Lメモ「ハンターL〜寮激闘編〜 とれじゃぁ狂乱」 投稿者:雅 ノボルとゆかいな寮生たち

「……んかしーな………… たしかこの辺に…………」
 麗らかな日曜の昼下がり、山浦は『生活感あふれる廃墟』と称される自室と格闘
を続けていた。
「何を探しているんだ? さっきから」
「あ、秋山さん。んと、これくらいの、ルーズリーフみたいに綴じるメモ帳みたい
なの見ませんでした?」
 手を開いて大きさを示しながら、山浦。しかし秋山は首を横に振る。
「いや、見てないな。ところでそれは一体……」
「あー、うわー、やべー、どこ行ったぁ!?」
 秋山の追求を聞かないフリをしつつ山浦は、顔を蒼白にする。
(……やばい、アレが皆の目に触れたら…………)
 それが、全ての始まりだった。


  寮合同リレーL企画第二弾
       Lメモ「ハンターL〜寮激闘編〜 とれじゃぁ狂乱」

         Written By Noboru MIYABI,Banji HIRASAKA,YAMAURA,XY-MEN & TAKUTAKU

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 ここは男子寮管理人室。
 猪名川由宇は悩んでいた。
 目の前に置かれた一冊の冊子。
 これの正体について、である。

「うーん……まさか、んなもんであるはずも無いしなあ……」

 一つの推論に突き当たったが、あまりにもココの雰囲気にあわなさすぎる……
というか、怖い。

「……もしかして ……これは?」

 そして、彼女の突き当たったもう一つの推論。
 それこそは確かに、Leaf学園にふさわしい答え。
 全てに上手く解釈がいく。
 由宇はその“真実”に驚愕した。

「これは ……これはっ!!」

 不可解な単語の羅列もそれならわかる。
 手が震える。
 額に汗がにじむ。

「これは財宝の隠し場所の暗号やっ!!!!」

ドドーンッ!!!!


 すさまじい効果音が鳴った

 ……のではなかった。
 天井が抜けて人が落ちてきたのだ。

「だーかーらっ! あなたでは重過ぎたのですよ、平坂君!」
「ワシだって見たかったんじゃい!!」
「二人とも、そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!?」

 もうもうとした煙(本当はホコリ)が晴れると、そこには氷上零、平坂蛮次、
神凪遼刃のダーク十三使徒男子寮メンバーがそろっていた。
 ジト目の由宇の視線に気付き、3人は慌ててポーズを取った。


「ダーク十三使徒参上っ!!」

 打ち合わせでもしてたらしく、そのポーズだけはばっちりと決まっていた。
 氷上は一歩進み出て由宇にビシッと指をつきつけた。

「猪名川さん…… その財宝のありかを隠した本…… 我らの為に貰い受けます!」



                (ここまでは、平坂蛮次がお送りしました)
              (てか、本の正体わかってますよ……ね?:汗)
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「ほほぅ…… さては山浦よ、アレだな?アレだな?
 折角の事だ、見付かった暁には俺の秘蔵コレクションと見せ合いをせんか?」

 秋山は、くくくと男児たるものの助平ったらしい笑みを浮かべる。
 ……勘違いしている。間違いなく何かを勘違いしている。
 だが山浦は、「それは違う!」と言いたい衝動に駆られつつも、そう言う訳にも
いかなかった。何とか誤魔化さねば。

「は、ははは、何を勘違いしているやら!
 何て事はない、ただの日記ですよ!」

「はっはっは、何を照れているのだ、男臭い顔をして!
 我々の年頃の男児が持っているのは当たり前の事だろう!
 なぁに、同部屋のよしみだ。よっぽどの趣味だと言うなら口外しないでおいて
やるから、見付かったら俺にも見せるのだ、いいだろう? な?」

「い、いや…… その……」

「まぁまぁ。
 よっしゃ、では気合いを入れて探すとするか!」

 と、結局の所、秋山は話を聞いてはくれないようである。
 大きな背中を山浦の方に向け、がらくたやらがらくたでないやらが混じった”山”
をごちゃごちゃと漁り始めた。
 山浦も、慌てて”あれ”を漁り始める。

『ま、不味いぞ…… どうする?
 あれを見られる訳にはいかない。
 まずは秋山さんより先に見つけだすとして…… どうする?』

 と、ふと、窓の外に煙がたなびくのが見えた。
 山浦の頭に閃きが走る。

『ゴミを燃やしている……?
 そうだ、焼却!焼却だ!
 こうなれば手段は問えない!
 発見次第焼却炉に走り、投げ込む!
 他に手段はない!
 ”あれ”の痕跡を消すんだ!』

 そうと決まったが早いか、山浦は凄まじい勢いで部屋の中を引っかき回し
始めた…… と、そこで、誰かが部屋の戸を叩く音がした。

「おおーう、誰だ?」

 秋山が鷹揚に返事をして、扉を開ける。



  (ここまではXY−MENなり。中途半端だが……伏線パート?(笑))
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 秋山が扉を空けると、そこにはでっかいくま…… そう、あの「くま」が、扉の
向こうに立っていた。
 言わずとも正体は「学園一の着ぐるみ師」みやびんこと雅ノボルである。
「秋山先輩、さっきから妙にうるさいですけど、なんかあったんですか?」
 どこか眠そうなみやびんの声であるが、見事に眠ってた所のコノ騒ぎである。
「おおう! いい所に来たな、みやびん。いまは人手が要り様なのだ」
 ニカッっとナイスな笑顔で言う秋山。
「ふむ…… といいますと?」
 といって、クマの耳を器用に秋山の口元に近づけさせる。
「いやな、山浦の奴が探しモノをしてるそうなのだ……」
「探しものですか……?」
 秋山の身体越しの後ろの様子を見てみると、言われたとおりに山浦がゴソゴソと、
大慌てで盛んにゴミの山と化した床面を引っ繰り返している。
「にしても…… なんとかならんのか? その『めるひぇんちっく』な着ぐるみ
は?」
 くまの着ぐるみを差して、秋山はあきれているのだが。
「と言いましても…… 室内着なんですよ、これ」
 と、にこやか(?)な口調で答えるみやびん。
「まぁ、いい。ところでだ、みやびんよ」
「なんですか?」
「まぁ、耳を貸せ」
「はい」
 スポッと片方のくまの耳を取り外して、秋山に手渡す。
「これ集音マイクも兼ねてるんですよ、でないと聞こえにくくって……」
「き、器用な奴…… まぁ良かろう」
 手渡された耳に向かって、小声で話し始める秋山。
「……」
「……」
 暫し小声で話す両名、やがて……
「でだな。ここは一つ、寮生全員で山浦の探し物とやらを手分けして探して、それ
をせしめようと……」
「なるほどー。しかし秋山さんもこういう事にはずいぶんとなれてますねー」
「そういうお前も、人の事は言えまい。なぁに、漢の甲斐性という奴を知ってれば
こそっ!」
「ま、まぁたしかに嫌いって訳じゃないですからねぇ……」
 ここぞと言う所で、秋山が邪悪チックな笑みをニヤリと浮かべ、みやびんはみや
びんで、口を動かす代わりに、愛くるしい(のか?)目(CCDカメラ)をキラッ!
っとさせる。もちろん、その意味は邪悪ちっくで……
「では、頼むぞみやびん!」
「ういっす! 任っかせてください! 寮のみんなを総動員してやります!」
 果てしなく勘違いをしている面々は、さらに果てしなく勘違いを連鎖させる。
 ここに秋山とみやびんの勘違いのだらけの歯車は、さらに寮生全員を巻き込もう
と、いま動き始めた!

  (ここまでみやびん。さて、歯車は動き始めるなりヨ! 手屁っ!)
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 寮内は燃えていた。
 いや、火がついてるわけではないのだが。

 寮内を駆け巡った2つの情報。

「財宝のありかを記した本があるらしい」
「すげえエロリ本があるらしい」

 それは男たちを騒がせるには充分なシロモノであった。
 しかも、そのどちらも早い者勝ちのバーリトゥード争奪戦となれば……





寮1F廊下――

「「「そっちにいったぞおおおおおおっ!!」」」
「つかまってたまるかあっ!!」
「平坂君、こっちです!!」

 逃げる平坂&氷上。
 他の寮生に追われているのだ。
 なんでこんなことになったか?
 答えは簡単。

 「氷上が『財宝のありかうんぬん』とか叫んだから」

 防音効果など皆無に近いこ男子寮で大音声で叫べば、こうなるのは自明の理。
 まあ、自業自得だ。

ズッドオオオオオオオオオオンッ!!!

 そうこうしているうちに平坂&氷上はぶっ飛ばされていた。
 真藤のワイヤートラップにかかったらしい。
 ちょっぴり黒焦げッてる。

「ぐは…… 大丈夫ですか? 平坂君……」
「あんまり、無事じゃないのう……」

 確かに壁に上半身突き刺した状態は無事とは言わないだろう。

「平坂君、それは私が預かろう」
「神凪どん?」
「大丈夫、他のヤツには渡さない」
「神凪さん…… 後はお願いします! 我らが同士の為に!!」
「わかった」

 そう言った神凪はほくそえんでいた。
 端からハイドラントの為になぞこれを持っていくことは考えていない。
 自分の為に使うのだ!
 っく、これも使い人を倒すため…… 氷上君、平坂君、耐えてくれ!
 酒池肉林とかはさっぱり考えていないさ!
 ええ、これっぽっちも!!

「ふははははっ! 大金持ち〜〜!!」

 本音がポロリ。
 そんな彼に速攻で天誅。

「そおいやあああああああああああああああああっ!」

どっごおおおおおおおおおおん!!

「ぎゃあああああああああああすっ!!」
「ナイス!弥雨那ちゃん!!」

 走り出した神凪の頭に時速280kmで魔法の箒が突っ込んだ。
 かなり洒落ですまない感じでぶっ飛んでいたが、彼らには些細な問題らしい。

「くっくっく…… これでフルカラー印刷も思いのままッすよ……」
「その声はバタ子ッ!? 何しとるんじゃ!!」
「くっくっくアニキ…… 金の魔力の前には杯など無力ッすよ〜〜!」

 遠くへ去っていく声。

「……みごと裏切られましたね、平坂君?」
「あとで絶対ぶっころしちゃる!!」
「その必要は無いでしょう……」

ぎにゃあああああああああぁぁぁぁぁぁ……

 軍畑の声。

「ね?」
「いや、それはそれとして後で殺す」
「……それは酷いかと……」


 そんなこんなで阿鼻叫喚の一階。
 そのころ、3階はどうなっていたのだろうか?


  (平坂です。さらに問題を拡大してみました。あとはまかせます(笑))
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 何度ここを掘り返しただろう?
「あったか!?」
「いや、ないぞ!!」
 何度肝を冷やした事だろう?
「おお、これは!?」
「見つけたのか?」
「3ヶ月前に紛失したカニカマだ。うむ、等の昔に虫共の餌になっていると思った
が。これも俺に食われる運命だったに違いない(もぐもぐ)」
 それでも見つからない。さして広くない……はっき言うと狭いこの部屋に、どこ
から聞きつけたのか十数人の男(中には寮生でないものまでいる)が束になって
ゴミの山をひっくり返している。にも関わらず見つからない…………。
「ホントにここにあるのか?」
 業を煮やしたYOSSYが尋ねてくる。
「見鬼くんも反応しないしなぁ。実は他の所に置いたとか……」
(……ほかの…… 所…………)
「……あ」
 思い当たるフシがある。しかし…………。
「なんだ? 今の『あ』は、ん?」
「思い当たるフシがあるな? さては」
「ち、違う!! マジで関係ない」
 言いながら頭を巡らせる。そう、あのメモ帳はたしか、美術部に持っていって、
あの先輩に見せたあと…………。
「なんやなんや!! ウチが見つけた宝モンの地図やど!! なんで他の連中が
出張ってくんねん!!」
…………猪名川管理人が…………
「しまったぁ!?」
「山浦が逃げたぞ!!」
「ある場所を思い出したな? 逃がすな!!」
 山浦は走った走りながら祈った。
(頼む、誰も見ないでいてくれ!!)
 この学園に入学して以来、その手の祈りが通じたためしはなかったけども。


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『この騒ぎの原因は一体何だ!? 近隣の施設から苦情がきているぞっ!?』
「はぁ…… 何やら、機密文書らしき物品の争奪戦らしいです。詳細は不明ですが、
宝の地図だの青年向けな本だの、色々と噂が……」
『そんな事はどうでもいい! 現状はいち早くその騒ぎをどうにかしろっ!』
「しかし、どうやって……』
『その機密文書とやらを奪取して、風紀まで持って来い! 内容は、危険なもので
なければ公式発表してやればいい! あまり手間取るようならば、風紀での強行
突入も辞さんからなっ!?』
 ぷつん、つーつーつー。
 そんな寂しい音を吐き出す受話器を、溜息混じりで黒電話の上に置く。
「……だそうで」
 諦め口調で語るたくたくに、真藤誠二はワイヤーを張りながら素っ気無く応える。
「一応、俺も努力してるんだけどなぁ」

 きゅぼんっ!

「ぎにゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
 対人地雷に吹っ飛ばされた軍畑が、ぼろくずのよーになって吹っ飛ぶ。
 そして――ぽすんと、真藤の頭に落ちてきたものは。
「これは…… もしかして、騒動の原因の?」
 なんとはなしに、真藤の頭の上にある冊子のページを、ぱらりと捲ろうとした
瞬間。
「見るなぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「のひゃあぁぁぁぁぁぁっ!?」
 襟首を引っ掴まれたかと思うと、世界が一回転。

 どぎゃっ!

 哀れたくたく、床板に突き立つ人柱となる。
 その脇には、ぜいぜいと荒い息をつく山浦の姿があった。
「真藤…… 悪いことは言わん。大人しくそれを渡せば、生きて明日の朝日は拝め
るぞ?」
 異様な迫力――を超えて、殺気を発する山浦。
(間合いを詰めたら…… 殺られるっ!?)
 真藤は思わず一歩後退り――踵を返すと、頭の上の冊子を手に取って全力で廊下
を駆け出した。
「だぁっ、待ちやがれぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
「誰が待つかっ! 俺はまだ死にたくないしっ!?」

#たくたくです。
#とりあえず、真藤さんを酷い目に合わせるべく全生徒に追わせるべき立場に
#してみました。(笑)
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「一体っ! 俺がっ! 何をっ! したんだろうかっっ?!!」

 真藤は半ば泣き、半ば叫びつつつ走った。
 後ろからは山浦が異様な面相で迫って来る。
 と思いきや、突如角から飛び出した神凪が、問答無用で魔術を撃ってくる。
 天井から秋山登が落ちてくる。
 平坂と軍畑も奇声を上げて飛びかかってくる。
 ついでにエルクゥユウヤが現れて、
 おまけとばかりにセバスゥナガセも参上で、
 何故と問うこともなくシズクゥタクヤがいて、
 どういう事か西山英志は暴走していて、
 TaSは踊っていて、
 たまたまばったりと通り掛かりで出会ったジン・ジャザムとDセリオが寮を巻き
込んで決闘していて、
 まぁともかくその他諸々。
 天地がひっくり返るような騒ぎの、正に中心点は真藤である。

「こ、こ、この本かッ?!! この本のせいなのかッッ?!!」

 一体この本が何だと言うんだ?!
 先程から死を賭した全力疾走を続けながら、真藤は心の中で叫んだ。

「真藤ォォォ! それを俺に返せェェェェエ!!」

「貴様! それを渡せ! 渡さないかァッッ!!」

「こっちに寄越すんだァッ!!
 他の誰かに渡してみろ! どうなる事かッ?!」

 迂闊に誰かに渡す事も、捨てることも出来ないじゃあないか!
 上の階に上がり、下の階に降り、また上がりまた下がり。
 真藤は遂に、便所の一室に閉じこもった。

「真藤ォォォ、開けろッ! 開けるんだッッ!!」

「無駄だぞッ! この程度の扉、すぐに破ってやるからなっ!!」

 そんな事は分かっている。
 だから、真藤はその前に、小窓からその身を踊らせていた。
 地上6階。おおよそ20m弱。

「うおおおおお〜〜?!」

 空中に浮いた感覚も一瞬の事、次の瞬間には、真藤の全身は、強烈な衝撃を正面
から受けていた。

「ぐへらッッ!!」

 全く、魚人と言うのも結構に丈夫なもので、真藤はそれでも無事であった。

「あつつ…… こ、これでしばらくは時間が稼げた…… って?!」

 めりこんだ地面から顔をもたげてみて、そこで自分の目の前に人影がある事に
気付き、真藤は心底驚いた。

「………………」

 相手も驚いている…… ようだ。が、反応が奇妙に鈍い。
 フラついた頭がようやくまともに戻って、真藤は、目の前の人物が誰かをやっと
ちゃんと認識する事が出来た。

「あ…… あれ、来栖川先輩? な、なんでこんな所に?」

「……………………」

「え…………? 猫を追ってきたって………… そうなんですか」

 いやいや、そんな事はどうでもいいのだ。
 一時は遠ざかった鯨波の音が、再び迫りつつある。
 真藤は、はっと我に返った。


(ここまでXY−MEN さぁ、転に入ってますねぇ(笑))
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(以下全てみやびん、さて巻きだ巻き!(笑)つーか、まとまるんかコレ?)

「「「「「しぃぃんどぉおおおお"!!!!」」」」」
 鳴り響く皆の足音と怒声。もはや暴走機関車の如し。
「に、にげ、逃げなきゃぁあ!」
 来栖川先輩にあいさつもそこそこ、颯爽と逃げ出そうとする魚人真藤。
 だが………

 てってってってってってっ…… 

 出てきたのは、芹香先輩の使い魔、エーデルハイドである。
 そのまま真藤の足元まで近づくと、エーデルハイドは先輩の元に行かずに、
何故か真藤の足元でハタと止まり…………
「ウニャ!」

 がぷし!

「ぎあああああああああ!! コラ! この猫、人の身体に食いつくなぁあああ!」
 と、思いっきり食いついた。
 念のため言っておくが、エーデルハイドはタダの猫ではない。
 雪智波と言う名のSS使いであり、人間並み……もしくはそれ以上の知性を有する。
そこいらに転がっているマグロごときに喜んでかぶりつく謂われは、彼にはない。
(普段ならにゃ〜)
 ならば何故かと問われたら。
(お師様もよくこんなモン食う気になるんだにゃ)
 彼の師匠たる赤貧魔道師Runeの命令だったりする。なお、失敗した場合は彼が
鍋の具になる。
「にゃああああああああああっ!(訳:俺の代わりに鍋の具になれええええっ!)」
「俺はエサじゃねええええええええええっ!」
 両者共に哀れである。
「やぁめぇてぇぇぇええ! 来栖川せんぱぁぁぁぁい! なんとかしてぇぇぇ!!」
 真藤が泣き叫ぶ中、芹香先輩もちょっと困ったような表情をして…………。
「………………………」
「『そんなにお腹が空いているのですね』じゃないでしょうがあああああああっ!」
 そんなこんなで、ジタバタいているうちに後続の追っ手が追いつく。
「ああっ! 追っ手が!? 来栖川先輩なんとか……」
 泣き叫ぶ真藤に、芹香はちょっと首を傾げてみせて。
「………………………」
「『お夕飯にマグロのお刺身を差し上げますから』って、そんなんで離れたら世話な
いですよ!」
「うなー(訳:ご主人様がそう言うならしかたないにゃ)」
 師匠には夕飯のマグロを回そうと決断しつつエーデルハイドは真藤を離した。なに
より、ここにいると主人に危険が及ぶ。
「………………………」
「この子が納得したみたいなので、失礼します? って、そんな殺生なぁぁああ!」
 ぼーっとした、いつも通りの表情のまま、芹香はそそくさと去って行く。せんぱい、
意外につめたい……。
 そして、後に残るは………猫に食われた跡が残ったままの真藤と………

「さぁ! それをよこせ真藤! いまならまだ対話で済ませられるぞぉ!」
「いいや! 俺に渡せ真藤!」
「真藤よ! それは山浦のものだ! だから同室の人間であるこの俺が頂くぅ!」
「拙者に渡すでゴザルよ、ヤーングフィーッシュ」
「そ、その本を寄越すんだナ!」
「あ、てめぇ! その宝の地図は我々ダーク13使徒のモノに決まってるぅぅぅ!」
「テメこの神凪ィ、13使徒の名前でかっさらおうとすんじゃねー!」
「そうですよ神凪君、これは導師の為に有意義に使ってもらわねば、フフ……」
「なんだとぉ!? ゴイスなエロリ本じゃねーのかぁ!?」
「没収だ没収だボッシューーー! ってみんな聞いてくださぁぁい!」
「教師として、正義を守る(?)魔女っ娘として、そんなイケナイものは処分しち
ゃいます!(きらぺかーん)」
「ふごふごぉ! ふぬぬぬっふごごぉ!!」
「お宝やてー!? 魚に持たせるぐらいなら、ワイが力づくでもゲットやぁ!」

 山浦、YOSSY、秋山、縦王子鶴彦に横蔵院蔕麿のオタク縦横に神凪、平坂、
氷上のダーク13使徒、カメラを持ったデコイ、あちこちボロボロのたくたくに、
相変わらずアレな格好のエルクゥユウヤ、そして「くま」なみやびんに、夢幻来無
ほかetcetc……

 とにかくゴイスなまでに濃くて困った連中がそろったもんである。
 ものすごく困ったことに、みんながみんな、真藤の手にあるモノの中身の実体を
全くもって知らない事に悲劇はあった。
 とにかくみんなが「山浦の本は(いろんな意味で)凄いモノ」だという一点だけ
の共通項しかない。いやそれだって、中身に関しては人それぞれである。
「「「「「「「さぁ!!」」」」」」」
 ざすっ!
「あわ……」
「「「「「「「さぁ!」」」」」」」」
 ざすっ!
「あわわわ……」
「「「「「「「さぁさぁさぁさぁ!!!!」」」」」」」
「ひぃぃぃぃ!!!」
 もはや血の目を見ないと収まらないような修羅場!
 皆の目は既に血走り、対する真藤は顔色が綺麗なまでにまっ青…… 元から青い
けど…… 一機触発、血で血を洗うバトルが始まりかけたその瞬間…………
「お前らどけどけどけどけどけどけどどきやがれェェェェ!!!!」
 一直線に巻き起こる嵐!
 そう、事の発端の人物、山浦が十重二十重に真藤を囲んだ困った連中を、ばった
ばったと投げる、投げる、投げては引きずり倒してまた投げ飛ばす!
 辺りには収穫前の大根よろしく、頭から胴の辺りまで地面に刺さった人柱の山が
立ち並ぶ…………
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」
 まさしく、山浦。阿修羅の如し。もう顔までスーパーリアルになってのご登場!
「真藤…… まだ貴様が持ってるのかぁああああ!」
 腹の底から沸き上がる怒声一発!
「うひぃぃいいいい!!!」
 並の一般寮生や、漁夫の利狙いのSS使いなどは、その形相に一発で退散する。
「……渡してくれますね」
 そして、一変して静かに真藤に向けて話す。
「……ひ、ひ、一つだけ…………」
 既に血の気の引いた(つーか血の気あるんか?)真藤が、引きつりながら山浦に
問う。
「なんです?」
「これって、一体…… あ!?」

 ばささ…………

 念のため思い出して頂きたい。
 その本は『ルーズリーフみたいに綴じるメモ帳』だったと言う事を!
 そして、その本はいままでの騒乱と、年月のせいですでにボロボロだったと………
 「怨むなら、天を怨め」と。
 もし神がこの場にいたら、そう言ったに違いない。
「あ、ああああ、あ”ーーーーーー!!」

 バサバサと、風にまかれて散らばる文字の列………

「? なんだこれ?」
 着ぐるみの足元に絡んだその紙を拾って、目を通すみやびん。
「あ”…… これは…………」
 その紙面に書かれていたのは、意味のある文字列…………
「なんじゃこりゃああああ!」
「た、宝の地図じゃねぇぇ!」
「すげェえろり本じゃねぇ!」」
「こ、コレはどういう事でござるか!?」
「で、伝説のモモちゃんの(ぴー)本じゃ、なかったんだな…………」
「いや、俺が聞いた話だと、某人物が某女子生徒に送ったラブレターだって話が!」
「俺の聞いた話じゃ、来夢と魔樹の幻の写真集だって…………」
「しゃたーちゃーんす!」
「なんでも良いから正体は一体なんなんじゃぁあああ!」
 激しく、みんな勘違いをしていたようである…………
 その『本』の正体とは…………

「うわーーーーーー!!! 見られてしまったぁあああああ!」

 山浦のポエム帳であった。
 以前、彩に見せに行ったまま、忘れっぱなしだったそれは、どこをどういう風に
辿ってか、猪名川由宇の手にまでようやく渡り、あと1歩の所でこうなってしまっ
たのであった。
 まぁ自業自得と言えばそう言えなくもない。
 だが! 誰にだって隠したい事はあるものだ。

 そしてその、怒りの矛先は…………
「「「「「「みやびん!!」」」」」」
「わ、わたしぃ!?」
「「「「「「氷上ぃ〜〜」」」」」」
「…………えーっと…………」
 たちまち真っ青になるみやびんと氷上。
「えっと、私は聞いたのは秋山さんからなんだけど……」
「えっと、ほら。猪名川さんがそーいってたし……」
 ギヌロ!(×その他多数)
「秋山(さん)!」
「猪名川(由宇)さん!」
「元は山浦のだろうが」
「せや、山浦が持ち忘れんのが悪い!」

 ザスッ!

 二人の極限状態下での苦し紛れの言い訳は、殺気立つみんなの目を逸らすに充分
過ぎた…………
 たちまち、本来の大元たる人間の周りに、十重二十重と人垣が出来あがる。

「そうか…… そうだな…………」
「元凶をたどれば、全ては…………」
「最初に紛らわしいもんを出すほーが、こういう場合は悪いっていうしな…………」
「もはや、語るまい…………」
 そして、膨れ上がる殺気。

「「「「やぁまぁうぅらあああああああああ!!!!」」」」

 全員、逆ギレ。
 その後はもはや語るまでもなく、ありとあらゆる手段で関わった元凶の人間達を
制裁する為に、寮の連中がありとあらゆる手段を用いて追い回し、そのうっぷんを
存分に晴らしたと言う。

 被害者5名

 山浦、秋山、みやびん、氷上。そして、追撃戦の最中に巻き添え食らった真藤。

 後に「とれじゃぁ狂乱」と名づけられた、騒動の首謀者兼犠牲者たちであった。

                              おわりだおわり
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+--+-+-+-+-+-+-+-+-+-
 と、言うわけで。またもやってしまいました第2段!
 寮生の繰り広げるドタバタ劇、今度はとれじゃぁはんたぁ編です。
 さて今回も私、雅ノボルの言い出しっぺの下、山浦さん、平坂蛮次さん、XY−
MENさん、たくたくさんの5名による、リレー形式での寮Lとなりました。
 つーか、みんな執念燃やしすぎ(笑)
 活動限界付近まで、頑張って起きていてくださった他の4名の皆さんに感謝!
 ほかにも今回もぞろぞろと大勢の皆さん、キャラ勝手に使って崩れてるかもしれ
ませんが、笑って許してください。(ぺこり)
 そして、今回にかぎり、執筆前に眠ってしまった真藤さんに、お悔やみの………
じゃない、キャラがまたまた不幸になっちゃいました、手屁っ! とお詫びいたし
ます。
 つーか、もちっと起きてよーね(笑)

 次回、また突発的にやる機会があれば、皆さんもどーぞ参加してみては?
 好き勝手やったツケの苦労を味わえるかも(笑)
                                雅 ノボル