Lメモ「クソゲーハンターの午後・コケモモ様の憂鬱編」 投稿者:水野響

  廊下をほてほて歩く水色の物体が一つ、もとい水色の髪の少年がいる。
  向う先は購買部だった。

「今日は〜〜にく〜〜まん〜〜なの〜〜です〜〜♪」
  目標は三時のおやつの買い出し。
  ほのぼの度は普段の二割八分増し、言葉の伸ばし方も二割八分増し。

「なのです〜〜なのです〜〜いよ〜〜っ」
  喜びのあまり、歌舞伎チックになってみたり。
  ぽむっ。
  頭上の猫も合いの手をいれてみたり。
  にくきゅーで。


  この少年、姓を水野、名を響、字名をビート・ルディ・ヒビネコという。
  字名は嘘だが。





        Lメモ「クソゲーハンターの午後・コケモモ様の憂鬱編」





  とてとてとて。(道を歩いてる音)
  からっ。(障子を開ける音)
  ぱしんっ。(閉じる音)
  ほてほてほて。(畳の上を歩く音)

「あ、水野君、おかえり。にくまんあった?」
  茶道部に戻ってきた響に風見は声をかけた。
「はぅあー、ばっちりなのですっ!」
  指を曲げてVサインする響。

「……どこ見てるの?」
  風見の隣にいた美加香が不思議そうな顔をする。
「視聴者にあっぴーるなのです〜〜」
  正しいのか間違ってるのかよく分からない発音で答えながらも、天井のほうに向けてV
サインし続ける響。
  二人は瑠璃子さんの電波を食らったのかな?などと思っていたが、いつものことといえ
ばいつものことっぽいので、それとなく聞き流す事にした。

「で、水野君、にくまんは?」
  風見が再び聞くと、
「これなのです〜〜」
  と、にこにこしながら響は袋を手渡す。
  妙に平たい袋を。
  風見は妙に平坦な目をして、無言で袋を開いた。



  出てきたのは一枚のCDだった。



「……あー、水野君?」
  風見、にっこり。
「はぅあ〜〜?」
  響、つられてにっこり。
「よいしょっ、と」
  美加香、なんとなく座卓を隅に移動。
  暗黙の了解というやつだ。

「これは?」
  ひなたはにっこりと微笑みを浮かべたまま聞く。
  血管マークが一つ額に浮かんでたりするが。
「CDです〜〜」
  ひびきもにっこりと答える。
  額に一筋汗浮かべつつ。

「僕が買ってきてっていったのは、にくまんだよね?」
  ひなた、まだ微笑みモード。
  しかし額の血管マークは二つ目に到達、三つ目も時間の問題らしい。
「はいです〜〜」
  響もまだまだ微笑みモード。
  既に腰がひけてたりするが。

「で、これは?」
  ひなたは立ち上がりつつ、聞いた。
「し、しーでーなのですぅ……」
  響は後じさりしつつ、答える。
  発音は63点といったところだ。






  数秒後、茶道部に悲鳴が響き渡った。






『ああ、あの時だろ? 
  ほんとびっくりしたよ。
  なにしろ悲鳴のあとに、茶道部の建物がサザエさんのEDの家なみに揺れたんだから。
  いや、揺れるっていうよりは踊るっぽかったけどな。
  でもそこでぼーとしてたのが運のつきだったんだ……
  やつが迫って……やつ…………はっ!?   き、きさま志保じゃねぇなっ!?
  誰だっ!?   うわっ。くそう、こんなのところで……はっ、あかり!  くるな、ここ


  (以後数分、ノイズと爆音、悲鳴や奇声などが入り交じり判別不能状態が続く)


  (音声復帰、しばし無音が続く)


  くすくす……電波とどいた?   AM短波で(ぶつっ)』


  偶然通りすぎた藤田浩之による、事件当時の回想を録音したテープより抜粋。



                      【ハイドラントの野望】



「ま、買ってきちゃったものは仕方ないですし……せっかくだからやってみましょうか」
  がさがさとゲーム機本体を引っ張り出しながら言う風見。
「よいしょっと」
  美加香は座卓を元の位置に戻していた。
「うきゅぅ〜〜ごめんなさいです〜〜」
  ちなみに響はロープぐるぐる巻きで宙吊りの刑に処されていた。
  見た目、みのむし。

「さーて、はじめましょうか。あ、美加香、お茶」
「はーい」
  二人はなんだかほのぼのしてるし。



  かちっ(電源オン)










        画面に映ったのは暗黒舞踏を踊る少女達。









  かちっ(電源オフ)



「美加香」
「はい」



  茶道部に再び悲鳴が響く。
  SS不敗流、今日も今日とて修行なし。



                      【帰ってきたハイドラントの野望】



  とてとてとて。
  からっ。
  ぱしんっ。
  ほてほてほて。


「苦情を言って交換してきてもらったです〜〜」
  響が茶道部に戻ってきた。
  ゲームが違う、といって交換してきてもらったらしい。
  beakerはぶつぶついっていたが、結局交換してくれた。
  金よりも信用をとるあたり、なんだか未来の打算が働いてる気もするが響には何の関係
もないことではある。

「じゃ、今日こそやってみようか。あ、美加香お茶」
「はいはい」
  ぱたぱたと台所へ向う美加香。
  それを見て、なんだか奥さんと旦那様みたいだなーと思う響。

「思わないっ!」
  げしっ。
「あぅっ!?  人の心を読まないでください〜〜」
  読心術でも使ったのだろうか?
  響は半泣きだ。
  SS不敗流にどんな技があるのか、未だ謎に包まれたままである。

  この話には一向に関係ないが。



  かちっ(電源オン)



>新しくゲームを始める
 続きから始める



どの大名で始めますか?



 山城 柏木千鶴
 摂津 来栖川芹香
 加賀 西山英志
>越後  風見ひなた
  尾張 ハイドラント
 甲斐 ジン・ジャザム
 相模 岩下信
  肥前  とーる
 ・
 ・
 ・



《ゲームスタート》

 ポンポンポン……(コンピューター処理中の効果音)

 パラパラパラパー!(何かイベントが起きた時の効果音)

《相模の岩下より、同盟の申し込みがありました  申し出を受けますか?》

  Y/N    Y

越後大名風見ひなた
『おお、それは願ってもない』

《越後の風見は同盟申し込みをうけました》

相模大名岩下信
『ありがたい。これはほんの気持ちです。受け取ってくだされ』

《同盟の証として四季姫が送られてきました》

四季姫
『常々お慕い申し上げておりました』



  翌月



《ここまでの記録を保存します》


《相模の岩下への同盟を破棄し、攻め込みますか?》

  Y/N  Y

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!(戦闘の効果音)

 ブッブー!

《相模の岩下が勝利しました》

 チーン。(打ち首の効果音)

越後大名風見ひなた
『無念じゃ……』

GAME OVER

《あなたは全国統一を達成する事が出来ませんでした。
 もう一度最初からやり直しますか?》

「…………」
「…………」
「うきゅ?」



  新しくゲームを始める
>続きから始める



《相模の岩下への同盟を破棄し、攻め込みますか?》

  Y/N  N

《越後の赤十字美加香が風見ひなたに対して謀叛を起こしました》

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!(戦闘の効果音)

 ブッブー!

《謀叛が成功しました》

 チーン。(打ち首の効果音)

越後大名風見ひなた
『無念じゃ……』

GAME OVER

《あなたは全国統一を達成する事が出来ませんでした。
 もう一度最初からやり直しますか?》

「…………」
「…………」
「うゆ?」






  『茶道部で原因不明の爆発!  テロの仕業かっ!?』

        情報特捜部発行の新聞より。



           【ハイドラントの野望・全国版】



  とてとてとて。
  からっ。
  ぱしんっ。
「うきゅぅっ!?」
  障子で手を挟んだらしい。


「ひなたさん、もうやらないんですか?」
  美加香はCDを手で弄びつつ聞く。
「誰がこんなゲームやりますかっ!」
  風見は畳の上でふて寝モードに入っていた。

「じゃ、私がやってみようかな……」
  呟きながら美加香はCDをゲーム機にセットする。
「わ〜〜、はじまりはじまりなのです〜〜」
  ぱちぱちぱち。
  隣で無意味にはしゃぐ響。
  場は一向に盛り上がらないが、とりあえずゲームは始まる。



  二時間後。



「ふぁ〜〜」
  あくびをしながら起き上がった風見は、まだTVの前に座っている美加香に気付いた。
「……あれ?  まだやってるんですか?」
  よく飽きないなぁ、と思いながら風見は美加香のほうへ近づく。
  しかし、美加香は一向に気付かない。
  驚かしてやろうかな?とふと思ったけれど、それは別の機会にすることにした。
  ゲーマーの血が多少騒いだらしく、ゲームの進行具合が気になったらしい。
  そういえば水野君はどこにいったんだろう?と思いつつも、美加香の肩越しに視線を向
けた。

・
・
・

《越後の赤十字は越後の風見の動向を探っています》

  タッタッタッタッタ……

《越後の風見ひなたが肥前の新城さおりに貢ぎ物をしていました》


「…………」
  かちかちっ


《越後の赤十字は越後の風見ひなたに対して暗殺コマンドを実行しました》

  サッサッサササッ

  ザクッ

《越後の風見ひなたは赤十字によって暗殺されました》

越後大名風見ひなた
『無念じゃ……』



  ピッピッピッ(ロード中)



《越後の赤十字は越後の風見の動向を探っています》

  タッタッタッタッタ……

《越後の風見ひなたが肥前の新城さおりに貢ぎ物をしていました》


「…………」
  かちかちっ


《越後の赤十字は越後の風見ひなたに対して暗殺コマンドを実行しました》

  サッサッサササッ

  ザクッ

《越後の風見ひなたは赤十字によって暗殺されました》

越後大名風見ひなた
『無念じゃ……』



  ピッピッピッ(再びロード中)



《越後の赤十字は越後の風見の動向を探っています》

・
・
・

(…………)
  冷や汗をたらしつつ、風見はその場を離れようと腰を浮かせた。
  そして、そろそろと離れようとした時、
「ひなたさん」
  と、声がかかった。
  妙に平坦な口調で。

「は、はひぃぃいいいい!?」
  身体をぶるっと震わせつつ、風見は答える。
  微妙に声が裏返っていたが特に美加香は気にした様子もなく、ゆっくりと振り向き、
「これ、なかなか楽しいですよ」
  と、にっこりと微笑みを浮かべながら言った。


  後日談――


「女の子の笑顔って……ある意味、最強の武器ですよね……」
  風見は遠い目をしてそう言った。
  逃走していた響を捕まえ、うめぼしぐりぐりを10回ほどお見舞いした後で。
「……〜〜」
  響は妙に虚ろな目でそれを聞いていた。
  かなり痛かったらしい。



          【ハイドラントの野望・戦国群雄伝】



  とてとてとて。
  からっ。
  ごんっ。
「むきゅぅ!?」
  風見が障子の間に仕掛けた金タライは見事命中した。


「……いつもこんなことをしてるのか?」
  金タライの下でじたばたしている響を見て、西山は苦笑を浮かべながら呟いた。
「いやですよ、師匠。いつもなわけないじゃないですか」
  風見はぱたぱたと手を振り、笑いながら否定する。
「そうですよ。いつもは水野君、勝手に自爆しますから」
  美加香も笑いながら風見の後を続ける。
「はぅあ〜〜」
  響は短い手足をじたばたさせている。

「…………で、これが噂のゲームなのか」
  西山は何事もなかったかのように本題に戻った。
  懸命だ。
「ええ、僕はつまらなかったですけど」
  風見は言う。
「わたしは結構楽しかったですよ」
  にこにこと美加香も微笑みながら言う。
  風見は汗びっしょりになった。
「ふえ〜〜重いですぅ〜〜」
  金タライにつぶされた状態で響はほったらかしだ。
  重さも堅さも大きさも特別製らしい。


「ま、やってみるか……」
  西山はスイッチを入れた。
  風見と美加香は後ろで見物モードに入った。
  響はまだじたばたしている。


 山城 柏木千鶴
 摂津 来栖川芹香
>加賀  西山英志
  越後  風見ひなた
  尾張 ハイドラント
 甲斐 ジン・ジャザム
 相模 岩下信
  肥前  とーる
 ・
 ・
 ・


  カチカチッ(自国の武将一覧を見ている)

「…………」

  じたばたじたばた(まだ、もがいている)

  カチカチッ(他国の武将一覧を見ている)

「…………」

  じたばた…………(なんとか脱出したらしい)

  カチカチッ

「…………」

  …………(風見の横に移動する)

  カチカチッ

「…………」

  …………(一緒に見物している)

  カチッ…………


「…………」
  コントローラを置くと、西山は無言で部屋を出ていった。
「「「…………」」」
  部屋の三人も無言で見送った。
  小さな日の丸の旗を振りつつ。

  ぱたん。

「……」
「……」
「……」

  その後。しばらく無言が続いたが、
「あ、美加香。お茶いれてくれますか?」
  風見の一言で時間は動き出した。

「はいはい」
「わたしが羊羹を切るのです〜〜」



  ――中庭にて


「XY−MENっ!   貴様ぁぁぁああああああああああああああああああっっ!!!!!
楓がなんで貴様の国にいるっっ!?  楓を返せぇぇぇええええええええっっ!!!!!」
「なんだっ!?  何を言ってるのかさっぱり分からんぞっ!?」
「うるさいわぁあああああああああああああああああああああっっ!!!!!」
「ええい、お前がうるさいわっ!  商売の邪魔だっ!  あっちいけっ!」
「黙れぇぇぇえええええええええええええええええええっっ!!!!!」



  中庭は  今日も今日とて  戦場に
                            ――中庭に残されていた紙切れに書かれていた俳句より――



  ――再び茶道部


「なんていうか……のどかですね」
  ずずず……。
「ほんとに……」
  ずずず……。
「熱っ〜〜!?」
  ふーふー。



          【ハイドラントの野望・武将風雲録】



  とてとてとて。
  ……(障子をチェックしている)
  からっ。
  ぱしんっ。
  ほてほてほて。
  ずぼっ。
  ひゅるるる〜〜〜。
「うきゅぅっ!?」
  数歩歩いたところで落とし穴にはまった。
  畳の上なのに。


「……今日は修行どーしましょうか」
  お茶を一杯飲んだ後、なんとなくだるそうに風見が呟いた。
「……今日もなしじゃないんですか?」
  同じくだるそうに美加香も呟く。
  二人ともあとちょっとでたれそうなくらい、だれていた。
「うきゅぅ〜〜」
  響はやっと這い上がって、穴から顔を出していた。
  かなり深かったらしい。

  てくてくてく。

「あ、結城君」
  たれひなたまであと一歩というところで、風見は結城が入ってきた事に気付いて顔を上
げた。
「どうも」
  結城は一礼したあと、部室に足を踏み入れた。

  ぶみっ。
「うきゅぅ〜〜〜」
  結城は気付いていたのか気付いていないのか知らないが、響の頭を踏んで風見達のほう
へ歩いていく。
  響、再び地底の世界へ落下中。
「なんでスパイクなんですか〜〜!?」
  そんな叫びを残しつつ。
  結城はスパイクを履いていたらしい。
  茶道部の畳の上を普通の顔してスパイクで闊歩する男、結城光。
  さすがに一筋縄ではいかないらしい。
  なにが、という疑問は誰も口にしないところも素晴らしい。


「おや?  これは?」
  無意識に響を見事に地底に埋葬した結城が放り出されているゲームに気が付いた。
「ああ、クソゲーですよ」
  風見はやる気なさげな答えを返す。

「ふーん、つまらないんだ……やろっと」
  なんだかつまらなさそうな顔をして、結城はゲームのスイッチを入れた。
  この男の行動原理はホームズでも解明できまい。


 山城 柏木千鶴
 摂津 来栖川芹香
  加賀  西山英志
  越後  風見ひなた
  尾張 ハイドラント
 甲斐 ジン・ジャザム
 相模 岩下信
  肥前  とーる
 ・
 ・
 ・


「えーと……よし、これにしよう」
  かちっ。

  てろりろりーん(何かが起きた音)

  てーてーてー(ロゴが出てくる)



  消火栓クラッシャーズ



「なんでコマンドをいれてゲームが変わるっ!?」
  おもわずがびーんとなる二人。
  しかもアクションゲームになってるし。

「いやー、なかなかおもしろいですね」
  結城、御満悦。
「世界って広いですねー」
  風見、納得。
「うぅぅ、こんなの違うぅぅううう!!」
  美加香、苦悩。

  茶道部の一日は、今日も平和に過ぎていく。



  ――その頃

「がぅがぅっ」
「うに〜〜、照れるです〜〜」
  響は地球の裏側でワニと一緒に戯れていた。
  食われる危険性も知らずに。



           【ハイドラントの野望・覇王伝】



  とてとてとて。
  ……(障子のチェック中)
  からっ。
  ぱしん。
  ……(床のチェック中)
「はろーなのです〜〜」
  響、やっと無事到達。

「あれ?  水野君、やけたね?」
「うにっ!  紫外線はばっちりなのですっ!」
  日焼けで真っ黒だった。



「あぅ?  誰もやってないんですか?」
  ゲーム機は誰も手をつけていないことに気付く響。
  なぜゲームのほうに興味を示したのかは、何か得体の知れない力でも働いている模様。
「あー……やります?」
  風見はぼけーとしたまま言う。

「うにっ!  いくですごーですぼむですっ!」
  ファミ拳リュウのごとく、すさまじいいきおいでコントローラを叩く響。
  シュミレーションゲームなのに。
  しかも発言からして爆発もするらしい。


 山城 柏木千鶴
 摂津 来栖川芹香
  加賀  西山英志
  越後  風見ひなた
  尾張 ハイドラント
 甲斐 ジン・ジャザム
 相模 岩下信
  肥前  とーる
 ・
 ・
 ・


「えーと……わたしの名前はどこですか〜〜?」
  かちかちっ。


  変な森  水野響


「わー、あったのです〜〜」
  響、大喜び。
「変な森……?」
  風見と美加香、いやな予感爆裂中。
  しかし、ゲームは始まる。


《今日は一日平和でした》

変な森大名水野響
『わーいです〜〜』

《犬がいます》

  逃げますか?   Y

《逃げ切りました》

変な森大名水野響
『わーいです〜〜』


「…………楽しいですか?」
  風見は一筋の汗を浮かべながら聞くと、
「うに、ばっちりですっ!」
  にへ〜〜とした顔をして響は肯いた。

「はぁ……」
  風見、気力50に低下。
  もはやプログナ○フも使えない。


にゃぁっにゃぁっ(猫が走る音)

「うにっ」

にゃぁにゃぁ(猫が喜んでいる)

「楽しいです〜〜」


  ……そうか?



           【ハイドラントの野望・天翔記】


1582年6月。

 ちゃらちゃらちゃちゃ、ちゃらちゃらちゃちゃ♪(ヤバげな曲)


「あ、水野君水野君、歴史イベントの『本能寺の変』だよ」
  風見が後ろから声をかける。
「うに?」
  響はよく分かっていないらしい。
  というか、まだやっていた所を見ると誰も止めなかったようだ。



丹波武将篠塚弥生
『敵は本能寺に在り!』

《丹波の篠塚弥生が山城に攻め込みました》

山城大名ハイドラント
『如何なる者の企てか!?』
山城武将川越たける
『旗印には、桔梗の紋が!』
山城武将電芹
『桔梗紋ならば、篠塚弥生!』
山城大名ハイドラント
『是非に及ばず!』

 チャンチャンチャン、チャンチャンチャン!

山城大名ハイドラント
『人間五十年……』

《ハイドラントが死亡しました》


「はっはっは、信長役の宿命ですね」
  風見は横で笑っている。
「もー、ひなたさん。笑っちゃわるいですよ」
  と言いつつ、一緒に笑っている美加香。
「うに?」
  やはりイベント自体理解してない響。


播磨武将葛田玖逗夜
『導師が死んだっ!? …………”どうし”よーーーー!!!』

《葛田玖逗夜は混乱している間に敵に攻められて死亡しました》


「どんどんイベントすすみますね」
  風見が画面を見ながら呟く。
「こういうゲームなんでしょう」
  なぜか悟ったように美加香も呟く。
「うに〜〜?」
  響はやはり理解していない。


河内武将神凪遼刃
『篠塚先生が導師を討った? ふーん』

越前武将T−star
『ふむ……まあ、良かろう』

信濃武将むらさき
『えーと、これからは弥生せんせいの言うことを聞けばいいの?』

甲斐武将高橋
『謀叛? ムホン? そそそ、そいつはワンダホォォォォォォォォ!!!」

山城武将神海
『ハイド家の武将は皆、殿を新たな主君として認めるようです』

山城大名篠塚弥生
『当然ですね』



「なんていうか……弥生さんって、高飛車?」
  風見がふと呟く。
「あああ、そんなこといったら秘密部隊に消されますっ!」
  なぜか美加香は大慌てで風見の口をふさいだ。

「秘密部隊って……」
  風見の頬に汗が一筋光った。
「ああ、こーゆーいべんとなのですねっ」
  響はやっと理解したらしい。



相模大名セリス
『篠塚先生とは、戦う理由がないな』

安芸大名藤田浩之
『ハイドラントの馬鹿ならともかく、弥生先生なら将軍として認めてもいいか』

越後大名風見ひなた
『じゃあ皆さん、戦いはこれまでって事で』

駿河大名ディルクセン
『これからは、篠塚幕府に忠誠を誓いましょう』

豊後大名きたみちもどる
『我は一生ついていきますぞっ!!』

肥前大名とーる
『まぁ、あの方ならいいんじゃないんですかね』



「なんかハイドさん、ちょっと可哀相かも」
  美加香もふと呟いた。
「なにっ!  美加香、お前あいつの肩を持つ気ですかっ!?」
  その呟きに風見が反応する。


《篠塚弥生は全国統一を果たしました》


「いや、そういうことじゃ……あああ、ひなたさんっ!   100tハンマーは危険です
っ!  主に著作権がっ!」
「みぃいいいかぁぁあかぁあああああああ!!!!」
「うゆぅ〜〜危険がぴんちですぅぅううう〜〜!」

  ごんごんごんっ!

「……ひなたさんって意外と嫉妬深いんですね〜〜」
「みぃぃずぅぅのぉぉくぅぅぅんっっっ?」
「うっきゅぅ〜〜〜〜〜〜」


 ちゃらららんららんらん、ららら〜♪(エンディング曲)



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  元ネタ提供:ハイドさん。

  ……だから文が長いって、自分(笑)