初Lメモ『遅れて来たThe King Of Terrors!!』 投稿者:佐奈田黒助

 その日、彼は唐突に現れた…

  初Lメモ『遅れて来たThe King Of Terrors!!』

 時間は六時間目。2年生男子は体育の授業で、グランドでサッカーをしている最中でる。
「ふぅ、つかれた」
「そうだね」
 休憩に入った浩之と雅史がグランドの端っこで座っている。
「そんな事言って、全然汗かいてねーじゃねぇか、お前」
 汗だくな浩之に比べて、雅史は息一つあがってない。
「僕が本気を出したら試合にならないからね」
「……そうか…」
 …また平気な顔してとんでもない事を言う…。等と思いながらグランドを見る浩之。皆、
まじめにサッカーを楽しんでいるようだ。
「平和だな…」
「そうだね」
 しかし浩之は不安だった。
 今日ははっきり言って奇跡と呼べるくらい平和だったからである。
 朝遅刻者がいなかったことを始め、昼の購買部でも乱闘は起きず、ジンVSDセリオもD
セリオがメンテナンス中だったために起きず、風紀委員も今日に限っておとなしく、西山
も暴走しなかった。
 普通なら喜べることだろう。しかし、ここリーフ学園がそれで終わらせてくれるとは到
底思えない。浩之にはこれがなにか『予兆』としか考えられなかった。そして、当然その
予感はあたることになる。
「良い天気だね」
 雅史の声でふと視線を上げる。
「そうだな」
 真っ青な雲一つない空。風もない小春日和。
 さっきの悪い予感も忘れさせてくれるような気分になる。
「…どこぞの預言者が言ってたことも外れたし、やっぱ平和が一番だな……ってあれ!?」
「浩之、どうしたの?」
 そう言って雅史もそらを見上げる。
「!?」
 そこには点があった。雲一つない空に黒い点が一つ。
 しかもそのままどんどん大きくなっていって…
「「危ない!!」」

  チュドーーーーーーーン!!

 グランドに落ちた。
「大丈夫か!?」
 グランドの中心に直径20メートルほどのクレーターができていた。
 幸い怪我人はいないらしく、皆クレーターを囲むようにして様子を見ている。
「………………!?」
 しばらくして土煙が引いてくると、人影が見え始める。
 そこには一人少年が立っていた。中肉中背で、どこにでもいるような顔をしている。し
いて特徴をあげるとすれば、少々浅黒い肌とターバンらしきものを身につけている事、後
は細目な事くらいである。
「………帰ってきた」
 その少年が言った。
「さすがに生身で大気圏突入は辛かったけど……やっと、やっと帰ってきたんだ!!」
 涙を流しながら絶叫する少年。よく見ると黒い学生服(学ラン)が少しこげている。
「「「…………」」」
 唖然とする一同。いくら騒動が多いリーフ学園とはいえ、空から人が落っこちてくれば
さすがに驚く。
「……誰だ?お前?」
 ぽつりと浩之が言った。
「浩之!!もう2度と会えないと思ったけど…。よかった、また会えた!!」
 少年は感極まったと言うような表情で話し掛けてくる。どうやら浩之の知り合いのよう
だ。
「浩之、知り合い?」
「雅史も!!…一億四千万年後なんてオチじゃなくて本当によかった!!」
 本当にうれしそうだ。
「馬鹿言え、俺の知り合いに生身で大気圏突入できるヤツなんて……(腐るほどいるな…
…)」
「僕も知らないよ」
 当の二人は少年について全く知らないようだ。
「!?、二人とも俺のこと忘れちゃったの!?」
 明らかに狼狽する少年。相当ショックらしい。
「んな事言われてもなぁ」
「全然記憶にないよ」
「俺だよ!佐奈田黒助だよ!!」
「しつこい!知らんものは知らん!!」

  ガーーーーン!!<SE>

 しばらく静寂があたりを包んだ。
「………………ふふふふ」
 突然黒助が笑い出した。気がふれたらしい。
「ちがぁう!…………そうだ、君達は偽者だぁ!!」
 そう言って人差し指をつきつける。
「!?何を根拠に!?」
「ふふふ……浩之!君の目がとんがっている!!」

  ババーーーーン!!<SE>

 バックに稲妻が走る!!
「そう!偽者と言えば目がとんがってるんじゃないか!!!」
「元からだ!!ボケェ!!」
 すかさず突っ込む浩之。
「マフラーが黄色い!!」
「マフラーなんかしてねぇ!!」
「ぐぐ…………じゃあ、俺の知らないうちにリーフ学園一帯が沈んで…」
「んな訳あるかぁ!!」
 バキッ!!
「いたい…ひどいよ……」
 ついに殴られた。もうすでに4分の3泣き。
「浩之を偽者呼ばわりしたんだ。自業自得だよ」
 雅史がもっともな事を言う。そりゃそうだ、言いがかりで偽者呼ばわりされれば誰だっ
て怒る。
「君達本当に知らないのか?見ていて居た堪れないぞ」
 成り行きを見つめる観客の中から長瀬祐介が出てきた。
「!?祐介!!君なら!!」
 さっきまで絶望に打ちしがれていた黒助の瞳が突然希望に満ちる。
「えっ?!」
 まさか自分に振られるとは思わなかったらしい。
「君なら覚えてるよね!!ほら!!」
「あ、いや、その」
 期待に満ちた瞳で見つめられるととても「知らない」とは言えない。
「黒助だよ!!」
「………えっと」
「………まさか…」
 黒助の瞳が見る見るうちに絶望に染まっていく。
「…ごめん」

  ジャジャジャジャーーーーン!!<SE>

 運命並みの衝撃が黒助を襲う。
「そ、そんなぁ」
 最後の砦が崩れて滝のように涙を出す黒助。周りのみんなも居た堪れないようだが、慰
める方法がないので見ているしかない。

 その時、救いの天使がやってきた。

「あれ、瑠璃子さん」
 突然、体育館でバスケットボールをしているはずの月島瑠璃子が現れた。そのまま黒助
の前まで歩いていき、
「ふふ」
と笑って彼のターバンを取った。

  ………………

 そこにはあるべきものがなかった。もう少し言うと、円形脱毛症ふうにはげていた。
 要するに「河童頭」だった訳だ。
「「「あ、黒助!!」」」

  ドゴーーーーーーーーーーン!!

 止めが刺された。
 …自分が彼らにどういう風に認識されているか嫌と言うほど分ってしまったらしい。真
っ白に燃え尽きてしまった。
「ふふふ、電波、とどいたよ」
 なにか言い残すことは?
「ギャフン」



「へぇ、彼って祐君の従弟なんだ」
放課後、ホームルームも終わり皆おしゃべりに花を裂かせている。ここでも祐介と新城沙
織が、六時間目の事件についてはなしている。
「でも、あんまり似てないね」
「そりゃ、従兄弟だからって似るわけじゃないよ」
「ま、それもそっか。しかしミヤウチ星に留学生を送ってたなんて、つくづくこの学校っ
てすごいよね」
(僕達もその一人なんだけどね)
そう思って祐介は少し微笑んだ。
「どんな人なの?」
「変なやつだよ、って変じゃないわけないか。この学園の生徒だから」
「明日から学校に来るんだよね。ちょっと楽しみだな」
「どうして?」
「だって、私の知らない祐君を教えてくれるかもしれないじゃない。恥ずかしい思い出とか」
そう言って沙織は無邪気に笑った。
「それは…まずいかな」
あまりまずくはなくそうに答える祐介。
こんな会話が自然に出きるようになった自分が、少しうれしい気がしていた。

 今日のリーフ学園は、やっぱりとっても平和だった。

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 ほとんどの方始めまして、佐奈田黒助です。
 うーん、駄目なところが多すぎる気がしますがとりあえず編入Lです。(SS使いの方が一人
も出てないし、自己紹介になってないし、他にもまだまだ…)
 当然まだ、人間としても文章書きとしても未熟なので指摘、指導、苦情には善処するつもり
です。長瀬祐介の従兄弟と言う設定にしてしまいました。これについても苦情待ってます。
 浩之と雅史については、1年の時に知り合っただけです。他には特にありません。
 最後に、誰か交友関係結んでくださ〜い(涙)。