  葛田も対抗するがごとく後方へとび、短い着ぐるみの腕でファイティングポーズを取っ
た。
  二人の間に緊張が走り、二人のバックにフラダンスをするカメハメハ大王と超ペンギソ
のオーラが浮かび上がる。
  勝負は一瞬っ!
  互いの隙をうかがいながらじりじりと二人は移動していく。
「あの〜〜わたしたち着ぐるみかぶってるからアフロつけられないんじゃ〜〜?」
  だが、そんな二人の緊張を無視するように響は言った。
  葛田とTaSの動きがぴたっと止まる。
  図星だったようだ。

「……HAHAHAHAHAHA!」
「……わっはっはっはっはっは!……」
  数秒後、二人とも高笑いをした。
  ごまかしたいらしい。
「えへへへへ〜〜〜」
  響も何故か対抗している。


  ひゅっ!
  そんな漫才のような会話をしている三人に向かって何かが飛んできた。
「OH!  ナンですか……」
  TaSが飛んできたものを見る。
  半球で二色に塗り分けられたボールだった。
「…………一体なんなんデショあぅちっ!」
  ボムっ!
  ボールはTaSの目の前で破裂するともうもうとした煙がTaSを包み込んだ。

「あの……瑠璃子さん?」
  投擲をしている瞬間を見ていたとーるが冷や汗を流しながら聞いた。
「Sモンボールだよ」
「はい?」
「TaSちゃんもゲット」
  ……そーゆーことらしい。
「……はぁ」
  とーるはもう何が起きても驚かないと心に誓った。

  しかし、
「ムっ!  妙な格好をして……貴様ら、何のツモリだッ!」
  煙の中から現れたTaSを見た瞬間、とーるは石化した。
「武士です〜〜」
「……武士……かつおぶし……くっくっくっ」
  葛田が自分でいったギャグで笑い出している。
  確かにTaSは武士の格好をしていた。
  しかも青と白の上着で新選組の格好。
  自慢のアフロが普通の髪型になっているのが、皆に様々な感想を持たせた。

「怪しげな格好をしおっテ!  おのれ、敵デスかッ!」
  TaSが腰の刀を抜き放つ。
  刃はつぶしてあったが、様になっていた。
「ボール間違えちゃった」
  瑠璃子は懐からボールをとりだして眺めている。
  着ぐるみ別に別れているらしい。
「クッ、時間がない……こうしてはおれん!、池田屋に向かわねばッ!」
  そう言い放つとTaSはものすごいスピードで去っていった。
「貴様らとの決着は必ずつけてやるから覚えてオケっ!」
  結局口調は偽外人のままだったが。

「うぉっ!  なんだTaSがアフロじゃないぞっ!?」
「ますたぁがアフロを止めてる!?  裏切ったな!  俺にアフロをかぶせておきながら自
分がアフロをやめるなんて、俺の気持ちを裏切ったんだな!!!」
「あぁ、TaSさんがアフロじゃないっ!  世界は終わりなのっ!?」
  TaSが去っていったほうから阿鼻叫喚の悲鳴が聞こえてきた。
  みんなの本音というか、どう思っているかがよく分かる感想だった。



「……これからどうしましょう?」
  とーるはTaSのことはなかったものとして瑠璃子に話し掛ける。
「マスターを目指すの」
  瑠璃子ははなから気にしていないようで、普通に答えた。
「……アフロんなら毛糸洗いに自信がもてーます……」
  葛田が微妙に現実逃避しながらギャグを飛ばしている。
  葛田はTaSの件が密かにショックだったようだ。
「はやや〜〜」
  響はまた通りすがりの生徒になでなでされていた。
  完全に小動物扱いだった。

「じゃ、みんないこ」
  瑠璃子がにこっと笑いかける。
「了解です」
「……はい……」
「はいです〜〜」
  瑠璃子の笑顔は三人にとって最終兵器だった。
  三人とも賛同の声をあげる。
「目指すはSモンマスターだよ」
  そう言いながら歩く瑠璃子の後をついていく三人、いや三体の色違い電気鼠だった。






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   次回予告

「くっ、強いっ!  ていうか、やっぱり着ぐるみかぁああああ!!!」
  とーるが叫ぶ。
「……導師……あなたも着ぐるみですか……」
  葛田が笑いを堪える。
「あぅ……痛いです〜〜」
  響が転んで泣く。

「これで終わりだっ!!!」
  最強の敵が三人を襲いかかる!

「まてルリコっ!  貴様ら、瑠璃子手を出したらただじゃ置かないだルリコっ!」
「何者だっていうか、口調で分かるから来るな」
  現れる最後の味方。
  彼は切り札に成り得るのか。

  そしてその正体はっ!(ばればれ)


  次回、すごいよ瑠璃子さん第二話「綾香は放つ!  二体のSモン!」
  こうご期待っ!(嘘)



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  もちろん続きません(笑)
  一発ネタですから。

  とーるさん、葛田さんごめんよぅ(汗)
  TaSさんはもっとごめん(笑)
  アフロじゃないTaSさんを書いてみたかったの。
  こんなんになったけど(汗)

  ノリだけで書くとやっぱりストーリーに重みがないなーと思う今日このごろ。
  まぁ、こんな馬鹿な話が重苦しかったら最悪だと思うけど(苦笑)


  この番組は「ノリはともかく重みが欲しいっ!」な水野響がお送りしました(笑)