『どよめけ! ミスLeaf学園コンテスト』第5話 〜Crossing Battle〜  投稿者:隼 魔樹


〜章前〜


「バルカン・ファランクス斉射! これ以上艦にアレを近づけるな!!」
 ブリッジの艦長席に座った冬月の命令に反応し、4基あるバルカン・ファラ
ンクスが唸りを上げる。
 一分間におよそ1200発の弾丸を撃ち出せる砲台は、対空砲火としては充
分すぎる力を持っている。
 対艦用の装備ではない、主砲、副砲の間を縫ってくる小型の敵――対戦闘機
用の火器だ。
 戦闘機と言うものは、一発弾を食らっただけで性能ががた落ちになる。故に
こう言う弾幕を張れるような火器が有効なのだが。
「……だめです、一発も当たりません。予想以上のスピードと回避性能を持っ
ています」
 オペレータ席からは副官の綾波が冷静な声で無常な事実を伝えてくる。
 思わず冬月は舌打ちする、悔しいが綾波の言う通りだ。この戦艦冬月の対空
装備ではあの戦闘機を捉えられないらしい。
 正面ディスプレイには、火線の間を踊るように回避する2機の戦闘機を映し
ている。
(せめて綾波が使えれば……!!)
 それが無理だと解っていても思考がそこへ向いてしまう。戦艦冬月の僚艦、
空母綾波は先日無期限凍結処分となってしまった。綾波搭載の戦闘機の開発が
送れているため、空母だけあっても無意味と判断されたためだ。
(通常戦闘機でもあればだいぶ違うというのに……)
 まさか、空母綾波が無くなると同時にこのような事態になるとは思わなかっ
た。
「副司令、敵戦闘機より通信が入っています」
「……つなげ」
 通信ウィンドゥが開き、人影が現れる。
『やっほ〜。いー加減に諦めたらぁ? 何もずっと占領するってわけじゃない
んだからさぁ』
 明るすぎる声で呼びかけてきたのは、leaf学園2年の長岡志保、冬月の同級
生だった。
 現状とかけ離れたあまりに場違いな声に、頬を引きつらせながら冬月は答え
る。
「そんな事出来るわけないでしょう……」
 一呼吸置いて、大きく息を吸い込む。
「この戦艦冬月を!! 情報特捜部の臨時放送席にするなんて発言を飲めます
かぁぁぁっぁあっぁぁあぁあっぁぁあっぁぁっぁあっぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 ありったけの声を絞り出す。
『ああ〜、まだそういうこという気? シッポ! 構わないからとっとと制圧
しちゃいなさい!! 副部長権限で命令よ!!』
 別のウインドゥが開き、少年の顔を形づくる。
『……そう言う事だ、冬月。すまんが実力行使に移らせてもらう』
「あなたも大変ですね……」
『それを言うな……』
 男二人はお互いに同情と共感の視線を投げかけあう。
 そうしている間にもYF−19・YF−21と戦艦冬月は激しいバトルを繰
り広げている



 どよコンの最中に起きた、本編とは全く関係ない戦いだった。




『どよめけ! ミスLeaf学園コンテスト』第5話 〜Crossing 
Battle〜 



「なぜだ……」
 少年は小さく呟く。
 目の前の現実が信じられないかのように。
 簡単な事の筈だった。
 幾ら自分達が名もなき一般生徒で。
 相手がリーフキャラだったとしても。
 こんな事になる筈はなかった。
 目の前では三人の少女と一人の少年が縦横無尽に走り回り、仲間を薙ぎ倒し
ている。
 30人近くいた仲間はすでに半分近くまで減っている。
 相手があの来栖川綾香や、柏木千鶴教師であれば、目の前の結果にも納得で
きる――もっともそんな相手に挑もうとは思わないが。
 バトルロイヤルの鉄則は弱い相手を徹底的に狙う事。
 強力な守護者がいるわけでもなく、本人達の能力も高くないこの四人組は格
好の標的のはずだった。
 それが、なぜこうも簡単に……。
「…………12人の一般生徒が三分で沈黙だと…………、トゥハートのリーフ
キャラは化け物かっ!!?」
 悲鳴のような絶叫。
「あーもう鬱陶しいわねぇ!!」
 声と共に何時の間にか近くまで近づいていた少女の拳が、少年の顔にめり込
む。
 一撃で少年の意識は吹き飛び、もんどりうって転倒する。
 苦もなく目の前の一般生徒を沈黙させたこの少女。
 名を岡田と言った。



「確かにキリがありませんねぇ」
 ボロボロになっているたくたくが溜息と共に言葉を紡ぎだす。
 一見この大量の一般生徒達に傷つけられたように見えるが、実はそうではな
い。 
 天然鬼畜、吉井ユカリの盾になり、弾丸となり、体を張って彼女を守った結
果だった。
「こっちに来ないで下さい!!」
「吉井さんまた私を……へぶっ!」
 悲鳴と共に襟首を掴まれ、生徒の群れに向って投げ飛ばされる。暗黒の気を
纏ったたくたくは着弾と同時に爆発、辺りに甚大な被害をもたらす。
 爆発がはれた後には数人の一般生徒と共に倒れているたくたくの姿があった。
 痛みをこらえて考える、どうしてこんな事になったのだろうと。
 激戦区を避け隠し通路を誘導してる最中に、大量の生徒の移動を察知して慌
てて救援に駆けつけてみればこの始末だ。
(この隠し通路は指導部員にしか存在を知らせてないのに……って、あれ?)
 指導部員?
 ちょっと待て。
 あのメンバーの中にこう言うことしそうな人間がいなかったか?
 何の計算もメリットも考えずに面白さだけで、全ての事を進めようとする人
間が。
 指導部にいるよりも暗躍に入ったほうがよほど活躍出来るんじゃないかと思
える人間が。
 たくたくもよく知っているその人物は……。
「魔樹さん、裏切りましたねぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇっぇぇぇぇ!!!?」



「……なんか誤解されてるみたいですねぇ」
「ま、別にい―んじゃねぇか? これで同士討ちになってくれたら俺らの手間
が減る」
「にしても、指導部の人間を減らす意味ってあるのでしょうか?」
「最終的に敵に回るからいいんだとよ。それに……」
「それに?」
「隼魔樹だけは『何があっても潰せ』って命令だしな。丁度いい」
「一体美也さんと彼女(彼)の間に何が……」
「知るかよ、……知りたくもねぇ」
 実は美也の命令を受けた永井と鈴木の策略だったりする。



 ドガッ!!



 鈍い音に続いて人が倒れる音がする。
 どうやらまた岡田が戦果を上げたようだ。
 マイナーキャラと言われ、常日頃で番のない鬱憤を晴らすかのように、相手
を快調に倒していく。
 格闘部に入っていないのが信じられないほどの腕前だ、隠れた才能である。
 松本は何もしてないように見えるが、岡田が倒した男子生徒にきちんと止め
をさしていたりする。
 ……もしかするとこの娘、3人の中で一番エグイのかもしれない。
 吉井はたくたくを武器にしながら、自分の身を守っている。……自分の身を
守っているだけなのだろう、例え時々悲鳴と共に黒い爆発が起こったとしても。
 数分後。
 一般生徒とたくたくは全員地に伏していた。
「ふん! アタシだってリーフキャラなんだからねっ。むざむざ一般生徒なん
かにやられたりするもんですか!!」
「そーそー、リカだって簡単にやられないぞっ」
「たくたくさん……大丈夫ですか? 何でこんなにズタボロに……」
「はははははは………………(やっぱり天然ですか)」
「んでたくたく、これからどーすんの?」
 3人娘のリーダー格、岡田が参謀たくたくに意見を求める。
「このままここにいたら不味いです。早急に隠れる場所を探しましょう」
「わかったわ、で、どこに逃げる」
「そうですね……」
「わ!?」
 突然上がった松本の驚きの声に 全員が注目する。
 松本の視線の先では、次々と男子生徒が起き上がっていた。
 一人、また一人。
 全身ズタボロになりながらも、目だけは戦意を失っていない。爛々と輝く瞳
が4人を貫く。
「なめるなよ……」
 地獄の奥底から響くような声。
「なめるなよ……」
 あるいは生きながらにして死を迎えた哀れなる魂の声。
 全員が同時に同じ台詞を喋るその光景に思わず全員が一歩ひく。
「俺達だって……」
「出番が欲しいんだ……」
「目立ちたいんだ……」
「意地があるんだ……」
 くわっと一般生徒の目が見開かれる。
「一般生徒には!!」
「一般生徒の!!」
「意地がある!!」
「今こそ見せてやる!! これが……!!!」




           「真・雑魚神楽ぁぁっぁぁぁっぁぁぁっぁぁっぁあああ
ああああああ!!!!!!!!!!!」


 一糸乱れぬ動きで一人だけを狙う、30人のタコなぐり!!


 その標的となるのは……
「岡田さん!! 逃げてください!!」
「メグミちゃん、下がって!」
「メグミ!! よけてぇぇぇぇぇ!!」
 3人の悲鳴が届く前に岡田が人間の群れの中に消える。
 一陣の嵐が吹き去り……。


 岡田は、傷一つなく立っていた。



「なにぃ! 効いてないだとぉぉぉぉ!!!?」
 驚愕の声を上げる一般生徒。



「舐めないでよ……」
 不敵な笑みを浮かべて岡田が呟く。

 
「アタシは……」


「アタシは……」   


            「アタシは岡田なのよ!!!」


「わ、メグミちゃんが別の作品と融合してる〜」
「あれが伝説の……」
「乙女岡田さんモードですか!?」


               おいおい


「リカ、ユカリ、久しぶりに行くわよ!!」
「え〜? あれやるの〜?」
「リカ、今は逆らわないほうがいいわ……」
 岡田を中心に3人娘が集結する。



「脇役には……」 
 岡田が前に出る。
「脇役の……」
 左隣に松本が進みでる。
「意地があるんです……」
 右隣に吉井が控える。
「見せてあげるわ!! これが…………!!」




   「真・脇役の意地!!!!!!!!!!!!!!!!」



 怨念すら篭った理解不能のパワーが炸裂する!!


 
 先ほどの倍以上の力の嵐が吹き荒れた後には……。
 立っている一般生徒は、いなかった。



「さーて、すっきりした☆!! とっとと行くわよ〜」
「あれやると自分の立場を再認識しちゃうんだよねぇ……」
「おまけにSS使いやメインキャラクラスには効かないし……」
「私は……何のためにここにいるんでしょう……」
『宿主、力が欲しいなら私が協力するぞ』
「黙ってなさい、寄生生命体!!!」



 一方、その頃。



「これは……使えるかな?」
 和服にエプロンと言う、特注の競技服に見に包んだ隼魔樹の見ている視線の
先は……。

 
 次の人へ続く
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えー、やっちゃいました(笑)
推薦キャラも自分も捨てて、三人娘のシーンを書こうとしたら、先にたくたく
さんに書かれました(笑)
悔しいので辻褄を合わせるように調整して投稿です。
何気に伏線はってたりもするし(笑)

パロネタ満載ですが……やばいでしょうか?(汗)
(あ、ちなみにこれはたくたくさんのLを否定するために書かれたものではあ
りませんので)

いろいろ問題はあるかも知れませんが、御意見のある方は直接僕にまでお願い
します