Lメモ 怪奇報告書類 「 悪霊の巣食う館の主 」 投稿者:まさた

――― あなたはもう知っているだろうか ?
―― あの呪われた忌まわしき学園のことを …。
―― おびただしい殺戮とあまたの陰謀が渦巻く場所 。
―― 狂った者は、そこを聖地と敬称し崇め 、
―― 正常な者は、そこを地獄と罵り唾を吐く …。
―― これはその学園で起こったのささいな事件 …。
―― とるに足らない日常の一つの出来事である 。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『 怪奇報告書類「 悪霊の巣食う館の主 」』

≪ フ・ジ・ミ!? 人畜有害少年の誕生。みんな生きてるんだ友達なんだ ♪≫



 きぃ〜〜ん こぉ〜〜ん かぁ〜〜ん こぉ〜〜ん


「…… ねぇ、ちょっと聞いた 聞いたぁ ?」
「 うん、聞いたよぉ 知ってるぅ〜 」
「 なにぃ? 何の話ぃ〜〜 」
「 例のあれよ、ア・レ !」
「 あ、アレの話かぁ 」
「 そう。ねぇ、どうなのかなぁ。やっぱりホントなのかなぁ ?」
「 うーん、どうだろうなぁ 」
「 でもでも、私の先輩は見たんだってぇよぉぉ〜 」
「 えぇーーっ !! ホント、それぇ ?」
「 ホントホント。それでその先輩、四日間寝込んじゃったんだからぁ 」
「 やだぁ、こわ〜〜い。それってやっぱり祟りかなぁ〜〜 」
「 やっぱりぃ、むかしあそこで自殺した女子生徒がいるって噂も ……」
『 いやぁぁっっ !!』
「 本当なら、それ恐いよぉ〜〜 グス …」
「 そうよぉ。何で学校もいつまでもそんな場所、放置しておくんだろぉ〜 」
「…… もしかして、できない理由があるんじゃあ ……」
「…… やっぱり 」
「………」
「………」


それは何てことない、ただの戯れ言だったのかも知れない。
しかし、いつしかその噂は人伝いに誇張されていく ……。
まるで波紋の広がりのようなものだろう。
そして、それらを何とかしようとする者たちがいた ……。


「…… そこでだ。我々が正義のために立ち上がり、その悪霊をだなぁ …」
「 ちょっと待てよ、やーみぃ。何でおれらがやらなきゃいけないんだ ?」
「 臆したか、風見ひなたよ。きさまは我が生涯のライバルと思っていたのに ……」
30分の熱演に水を差されたHi−waitは、悲しい目つきで親友の風見ひなたを見つめた。
「 思うのは勝手だけどさ。それより何でおれらなんだ ?」
「 なにを言う。正義が悪を退治するのは、当然のことではじゃないか 」
答えになっていなかった。風見はふぅとため息を吐くと疲れたように腰をあげる。
「… わかったよ。おい、美加香、どこか入れそうな入り口はあるのか ?」
「 はい、ひなたさん。探してみましたが、ありません 」
「 そうか ……… だそうだよ、やーみぃ。無理だ諦めよう 」
「 な、なにを言ってる。きさま、それでも正義に生きる男か!?」
やれやれ、疲れる奴だ ……。
「… で、どうするんだ ?」
風見はHi−waitに投げやりな口ぶりを言った。
――― 実際に入れそうな所など、どこにもなかった。
それは、古びた感じの洋館だった。確か出来てからはそう経っていないと聞くが、
先輩たちが入学してきた時にはすでにその洋館はあったと言う。
なんでも、その時はこんな様相ではなかったらしい。
そう、それは様相というには、あまりに不気味な状態だった。
すべての窓という窓は鉄板で厳重に溶接されており、光の入る隙間すらない。
扉も同様だ。鉄が粗剥きに出ており、美的感覚などありゃしない。ひどいものだった。
そして、洋館全体を何十にも巻き付ける太い鎖。
玄関先の大南京錠によってしっかりとロックされていた。
――― まるで、そう何かを厳重に封印している様であった。
「…… とにかく、俺の必殺技で …」
と、Hi−waitが言いかけた時だった。
「… やめなさい、それに関わってはダメよっ !!」
「…… 日吉、日吉かおり先輩 ?」
木陰から現れた一人の少女。日吉かおりだった。
「…… それに関わってはダメ。きっと後悔することになるわ …」
いつになくシリアスな口調で静かに続けるかおり。
「 そうか ……」
Hi−waitはふっとため息を吐いた。
「 いくぞ! 正義の鉄槌 !!」
「 え? ちょっと待ってよ …」
Hi−waitを中心に半径20m周辺に超重力のプレッシャーが圧し掛かる。
「 ぐえぇっ !!」(H)
「 ぐわぁぁっ !!!」(ひ)
「 ひぇぇっっ !!」(み)
「 キャアアァ !!!」(か)
四人はプレッシャーに耐え切れずに地面にひれ伏した。
…… ひゅるるるるぅぅ〜〜 と何処からともなく風が吹く。
最初に起き上がったのはよれよれのHi−waitだった。
「…… ふっ、正義は勝つ …」
「… ってぇ何て技を使うんだっ !!」
「 だって、作者がこの技の名前しか知らないっていうから …」
風見はこめかみを押さえる。頭が痛かった。
「… あ、見て下さい、ひなたさん。あそこ あそこっ 」
赤十字美加香が指差す方向を見る風見とHi−wait。
すると、そこには先ほどの大技で出来たのだろう穴が、天井にポカリと空いていた。
しかも、ご丁寧に梯子まで掛かっている。ご都合主義の極みだった。
「…… ふっ、正義は勝つ …」
ひゅるるるるぅぅ〜〜 と何処からともなく風が吹く。
Hi−waitの肩に先ほどまでは付いていなかったマントがバタバタとなびいていた。


「…… やっぱり、暗いですね 」
美加香が暗い部屋をキョロキョロと見回しながら呟く。
「… そうだな、だがこの荒れ具合は妙だ。何かがいる気配もする …」
風見の言葉に美加香が生唾をゴクリと飲み込む。
――― 三人が入って来たのは、屋根裏部屋だった。
がらんとした様相と思いきや、わりと家具類やらがあり生活感があった。
けっこうマメに掃除でもしているのだろう、調度品は埃をかぶっていない。
だが、部屋の中は物が倒れたり、壊されたりして、乱雑な感じを受けた。
――― 人が住んでいるのか?
そう思わせぶりな状態が、余計に緊張を高めて行く。
三人は静かに目配せして、先に進もうとしたときだった。
 ………… キュー キュー キュー ………
どこからともなく奇妙な音が聞こえてくる。
 ………… キュー キュー キュー キュー ……
音ではない。それは何かの泣き声だった。
しかも、その声は一つではない。いち、にい、さん …… いくつもあるのだ。
そして、信じたくない事に、それらは次第に近くなってくるではないか。
「… ひ、ひなた。これはいったい 」
「 わ、わからん。…… やーみぃ、ちょっと行って見てきなよ 」
「 い、いやぁ、ひなたこそ行って見てきたらどうだ ?」
 ………… キュー キュー キュー キュー キュー
 ………… ぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱた
疑う余地はなかった。何かがすぐそこまで来ているのだ。
三人は空いている奥の扉の外を見た。いや、見ているしかできなかった。
 キュー キュー キュー キュー キュー キュー ……………
 ぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱた …………
「………」
「………」
「………」
「…… なあ、やーみぃ 」
「…… なんだ、ひなた 」
「…… いまの、何だと思う …」
「………」
黙っているHi−waitの代わりに、美加香が口を開いた。
「… あ、あの、ひなたさん。あれはペンギンという動物で ……」
「…… やっぱり、そうだよなぁ 」
「… ああ、そのようだなぁ。しかも、真っ白の …」
「 結構、可愛かったですね。ウフフ 」
クスリと笑う美加香の声で二人は目が覚めたようだった。
風見とHi−waitは、おそるおそる扉口に近づく。
そして、覗き込むようにペンギンたちが走り去った方を眺めた。
「 だが、何でこんなところにペンギンがいるんた ?」
「 わからん。ここはもしかしたら動物園なのかもしれないぞ ?」
「 やだなぁ〜〜。ここは動物園じゃないですよ、図書館ですよぉ〜〜 」
「 そうか、図書館だったのか …… って、お前は誰だ !!」
いきなり背後から声をかけられ、驚きのけ反る風見とHi−wait。
戦闘体制を構える二人が見たのは、気の良さそうな一人の少年だった。
どこかしら二年の佐藤雅史先輩を思わせるような少年。
だが、この少年の方が体つきもしっかりしており、幾分背丈も大きいようだった。
「 はい、僕はここの図書館の館長をしています。自称ですけどね 」
少年は、にっこりと微笑んだ。無邪気な笑顔が似合う少年だった。
「 かんちょうだぁ〜〜 ??」
「 はい。いやぁ、嬉しいなぁ〜。久しぶりに人に会えたんで、本当に 」
「 え、ああ、そうなの …」
「 はい。そうだ、せっかくの来客だからおもてなしをしなくては。とっておきの
   美味しい紅茶があるんですよぉ。来て下さいな 」
少年はそう言うと、すたすたと廊下を歩いていく。
呆気にとられた三人であった。もちろん、戸惑ってもいた。
「…… ひなたさん。どうしましょう …」
美加香が不安げに話し掛けてくる。
初めから答えは決まっていた。選択の余地などなかった。
三人は互いに目配せすると、少年の後を追って行った。


――― カチャ カチャリ
音を立てて皿付きのティーカップが手前に置かれた。
中にはザラメ色の紅茶が、良い香りをさせながら湯気を立てている。
「…… どうぞ、召し上がって下さい。美味しいですよ 」
少年は全員にお茶が行き渡ったのを確認すると、にっこりと微笑んだ。
「… それじゃあ、失礼しまして。いただきまーす 」
「 あっ、おい …」
風見が止める間もなく、美加香はお茶を飲み干してしまう。
「… ふはあ。美味しいですよぉ、この紅茶 」
「 ふふ、それでしたらもう一杯いかがですか ?」
「 あ。ありがとうございますぅ 」
嬉しそうにおかわりを貰う美加香。風見は少し頭が痛かった。
「… それでだが、お前はいったい誰なんだ ?」
鋭く眼光を光らせながら、風見が少年に問い掛ける。
無理もなかった。先ほどの奇妙な生物。
動転してたとはいえ、背後を取られたあの動き。
自分だけではない、親友のHi−waitもいたのだ。
ただ者ではなかった。
「 僕ですかぁ? 僕はこの図書館の館長をしてます、まさたと言います。 」
たが、このまさたと名乗る少年は、あっけらかんとして答える。
大切な緊迫した雰囲気というものが保てなかった。
「… まさた、か。見たところこの学園の生徒のようだが、いつからここにいるんだ ?」
「 えっと、入学式の日からだったと思うから …… ひい、ふう…… いま何月ですか ?」
「… 3月だが …」
「 あっそうなんですかぁ〜。じゃあ、約一年間はいたってことになるのかなぁ ?」
てへへと笑うまさた。Hi−waitがひじで風見の脇を小突く。
「(… おい、ってことはコイツは俺たちと同じ一年ってことになるな )」
「( ん? あ、ああ、そうだな )」
「( こんなヤツ聞いた事あるか、おい ?)」
「(… いや、知らん。それに俄かに話しも信じられんしな )」
「(… うむ )」
「… どうかされたんですか ? せっかくの紅茶が冷めてしまいますよ 」
にこやかに二人の間に入ってくるまさた。
二人はコホンと一つ咳払いをし、カップを持ち上げ軽くお茶を飲んだ。
そして、片手にカップを持ちながら、Hi−waitがまさたに話しかける。
「…… だが、こんな所にずっと閉じ込められていたら、大変だったろう 」
「… いえ、住んでみれば結構いい所ですよ。それに、電気・水道・ガスは供給されて
  いましたし 」
「… そうか。だが、食い物なんかはどうすんだよ。それまで供給されるワケじゃあない
  んだろう ?」
「 ええ、それはないですけど。でも、幸い奥の倉庫に野菜なんかの …」
「 えっ? あ、ああ。缶詰とかあったわけだ 」
納得するようにうなずくHi−wait。
「 いえ、種があったものですから、栽培して食べました 」
「 あっそう。なるほどね。そうか そうか …… って、おい 」
「 はい ?」
「 さ・い・ば・いだとぉ〜〜っ ! そんなの時間がかかるだろうが !!」
「 え? でも、美味しかったですよ 」
何事もないようににっこりと微笑むまさた。
「 いや、そうじゃなくてだなぁ〜〜 」
「 ムダよ。その子にそんなこと言ったって、無理なことよ 」
「 あっ、かおりさん !! わあ、かおりさんまで来てくれたんですねぇ 」
ギィィィとゆっくり開く扉の後ろから、再びかおりが現れた。
そう言えば、少し前からかおりの姿が見えないでいた。
実はHi−waitの必殺技を受けて、外でプレスされていたのだが、誰も気にしなかった。
気にもならなかったし、かおりには悪いが、それが大自然の法則だった。
「 来るつもりなんてなかったけどね 」
「 嬉しいなあ〜。あっこれ、入れたて紅茶です。こっちに来て一緒に飲みましょうよ 」
「… いらないわ。どうせシビレ薬入りなんでしょ ?」
「 あは、あははは。やっぱりわかりますぅ 」
 ブブブブブーーッッッ !!!
風見とHi−waitが口に含んでいた紅茶を同時に吹き出す。
「… まあね。付き合い長いから 」
「 ゲホッ ゲホゲホッ って。おい、飲んじまったじゃねぇかよ !!」
「 はい。飲ませたんですから、当たり前ですよ。美味しくなかったですか ?」
「 いや、美味かったが … じゃなくてなぁ !!」
その時、ドサリという音と共に、美加香が床に倒れ込んだ。
無理もない、美味しいと言ってこのお茶を一番飲んでいたのは美加香だった。
風見が美加香の元に走りより、体を起こして手を握った。
「 はひぬあてとああふああんん 」
ろれつが回っておらず、何を言っているのかさっぱりわからなかった。
わからなかったが、風見なりに解釈をした。
「 わかった、死せる諸葛、生ける仲達を走らす。無駄にはしない 」
「 ひあむえふえふうふぁふぁひ 」
喜んでいるのか嫌がっているのか分からない表情だった。
「 いったい何なんだコイツは !!」
たまらずHi−waitが叫ぶ。それに答えるように、かおりが静かに語り出した。
「――― この子はね。人畜有害人物なの。そして、私の幼なじみ。と、言っても
  近くに住んでいたんで、よく一緒に遊んでいただけなんだけどね。
  私とまさたと、あと着物ゆかたって子と三人でね、三人いつも一緒だったわ …。
  だけどね、この二人はとても恐ろしい子たちなの。命が幾つあっても足りないわ。
  この私が言うのよ。わかるでしょう ?」
まったくわからなかった。
まあ、確かにかおりが彼を恐れているのは分かる。
それに、お茶にシビレ薬を入れるなんざ、マトモな奴のすることではない。
何を考えているのかわからないのは、確かに恐ろしいと言えた。
「… だけど、日吉先輩もそれに付合ってきたんでしょう ?」
カウンターパンチの痛い突っ込みだった。
「…… と、とにかく。この子は表に出てはいけない子だったのよ。だから、私は
  恐ろしくて恐ろしくて …… 入学式の日にこの図書館に誘き出して封印したの …」
――― 沈黙が流れた。
「… じゃ、じゃあ。この図書館がこんな異様な状態になったのも日吉先輩の …」
「…… そう、私がやったのよ …」
衝撃の告白だった。
誰もが息を呑んだ。
心臓の高鳴りを押さえることが出来なかった。
「… で、でも、日吉先輩 …」
「…… なぁに ?」
「 ど、どうして、日吉先輩も一緒に封印されなかったのですか ? そうすれば、学校は
  よりいっそう平和な日々が続いていたはずなのに ……」
かおりはコケた。
どうしようもないくらいのダメージを受けてコケた。
きっと瀕死の重傷だったに違いない。意識が別世界にトリップしていた。
目の前にあるはずのないUFOの数を数えていた。
「…… とにかくだ。どうやらお前は相当の危険人物らしいな。お前みたいな悪人は …」
 ビシッと人差し指を立てて、まさたを指差すHi−wait。
「… この私が正義の名の元に成敗してくれる !!!」
 どかーんと背後に七色の煙幕が立ち上った。
 俗に言う、正義のポーズだ。
 演出効果もバッチリだった。
…… やれやれ、疲れる奴だ。
風見はため息を吐きながら首を振った。
「 わぁ、すごいねぇ 」
パチパチと拍手しながら関心するまさた。
デパートの屋上でショーを開いているようだった。


――― しかし、その一時の余興も、すぐに破られてしまう。
 ……… キュー キュー キュー キュー キュー キュー
 ……… ぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱた
扉の外から地鳴りのような足音と鳴き声が聞こえてきた。
「 こ、これは先ほどの ……」
ペンギンたちだった。真っ白のペンギンたちが、鳴きながら廊下を駆けていった。
そのうちの何体かが、転がり込むように部屋の中に入ってきた。
そして、手足をバタつかせながら、部屋の片隅やら物陰に隠れるように走り寄る。
先ほど美加香が走る姿を可愛いと称していたが、これはまるで脅えているようだった。
見れば紛れ込んで来たペンギンたちはカタカタと震えているではないか。
「… あれれ、ポチが起きたのかな。そうか、もうそんな時間なんかぁ 」
まさたと名乗る少年が、ポツリとそんなことを口ずさんだ。
その時だった。
 ゾクリッ !!!
冷ややかな圧迫感が体中に迸る。体中に鳥肌が立ち、悪寒さえ感じられる。
いつのまにかに手には汗が握られ、心臓はドクンドクンと破裂しそうなほどだった。
 …… 何・か・が・来・た  !!
ぬぅっと扉の外に姿を現したのは、小泡でできた全長3mほどの黒い球体だった。
所々で脈動している皮膚らしきものが、それが生物であるという証であった。
だが、そんな生物は見たことも聞いたこともなかった。
「… これは、いったい …」
Hi−waitがボソリと呟いたときだった。
 ギロリ
物体の中心に小さな緑の目玉が一つ、ギョロつかせならHi−waitを見た。
一人と一体は目が合った。底知れぬ恐怖が込み上げてきた。
そして、次の瞬間 …
 ギョロ ギョロ ギョロ ギョロ ギョロ ギョロ ギョロ ギョロ ……
数十、数百の目玉がその物体の体中に現れたのだ。
そして、その目玉たちは一斉にHi−waitを睨んだ。
『 テケリ・リ  テケリ・リ 』
地響きのような不気味な雄叫びをその怪物は張り上げた。
まるで体中の精気が抜き取られるようだった。
しきりに泣き叫ぶペンギンたち。
怪物はその体をドロリと溶けるように姿を変えていく。
まるで見てはいけない悪魔の誕生をみているかのようだった。
押し流れるヘドロのような体に、1mはあろう大口が現れる。
全体を緑に微光を発し、体に見えるイボイボはむろん数多の目玉であった。
「… あ、あ、あわわ。ひ、ひ、ひなた ……」
Hi−waitは親友の方を向きたかったが、恐怖で凍り付いて動けなかった。
風見も動きたかったが、体が思うように動かない。
先ほど飲まされたシビレ薬がいまごろ効いてきたようだった。
(… くっ、こんなことで負けてたまるか!! )
「…… うぅぅうううおおおおおおっっっっ !!!!!」
オーラを一気に開放させる風見。体に火照り霊気が漂った。
「 いくぞ ! 鬼畜ストライク !!!」
風見は大声で叫ぶと、美加香の足首を鷲掴みにした。
美加香は涙を浮かべていたが、気にしていられなかった。
 ブオオオォォンンッッッ !!!
風見の手から勢いよく放たれ、怪物に突っ込む美加香。
 パクゥ
 モゴ モゴ モゴ ……
 ごっくん !
 ゲフゥゥ〜〜
「 あ 」
どうやら美加香は飲み込まれてしまったようだった。
予想以外の展開に、風見は言葉が出なかった。
だが、怪物はすぐにゲエゲエと苦しみ言いはじめた。
 うぉえっぷぅ
 ペッ !!
 ガキッ バキッ ドゴッ !!
吐き出された美加香が部屋の片隅の棚の中に突っ込んだ。
胃液らしきものにまみれていたが、どうやら無事のようだ。
顔が恐怖に凍り付いていたが、体が無事で一安心だった。
「… う〜ん、やっぱりまだ幼体だから、大物は無理かぁ〜 」
端で傍観者として見ていたまさたが、うなずくように呟く。
そして、ツカツカと部屋の片隅に来ると、泣き喚くペンギンを摘み上げた。
 キュー キュー キュー キュー
手足をバタつかせながら泣くペンギン。
「 ほらっ、ポチ ! 餌だよっ 」
まさたはひょいとペンギンを投げた。
それに飛び掛かるポチと呼ばれた怪物。
 パクゥ
 モゴ モゴ モゴ モゴ ……
 ごっくん !
 ゲフゥゥ〜〜
「………」
「………」
もはや風見もHi−waitも言葉が出なかった。
『 テケリ・リ  テケリ・リ 』
怪物が再び忌々しい雄叫びを上げた。
「 うん? へぇ、そう。やっぱりいつものが良かったんだねぇ 」
まさたは怪物と会話しているようだった。
どうやら今のは満足の叫び声だったらしかった。
『 テケリ・リ  テケリ・リ 』
怪物はもう一度、そのおぞましいうめき声を出した。
やがて、自らの体を元の球体状に戻すと廊下の外に出て行った。
そして、それっきり再び戻って来ることはなかった ……。



――― 数日後、まさたは一年生に無事復学できた。
教職員の先生方もまさたの復学を喜んでくれた。
この後、まさたの住んでいた図書館は、すべての鉄板が剥ぎ取られ、
綺麗に改装された『りーふ図書館』として全校生徒に公開された。
その時に大量の白いペンギンが校舎内に走り去って行ったという噂を耳にした。
しかし、ポチの姿を見たという話を聞くことはなかった。
――― だけど、僕は知っている。
夜中の学校を徘徊する黒い物体の陰を。
泣け叫び逃げ惑うペンギンたちの声を。
そして、あの呪わしく不気味な叫び声を。
『 テケリ・リ  テケリ・リ 』
今日も聞こえてくる ……。



                                                     < 終 >
========================================
ま「 こんにちは、まさたです 」
か「 こんにちは、かおりです 」
ゆ「 こんにちは、ゆかたですぅ 」
ま「 せ〜〜の …」
一同『 すみません !! ごめんなさい !!!』
ま「 風見ひなたさま、Hi−waitさま。本当に申し訳ありません 」
か「 これを読んで下さった方。呆気に囚われてることと思います。すみません 」
ゆ「 こんなネタわかる人は余程の人ですぅ。本当にゴメンナサイだにゃ〜〜 」
ま「 すべての苦情・非難・文句等を受け付けますので、構わずに言ってきて下さいませ 」
か「 本当に申し訳ありません。悪いのは、全てこのまさたの奴です 」
ゆ「 まさたちゃん悪い子なんだよぉ。だから、みんなでポカポカッてしちゃおうね 」
ま「… で、それでもって、これがまさたの入学届です。Runeさま、いかがでしょう ?」
か「 却下ね !」
ま「 そ、そんなぁ〜〜 」
ゆ「 ダメなんだにゃ〜。この入学届を許可するもしないも、Runeちゃんと全ての
     SS作家ちゃんたちの判断で決まるんだよぅ 」
ま「 やっぱり怪奇ホラーは失敗だったかなぁ ?」
か「 そうね、やっぱりギャグで楽しもうってのが、コンセプトだろうしね 」
ま「 そっかぁ。まあ、いいや。そしたら次はギャグで行くからいいもんね〜 」
ゆ「 あ〜〜。まさたちゃんったら、ぜんぜん懲りてないにゃ〜〜 」

<< リーフ学園用 キャラクター設定 >>
『まさた』の設定
着物ゆかたの恋人。日吉かおりの弟分。ウルトラ超弩級のタフさを持つ。
人畜無害そうな面して実はかなりの有害人物。属性:邪悪。
一人称:「僕」。敬称:「さん」「くん」。一年生。
『萌えキャラ』
1.着物ゆかた( まさたの恋人。爆風熱烈的キャラ )萌え
2.日吉かおり( 二人の親分格。まさたとゆかたを恐れている )
3.考え中
『技』  考え中
『特殊設定』
1.図書館館長
2.ウルトラ超弩級のタフさ
3.着物ゆかたの恋人
4.自爆設定考え中

『着物ゆかた』の設定
まさたの恋人。猫又クォーターの猫娘。外見は可愛い女の子。
興奮すると頭の耳としっぽがでる。仕草は猫のそれとよく似てる。
マタタビに酔う。爆風熱烈少女。遊んでもらうのが大好き。
天然能天気。日吉かおりの妹分。語尾に「にゃ〜」と付く。一年生。
ちなみに、もの凄いパワーの持ち主なので、付合うにはタフさが必要。


ゆ「 よろしくだにゃ〜〜 」
ま「 では感想コーナーです 」

【西山英志さま】『Starting Over』
 梓のSSでこういった優しい物語を書くのは難しいと思います。うまく私も言えないの
 ですが、自分の恋に不器用、とでもいうのでしょうか? 優しい心遣いの持ち主だけに、
 ストレートな表現ができないのでしょうね、きっと。もどかしさが伝わってきます。
 また感情移入してしまいました。優しかったです。

【NoGodさま】『あくあ・しゃわぁぁ』
 子供たちって設定がとても可愛らしかったです。しかし、智子ちゃんのあのマシンガン
 のような関西弁(^^; 葵ちゃんもマルチちゃんも可哀相すぎるわ(笑) こういう
 役柄ってハマリ役だったのね。私は楽しめましたよ。次作品も楽しみにしてます。

【風見ひなたさま】
 すみません、ひなたさま。最近私はちょっと悪ノリしすぎているようです。ひなたさま
 が優しさを探しに旅をされたというのに、逆に私は優しさを見失っているようです。
 鬼畜琴音物語、もとに戻しておきました。本当に申し訳ありませんでした。
『鬼畜琴音物語』
 琴音ちゃんの魔女ってナイスです(^^b ネタはあまりわからなかったですが、笑い
 ました(笑) 理緒ちゃんツルハシで対抗ってのが凄すぎ(汗) 釣り上がり目の二人を
 想像しては笑ってました。
『Lメモ外伝「フィギュアでGO!」後編』
 いえいえ、本当のことですよ。何でしたら図書館の文献を調べてあげましょうか?(笑)
 ご苦労さまです。しかし、かなりの入学希望者がいますので、ここで一度整理をした方
 がいいんですよね、ホント(汗) 千鶴さん良かったです(笑) そういえば、美加香
 ちゃんの名前を変えておきましょうか? ひなたさまで統一した方が良いですかね?
『「東鳩ss」予告編(と告知)』
 楽しみにさせてもらっています(笑) そういえば、怪奇報告書類で私の設定・性格が
 大幅に変わってしまう可能性があると思うのですが、無視して下さって結構ですよ(笑)
 ギャグベースに作った別の私のようなものですから、雰囲気が全然異なりますしね。
 でも、相通ずるところもあったりもします(笑)

【ハイランドさま】『「父から二人に、祝福を」第四話・第五話』
 お疲れ様です。これで折り返し地点のようですが、あまり無理せずやって下さいね。
 書くことが苦しくなると、せっかくのいい作品も十分には味わえませんから(笑)
 やっぱり、楓ちゃんは覚醒していたのですね? でも、どうなるのだろう? このまま
 楓ちゃんの悲恋で終わってしまうのかな? ただ、この物語には、無くてはいけない
 ファクターが、今のところ欠けていますからね。それは、もちろん父親のことです。
 今後の展開が楽しみです。頑張って下さい。

【セリスさま】『心、優しさ 外伝6 マルチのひな祭り』
 心温まる話でした。さすが、日本人の心、マルチです(と、勝手に私が言っているだけ
 ですが(笑))。でも、本当にマルチも嬉しかったでしょうね。きっとセリスさまにも
 感謝しているはずです。
 HP開設、おめでとうございます。あとで寄らせて下さいね(笑)

【春夏秋雪さま】『夢で逢えたら』
 いったい何が覚醒したのか? 耕一に語り掛けるあの声はなんでしょうかね?
 日中にも出て来るなんて、ちょっと尋常ではない雰囲気が漂っています。う〜むむ。
 続き楽しみにしていますよ。文頭のあの語り、気になります(^^)

【幻八さま】『はっつ投稿♪』
 こんにちは、初めまして。私はまさたと言います。つがない小話書きですが、今後
 ともよろしくお願いしますね(笑) しかし、初投稿でDセリオとは…(^^;
 ずいぶん内輪なネタにきましたね(笑) かなりの事情通でいらっしゃる(^^)
 続きを楽しみにしています。

【佐藤昌斗さま】『続痕−ぞく きずあと− 第三回』
 180度方向転換してほのぼの家族になっちゃいましたね(笑) みんなで出かけた
 その先には何が待っているのでしょうか? 続き楽しみにしてます。
 それと、佐藤さまの作品もぜひ頂けますか? っていうか、もう頂いてしまっています
 けれどもね(汗) コメントなんかも頂けると嬉しいです。修正・変更・追加、言って
 下さればやりますよ(笑)

【智波さま】『優しさの結末 三日目 深夜』
 かなり話が盛り上がってきましたね(笑) アルガルvs次郎衛門の戦い。かなりの
 死闘が予想されるのでしようね。ちょっとワクワクさせてもらっています。実際に、
 耕一だけであれば過去の因縁の対決になるのでしょうが、そこに祐介というファクター
 があるだけに、どうなるのか楽しみです。浅水君は無事元に戻るのでしょうかね?

【カレルレンさま】『保健室で新城先生』
 あははは、すぐにわかりました。私もあれ好きですから(笑) でも、瑠璃子ちゃん
 ってこういう配役、けっこうハマっているんですねぇ〜。すごくらしくて感心して
 しまいました。実は、やっと『雫』を買って少しだけやったのです。見事にハモり
 ましたよ(笑)
『勝負師伝説 浩之 〜雀聖とよばれた男〜』
 不死身ですわ、これは(笑) 大笑いさせていただきました。しかし、雅史は何でまた
 敵を討ってくれなんて促したのでしょうね。面白がってやっているとしか思えない(笑)

【久々野彰さま】『Lメモ超外伝SP13「お前はいったい何様なんだ!?」』
 「我導くは夢呼ぶセバスっ!!」 確実に5分は脳死しました(笑)。最強の荒業の中の
 一つですよこれは。ある意味では外道メテオよりも質が悪いです(笑) しかし、久々野
 さま、あなたには衰えという言葉はないのですね。頭が下がります。

【へーのき=つかささま】『Lメモへーのき番外編 その3』
 笑わせて頂きました(笑) でも、ホントSS作家のキャラクターたちのことをよく把握
 していますね。私も頑張って皆さんのことを理解しようとしているのですが、なかなか
 できなくて……(汗) しかし、Dシリーズ、やぱりいいわぁ(笑) 好きなんですよ、
 コレ。

【福永さま】『そして伝説へ』
 こんにちは、初めまして。私はまさたと申します。小話を気ままに書いている者ですが、
 顔見知りのほどを(笑) しかし、初投稿が薔薇ネタですか(^^; しかも、福永さま
 の実体験とは……(汗) 一応、確認しておきますが、聞かれた方ですよね(大汗)
 琴音ちゃんにこんな趣味があったとは。予想外の展開にビックリしました(笑)
 次作品も楽しみにしています。

【ゆきさま】『初音の甲斐性っ!』
 いつものようにビシバシッと決めてますね(笑) さすが、天然記念物に指定されただけ
 のことはあります。かーいいです(笑) でも、7話のネタがわからなかったです(汗)
 ポケモンか何かですか?(笑) 9話はちょっと恐ろしかったです。でも、ゆきさまの
 その覚悟もとい心意気! くぅぅ、ゆきさまには『初音ちゃん花マル勲章』をあげましょ
 う。いつも胸に付けておいて下さいね(笑)(実物はありません(^^;)


か「 以上ね 」
ま「 でも、最近すごい投稿数ですね 」
か「 ほんと、一日伸ばすと大変な量だわ 」
ゆ「 みんなすごいんだにゃ〜〜 」
ま「 それでは、またリーフHPで 」
一同『 お会いしましょう 』