Lメモ 「Leaf学園の放課後!」後編 投稿者:神凪 遼刃
 前回までのあ・ら・す・じ☆
 はーい、知音だよ。
 というわけで前回までのあらすじを始めるね☆
 えーと、部活を探していたマスターこと神凪遼刃は
 めでたくオカルト研究会に入会したの☆
 あらすじ終わり。
「おい…」
 あれマスターどうしたの?
「なんであなたがいるんですか…?」
 出番外出演☆ 
「出番外もなにもあなたはまだ出ていないでしょうがああ!」
 ごべしゃあ
 みぎゃあああああ。
「まったく…、それでは『放課後!』の後編です」


Lメモ  「Leaf学園の放課後!」後編


「どうです姫川さんの容体は?」
 オカルト研を出た神凪は仮眠館に戻ってきていた。
「ええ、よく眠っていますよ」
 仮眠館の管理人幻八が答える。
「そうですか、安心しました」
 ふう…
 安堵の溜め息をもらす神凪。
「それにしても随分と琴音ちゃんのことを気にかけているようですが?」
 幻八が尋ねる。
「どうしてでしょうかね…、自分でもよく分からないんですよ」
 がちゃ。
 奥のドアが開く。
「おや、琴音ちゃん。目が覚めましたか」
「はい、ご迷惑をおかけしました」
 部屋から出てきた琴音が幻八に頭を下げる。
「いえいえ、どうということはありませんよ。
それにここまで琴音ちゃんを運んできてくれたのは神凪さんですから」
「そうなんですか、神凪さんありがとうございます」
「いや…、たいしたことはしていませんよ。姫川さんは大丈夫ですか?」
「はい…、それから私のことは琴音でいいですよ」
「わかりました…、それでは琴音さんはこれからどうなさるんですか?」
「もう家に帰ります」
「そうですか…、ではお気をつけて」
「はい、神凪さん本当にありがとうございました」
 神凪に頭を下げてから琴音はきびすを返して仮眠館を出ていった。
「神凪さん、もしよろしかったらお茶でもいかがですか?」
 ポットを持ってお茶を入れていた幻八が神凪に声をかけた。
「いえ、さっき琴音さんに言ったように少し用事が増えましたので」
「用事…、ですか?」
 首を傾げる幻八。
「なに、ちょっと昔の知り合いに会いに行くだけですよ、それでは…」
 そう言ってきびすを返す神凪。
 琴音の後を追うようにして神凪は仮眠館を後にした。


 仮眠館を出た神凪は廊下を歩いていた。
 何故か黒焦げになった浩之を引きずりながら。
「ほらほら、格闘部はどこですか?」
「うう、そっちですうぅぅぅぅぅ」
 どうやら道案内をさせているようだ…
 迷子にならないために「たまたま」そこを歩いていた浩之を
 雷撃で黒焦げにして道案内をさせているのだ。
「この角を曲がるんですね?」
「そうですううう」
 泣きながら答える浩之。
 胸中では、
(このくされ駄文書きのSS使いめ!いつか他のSS使いともども掣肘してやる!)
 などと思っていたが、その夢がかなう時が永遠に来ないことは明白であった。
 無駄な夢は持たない方が幸せだぞ浩之。
 お前の出番は薔薇ネタと四季に追い回される時だけなんだから。
「ふざけるなあああ!」
「うるさいですね、もう一発雷撃を食らいたいですか?」
「静かにしていますぅぅぅぅ」
 ああっ、哀れ浩之。
 君に救いの手はないのか?
 あるわきゃねえ(反語)


 そして無事格闘部前に到着していた。
「ごくろう様男子生徒H。もういってもいいですよ」
「だから、俺は主人…ってぎゃああああ!」
 突然走り出す浩之。
「浩之ちゃーん、どうして逃げるのお?」
 その後を猛スピードで追いかけて行く四季。
「来るな、来るな、来るなああああ!」
「待ってー、待ってくれないと泣いちゃうぞ☆」
「ひいいいいいい」
 廊下の向こうに消える浩之と四季。
「えーと…」
 後には状況が把握出来ない神凪が残されていた。
「見なかったことにしておきましょう」
 それでいいんかいお前は…
「さて格闘部に入ってみましょうかね」
 ドアを開いて修練場に入る神凪。
「左のガードが下がってるわよ、葵!」
「はい、綾香先輩!」
 中では二人の少女が組み手をしていた。
 一人は神凪と同じ一年の松原葵。
 もう一人はやや吊り目で、
どことなく猫科の動物を思わせるような動きを見せる女性…来栖川綾香。
「あれ…葵、ちょっと待ってお客さんみたいよ」
 組み手をやめて神凪の方に歩み寄ってくる綾香。
「えっと…、入部希望の人?それだったらこっちの紙に…」
「お久しぶりですね…綾香さん」
 綾香の方を見てそう言う神凪。
「えっ…?」
 神凪の顔をまじまじとみる綾香。
「…!ま、まさか神凪?!」
「ええ、3年ぶりですか、綾香さんもお変わりなく」
「どうしてあんたがここにいるのよ!」
「編入してきたんですよ、私も芹香先輩に聞いた時は驚きましたが」
「まさかこの学園に来てるとはね…」
「あの綾香先輩、神凪さんのこと知ってるんですか?」
 事態のよく分からない葵が綾香に尋ねる。
「そっか…、葵はあの時Runeと外に出ていたからね。
 こいつがあの『塔』に侵入した最初の外部の人間よ」
「えっ!じゃあ神凪さんがあの…」
「そう、外部の人間が『塔』に侵入して内部の人間の暗殺を謀った事件…
 『塔』の最大の汚点とも言われるあの事件の真犯人よ」
「もっとも綾香さんに見つかって叩きのめされましたけどね」
「よく言うわね…、あんたを捕まえるのにどれだけかかったと思ってんの?」
「30分ぐらいだったような?」
「1時間よ!たく、あれだけ粘ってたくせにハイキック一発でのびるとは思ってもみなかったわよ」
「ははは、接近戦は苦手なもので…」
 笑いながら頭を掻く神凪。
「それで、ここになんのようなの?神凪」
「古い喧嘩仲間に挨拶を、といったところですか」
「いつ私があんたの喧嘩仲間になったのよ!」
「いや私がそう思っていただけなんですが」
「なんなのよそれ…」
 疲れたような声を上げる綾香。
「はは、単に挨拶に来ただけですよ、いや本当ですよ」
「まったく…それにしても神凪、あんた昔と全然雰囲気が違うわね?」
「そうですか?」
「そうよ、あの時はもっと…」
 そう言いながらおとがいに手を当てて考え込む。
(そう、あの時は冷たい鬼気を纏って強烈な妖気を放っていた。あれはまるで…)
「もっと…?」
 神凪が聞き返す。
「いや、何でもないわ…」
(思い過ごしよ…)
 綾香は自分の考えを否定した。
「それで、これからどうするの?一勝負していく?」
「止めておきますよ、体が持ちそうにもありませんからね。
 私は寮に帰ることにしますよ」
「そう、じゃあね」
「ええ、それでは」
 格闘部を後にする神凪。
 後ろからは綾香と葵の乱取りの音が聞こえてくる。
「綾香さんがこの学園にいるとはね…、世の中は狭いですね」
 下駄箱に向かう神凪。
 宿敵とも言える者との出会いが待っているとも知らずに…


「さてと…、帰って研究の続きでもしますか」
 下駄箱で靴を履きかえる神凪。
 ざわ。
 何か嫌悪感のようなものを感じる。
 自分とは根本的に異なる力。
 決して交わることのない力。
 かつて何度も戦い自らの手で刈り取ってきた力…「使い人」
 後ろを振り返る。
 そこには眼鏡を掛けた少女を伴った男が佇んでいた。
 男も神凪を見据えている。
「貴様…妖術師か」
 男−岩下信−が睨む。
「あなたは…火使いですね」
 対照的に柔和な笑みを浮かべながら神凪が答える。
「妖術師がここに何の用だ」
「何の用とは…私はここの生徒ですよ、『火使い』岩下信さん」
「…!何故俺の名前を知っている…」
 言葉に殺気が混じり始める。
「有名ですからね。数多の妖魔を狩り、そして…」
 そこで一端言葉を切り、浮かべていた笑みを消す。
「我々妖術師を幾人も滅ぼしてきた現代最強の火使い…」
 なんの表情もない面を岩下に向ける。
 睨み合いを続ける岩下と神凪の二人。
 眼鏡を掛けていた少女−藍原瑞穂−はどうしていいか分からず
 呆然としていた。
(信さんがこんなに嫌悪感を出すなんて…)
 瑞穂の知る限りそんなことはいままでなかった。


 「使い人」と「妖術師」。
 遥かな過去から戦い続けて来た宿敵。
 「使い人」は自然の法を守りそれを乱すものを排除する。
 「妖術師」は人の世を裏から操り支配しようとする者。
 何時から両者の闘いが始まったのかは定かではないが…
 今の世ではもはや決して相容れることないもの。
 どちらかが滅びるまで闘い続けるもの。
 それが「使い人」と「妖術師」の関係…


「ふっ…」
 神凪が余裕を見せるように一歩下がる。
 「眼付け」は休止するというポーズだった。
「まさか、こんなところで戦うわけにもいかないでしょう岩下さん」
 再び笑みを浮かべる。
「ふん、逃げるのか?」
「まさか…私は別にいいのですよ、ここで戦っても。
 ただ…私の放った術が『たまたま』後ろにいる愛らしいお嬢さんに当たるかもしれませんが」
「…!貴様ぁ!」
 凄まじい殺気を放つ岩下。
 彼にも分かっていた。
 ここで戦えば目の前にいる妖術師は間違いなく瑞穂を狙う。
 そして自分の動揺を誘うだろうということを。
「くっ…」
「そうですね…久しぶりに血を見るのも悪くありませんね…」
 ざわ。
 神凪の纏う雰囲気が変わっていく。
 冷たくあらゆる物を殺すような鬼気。
 血と破壊、死と殺戮しか望んでいないような狂った笑み。
 そして…狂気に染まっていく瞳。
「…なんだ、これは…」
 驚愕する岩下。
 違っていた。
 今まで戦ってきたどの妖術師とも。


 …チガウ、チガウ。

 破壊ナド望ンデイナイ。

 殺戮ナド望ンデイナイ。

 望ンデイタモノハ平穏…

 タダ妹達ト平穏ナ日々ヲ暮ラス。

 ソレダケダ…

 ダケド、イツカラカ変ワッテイッタ…


「違う!」
 神凪が叫んだ。
 同時にさきほどまでの狂気は消えていた。
「はあはあ、くっ岩下さん。今日のところは…止めませんか?」
 呆然とする岩下にそう言う。
「あ、ああ、分かった」
 釈然としないまでもそう頷く。
「では私はこれで…」
 ふと気付いて振り返る。
「そういえば名乗っていませんでしたね、神凪遼刃と言います。以後お見知りおきを」
「神凪だと…?お前があの『使い人殺し』か?!」
「それはもう名乗っていませんよ、それに…私はもう妖術師としては活動していません」
 神凪は言い終えると貫頭衣を翻して玄関から出ていった。


「信さん…」
 瑞穂が岩下に駆け寄る。
「大丈夫だよ、瑞穂君、それよりすまないまた君を…」
「いいんですよ、信さん。私のことは気にしないで戦ってくれても」
「しかし…」
「信さんからもらったこれがありますから」
 そう言って結界針を取り出す。
「そうか、そうだったな」
「ええ」
(しかし『使い人殺し』の神凪か、また不安要素が増えてきたな。
 それにさっきのあの変わりようは一体?)
 その問いに答えられる者は神凪本人だけだった…


Lメモ  「Leaf学園の放課後!」後編    終

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 神凪「といわけで、『放課後!』後編です」
 知音「やっとですね…」
 神凪「そうやっとです。やっとこ終わりました」
 知音「なんか私の性格が違うような?」
 神凪「違いますよ」
 知音「どうしてですか?!」
 神凪「変わったんですよ、よくあることです」
 知音「ぬけぬけと…」
 神凪「さて…、私の学園内の立場を書いたわけなんですが」
 知音「結構シンプルですね」
 神凪「そうですね、オカルト研に入っていて、琴音ちゃんが好きで、
       綾香さんと知り合いで、岩下さんと敵対してる…」
 知音「そういえばダーク化してましたけど?」
 神凪「なっていましたね」
 知音「なっていたって…」
 神凪「まあ、その辺は過去編でも書く時に…」
 知音「書くんですか?」
 神凪「いや、何も考えてない」
 知音「なんですか、それは…」
 神凪「では次は」
 知音「私ですね?」
 神凪「そうですね、予定どうりにいけば」
 知音「ちゃんと書いて下さいね」