新規参入Lメモ「氷上零登場!」 投稿者:氷上 零




試立リ−フ学園…。
どこかにある特殊な場所。
これは…そこでの物語である。

    新規参入Lメモ「氷上零登場!」

……ここはリ−フ学園の中庭。
昼休みだけあって木陰で食事する者や、屋台で食べている者もいる。
この学園の中でもこの時間のこの場所は穏やかな空気に満たされている。
その中でベンチに座って本を読んでいる者がいた。
高校生にしては身体が大きい青年である。
燃えるような真紅のスカ−フを着用し、西部劇にでてくるような帽子を被っている。
傍らには昼食と思われる缶コ−ヒ−とサンドイッチ。
しばらくすると彼は読んでいた本を膝に置いた。
「う−ん…せっかくの昼休みに参考書なんか読んでももったいないか…」
そう言って彼はコ−ヒ−を一口飲み、サンドイッチを食べ始めた…。


彼の名は氷上零。
今年、この学園に入った一年生である。
彼がこの学園に来た理由はただハイドラントが在学している為。
氷上の学力ならもっと上の高校にも余裕で入れただろう。
彼の担任も不思議がっていた。
氷上にとってハイドラントは絶対であり、忠義の対象である。
その忠誠度は彼の所属するダ−ク十三使徒の中でも一、二を争う程だ。
つい、最近までは『蛇』の一員として暗躍してきたが少し前に表側の使徒にもなった。
その時に出された課題も無事終了し、これからは表と裏で活動することになる。
特技は射撃。その腕前はかなりのモノだ。


「さて…食事も終わったしどうしようかな…ん?」
ガサガサッ!
氷上が考えていると突然、彼の前に人が降りてきた。
「おわっ、く、葛田師兄、脅かさないでくださいよ…」
降りてきた人物は氷上の尊敬する相手の1人、葛田玖逗夜だった。
「それは失礼…。導師からの伝言です。放課後、部室に来るように、と……」
葛田はそう言うとすぐに立ち去っていった。
「放課後か…。別に用事も無いし行こうかな…さて」
氷上は葛田の去った方向をしばらく見つめてから踵を返して二年校舎『エディフェル』に向かった。


一方、こちらは『エディフェル』二階の廊下。
藤田浩之と神岸あかりが昼食を終えて教室に戻ろうとしていた。
「あかり、今日も弁当うまかったぜ」
「ふふ…ありがと、浩之ちゃん」
「ちゃんづけはやめろって言ってるだろ」
浩之のグリグリ攻撃。
「あうう……」
グリグリ攻撃であかりはマルチみたいな声を出した。
「マルチとかぶるぞ」
「そんな事言ったって…」
ちょっと涙目になっているあかり。よほど痛かったのか。
「そう言えば雅史と志保はどうした?」
浩之が聞くとあかりが、
「あ、うん…雅史ちゃんは部活のミ−ティングだって。志保は何処にいるかわからないけど…」
「ま、たまにはこうして二人だけになるのもいいな」
「そうだね、浩之ちゃん。…あっ」
「…………」
「やっぱり、いまさら変えられないよ…」
(う−ん…ま、いいか。いきなり変えろって言ってもあかりには無理だろうし……)
「わかった、すぐじゃなくてもいいから少しずつ変えていけばいいって」
「ありがとう、浩之ちゃん」
(ったく…しょうがねえな…)
苦笑する浩之。そうこうするうちに二人は教室についた。
「んじゃ、俺は寝るわ……」
浩之は机に戻るとさっそく眠り始めた。そんな様子を見てあかりは苦笑しながら自分の席に戻る。
「浩之ちゃんてば…すぐ寝ちゃうんだから…」
あかりは寝ている浩之を見て微笑んだ。ちなみに浩之の席は廊下に面した側、あかりは教室のほぼ真ん中。


その頃、氷上はちょうど今、浩之とあかりが歩いていた廊下を通って彼らのいる教室に向かっていた。
(神岸先輩はいるだろうか…)
氷上がそんな事を考えた時、後ろからどなり声とドドドドという足音が聞こえてきた。
(何だ…?)
氷上が後ろを見ると……


こちらに向かってくる二つの人影が見えた。


「うゆうゆ〜☆」
「止まれぇ水野ぉっ! 止まらなければ撃つからなっ! よぉしよしよしよし
止まるなよぉぉぉぉっ!?」
大量の重火器をぶら下げて廊下を爆走するディルクセンとその前にはお気楽に廊下を
駆け抜けて行く水野響の姿があった。
「な、なんだ、なんだっ!? ぐはっ!」
氷上が気付くのと同時に水野が氷上をふっ飛ばして廊下を駆け抜けて行った。
壁に叩き付けられうめく氷上がふとディルクセンの方を見るとグレネ−ドランチャ−を
構えている。その銃口は真っ直ぐ水野響を狙っていた。そして水野の先にはある教室がっ!
「あっ……」
氷上がそれに気付いた時……
「くははははははぁっ! 跡形もなく消し飛べぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

ズドンッ!

ディルクセンが爆音と共にグレネ−ド弾を発射した。
発射されたグレネ−ド弾は響目掛けて一直線に突き進むが――僅かに狙いを逸れて、
問題の教室に着弾する。

ドガァァァァァァァァンッ!!!

「ちぃっ! 外したかっ!!!」
「外したか、じゃないだろっ! ジン先輩じゃあるまいし、校舎の中でそんなものぶっ放すなっ!!!」
安眠を妨害された浩之が非難の声を浴びせるが、ディルクセンは少しも聞いていなかった。
「アントンは東側、ベルタは西側を封鎖っ! カ−ルとド−ラは階段を封鎖っ!エミ−ルが
北側から追い立てて、南側へ誘導しろっ! ただし傷は付けるな、止めは絶対に俺が刺すっ!!!」
怒りに我を忘れているディルクセンを見て浩之と氷上は完全に引いていた。
一体、何が彼をここまでさせたのか。
(ヅラ……だろうな)
浩之と氷上は同じ事を考えた。
彼方へと行きつつあるディルクセンを横目で見つつ浩之はすごすごと焼き焦げた教室に入っていった。


氷上は教室へ入っていく浩之を見ると思い出した様子でその後を追った。
さすが頑丈な身体だ。見たところ怪我一つ無い。
(そうだっ!藤田浩之などどうでもいいが神岸先輩は無事なのか!?)
教室に入ると浩之とあかりが何やら会話していた。
とりあえず、あかりに怪我は無いようだ。
「大丈夫ですか?神岸先輩に藤田先輩…」
氷上が声を掛けるとあかりが先に反応した。
「あっ、氷上君。大丈夫、心配してくれてありがとう」
その様子を見て浩之が
「おっ、氷上。ひさしぶりだな」
「おひさしぶりです、藤田先輩」
氷上は軽く礼をするとここに来た目的を実行し始めた。
「で、今日は何の用だ?」
「ええ、お二人はこれを知っていますか?」
そう言って氷上が懐から取り出したのは一枚のポスタ−だった。
そこには大きく『試立Leaf学園 特別コンサ−トイベント』と書かれていた。
「コンサ−ト……?」
浩之が知らないという顔をする。あかりも同じようだ。
「まだ、生徒には通知が来てないのかな…?学園が生徒達への息抜きにと、外の歌手を招待するんです」
氷上が説明すると浩之とあかりはふ−んと納得した。
「外の歌手って…誰が来るの?」
あかりがもっともな質問をする。
「ああ、今人気絶好調中のチャイルディッシュ・アン・アワ−です」
「マジか!?」
「はい」
「志保が聞いたらどんな顔するんだ…?」
浩之は驚きを隠せない。あかりもそうらしい。
「一応、姉がその業界に詳しいので…信用できる情報です」
「で、そのコンサ−トがどうかしたのか?」
「実はコンサ−ト終了後に30枚限定のサイン会があるんです…
その色紙を神岸先輩にプレゼントしたいと思いまして…」
氷上はそう言った。
「いいの…?私が貰っても…」
「はい、もちろん」
「じゃあ…貰おうかな」
「では…当日、その時にお渡ししますね。それでは私はこれで……」
「あっ、うん、じゃあね、氷上君」
「じゃあな、氷上」
「はい、それでは失礼します」
氷上は最後に軽く礼をして教室を出た。

ボコッ!

「ボコッ…?」
その瞬間、さっきの爆発で脆くなっていた床は氷上の足元でその口を開けた。
空中に浮ぶ氷上…滞空時間約2秒。
「バ、バカなッ!私が……?落ちるなんてぇぇぇぇぇっ!!」
眼に涙を乗せて氷上は落ちていった…。

ドス−ンッ!

「痛っつ〜…な、なさけない…」
氷上は頭を振って立ち上がった。
「まあ、いいか…そろそろ教室に戻ろう…あれ?」
そこで彼は何かに気付いた。何かを踏んでいる…。
「ひ、氷上君、踏んでる、踏んでる!」
足元から声が聞こえたので見るとYF−19ことシッポが氷上に踏まれていた。
「おわっ、シッポ先輩、すいませんっ!」
慌てて退く氷上。シッポは痛つつ…と言いながら起きあがった。
「ち、注意してくださいよ…突然、上から降ってくるなんて思いませんから…」
「はい…すいません」
「それじゃ…私はこれで…」
「はい…それでは…」
シッポが見えなくなってから氷上も歩き出した。
氷上はそのまま『エディフェル』を後にした。


「ん……?あれは生徒指導部の永井?」
『リネット』に戻る途中、氷上は何やら怪しい行動をしている永井を見た。
「ま、私が気にする事ではないな…」
そのまま氷上は『リネット』に戻った。


そして放課後……
氷上は言われた通り第二茶道部の部室にやってきた。
入口を開けて中に入ると部室内には他の幹部達が集合していた。
氷上は『蛇』の時に見ていたが師兄と弥生さん以外の幹部は氷上を初めて見るハズ。
ここで氷上は納得した。
(そう言えば師兄と弥生さん以外の幹部のみなさんは私の事を知らないのか…
ってことは自己紹介かな…?)
「来ましたね…」
葛田玖逗夜が氷上を見て話し出す。え〜と…みなさん、彼が新しく僕達と同じ十三使徒幹部になる氷上零です」
葛田が紹介すると氷上は軽く礼をして、
「ダ−ク十三使徒参謀兼第九使徒中隊隊長の氷上零です。よろしく…」
氷上の挨拶が終わるのを見計らって葛田が今度は他の幹部達の紹介をする。
「…左から神海、神凪遼刃、川越たける、電芹、ユンナ、T−star、むらさき、ベネディクト、高橋の順です」
葛田が名前を呼ぶと幹部達はそれぞれ、挨拶する。
「…こちらこそよろしくお願いしますね」
「よろしく…」
「よろしくねっ!氷上君」
「――よろしくお願いします」
「…よろしくね」
「バランスが重要だ…よろしくたのむ」
「よろしくっ☆」
「なんで僕がこいつの隣なんだぁぁぁぁぁぁぁっ!」(涙目)
「たかはしをよろしく〜ん、ね☆」
幹部達を一通り見まわして氷上は気付いた。
「それで師兄、導師は…?」
ハイドラントの姿が見えないので氷上が聞く。
「ああ、導師ならついさっきちょっと私用が出来たと言って出かけました…」
「そうですか…」
「ま、あらためてよろしくお願いします」
「はい…」


こうして…氷上の使徒入りは完了した…。


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ふぅ〜とりあえず、初L完成です。

ディルさん、神凪さん、神海さん、川越さん、ティ−さん、葛田師兄、水野さん、導師、シッポさん、
キャラを使わせてもらいました〜。ありがとうございます。

読んで気付かれたと思いますがたくたくさんのLと一部とリンクさせてもらいました。
たくたくさん、ご了承の程を…(笑)

改めてこれからよろしくお願いします。
これからもがんばります〜。