「と、ゆー訳で！」
　昼休みのテニスコート。
　びしりとポーズなど決めながら、ハイドラントは来栖川綾香と悠朔を前に、
自信満々の顔で告げた。
「もはや昨日までの私とは違う！　男子三日会わざれば即ち刮目して見よ！
　岡目八目とは全然関係無いからして悪しからず！　てなもんで極秘授業を受
けた俺は既にテニスの全てを極め尽くしてしまった感じだ！　さあ綾香、私と
ペアを組めっ！！」
「……なんかいつにも増してテンション高いなー」
「たまにこーなるのよ。たまに」
　傍観者の口調で呟く悠に、綾香は溜め息をつきながら答えた。
（……そして大概、ロクでもない目に会うのよねー。主に私が）
　そう思いながらも気を取り直し、ハイドラントの方を向く。
「ま、取り敢えずテストしてみましょうか。
　今から言う質問に答えてね」
「おう！」
「第一問。テニスコートの広さは？」
「３．５リットル！」
「第二問。世界的に有名なテニスの大会と言えば？」
「ボディスラム！」
「第三問。試合は何ゲーム取れば勝ち？」
「人生ゲーム！」
「帰っていーわよ、あんた」
「何故だぁぁぁぁぁ！！　弥生さんの嘘つきぃぃぃぃぃ！！！」
「……気付けよ。教えられてる時に」
　がっくりと膝をつくハイドラントに、悠が呆れた口調で呟く。
　が、ハイドラントは一瞬で復活した。
「止むを得ん。かくなる上は、行動によって私がテニスを極めたことを証明す
るしかあるまい」
「行動によって、って……試合でもしようって言うの？」
「ふっ……」
　綾香の問いに、ハイドラントは小さく笑うと、ポケットに手を入れた。
　そしてその手を出した時、そこにあった物は一本の瓶。
「……『ミ○カンのリンゴ酢』……？」
「これが、何？」
「ふふふ……分からんか？」
　ばさり、とジャケットの裾を翻し、ハイドラントは勝ち誇った声で言った。












「手に酢」












『言葉とは、時として氷よりも冷たく人の心を凍てつかせる』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――ある小説家の言葉




　……来栖川綾香と悠朔のペアが大会にエントリーされたのは、永久凍土と化
したテニスコートから三人が救助されてより数時間後のことであった。


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　と言う訳で、テニス企画に、「悠朔＆綾香」のペアをエントリーさせて頂き
ます。
　本人に承諾は得てないけど（笑）　悠さん、いいよねー？（笑）

　ハイドは……何ならどっかその辺でてきとーに悪事でもやらせといて下さい。
どこのペアが優勝するかのトトカルチョとか（笑）