Lメモ時代劇2「剣士きたみち、斬る!」 投稿者:風見 ひなた
 歴史という名の暗く厚い幕の中
 それでも消えるまい消えるまいと輝く白金
 だが君は知らぬだろうその光が魂を込めた刃であることを
 近付くことは許されぬ行き場ない戦士達の叫び
 猛獣の咆吼にすら似た金属の軋み
 目を凝らせば微かに見えよう彼等剣士達の姿


 Lメモ時代劇2「剣士きたみち、斬る!」


  ♪しとしとぴっちゃんしとぴっちゃんしーとーぴっちゃん♪
「父上ぇ、やっと町に着いたね」
「ああ。長旅で疲れたな……旅籠でゆっくり休むとするか、靜」
 剣士きたみちもどるは腕に名のある武人である。
 元々は歴史ある名家の出身なのだが、いろいろアレなことがあって現在は娘きたみち靜
と共に諸国を遍歴する生活を送っているのであった。
 人は彼をこう呼ぶ。
 子連れ狼、きたみちもどると……。
「ところで父上ぇ」
「なんだ、靜」
「私達、何で旅してるんだっけ」
 ……………………………………………。
「しーーっ!それは秘密だ!」
「えー?秘密も何も私も知らないのはおかしいよぉ」
「余計なことは突っ込むんじゃない!作者が子連れ狼見てないのがバレる!」
 はっはっは、当たり前だろうが。
 大体子連れ狼って一体いつ放送してたんだよ。さすがに小学生だったときの僕はそこま
でシブい趣味してないぞ。
「そんなに無知なくせに時代劇やるつもりなの、この作者?ずいぶんと無謀な……」
「わーーっ、靜!登場人物が作者にツッコむんじゃない!」
「えー、でも……」
 …………………………(汗)
 あっ、ほらそこに悪漢に襲われる女の子が!ほらほら早く助けないと!
「ずいぶん唐突でいい加減な……」
「きゃーーーーっ、誰かーーーっ!」
 助け求めてるって!さあ、早くレッツゴーだきたみっち!
 きたみちは、ため息をつくと拳を握り、ゆっくりと娘の方に歩き出した。
「ふむ…そこの者たち、か弱き婦女子に狼藉を働くのは感心せんなぁ……」
「な、なんだてめえっ?」
 ゆっくりと近付いて行くきたみちに、ごろつきたちはやや怯んだようだった。
 きたみちは煤けた旅衣装を風にはためかせつつ、ゆっくりと近寄って行く。
「ふ……もとよりお主達に名乗る名などない」
「や、やっちまえっ!」
 きたみちの眼が……かっと見開かれた。
 勝負は、一瞬で付いた。
「けっ、よわっちいくせにでしゃばんじゃねえよ……ったく」
 ぺっと唾を地面にはきかけながら、ごろつき達は再び娘に向かって行く。
「ああああああっ、全く頼りにならないっ!?」
「父上ーーーっ!」
 娘の悲鳴を聞きながら、きたみちは地面に這いつくばったままひくひくと身体を痙攣さ
せていた。
「し……しまった、設定原作者自身も使ってないから刀なしの技を忘れている!?」
 大マヌケである。
 ジョブチェンジするときにはアビリティに気を付けなくちゃな。
 しかしどうする!
 まずい、まずいぞきたみち!このままでは娘が悪漢にあんな事やこんなことをされてし
まうぞ!
「待ちな、鬼畜共!その薄汚い手……話して貰うぜっ!」
 そのとき、倒れるきたみちをさりげなく踏みつけつつ一人の青年が現れた!
 しかも背中からは後光が差している!ヒーローの印だ!
「ああっ、よっしーさん!?」
「待たせたな、綾香!今始末を付けてやる!」
 ばすべきぼかっ!
「おっ、おぼえておぉぉーーーっ!」
「ふふん、越後屋の親分に帰って伝えな!綾香はてめえにくれてやるにゃもったいねえっ
てよ!」
 わずか数秒で『負け犬の台詞』を言わせたよっしーは、ごろつきたちの背中に罵声を叩
きつけた。
 その背中を綾香が頼もしそうに見つめている。
 でもって綾香に踏まれているきたみちを靜が心配そうに覗き込んでいるのだった。

「とまあそーゆーわけで越後屋の子分のごろつき達は逃げてったわけだけど」
 綾香は誰に言うでもなくそう一人ごちると、半眼で布団の中のきたみちを眺めた。
「あんた、一体何しに出てきたの?」
「あーーーっ、いや……まぁ………」
 きたみちは赤くなって頭など掻きむしってみる。
 ちょっと恥臭いね。
 綾香はふうっと息を吐くと、にこっと笑って見せた。
「ま、いいわ。助けようとしてくれたのは確かだしね」
 そう言って、お粥の入った鍋を枕元に置く。
「明日の朝まで泊まってって。娘さんは隣の部屋で寝てるわ」
 きたみちはそんな彼女をじっと眺めていたが、綾香が襖を閉めようとしたとき彼女を呼
び止めた。
「ちょっと待った。……話を聞かせてくれないか?」
「……あなたには関係ない事よ」
 だが、きたみちはにやっと笑うと、言った。
「犬だって一宿一飯の恩は忘れないさ」
「あなたは犬なの?」
「いいや、それ以上だ」
 その言葉に、にっと綾香も笑った。
「あたしと越後屋の関係を聞きたいのね?」
 きたみちはこくりと頷くと、きりっと威儀を正した。
 綾香も顔に真剣な物を浮かべる。
「まず自己紹介からさせて貰うわ。あたしは綾香……この来栖川亭の次女よ」
「……一つ聞きたいんだが」
「何かしら?」
 きたみちは、ごくりと唾を飲み込むと訊いた。
「お前確か前回柏木城で悠朔衛門に襲われてなかったか?」
「ぎく」
 ぎくっ。
「そ、そんな些細なことは気にしちゃだめよ!」
 そうだそうだ、気にするな!
「それにYOSSYは忍者として忍び込んでていたような……」
「わーーーっ!わーーーーーっ!」
 やめろぉぉーーーっ!
 そんなちっぽけなことにまでツッコミ入れるなーーーっ!
「な、なんであんたがそんなこと知ってるのよ!?」
「だって前回のLメモ読んだんだもん」
「登場人物がシナリオを読むなっっっ!」
 そうだそうだ、そんなお約束なメタギャグは禁止だっ!
 綾香は声のトーンを落としてきたみちに小声で囁いた。
「あれはね、悠と灰土が戦っている間によっしーにこっそりと救出して貰ったのよ!」
「ははぁ、やはり帯廻しは嫌か」
「目が回るしね」
 そこまで言ってから、二人は離れた。
 綾香は流れる冷や汗を拭うと、きたみちに訊く。
「それで?次はあなたの番よ」
「俺か……問われて名乗るもおこがましいが、子連れ狼きたみちもどるとは俺の事よ。
ただの浪人とはワケが……」
「わーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
「なんだっ!?」
「アンタこの時期(センター平均点発表前夜)にその単語はヤバいわよ!」       
 綾香の台詞に、きたみちは目を剥いた。
「何ぃ!?バカゆーな、そんなコト言ってたら『滑る』『落ちる』『転ぶ』『漏れる』を
初め『足切り』も『スキー』も『スケート』も『つるつる』も『マークミス』も使えんじ
ゃないかっ!修学旅行に行く中坊なんざスキー合宿で北海道で優雅にスキーで滑り落ちて
いらっしゃるんだぞ!?」
「ひいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃーーーーーっ!?」
「何故そこまで慌てる!?」
「あんたケンカ売ってんの!?」
「大丈夫だぁぁっ!コレ読んでるヤツはごく一部の例外を除き全員もう過去の話だから笑
って読んでいられるじゃないか!わはははははっ、上から見下ろしてりゃいいんだ!」
「あのなぁぁぁーーーーっ!」
 その瞬間、がらっと襖が開いたかと思うと釘バットを持った少女が走り出て、きたみち
をブチのめして再び去っていった。
「………い…………いまのは一体………」
「言い忘れてたけどウチの姉さんも今受験期なのよ……」
 天罰だと思うがいい。
 綾香はこりこりと頭を掻くと、ふうっとため息をついて言った。
「しかし…この文章あとで作者が読んだとき合格してれば笑い話で済むけど落ちてたら断
末魔の叫びにしか見えないわね……」
「こんな大切な時期にこんな馬鹿なモン書いてる奴には掛ける言葉もねーと思うぞ」
 黙れ(笑)
 ちゃんと一ヶ月SS書かずに真面目に勉強してただろうが。
 しかし我ながらシャレにならんなぁ(苦笑)
 ちなみにやーみぃにネタ話したら『お前、そんなに自分を追いつめて楽しいのか?』と
言われてしまったりする。

 綾香の話を要約するとこうだ。
 来栖川亭との繋がりを求めて綾香を嫁に出せと越後屋の旦那が言ってきた。
 だが越後屋の旦那はいろいろと黒い噂も多い。
 来栖川が返事を渋っていると、越後屋は様々な妨害工作をかけてきた。
 今日のごろつきたちもその一つで、ここのところ毎日綾香に迫ってくるのだという。

「次女はツラいなぁ……」
「やっぱり封建社会だとねぇ……」
 二人はイデオロギーと理想の壁の厚さに思わず息を吐いた。
 しかし、きたみちはにっと笑うと綾香に笑いかけた。
「ま……心配することはない。俺が必ず何とかしてあげるよ……」
「………え?」


 所変わってここはしがない岡っ引き、佐藤昌人の家。
「ただいまー」
「お帰りなさーい」
 茶碗を置きつつ、ひづきはいそいそと立ち上がった。
「先にお風呂にする?ご飯にする?」
「うーん、そーだなー…………」
 佐藤は背広をひづきに預けると、ネクタイを緩めながらぼそっと呟いた。
「……まずはお前にするよ」
「えっ?きゃんっ!」
 佐藤はひづきを押し倒すと、「ええやろええやろ」と
「ってなんで俺がひづきと初夜SSしなくちゃいけないんだーーーっ!!!」
「こっちの台詞よっ!」

 ただ今の放送に一部不穏当な表現が在りましたことを深くお詫びいたします。

「大体なんでてめーが平気な顔して俺のウチでメシの準備してやがる!?」
「いいじゃん、従兄弟なんだから」
「よくねえっ!てめーは大人しくかんざし売ってろっ!」
「ああっ、その発言は女性蔑視だっ!」
「うっせー、かんざし屋を職業に選んだのはてめーだろーが!」
「何言うのよ、シナリオ上の都合よ!」
(以下、聞くに耐えない罵詈雑言)
 てなわけで三十分経過。
「……んで?今日は何の用だ?」
「そう、それだわ」
 ひづきは俄に真剣な表情を作ると、言った。
「仕事よ」
 その言葉に、ぴくりと佐藤の頬が反応する。
「……………どこだ」
「越後屋」
 彼等二人は『仕事人』と呼ばれる暗殺者だった。
 社会の害悪を見つけると、それを狩るために磨き上げられたもう一つの顔を露にする。
 決して光には出ない、闇の仕事である。
「……して、咎状は?」
「名前」
 しばしの沈黙が流れた。
 もう一度、聞き返す。
「……今、なんつった」
「名前」
 きっぱりとひづきは断言する。
 佐藤はふっと笑うと、渾身の力でひづきを殴り飛ばした。
「どアホぉぉぉぉぉ!!何処の世界に名前が怪しいからって人を殺すバカが居る!?」
「だってだって怪しいじゃないすっごく!全身を使って私は裏で悪事してますって表現し
ているような感じでしょ、越後屋って!」
 そう言いながらしっかりと佐藤に無数の反撃を入れている。
 佐藤はふらふらになりながらも、ひづきを半眼で睨んだ。
「お前、じゃあ『悪 人太郎』とか『人斬 万年』とか『血飛沫 撒散らし一号』とかそ
ーゆー名前の奴でも迷わず殺すんだな!?」
「当たり前よっ!」
「何でだぁっ!?」
「そんな名前の奴はみんなに虐められる過程で精神が捻れてるに決まってるでしょ!」
「名前は本人の責任じゃないだろが!」
 佐藤がツッコむと、ひづきは冷静な目で呟いた。
「もしここで私が、ある地域に生まれたってだけで戦争に巻き込まれ、差別され、迫害さ
れる人間が今の時代何百何千万人居ると思って……とか言ったら大問題になる?」
「やめんかぁぁぁ!!!!その発言は確実にシャレになってないぞ!!!!」
「やっぱり民族問題だけはギャグの対象にしちゃいけない部分よねぇ……あと日本内の問
題でも色々あるけどまぁ本人の責任じゃないのに非難されるのは私が今言ったことと同じ
で……」
「自分の発言が不当だって分かってるなら言うなよそんなボケ!」
「どーでもいいけどこの部分って公的な出版物・放送物なら即座にボツね」
「インターネットでも不用意なことを言うんじゃない!考えるのは確かに自由だが、それ
を発言するのは必ずしも自由じゃないんだぞ!」
「全くその通りだわ」
 ひづきは一つ頷いてから、佐藤を見上げた。
「そーゆーわけでいっちょ殺ってきますか」
「全然分かってねーじゃねーか!」
「やんやん。昌人にーたまひづきのゆーこときーてくんないとやーん☆」
 脱力。


 ただ今のコントで気分を害された方に深くお詫び申し上げます。


 きたみちは隣の布団に眠る靜の寝顔を見て、幸せそうな笑みを浮かべるとゆっくりと立
ち上がった。
 丑三つ。鬼が目覚める刻。
 刀を手にしたきたみちは、ゆっくりと外へを歩いていった。
 目指すは……越後屋。


 越後屋の中はひっそりとしていた。
(……妙だな……守衛の数も少ない)
 きたみちはこそこそと屋敷の中を歩き回る。
 と、お約束の灯りのついた部屋を見つけてほっした表情を浮かべた。
(どれ……)

 中では二人の男がくっくっと笑いを浮かべていた。
 一人は恰幅の良さそうな男。
 もう一人は背の高い青年だった。
(しかし……なんだあの奇天烈な風体は)
 思わずきたみちがそう思ってしまうくらい、青年は変わっていた。
 着ている物自体はそう変わった物ではないのだが……。
「いやいや、それにしてもお代官様もお人が悪い」
 青年の方がそう言った。
 恰幅のいい方が、それに応える。
「ぬふふ、越後屋ほどではない。ずいぶん腹黒いこともやっておるのだろう?」
「いえいえ、滅相もない。お代官様こそ私にあの綾香めを召し上げさせ、柏木城の悠朔衛
門様に差し上げなさるつもりでございましょう?」
「おう、見抜いておったか。しかし越後屋よ、主こそ南蛮の怪しい奴等と密かに交わりを
持って、しかも彼等の宗教すら信じておるというではないか?お上に知れるとコトじゃぞ」
 そう言うと、越後屋と呼ばれた青年はくっくっと悪人笑いをして、言った。
「何をおっしゃいます、あなたはそれを握りつぶせるお力をお持ちのお方。ささ、菓子で
も召し上がりませい」
 そして、ずずいと箱を取り出した。
「む、これはなんじゃ?」
「南蛮渡来の菓子……かすていらと申すお菓子でございます」
「ほぉ?じゃが、わしは甘い物が嫌いじゃぞ?」
「いえいえ、この菓子……間に黄金色の糖板を入れるのが特徴にございます」
 すると代官は顔をにんまりと緩ませて相好を崩した。
「むふふ、わしはこの菓子は大好物じゃ。それにつけても越後屋よ、お主も悪よのぉ」
「いえいえ、お代官様ほどでは」
「くっふっふ」
「へっへっへっへっへ」

(まさか……まさか!)
「いやぁ、まさか本当にこんな会話できる連中っていたんだなぁ……」
「ああ、本当にな」
 そう応えてから、きたみちははっと隣を見た。
 隣にいた青年もぎょっとしてきたみちを見ている。
「なんだお前!?」
「そっちこそ!」
 二人が声を挙げた瞬間、襖が大きく蹴破られた。
 そして青年がばっと手を大きく挙げ、叫ぶ。
「曲者だ!皆の者、出会え出会え!」
『おーーーーっ!!!!』
 越後屋の号令に合わせ、わらわらとそこらじゅうから無数のちんぴら達が湧いて出る。
 佐藤はぎょっとして目を剥いた。
「人が居ないと思ったら……待ち伏せされていたのか!?」
 しかし……一体、何故自分のことがばれたのだ!?
 その答えはすぐに解消された。
 越後屋はぴんっと指を弾く。
「先生!出番です!」
「はーい!」
 ひづきがてへっと照れながら後ろの部屋から出てきた。
 そして、呆気にとられる佐藤を見てぺろっと舌を出す。
「えへへ、昌人売っちゃった。ゴメンね☆」
「てめええええええええええええ!」
 ひづきは手を組むと、ふるふると身体を振るわせて呟いた。
「だってだって、だって欲しいワンピースがあったんだもん☆」
「お前血のつながったたった一人の身内とワンピースとどっちが大事だ!?」
「ワンピース」
 即答&断言。
「お前は所詮そーゆーヤツだ」
「理解して貰えて嬉しいわ」
「皮肉だ、バカ!」
 佐藤さん、ひづきを壊しまくっちゃってゴメンね。
 まぁそれはともかくピンチだ佐藤!
「って、巻き込まれた俺ってもしかしてとっても不幸なのでは……(汗)」
 訊くまでもないだろ、きたみっち。
 越後屋はびしっと二人を指さすと、一同に声を掛けた。
「さあ、やってしまえ!」
「どひーーーっ!?」

「ひとーつ!人の生き血を啜り……」

 その瞬間、時間が制止した。
 一人の男がゆっくりとこちらへ向かってくる。
 顔に般若の面を被り、この寒いのに紗(うすぎぬ)を一枚羽織っただけの羽衣を持った
細身の男が。
「だ、誰だっ!?」
 越後屋の誰何の声にも男は応えない。
 ただゆっくりと歩み寄るのみ。

「二つ、ふるさと後にして……」
 その圧倒的な威圧感に、じりじりとごろつき達も気圧されて行く。
 そして、男はついに仮面に手を掛けた。
「三つ、見事に切り裂く、あ、よっしー太郎ざむら……」
「やかましい」
 ばきゅーん。
「はぁうっ!」
 よっしーは思いっきり胸を打たれてその場に倒れた。
 てゆーかあっけなさすぎ。
「あああっ、よっしーさん!折角二番を『ダイちゃん手鞠唄』にしたのに誰にも気付かれ
ずに死んでしまうなんてっ!」
 佐藤はそう言って、痛恨の苦痛を顔に浮かべた。
「何で気付くんだ、お前(汗)」
 きたみちは突っ込むことは忘れなかった。
「それにそこの越後屋!なんでお前コルト・ピースメーカーなんて持ってるんだ!?かわ
いそーによっしーさん胸に大穴開いてるじゃないか!」
 越後屋ことbeakerはきょとんとした顔をしていたが、じっと自分の持った銃を見てこり
こりと頭を掻いた。
「まぁ……南蛮だし」
「時代考証を無視すんじゃねーーーっ!」
「失礼な、幕末にコルト初期型があるのは別に不自然なコトじゃないぞ!」
「そんなもんが鎖国期の日本に入ってくるワケないだろがっ!」
「在るんだから仕方ないじゃないか!」
 滅茶苦茶である。
 佐藤は虚ろな目で虚空を見上げると、呟いた。
「なぁ……なんで座頭市はテレビ放映しないのかな……」
「いろいろやばいんだろ。特にあのキメゼリフ。眠 狂士郎はやるからいいじゃないか」
「…………ノーマライゼーションって大事だよね」
「これからの日本の抱える重大問題の一つだな……って、どーゆー現実逃避だっ!?」
 諦めたまえ、きたみっち。
「てなわけでかかれーーっ!」
『わーーーっ!?』


 それより遡ること半刻……。
 隣のお布団に父が居ないことに気付いた少女は、ため息をつくとずるずると夜の町へ向
かって歩き出していた。


「ばたん」
「きゅー」
 でもってきたみちも佐藤も呆気なくやられていた。
「……弱いぞ、お前等……」
 さすがのbeakerもつつっと冷や汗を垂らしながら言う。
「どうします、親分!」
「……キル・ゼム」
「らじゃ」
 びっと首筋に手をやったbeakerに、子分がびしっと敬礼した。
 きたみっち&佐藤、大ぴーーーーんち!
 ざきゅ。
「うぎゃあっ!?」
 でもってあっさり首が舞った。
 ごろつきの。
「な、何いっ!?」
 仰天した一同が見たのは、重そうな刀をぶら下げた一人の幼女だった。
 続けて幼女がふらふらと刀を持ち上げると、それを一気に振り下ろす。
 あっと言う間に鎌鼬でごろつきの首が三本飛んだ。
 目を見張る一同に、幼女は堂々と言い放った。
「父上を虐めちゃだめーーっ!」
 でもって惨劇だった。
 この間わずか10秒。
「ちょ、ちょ、ちょっと待てーーっ!」
「やだ」
 抗議しようとするbeakerに軽く言い放つと、靜はbeakerをぶったぎった。
 そして、血の海の中をてくてくと歩いてきたみちを拾い上げると、また彼を引きずって
歩き去って行く。

 彼女の名はきたみち靜。
 よわっちいくせに無鉄砲な父親がやられかけてはわざわざ出かけていって代わりに全滅
させてくる、今時珍しい親孝行な娘である。
 人は彼女をこう呼ぶ。
 親連れ狼、きたみち靜と……。

♪しとしとぴっちゃんしとぴっちゃんしーとーぴっちゃん♪

            剣士きたみち、斬る!
                 完


「あれ?ひなたさん、なんだかみんな死んでますよ?」
「おっ、ラッキー。やっつける手間が省けたな」
 そう言いながら、二人のシノビがだれも生存者が居ない屋敷へ入ってきた。
 そしてごそごそと奥の部屋を漁り、一本の巻物を見つけだす。
「おおっ!これが『連中』の企む計画の記された密書!」
「一体何が書いてあるんですかねぇ」
 そして、二人はそれを拡げてみる。
 二人の顔から血の気が引いた。
 しかも美加香はあまりの内容にふるふると震えてすら居る。
「そ、そんな馬鹿な!?」
「こんなことって……これが実行されれば大変なことに!」
『もう遅いさ』
 二人はハッとして振り返った。
 そこには身体を引き裂かれたbeakerがふよふよと浮かんでいる。
「馬鹿な!?貴様、不死身か!?」
『くくく……時は来たのだ。もはや我等に敵はおらぬ。……死神すらもな!』
「何だと!?」
『ははは、足掻くがいい哀れな人間達!せいぜい我等教団に逆らう姿、見物させて貰う!』
 そして………beakerは掻き消えた。
 美加香は不安そうな顔をして風見を見上げた。
「………敵は………あまりにも強大なようだ。そして……得体が知れない」
 その途端、がすっ!という音がしてbeakerが壁にぶつかって失神した。
 透明にはなれても壁抜けは出来ないということを忘れていたようだ。
 美加香はあさっての方を見つめると、拳を握りしめ、言った。
「得体の知れない邪教集団……でも私達は負けない。必ず、勝ってみせる!」

『うーん、むにゃむにゃ。バカだなぁ、そいつはモモンガじゃないよ。そいつが仲間なん
だよ。ちがうちがう、負けたときはおーのーだってば。うふふふ、バードウィークは素敵』
 本気で得体が知れなかった。

            次回への伏線もばっちり(笑)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 今シリーズのテーマは、
『危険なギャグ』『レトロパロ』
 お間違えなきよう(笑)
 そいから今回出場したみなさん、キャラ破壊しまくってゴメンね(汗)