『どよめけ!  ミス・Leaf学園コンテスト!!』参加L 投稿者:希亜 弥雨那



 お昼過ぎ、漫研部室。
「まぁ春休みだし、この時期そんなに忙しくはないから顔だけでも出しておくかな…」
 校内で配布されている『どよめけ!  ミス・Leaf学園コンテスト!!』のチラシ
を見つつ、部室にてお茶を啜る希亜。
「悠さん辺りはどうするんだろう、綾芽さんと綾 綾… あれ?」

 しばらくお待ち下さい。

「綾香さんでしたね。 あの二人をどうするのか興味はありますが…」
 お茶を一啜りする希亜、今日はかりがねである。
「行って聞いてきますか」
 そう言って立ち上がった希亜の口元は悪戯っぽい笑みをたたえていた。


 校舎の屋上。
「ここに居ましたか」
「居ちゃ悪いか?」
「悪い」
 一瞬目が点になる悠。
「…、どーして?」
「そ〜やって悪いかと聞くのは、心のどこかに悪を自覚しているからです。 ですから悪
いと答えたんです」
「…分かった分かった。 で、どんな用なんだ」
「これです、お前さんならどうするのかと思って…」
「ああ、これか…」
 差し出されたチラシを受け取るでもなく、その内容に視線を走らせる悠。
「綾香さんと綾芽さん参加するかどうかは、動機の面から言って五分だと思います。 た
だ他推もありなのでかなりの確率で参加することになるとは思います」
「それは綾香の事だろう?」
「はい。 だって綾芽さんはもう参加されましたから」
「なに!!!!」
 悠はそう言うと希亜の胸ぐらを掴んでがくがくと揺すりながら、
「どう言う事だ、説明してもらおうか!!」
「あうあうあうあう、むぅ!」

 スパァーン!!
 ハリセンの音が響く。
「手を離してください」
 いきなり何か白いもので顔面を叩かれ精神的空虚になった隙に希亜は言った。
 ほぼ反射的に手を離す悠の目を見たまま、
「綾芽さんは、『小さな幸せを手に入れる為』と言っていましたよ」
「小さな幸せ?」
「はい、幸せってどんな物なのかって話だったんですけどその中でそう言う話題に触れま
して… で話の最後に『幸せでもそうですけど 欲しい物は欲しいと言って行動を起こさ
なければ 何も変わらないんですよ』って言ったら、そのまま駆け出して行ってしまいま
して。 このチラシを私に渡して『当日は、宜しく』って言って帰っていきましたよ」
「お前、空飛べるから初めの混乱を乗り切るために利用するんだろうよ」
「そう思います」
「で?」
「でとは?」
「何で止めなかった!!」
 再び襟首を掴む悠。
「私に彼女を止められると思いますか? なます切りにされるのがオチですよぉ!」
「…それもそうだな」
 目の前の希亜は空を飛べる。 分かりやすい力だからついつい他のSS使いたちと同列
に考えてしまいがちになるが、彼自身の戦闘能力は言ってみれば一般学生程度… いやそ
れ以下だろう。 強いて言えば超音速飛行時の速度の応用があるくらいだ。 だが、この
怒りはいかにとやせん!
「あー! なんだかとっても馬鹿野郎!!!!」
「あうあうあうあうあう… きゅう」
 ぐったりとなった希亜を見て、当面の行き場のない衝動をはらしたのか、手を離す悠。
 希亜は気絶しているにもかかわらず、そのままの位置で浮き続けていた。




 夕刻、五月雨堂。
 何か使える物はないかと思い辺りを見渡す。
(我ながらお節介だとは思うんですけどね… なれど面白そうですから、参加しない手は
ないですねぇ)
 自称悠朔と綾香の娘である綾芽の手伝いをすることに、些かの抵抗を自覚しつつも、同
時にそれを補って余りある程に好奇心を刺激されている自分に苦笑する希亜。
「いらっしゃい、希亜君。 今日はお客さんかな?」
「ええ、そうです〜」
「希亜君は参加するのかい?」
 そう言って健太郎が指さした先には件のポスターが貼ってあった。
「はい」
「丁度良かった」
「はい?」
「スフィーが参加するんだよ、なんでもグエンディーナとレザムヘイムの決着を付けると
か言ってたけど俺店番があるし、魔法の事はよく分からないから。 頼むよ」
「え? あの…」
「じゃ頼んだから」
(こ、断り損ねてしまいました。 どうしよう)
 後には呆然とした希亜だけが残されていたとな。




キャスト(登場順)
弥雨那 希亜
悠 朔
宮田 健太郎