Lメモ「Leaf学園の放課後!」前編 投稿者:神凪 遼刃
  Leaf学園の放課後・・・
  西山英志は「暴走」を押さえながら柏木楓と下校し、
  セリスとゆきはどちらがマルチと掃除するかでもめ、
  Dセリオとジン・シャザムは因縁の闘いをくりひろげ辺りに死と破壊を撒き散らす・・・
  それは、他の高校では決して見られない物であったが…、
  それでも毎日のように繰り広げられる日常であった。
  そして一人の男が動き出す・・・


  Lメモ  「Leaf学園の放課後!」前編


「ふーむ・・・、いいクラブがありませんね」
  ここはすでに授業が終わり誰もいなくなったLeaf学園一年の教室。
  クラブ紹介のパンフレットに目を落としながら神凪遼刃がつぶやいていた。
  どうやら所属するクラブを探しているようだ。
「格闘系のクラブは・・・駄目ですね、私は格闘はできませんし」
  そういいながらクラブの紹介に目を走らせていく。
「お料理研というと、空を飛ぶものと机以外なら何でも調理するんですかね」
  そんなわけあるか!と言う声が聞こえてきそうだが、
  一部ではあながち間違いではないかもしれない。
「科学部、剣道部、陸上部、ボードゲーム部・・・、案外普通のクラブしかありませんね」
  クラブの中身を知らないからそんなことが言える。
  科学部では毎日のように生け贄「来栖川空」がひどい眼にあい、
  剣道部ではDガーネットが真剣を振り回していると知っていたら
  そんなことは言えなかっただろう。
「それにしても、魔術系のクラブがない・・・」
  がっくりと肩を落として続ける。
「以前通っていた学園には、錬金術研究会とか魔導書研究会があったのに・・・」
  そんなクラブがどこの学校にもあると思っていたらとんでもない大馬鹿野郎だ。
「ま、とりあえず望みがありそうなのはこのオカルト研だけ・・・、
  とりあえずいってみましょうか」
  神凪は立ち上がり誰もいない教室を後にした。

  神凪が廊下を歩いてオカルト研に向かっていると、
  前をあるいていた女生徒が突然ふらつき倒れそうになっていた。
「危ない!」
  慌てて女生徒の体を支える。
「大丈夫ですか?」
  とりあえず女生徒にそう尋ねる。
「え・・・、あ、ありがとうございます。ちょっと疲れてしまって」
  女生徒が俯いていた顔を上げて答える。
「おや、そういえば同じクラスの・・・」
「姫川琴音です。あなたは確か神凪さん…でしたよね?」
「おや、覚えてくれていたのですか、それより本当に大丈夫ですか?」
「ええ・・・、仮眠館にいくところ・・・」
  そこで琴音の声が途絶えた。
「姫川さん?姫川さん、どうしたんですか?」
  返事がない。ただの屍のようだ。
「だー、ち・が・う!」
  はっはっは、ただの冗談だ、気にするな。
  それよりナレーションに突っ込みを入れないよーに。
「まったく・・・、姫川さん、姫川さんってば」
  支えたままだった体を揺さ振ってみる。
「うーん・・・、すうすう」
「眠っているみたいですね・・・、それよりどうしましょう」
  神凪は琴音の体を支えたままの状態で困っていた。
「とりあえず、仮眠館と言うところまで姫川さんを運びましょうか」  
  そう言って神凪は琴音を背負って歩き始めた。

「信じられません・・・」
  神凪は愕然としてつぶやいていた。
「まさか迷わず目的地に着けるなんて」
  そうなのである。
  神凪は最初に男子生徒H(浩之:だから俺は主人公ってもういいや・・)に
  仮眠館の場所を聞いただけで一度も道を間違わずに着いたのである!
  筋金入りの方向音痴で30mの道も真っ直ぐ歩けず、
  遅刻しないために五時に起きるこの男が!
  はっきりいってこの事実だけでLeaf学園史に載せてもいいぐらいだ。
「そこまで言いますか・・・?」
  本当のことだろうが。
「まあ、そうですけどね」
  少しだけ気落ちした様子で言う。
  当人も少しは気にしているようである。
「おや、琴音ちゃんじゃありませんか、どうしたんですか?」
  右の方からの声に神凪はそちらを振り向いた。
  そこには柔和は笑みを浮かべた男が立っていた。
「廊下で倒れかけたところ助けたのですが、そのまま眠ってしまって・・・、
  眠る前にこちらに来ると言っていましたので・・・」
「それはどうもありがとうございます、彼女はここの常連さんでしてね。
  あっと、申し遅れました。私、この仮眠館の管理人をしております幻八です」
「神凪遼刃です」
  簡単に自己紹介を済ませる。
「それより・・・、彼女、姫川さんは大丈夫でしょうか?いきなり倒れるとは・・・」
  遼刃が尋ねる。内心では首を傾げながら。
(・・・どうしてこんなに姫川さんのことが気にかかるのでしょうか?いままでは
  こんなことはなかったのに)
  そんな神凪の心の内に気付いたのか付かなかった幻八が答える。
「琴音ちゃんはよくこうなりましてね、私が初めて会ったときもそうでした」
「そうですか・・・」
「それより神凪さんはこれからどうなさるんですか?」
「これからクラブ探しにいきます、姫川さんは・・・」
「ここで休ませておきますよ」
「そうですか、用事が終わったら様子を見に来ますよ、では・・・」
  神凪は仮眠館を後にした。

「着きましたか・・・」
  仮眠館を出てから1時間後、神凪はようやくオカルト研に辿りついていた。
「さてと・・・、とりあえずノックをして・・・」
  コンコン。
  神凪はノックをするが応答がない。
  時間はまだ午後3時・・・。
  土曜日とはいえまだクラブが終わるには早い時間だ。
「・・・?」
  コンコン。
  こう一度ノックするが結果は同じ。
「おかしいですね、パンフには今日は活動日と書いていましたが」
  とりあえずドアのノブをひねってみる。
「開いてますね…、入りますよ?」
  神凪は中に向かってそう言いながらドアを開いた。
  部室の中は少し薄暗く、誰もいなかった。
「誰もいませんね、っ!」
  気配を感じて後ろを振り向くが誰もいない。
  が、魔力を持つ神凪には見えていた。
  そこには半透明の体を持った男性が浮かんでいた。
「どなたですか、あなたは?」
  宙に浮く男性にそう尋ねる。
「・・・・・・」
「えっ…、ここの会員?本当ですか」
「・・・・・」
「本当なんですか・・・、それより会長さんはどちらにいらっしゃるんでしょう?」
「・・・・・・・」」
「購買部に買い物?見学者なんですがここで待たせてもらってもいいでしょう?」
「・・・・・・」
「ありがとうございます、ではしばらく部室の中を見回ってもいいですか?」
「・・・・・・」
「そうですか、では・・・」
  神凪は幽霊会員の了承を取りつけると部室内を見渡した。
  しかし事情を知らない人間が見ていたら独り言をぶつぶつ言う危ない人間に
  思われていただろう。
「魔法陣ですか・・・」
  床に描かれた魔法陣に目を止めるとその側にかがみ込む。
「かなり高度な方陣ですね、パターンからすると召喚に用いられる物のようですが」
  さらに魔法陣を観察する。
「基本に忠実で、しかもところどころ独自にアレンジされている・・・、
  この魔法陣を描いた方はかなり魔法に通じておられますね。」
  そうつぶやきながら描かれた魔法陣を指でなぞってみる。
「高純度の血漿石を用いて描かれていますね、この石はかなり高価ですから、
  これを描いた人物はかなり金銭的に裕福なようですね」
  さらに観察を続けてから立ち上がった。
「うーむ・・・。これほどの魔法陣を描ける方がいらっしゃるとは、
  趣味的なクラブと判断していたのは早計でしたか」
  魔法陣一つでそこまで分かるのかお前は・・・
  がちゃっ・・・。
  うしろでドアの開く音がして神凪は後ろを振り返る。
  そこには黒猫を連れた美少女が立っていた。
「誰にゃ、あにゃたは」
  黒猫が神凪に尋ねる。
(ほう・・・使い魔ですか、するとこの方が会長さんですかね?)
  そんなことを考えながら神凪は答えた。
「勝手に入って申し訳ありません。先日このLeaf学園に
  編入した神凪遼刃と申します。クラブの見学にきたのですが」
「・・・・・・・」
  長い黒髪を携えた少女が答えた。
「えっ?歓迎しますって、それはどうも・・・」
「・・・・・」
「この研究会の会長をやっておられる3年の来栖川芹香さんですか・・・」
  神凪は来栖川という名字を聞いて引っ掛かりを覚えていた。
(来栖川?まさか・・・)
「あの突然で不躾ですが来栖川先輩には綾香という御姉妹が
  おられませんか」
「・・・・」
「やっぱり・・・、いえ、すみません突然変な質問をして・・・」
「確かに変にゃ質問だったにゃ、僕は芹香様の使い魔の
  エーデルハイドだにゃ、よろしくにゃ!」
「ええ、よろしく」
「それにしても見事な魔法陣ですね。あれはあなたが?」
  神凪が芹香先輩に尋ねる。
  コク。
  芹香先輩が肯いていた。
「・・・・・・」
「錬金術師ですかって。そうですがよくわかりましたね」
  神凪の言葉に芹香先輩が神凪の左胸を指差す。
「・・・なるほど、この『ウロボロス』の紋章ですか。これは魔力がある者にしか
  みえないですし、錬金術の象徴でもありますからね」
「・・・・・・・」
「クラブに入りますかですか?ふむ、少し待ってください・・・」
  そう言ってから神凪は考えを巡らせる。
(かなり本格的に魔術をやっているようですね。芹香先輩はかなりの魔力と
  魔術の知識を持っていらっしゃるようですし。私も錬金術の研究の場が
  欲しかったですしね、得るものは大きいかもしれませんね)
「分かりました、是非入部をお願いします」
「・・・・・」
  歓迎しますと芹香先輩がつぶやく。
「歓迎するにゃ!」
  エーデルハイドも答える。
「では私はこれで、少々寄るところがありますので」
「もう行くにゃか?」
「ええ、それでは」
  神凪は芹香先輩に一つのことを尋ねてから廊下に出た。
 
  「Leafの放課後!」後編に続く・・・
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神凪「どうも、神凪遼刃です」
知音「知音で〜す」
神凪「『放課後!』前編をお届けします」
知音「前後編になったんですね」
神凪「そうなんですよ、書いてみたら長くなって・・・」
知音「私の出番は?」
神凪「無い(きっぱり)」
知音「あううう〜、いつになったら出るんですか?」
神凪「う〜ん、後編が終わってからですね」
知音「さっさと書いてください、さっさと」
神凪「分かりましたよ」
知音「話は変わりますけど、マスターって琴音ちゃん萌えだったんですか?」
神凪「そうですよ・・・」
知音「どうしたんですか?気落ちしちゃって」
神凪「どうして・・・」
知音「はっ?」
神凪「どうして琴音ちゃんが小説にも漫画のほうにも出てないんですかああ!」
知音「マスター、マスター落ち着いて!」
神凪「葵ちゃんが出て、どうして琴音ちゃんがでないんですかあああ!ひいきだああ!」
知音「マスター・・・、しょうがないなあ」
SE:ごす
知音「さて、マスターも静かになったしこれでお開きですね」
神凪「まてい」
知音「おやマスター、復活が早いですね」
神凪「まったく・・・、それではまた後編で・・・」
知音「なんで、後書きがこんなに長いんですか・・・」