アドバンスト・そんな感じでミスキャスト 配役表 (役者)→(配役) ジン・ジャザム→風見ひなた 遊輝 →赤十字美加香 ゆき →水野響 セリス →ハイドラント マルチ →篠塚弥生 ハイドラント →ジン・ジャザム 篠塚弥生 →遊輝 水野響 →ディルクセン 風見ひなた →セリス 赤十字美加香 →マルチ それでは行ってみよう!! 今日も風見家にいつもどおりの朝がやってくる。 とんとんと階段を上がってきた美加香は、風見の部屋に入って何度も揺さぶる。 「ひなたさーん、起きてください。朝ですよー」 「うーん、あと五分……」 なかなか起きない風見を見て、美加香はため息混じりに歯をギラつかせた。 「もぉ、早く起きないとぉ……喰らうぞ」 「ぐがぁぁぁぁぁぁっ!?」 危うく飛び起きた風見の耳元をかすめて、鋭い牙が通り過ぎていった。 振り返れば、何とも形容しようのない声を立てて美加香が風見の枕を食い破っ ている。 「うふふ、ひなたさんたら麻から危険感知能力鋭敏じゃのう♪」 「ロケットパーンチ!!」 風見は問答無用で美加香の顔にロケットパンチを叩き込んだ。 当然避ける暇もなく、羽枕を口にくわえたまま美加香はごろごろとドアを突き 破ってそのまま階段を落下していった。 「しまった、やりすぎちまったか?」 恐る恐る階段の下を見ると、相変わらず髪も肌も真っ白な女が盛大に血液を噴出 して倒れている。鮮血の赤が純白の肌を染めていくかのようだ。 死んだかも知れない。 「やりぃ!!」 風見は一瞬ガッツポーズを取ったが、白い女がガバッと起き上がってきたので ちょっとがっかりした。 美加香は脳天と鼻からこぼれる血で真っ赤に染まった枕をごくりと飲み込み、 ニヤリと笑ってみせた。 「フ……朝から小粋なトッピングテイストじゃったな、ジンよ」 「ジンじゃねえ風見と呼べコラ」 いつもの目覚めの光景であった。 「うや☆」 何故か頭が重い。まるで人間一人を乗せているかのようだ。 「くっ…どうしたってんだ。まるで人間が頭に載っているみてえだぜ」 風見はぜいぜいと荒い息をつきながら、ゆっくりと通学路を歩いて行く。 その後ろをふわふわと美加香がついて行くが、その視線は風見の後頭部に注がれ ていた。 どうにもショタ魂の溢れる少年がとても嬉しそうに風見の頭の上に跨っている。 気付かないほうもどうかしている感じだ。 「は、まさかこれは脳の不適応症候群!? サイボーグの宿命が今になって祟って きやがったというのか…だが俺は負けねえ、負けられねえんだっ!!」 「自分に酔いたいんなら止めはせんがの。…ゆき、ヌシも何やっとるんじゃ」 「いや、そういう役ですから」 ゆきはそう言いつつも、相当喜んでいた。 「行くぞ、D芹っ!!」 「かかって来なさい……ジン!!」 校門につくとほぼお約束的にジンとDセリオが戦っていた。いや、むしろ最近では 廃れつつあるような感じだが。 ジンは高く手をかざして、D芹に向かって叫んだ。 「必殺!! プアヌークの邪剣よぉぉっ!!」 「サウザンドミサイル!!」 光熱波に対抗してD芹の砲門から無数のミサイルが放たれる。 二者は正面からぶつかり合い、閃光と轟音を引き起こして…。 「うぎゃあああああああああっ!!」 ぽてん、と肉片となったジンが周囲に撒き散らされた。そりゃ生身だもんなあ。 側に立っていた遊輝は、そんなジンの肉片に向かって唾を吐くとぽいぽいと型に入 れ、バーナーで焼き始めた。 機械とはこんなもんだと思ってるのかも知れない。 周囲が間の悪い沈黙と共に見守る中、遊輝は軽く型を外し、カラースプレーを吹き 付けた。ラッカーを塗って完成らしい。 いくらなんでもこんなもんで再生するわきゃねえって。 「ふう。助かったぜ、遊輝さん」 「うわああぁぁぁぁぁーーっ!?」 周囲の野次馬達は生命の神秘を見せつけられ、全力で逃げ去ってゆく。 一方ジンは何事もなかったように屈伸している。本人も機械とはこんなもんだと思 っているのかも知れない。 そんなジンを見て、遊輝はぽつりと呟いた。 「さすが単細胞ですね」 このような情景を見せられた風見は何か己のアイデンティティを根本から侮辱され たような気がしてとりあえず攻撃した。 「死ねぇぇぇぇぇ!! ナイトメア・オブ・ソロモンッ!!」 「がはああああああっ!?」 ジンは風見の全方向掃射を受け、再び肉片と化した。 VSジン、風見に一勝。もしくは自殺点。 どうでもいいけどこの文章ってすっげえテンポですね。なんかるーちゃんのSS書 いてるような気がするんですけど。 肉片と化したジンを物陰から見つめるセリスは、ショックを隠せない様子で唇をわ ななかせている。その横では心配そうにセリスを見つめるマルチの姿があった。 「ジンさん…どうしたって言うんですか!! 僕の終生のライバルである貴方がっ!」 「セリスさん、しっかりして下さいっ!!」 風見はそれを見て異様なまでの違和感を覚えた。何か違う。 だが、何はともあれ役柄上の挨拶はしなくてはならない。 「おはよう、セリスあ」 セリス兄、と言いかけたジンは背筋を走る悪寒に思わず吐きそうになった。 今日の朝食はイチゴである。吐けば赤い水溜りが出来てしまうだろう。 それだけは避けねばならない。 脳へと走る悪寒を押さえつけ、風見はなんとか喉の物を飲み込んだ。 「お、おはようセリス兄☆」 「やあ、今日も元気ですね風見君」 二人はにっこりと笑って顔を見つめ合う。 「ところで貴様、今すっげえ気持ち悪くないか?」 「ううん、終生のライバルに『兄』付けすることを考えればまだまだ☆」 「…ところで美加香って可愛いと思うか?」 風見のひきつった笑顔まじりの言葉に、ひくりとセリスの顔が強張る。 「そ、そりゃもちろん、か、かわ、可愛いげほげほおっ!!」 慌てて口を押さえ、セリスは思いきり咳き込んだ。馬鹿な戦いである。 ゆらりと幽鬼のような顔で立ちあがったセリスは、はははよ乾いた笑い声を挙げた。 「さすが痛い所を突いてきますね風見君」 「フ、まあな」 次の瞬間セリスと風見はマルチと美加香にボコられた。 その頃ダーク十三使徒では。 「諸君!! これからは我等の合言葉は『ジーク・マルチ』とする!! そして使徒は 毎日掃除を欠かさず、炎天下でも嵐の中でも掃除し続けるのだ!!」 『ジーク・マルチーー!!』 「意気や良し!! 幹部に昇進すれば称号を与える、まずは僕、ハイドラントの称号は 『モップ』。続いて四大使徒の一人、葛田君に『たわし』の称号を授与する!!」 「あー、嬉しいんだか悲しいんだか…」 何とも台詞の見つからない葛田を見てハイドラントは軽く頷き、ばっとマントを広げ た。ちなみにマントはぞうきんで縫われていた。 「それでは我等が君主、弥生陛下のお言葉である。静聴せよ!!」 『ジーク・マルチーー!!』 弥生はおたおたと壇上に上がろうとしたが、見事にずっこけた。 しかし使徒達の目は優しい。それに励まされるように、弥生はぎゅっと制服のすそを 掴んだ。それだけで使徒達の心も鷲掴みだ。 「あ、あのあのあの、皆さん頑張ってお掃除しましょうね!」 『ジーク・マルチーー!! ジーク!! ジーク!! ジーク!! ジーク!!』 本人達の居ない所で、異様な盛りあがりを見せる十三使徒であった。 一方ディルクセン達は。 「あうー、背景さんなのにピカピカ頭で目立ってますう〜♪」 「覚えテロとは言わん。今すぐコロス」 ディルクセンがガンマルにゲバルトを掛けられていた。 完 ======================================= そして全てが終わった後に、おもむろに始まる裏ストーリー!! それはあたかもエルフの『YU−NO』やら『臭作』の如くにっ!! ……いや、そこまで大した物でもないけどさ(笑) ======================================= おまけ「今日の背景さん」 ガンマルは意味消失の中をさ迷っていた。自分はゆきちゃんになれなかった。 ディルクセンさんに役を取られた時、ガンマルであることも捨てた。 ガンマルでもない、ゆきでもない……お前はそこで乾いてゆけ。 ………いや、乾いてどうする。スルメになってしまっては大変だ。 何しろあれはぺらぺらである。ぺらぺら。ドアの隙間や窓のさんからも入れてしまう。 はっ何だかそれはそれで楽しいかも。 否、いかんいかん、それでは背景ではなく二次元人ではないか。アストラルバスターズ に退治されてしまってはえらいことになる。 しかし自分にはどうすることも出来ない。このまま無意味の世界を漂うしかないのか。 そう思いかけた時、ガンマルの前に三人の娘が現れた。 「私達は異界の美人女神三姉妹……」 「虚空をさ迷う旅人よ、汝に私達の助けを与えましょう……」 「望むがままの配役を手にする事も思いのままです……」 ガンマルはしばらくふよふよと漂っていたが、やがて白い目で言った。 「あんたら、前に永井君を騙した三女神では…?」 『ぎくり』 「そんな怪しい連中の助けはいらない」 ガンマルがそう言うと、女神達は慌てて言った。 「ま、まあまあそーいわずに」 「今度は本当に願いを叶えるからさ」 「ホントだよ、神様は時々しかウソつかないんだよ」 余計に怪しかった。 ガンマルの白い視線からそれを感知して、三姉妹はこそこそと密談を始める。 「やっぱり登場の仕方が悪かったのかしら?」 「ティーナが余計な事言うからだよ」 「お姉ちゃんだって『本当に』とか言ったじゃない」 緑の髪の女神の言葉に、むっとして焦げ茶色の髪の女神が言い返した。 「大体女神のくせにどうしてそんなに舌ったらずなの?」 「威厳が足りないのはお姉ちゃんも一緒じゃない」 「むっ。あたしはティーナみたいに精神年齢低いガキじゃないよ」 「何よ、お姉ちゃんなんかファザコンとブラコン併発してるじゃない」 「言えた口じゃないでしょ、自分もファザコンのくせに。しかもシスコン持ち」 「うるさいやい、この色気ナシ」 何だか話がずれてるようである。 赤い髪の娘がちょっとちょっと、と止めに入るが二人とも聞いていないようだ。 「あたしが色気ナシならティーナは色ボケだね」 「ふーーーーーーっ!!!!」 「二人とも、ケンカしないで……」 赤い髪の仲裁を無視して、二人は互いの口を引っ張りあった。 「お母さんの恋人に横恋慕してるような姉に言われたくないもんっ!!」 「むっかーーっ!! そのケンカ買ったあっ!!」 「ふきーーーーーーーーーーっ!!」 「にゃーーーーーーーーーーっ!!」 「い・い・加・減・に・しなさいよ?」 バチバチ、と背後に物凄い放電を上げながら、赤い娘が二人の肩に手をかけて ドスの利いた笑顔で割り込んだ。 二人はごくり、と唾を飲んでこくこくと頷く。 赤い娘はこほんと咳払いして、にこやかにガンマルの方を振り返った。 「どうもお待たせしました。いえ、本当に何の心配も要らな…って居ないし」 ガンマルは既にぺらぺらになって、無意味の空間を泳ぎ逃げようとしている所 だった。 「あーっ、あんな所にっ!!」 「まるでサナダ虫みたいな泳ぎ方だね…」 「二人とも逃がしちゃ駄目!! このまま配役がループしないでいると、因果律 に矛盾が発生してしまうわ!!」 「よーしっ、強制転送しちゃえっ!!」 「でもティーナ、無理矢理だと事故発生の可能性も…」 「認可!! このままだと追いつけないわ…三人の力を合わせれば何とか飛ばせ るはず!」 「…分かった!!」 「オッケー!!」 どうやら三女神の意思は固まったようである。 ぺらぺらと泳いでいたガンマルはちらりと背後に目をやり、硬直した。 三女神がこちらに向けて青白い光を放つところだった。何も殺さなくてもいい じゃないか。 強張って動けなくなったガンマルを、光があっという間に包み込む。 三姉妹は声を揃えて門を開いた。 『汝、ゆきちゃんになれ!!』 そして…ガンマルはゆきちゃんになった。違う意味で。 新聞を読んでいたゆきちゃんは、ADに声を掛けられた。 「スンマセン、ゆきさん出番です」 「あ、はい今行きます!!」 そう言って、ゆきはいそいそとかぶりものを着込む。今日は木の役だ。 側にいたプロデューサーがそんな彼女を見て笑った。 「由綺ちゃんも大分板についてきたね」 「ええ、背景役なら任せてください!」 そう言って森川由綺は眩しい笑みを浮かべた。 冬弥はふうと息をついて新聞をたたんだ。 見出しには大きく『美少女アイドル、突然の名脇役への転身!?』と書かれていた。 多数のドラマに背景として出演する由綺は今やお茶の間の大スターに上り詰めた。 何せその名演は見る者の涙を誘い、彼女が出るだけでその週の視聴率は30%アップ。 既にスケジュールはびっしりで、映画どころかハリウッドからの誘いも来ているらしい。 冬弥はTVの中で『私は木』のポーズを取る由綺の笑顔を見て、そっと涙を零した。 由綺は遠い所に行ってしまった。もう会いになんて行けない……。 「…姉さん、やっぱり事故ったんじゃ…?」 冷や汗を垂らして訊く妹に、マールはあさっての方向を向いて答えた。 「まあ、結果オーライってことで……ね?」 ね? じゃねーって、姉さん。 真・完 ======================================== ひ「とゆーわけで配役ごっちゃの実験ミスキャストでしたー(笑)」 み「なんか没ネタ寄せ集めたような内容でしたね(苦笑)」 ひ「いや、きっとるーちゃんもこういった内容を望んでいるはず!!(希望的観測・笑)」 み「こんなネタを許してくれたルーンさん並びに無断出演の方々に感謝です!」 ひ「あと、ヅラネタはもうしません。多分(笑)」 み「この前とーるさんに怒られちゃいましたもんね(苦笑)」 ひ「ではギャグ三連発はここまでにして、次回はシリアスでお会いしましょう!! み「それでは今回はこの辺でっ!!」 ひ「『こんな形式も久しぶり』風見ひなたと!!」 み「『最近ソロ形式多くて寂しいです』赤十字美加香がお送りしましたっ!!」 ======================================== おまけ2「今日の遊輝ちゃん」 遊輝「(ばりっ、もしゃもしゃ。ごりっ) ぷはぁ、不味いっ、もう一匹!!」 AD「ああっ!? プロデューサーがっ、プロデューサーがあっ!?」 翌日の新聞の見出しはこんなんだった。 『人気アイドル、突然のカニバリズム!? 若者に今カニバブームが到来か!?』 ごめん、ひどいオチ(笑)