テニスエントリーLメモ『好き勝手やってます』(いつもだけどな) 投稿者:ジン・ジャザム
「それ以外は、忘れなさい」
 彼女は言った。
「死をも忘れなさい。在るのはボールとラケットのみ」
 テニスコート。
 学園の広大なテニスコートの中に彼女はいた。
 彼女は名を千鶴といった。学園の長として、教師にも女生徒にもなれる。
 今はテニスウェアを着ていた。
 千鶴は続けた。
「敵は暗躍生徒会」
 ネットを挟んで向こう、鋼鉄の漢がいる。
 ”ジン・ジャザム”――そう呼ばれていた。
 ジンは、畏怖するように繰り返した。
「暗躍生徒会……!」
「なればこそ、死をも忘れなさい」
「他の参加者は……」
「その力を一度試しなさい。本当に……戦うに値するか相手かどうかを」
 ジンはしばらく答えずにいたが、やがて、言った。
「千鶴さん……問題がひとつだけ」
「何?」
「テニスのルール全然分からねぇです、俺」
「おしおき」
 人の混沌、鬼の足跡よりも恐ろしいものがあるだろうか?
 恐らくは、あるのだろう。
 ジンは千鶴が恐い。


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 テニスエントリーL

       『好き勝手やってます』(いつもだけどな)

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「ついにテクニックが見つかったぜ。ガラン城の超門の向こう側に」
「パクらねぇとSSひとつ満足に書けないんですかアンタは。まさか覚悟読ん
でたんじゃないでしょうね」
 程良くボロボロになったジンに、ゆきはジト目で突っ込んだ。
 ちなみに二人ともテニスウェアを着て、準備OKである。約一名、血吹いて
るけど。
 ネットの向こうから、千鶴が叫ぶ。
「さっきも言ったけど、今回の大会は鶴来屋と暗躍生徒会の賭け……負けるこ
とは許されないわ! 貴方たちの任務は鶴来屋の守護者として、暗躍生徒会の
刺客を迎撃することです!」
「まっ、俺としても依存はねぇな。暗躍生徒会の奴らがただ働きしてくれれば、
俺の仕事量も減るってモンだし」
「そうですね……観光シーズンの忙しさは、そりゃあもう地獄ですから」
 しみじみと語る二人の背中は寂しい。
「大会までの期間! 『鬼姫婦人』とまで呼ばれたこのちーちゃん☆が、二人
を世界に通用するプレイヤーになるよう直々に特訓します! 覚悟は良いです
ね!?」
 千鶴の気迫はもの凄い。
 その鬼気に気圧されそうなりながらも、ゆきは問いた。
「で、でも大会までそんなに日は無いですよ? この期間内でどんなことを…
…」

 ――弾ッ。

「えっ……?」
「……ゆ、ゆき?」
 一瞬何が起きたか、ジンはおろか、ゆき本人にも理解できなかった。
 何の前触れもなく鳩尾から背中に突き抜けた衝撃の波紋は、ゆきの全身を激
しく打ち据え、内臓を掻き乱す。
 ゆきは吐血して倒れた。
「ちょっ……ゆきぃぃぃぃ!?」
「かっ……はっ! ……こ、これは……ボール?」
 ゆきは自分の腹にめり込んだボールを見て呟く。
 嫌な予感がして二人はボールが飛んできたであろう方向を見た。
 そこにいるのは……スマッシュを撃ったポーズのまま微笑んでいる千鶴。
「短期間で成長する方法はただ一つ……身体で覚えるっ!」
(やはりかい)
 何だか泣きたくなってきたという。

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「ふははははは! 千鶴さん! 俺にはゆきの倍撃ち込んで下さいっ!」
「それでこそジン君! いくわよ……零式庭球!」
 特訓中。
 ゆきは千鶴の殺人スマッシュ九発を喰らって既に死亡していたって言うかそ
こまで良く耐えた。
 そしてジンは……
「もっと近くで! もっと近くで撃ち込んで下さい! ふははははははは!」
「よくぞ吠えた! ならば……零式庭球対超鋼・炸裂形態!」

 ――臓物吐いて死亡。

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 全身にボールを喰らい、血の海の中に沈んでいくジン先輩の姿は、黄昏の空
の下、なぜか僕の胸を打った。
 ……まるで聖堂に飾る一枚の絵の様に、美しく荘厳に感じられた。
 ……僕はただ死んだふりをして、震えて縮こまっていただけ……
 エルクゥの紋章すら輝かせることができなかった。
 守護者を名乗っておきながら。
 何千何万回と輝かせてきたエルクゥの紋章すら……
 ………………僕は………………

「あっ、ゆき君……目覚めたみたいね。なら特訓再開っ☆」
「ヒィィィィ! 神は僕から遠すぎるぅぅぅぅぅぅ!」
 死んだふりがバレて、ゆき錯乱。
 そのとき、ジンがむくっ……と立ち上がった。
「得たり! ついに得たり!」
「ジン先輩!? いったい何を……」
「今、ジン君は地球と同じ色の涙を浮かべているはず……」
「何故だ」
 ゆき、すかさずツッコミ。
 演出効果で雷鳴が轟く中、ジンは仁王立ちになり咆吼した。
「千鶴さんの業を受けた俺は、もういつものジン・ジャザムでは無い! そう、
今の俺は……ジン・ジャザム=鬼神モードっっっっ!!」
「「鬼神モード!?」」
「以下、解説!」

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 ジン・ジャザム=鬼神モード誕生。(当然テニスルック)

 鬼神モードのジンは鶴来屋とその権益を守るために生まれた強化サイボーグ
である。公的にはどの組織にも属せず、柏木千鶴の依頼を受けて、非合法的テ
ニスを行う。

 変身前は鶴来屋で働く二枚目半のおっちょこちょいのドジっ子従業員。(う
っかり客を死なせた事がある)
 変身後は、テニスと鶴来屋のためなら、見さかいなく客を殺した事もある。
(この旅館には泊まらない方がいいらしい)

 必殺技。
 爆裂ビクトリースマッシュ。
 相手プレイヤーをテニスコートごと吹っ飛ばす。
 欠点――自分も爆心地のど真ん中。


 鬼神モード・ジン主題歌『誰が為に俺』

 吹き荒む風が寒い。
 あと九人なのに千機とはこれ如何に。
 そう言えば、たった今レポートの課題が出されていたことを思い出した。
 ピンチだ、俺。

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「千鶴さん、全然駄目ですっていうか壊れてます」
「打ち所が悪かったのかしらね」
「螺螺螺、ラブひなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「……どうします、『アレ』?」
「うーん、そうねぇ。こういう場合は……」


 殴って、直す。


 直った。
「とにかく覚醒しました、俺」
 血塗れで微笑むジン。恐い。
 千鶴もまた不敵な笑みで応えた。
「そう……なら、それを証明してみせなさい」
「応っ!」
 二人は構え、対峙した。
 右手にはラケット。左手にはボール。
 そして二人は同時にボールを宙に放り……撃つ!

 ――爆ッッッッッッッッッ!

 二つのボールが寸分違わずぶつかり合った。
 ボールに込められたエルクゥが爆裂し、閃光がコート中を包み込む。
「くっ……これが二人の力!?」
 眩しさに顔を背けつつも、ゆきは二人の強大な力を確かに感じ取っていた。
 今回のテニス大会は試合ではない。
 『死合い』になる。
 それは予感ではなく、確信だった。
 ――閃光の中、守護者と姫は誓い合う。
 これから始まる死闘への決意を。

「「機姫一体!」」
「「心は一つ!」」


       ――人間(ひと)の世の燃え尽きるまで!――


「だから何故そうなるっ!?」
 ゆき、マジツッコミ。

 ――覚悟のせいでオチがなくなったといえよう。

「……初音ちゃん、誘いに行こ」
 ゆき、ついに見限る。

                            本編につづけ
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 というワケで書き上げました。
 どもども、ジン・ジャザムです。
 えータイトル通り、好き勝手やってます(笑)
 他のテニスLとの整合性はまったく考えてないので、そのつもりで。
 まっ、別に構わねぇよな。
 みんなも相当好き勝手やって下さっていやがりますから、俺だけ合わせてや
る義理はこれっぽっちもねえです(笑)

 皆様の予想通り、

『ジン・ジャザム&柏木千鶴ペア』

 で参戦。
 あと、他薦として

『ゆき&柏木初音』

 ペアを推させていただきます。
 ゆきちゃん問題あったら、文句言って下さいませ(笑)
 んでは、あとはよっしーさんに任せるです。
 さよーならー。

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