テニス大会参加Lメモ「疑わしき事の前に…」 ジャッジ本部、その場には岩下と瑞穂、美和子と由紀がいた。 その日、岩下はとある所を尋ねようとしていた。 「じゃあ、行ってくるよ。」 席を立ちつつ、岩下はその場に居たものに声を掛ける。 「「「はい、行ってらっしゃい岩下先輩。」」」 三つの声が重なって答える。 この声にうなづくと、岩下はジャッジ本部を後にした… 「ねぇ、瑞穂。岩下先輩が一人で出かけるなんて、めずらしくない?」 美和子が書類の整理に追われている瑞穂へと声をかける。 「そうよ、珍しいわね…まさか喧嘩でも?」 美和子に続いて、由紀も瑞穂へと問う。 「うん…なんか、風紀委員長が呼んでいるとかで…」 その声に答える瑞穂。 「へぇ〜あの人にねぇ…」 「以外に綺麗だもんね〜」 「これは…もしかすると…」 「…ありえなくはないわね。」 美和子と由紀が口をそろえて言う。 「…………」 二人の言葉にうつむき黙り込む瑞穂。 そして… 「私は、信さんを信じているから…」 顔を上げてはっきりと瑞穂が言う。 「あははは…冗談よ。」 「岩下先輩に限ってそんな事はないから。」 瑞穂の言葉に笑いながら答える。 「もぅ…美和子ちゃんに由紀ちゃん、やめてよ〜」 瑞穂が少し赤くなりながら答える。 「あははは…でも、相変わらずお熱い事で…」 瑞穂の言葉に美和子がからかうように言う。 「本当にからかいがいがあるよね、瑞穂って。」 美和子に続き由紀が言う。 「もぅ…」 その言葉に顔を真っ赤にしながら瑞穂はうつむいた… 「あ、岩下さん,待っていたわよ。」 風紀委員室に入った岩下を広瀬が出迎えた。 「やぁ、広瀬君…おや?他の方は?」 岩下が辺りを見回して広瀬に問う。 「ちょっと出っ払っているのよ…私たちも忙しくてね…この学園は騒動がつきないでしょ?」 ため息と共に言う広瀬。 「本来はそんなに忙しくないのですけどね…」 苦笑しながら広瀬の言葉に答える岩下。 「で、本題なんだけど…これを知っている?」 広瀬が一枚の紙を岩下に差し出す。 岩下は差し出された紙を受け取り見る。 「あぁ、テニス大会のチラシですね…。」 「そう…で、これをどう思う?」 チラシを見ながら答える岩下に広瀬が問う。 「…今回は、相手の意図をつかむのが難しいですね…」 広瀬の言葉に手を額にやりながら答える岩下。 「なんだか、暗躍らしくないやりかたなのよね…」 「ここは、何か裏があると思っても良いようですね。」 ため息と共に言う広瀬に岩下が答える。 「そうね…仮に何かを企んでいるとしても、証がないからまだ動けないし…」 「そうですね…どうしましょうか?」 しばらく二人はそのまま考え込む。 互いに入ってきた情報は少ない上に、何かが起こるという予感があっても確信もない。 事前に措置をとろうにも、それだけの証拠もないのだ。 (まぁ、この学園に何も起こらない事はほとんど皆無なのだが…) 「…これに参加するのも手ですね…」 しばしの沈黙を破って、岩下が言った。 「…参加?」 「そうです。相手の意図を掴めないのであれば、その中に入ってみるのも手ですよ。」 きょとんとした表情の広瀬に岩下が微笑みながら答える。 「少なくとも、その場に居る訳ですから何かが起きてもすぐに対処できるかと…」 「そうね、参加者であればその場に居てもあやしまれないし…」 岩下の言葉の意味を理解した広瀬が岩下に言う。 「で、誰とコンビを組む訳?」 つづいて岩下に問う広瀬。 「私は藍原君と組みますよ。」 「藍原君?…あぁ、あの娘とね…」 にやりとして、広瀬が答える。 「でも、あの娘に貴方とのダブルスが組めるかしら…どう見ても無理そうなんだけど…」 そして、急に真顔になって岩下に問う広瀬。 「あははは…大丈夫ですよ、藍原君もそこまでは鈍くないですし…」 「まぁ、チームワークはどこにも負けないでしょうけど…何かあったらどうするの?」 「その時は…藍原君をこの身の代えてでも守りますよ。」 きっぱりと広瀬の問いに答える岩下。 「そうね、貴方なら問題は無いだろうし…では、そういう事で手を打ちましょう。…私は観戦する方に回るから…何かあったらすぐに駆けつけるけど…」 「分かりました、ではそういう事で…」 岩下はそう言うとその場を後にした。 …その日の帰り道… 「藍原君、テニス大会が行われるのを知っているかな?」 いつものように瑞穂と家路を共にしていた岩下が瑞穂へと聞いた。 「えっ…はい、知っていますよ、信さん」 岩下の言葉に微笑んで答える瑞穂。 「それに、一緒に参加しないかい?」 「私と信さんでですか?」 瑞穂の言葉にうなずく岩下。 「…私で良ければ、信さんと出ますけど…」 何か釈然としないような口調で答える瑞穂。 「ん?どうしたんだい?何か問題でもあるかな?」 「あの…私だと足手まといに…」 瑞穂がうつむきながら岩下に言う。 「…何を言っているんだい…藍原君以外と組んで出る気はないよ。」 瑞穂の頭をぽんと軽く叩いて微笑みながら言う岩下。 「……そうですよね……はいっ!信さん、頑張りましょう!」 岩下の言葉を受け、ぱっと笑顔になって瑞穂が答えた。 「うん、頑張ろう藍原君。」 瑞穂の頭に手を置いたまま、岩下が微笑みながら言った。 「…でも、信さんテニスの経験は?」 瑞穂が岩下に聞く。 「うん…一応それなりには出来るよ…なんだったらセリスに聞いてもいいし…」 「あ、セリス先輩はインターハイに出た事もあるって聞いた事があります。」 「そうか…それは心強いね、よし明日からでも早速練習をしよう。」 「はい、信さん。」 …こうして岩下×瑞穂のコンビが誕生した… END ============================================= どうも、岩下です。 まずは…新掲示完成おめでとうございますっ! 久しぶりにLを書いて見ました。 一応これで、テニス大会にエントリー出来た訳で…(^^; あとは、よっしとーさんに託したいと思います。 それでは、今回はこの辺で失礼します…m(_ _)m