お泊まり会の夜−後日談 きたみち家の場合 投稿者:きたみちもどる
「ただいまぁ〜」
そう帰宅の言葉を僕の愛娘にかける。
その声を聞いて、テレビの前でパットを動かしていた靜は、いったんゲームを止め
「ちちうえぇ〜おかえりなさぁ〜い」
そういって、とてとてと、僕のほうに駆け寄る。
僕も、腰を屈め、手を広げてそれを迎え入れる。
そして、にっこり笑って
「うん、ただいま」
ともう一度いって、靜を抱き留める。
そして、だっこしたまま居間へと行く。
そこには、いろんなゲームソフトが転がっていた。
『侍○シリーズ』とか、『○華の剣士』とか『K○F’98』とかあるのは
まぁ、よかろう。(僕の趣味でもあるからして)
だが・・・・・・・。
「靜・・・・・・これはやめなさい、これは・・・・・・」
「えぇ〜!!なんでぇ〜?」
「だって、これは・・・・・・・」
と、僕が指を差したのは・・・・・。
『F○ST』と書かれたパッケージであった。





「お〜い、靜〜。はるか先生から手紙きてるぞぉ〜」
今を片づけさせている間、郵便物のチェックをしていた僕がそういうと
「ええ〜、ほんとう?」
そういって、とてとてとてとてとてとてとてっと駆け寄ってくる。
はい、と手渡しすると、靜はペーパーナイフで器用に封筒の口を切り
手紙と、同封されてた写真を取り出す。
「ああ〜、このあいだのおとまりかいのときのしゃしんだぁ〜」
顔をにぱぁ〜とほころばせながらそういうと
「へぇ〜どれどれ」
と、僕も覗き込む。
すると、そこにあったのは・・・・・・・・



「しずか・・・・・・これはいったい・・・・・・」
「え?みんなといっしょにおふろに入ったときの写真だよ」
にぱりん
「うん、それはわかってるけど・・・・・。
  なんで、てぃーくんや良太くんまで一緒なんだい?」
「え?だってみんなといっしょにはいったから・・・・・・」
だからって、だからって、男と一緒に入ることはないだろうがっ!!
「いいかい、靜」
僕は真剣な瞳で靜を見つめこう言った。





1:「女の子が男の子に簡単に裸を見せてはいけないよ」
    と言った。





2:「一緒に入ったメンバーはこれだけかい?」
     と、にっこりさっぱりと言い切った。





1の選択肢の場合



「女の子が男の子に簡単に裸を見せてはいけないよ」
と僕は諭すようにやんわりと言った。
「え?それじゃあ、ちちうえと一緒に入れないの?」
「うん、それはそうだけど、靜はまだ小さいから・・・・・」
少し苦笑混じりにそう言うと、靜は頬をぷぅっと膨らませて
「しずか、ちいさくないもん!!」
と僕に言う。
僕は苦笑を浮かべたまま、ぽんぽんと靜の頭に手を置き
「それはわかっているけど、靜はまだ一人ではお風呂に入れないだろ?」
と言うと
「そんなことないもん!ちゃんと一人で入れるもん!!」
と、相変わらず頬を膨らませたままそう言う。
「だけど、この間そういって一人で入った時、のぼせただろ?」
「あっ・・・・・・」
「だからさ、ちゃんと靜が一人で入れるように僕が教えてあげてるんだよ。
  それとも、靜は僕と一緒に入るのは嫌かい?」
「ううん、そんなことないよ」
ふるふると首を横に振りながらそう言う。
「じゃあ、靜が望むだけ一緒に入ってあげるよ」
にこりと微笑みながら僕が言うと
「うん、ありがとう、ちちうえ」
にぱりんと笑いながら靜も言う。
「けどぉ、ちちうえ?」
靜が首を傾げながら僕に聞いてくる。
「なんだい?」
「さっき、ちちうえ『おんなのことおとこのこは一緒に入ってはいけないよ』
  て言ってたけど、なんだかむじゅんしてるとおもうけど・・・・・」
「う〜ん・・・・・・。
  なんて言えばいいか・・・・・・・。
  つまり、家族以外の男の子には見せちゃいけないってことだよ。
  愛する人以外の男の子にはね・・・・・・」
と、これまた苦笑混じりにそう言うと
「う〜ん・・・・・・・・」
靜は難しい顔になって唸り始めた。
「ああ、そんなに難しく考えないで。
  とにかく、僕以外の男の人に裸を見せちゃいけないよ、ということだからさ」
慌てて僕は靜にそういった。
すると、靜は
「うん、わかったよ」
表情一転、にこぉ〜と笑ってそういった。
その笑顔を見て、僕も顔を綻ばせて
「そんじゃあ、靜、一緒に風呂に入るか?」
と聞くと
「うん!!」
靜は満面の笑みを浮かべて頷いた。



こうしてきたみち家の夜は更けていく。





2の選択肢の場合



「一緒に入ったメンバーはこれだけかい?」
と、『俺』は、にっこりさっぱりと言い切った。
すると靜は、満面に笑みを浮かべて
「うん、そうだよ」
にぱりんとそう言った。
「そうか、そうか・・・・・・・・」
この時、俺は心にある誓いを立てたのであった・・・・・・。
(OLHは、確実にあの小僧を狙うだろう。だったら俺は・・・・・)





翌朝、俺は小高い丘の上に来ていた。
そこで、ある男と待ち合わせをしていた。
あたりは朝靄に覆われている。
不意に、その靄に黒い影が映る。
白く濃く立ち込めている靄の中を、その影はこちらに向かって来ていた。
俺はその影に
「おはようございます、ジンさん」
といった。
すると、その影=ジン・ジャザムは
「いったいなんなんだよ、きたみち」
と頭をぼりぼりと掻きながらやってきたが、不意にその足を止める。
「いや、てめぇは『もどる』じゃねえな・・・・・。
  いってぇ、何の用だ・・・・・『健』・・・・・」
その目に鋭い光が差し込む。
やはり、『同族』だけあって、早々と気付かれたか・・・・・。
まぁ、いい。
こちらには奥の手がある。
「まぁ、用ってほどの用ではないが・・・・・。
  一つ他のみ事がある」
すこし、下手に出つつそう言う。
「・・・・なんだ・・・・・」
まだ、警戒は解けていないみたいだが、少し口調は緩やかになったみたいだ。
そこで、俺は少し笑みを浮かべながら
「実はこれで、やってもらいたいことが・・・・・・」
といって、俺は傍らにあったバイクのようなものを指し示す。
「っ!!そ・・・それわぁぁぁぁぁぁぁ〜っ!!」
ジンは明らかに狼狽した。
「スーパー系のあなたには似合わないと思いますが・・・・・」
少し苦笑ぎみに俺。
「ま・・・まさしくこれは、『メガラ○ダー』・・・・・。
  しかもサイズは、ちゃんと人間用になってやがる・・・・・」
ジンの顔には恍惚とした笑みが浮かんでいる。
思った通りだ。
やはり、こういうメカ系に弱い。
俺は眼鏡の真ん中を、くいっと持ち上げて
「事が済んだら、それ、差し上げますよ」
といった。
すると
「おおうしっ!!やってやろうじゃねぇ〜かっ!!」
と、二つ返事で答えたのであった。





「・・・で、これでなにをすればいいんだ?」
ジンが『メガライ○ー』に乗りつつそう聞いてくる。
「ええ、これでこの方角のまま射出してくれればいいんですよ」
「で、何のために?」
「我が復讐のために・・・・・」
二ィィィと笑いながら俺が言うと
「なんで、俺がてめえの復讐のために、わざわざ力をかさにゃならんのだっ!!
  そういうことは、てめぇ一人でやれよっ!!」
ジンがそう言うと
「あ、そう、んじゃそれいらんのね」
あっさりと俺がそう言うと
「んぐっ!!」
言葉に詰まるジン。
「それに、他の誰よりも、『漢』を貫こうとするお前のその目にほれたからだよ」
続けて俺がそう言うと
「むぅ〜、なんだかようはわからんが、とにかくわかったぜ!!
  やぁぁ〜ってやるぜっ!!」
気合十分な様子のジン。
「射程がぎりぎりだから、しくじらないようくれぐれも慎重に」
「心配無用っ!!今の絶好調の俺にしくじりなど・・・・・ないっ!!」
「でわ、お願いしますジンさん。
  その新たなる武器で、復讐開始の合図の狼煙を・・・・・・」
そして、『メガ○イダー』のビーム発射口に、煌きがともりだす・・・・・・。





そのころの雛山家。
登校直前のあわだだしさが、家を包んでいる。
「ねぇーちゃん、はやくいくぞー」
用意万全の良太が、理緒をせかす。
「ちょ、ちょっとまってようぅ〜」
理緒があたふたあたふたしながら、戸締まりなどのチェックをしつつ身支度を整えている。
そんな様子を見ていた猫町櫂が、くすりと笑いをこぼし
「雛山さん、そんなに慌てなくても、まだ時間はありますよ」
という。
「え〜!!なんだってぇ〜?」
奥の方にいた理緒には聞こえていないようだ。
「う〜!!もういくぞぉ〜」
焦れた良太が家を飛び出す。
「あ、良太君。ちょっと・・・・・・・」
猫町櫂が慌ててその後を追う。
「え〜、何?何が起こったのぉ〜?」
理緒は相変わらず状況を把握していないようだ。





「えへへへへ、櫂にいちゃんおそいぞぉ〜」
「ちょ・・ちょっと、まってくださいよぉ〜」
元気一杯に駆け出している良太の後を追う櫂。
すぐには追いつけるが、あえてそうはせずに必死に後を追いかけるふりをする。
こうやって子供と接しているときが、妙に心が和むのだ。
最近、こうやっている時が、心が充実するのだ。
そう思わずにはいられない櫂であった。
「!!」
その時突然、櫂の頭に警告が走った。
(何か・・・・来る!?)
そう思った瞬間、良太の身体を抱えて一気にこの場を離れる。
と同時に
しゅごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!
という音と共に地面が蒸発する。





そのころの丘の上
「あ・・・いけねぇ、ちょっちはずした・・・・・・」
ジンがそう言う。
「なんですとぉぉぉぉ〜っ!!
  ・・・・・まぁ・・・いいや・・・・・。
  Warning・・・警告・・・・てことで」
「京本某か、おめぇはよっ!!」
きたみちのボケにジンが半眼でつっこんだ。





「ふうぅぅぅ〜、ぎりぎりセーフってとこかな?」
クレーターの縁にぎりぎりのとこで座り込みつつ
冷や汗をぬぐいながら猫町櫂がそう息をもらす。
腕の中の良太は、ただただ驚きで目を丸くしてるのであった。
(しかし、一体誰が・・・・・。僕を狙ったのかそれとも・・・・・)
櫂はそう心の中でつぶやくとあたりを警戒したが、怪しい気配はしない。
だが、しばらくは自分を含め雛山家を護衛しなければと密かに決意した。





「今朝は失敗したが、次はこうはいかんぞ・・・・・。
  次こそは、目に物を見せてくれる・・・・・」
くくくくくっと笑いながらきたみち。
ここは初等部校舎。
その一画に身を潜めつつロープのようなものを握り締めている。
「お前自身を痛めつけただけでは、我が気は晴れん。
  ならば、クラスメイト全体から怨まれるが良いわっ!!」
うわはははははははははっと高笑い。
そんな様子だから、たちまちのうちに周りからの注目を集めてしまう。
んで、仕方なしに一時撤退。
しばらく経ってから場所を変えて再び身を潜めるきたみち。
その目は、獲物を狩るために絶対の刻をはかる獣の目をしていた。
そしてしばらくすると、白衣を着たちびっこ集団が今日の給食を持って
自分たちの教室へ搬入しようとしていた。
その中に、目標が・・・・・雛山良太がいた・・・・・。
しかも、都合の良い事に汁物の鍋を運んでいたりする。
頃合いを見計らって、きたみちは一気にロープを引っ張る。
ぴぃぃぃぃぃぃぃぃ〜ん!!
と、張られたロープに見事引っかかる良太。
「うわっ、わわわわわわわわ」
バランスを崩し、鍋の中身を廊下にぶちまけようとしていた。
(やりぃ〜
  人誅其の壱『給食台無しにして、クラス全員から後ろ指刺される作戦』成功〜♪)
思わず小躍りしたい気分であった。
だが
「よっ!!」
はしっ!!
今にも廊下にぶち当たりそうだった鍋とその中身を救ったのは、ティーナだった。
ティーナはその運動性能のよさを駆使して
零れる寸前に、みごとダイビングキャッチを試みて見事成功したのであった。
(・・・・・・ちくしょうぅぅぅぅっ!!
  ええぇ〜いっ、まだ手はある)
臍をかみながらきたみちは、この場を撤退した。





(くくくくく、よもや最後の作戦を駆使することになろうとはな・・・・・)
きたみちは、心の中でそう呟いた。
あの後実行された作戦は、ことごとくお子様集団や猫町櫂らの手で潰されていった。
そして今、最後の作戦を実行しようとしているのであった。
そう、この場所で・・・・・
「おばぁちゃん、こーひー牛乳ね!!」
「あいよっ、百円だよ」
そうここは、銭湯。
その番台に座っている老婆こそ、きたみちが変装した姿であった。
そして、今ここに良太も来ているのであった。
しばらくすると、良太が風呂からあがってきて身体をバスタオルで拭き始める。
身体を拭きおわり、パンツを身につけそして、こちらにやってくる。
「おばぁちゃん、こーひーぎゅにゅうだぞ」
「ごめんよ、今切らしていてね」
「じゃあ、ふるーつかいちごがいいぞ」
「ごめんよ、どれも切らしていてね」
「ぶぅ〜」
不満そうな良太。
最後の作戦、『風呂上がりの至福の一時が味わえない作戦』が功をせいしたようだ。
きたみちはその時、勝利の高笑いを心の中でやっていた。
ところが・・・・・。
「なにやってるんですか・・・・・?
  きたみちさん・・・・・・・・・・・・・・・」
猫町櫂の冷たい声が響き渡った。





その後、結局捕まり、一連の事件の首謀者としてOLHと仲良く反省房で
三日間暮らすのであった。
めでたくもあり、めでたくもなし。





(追記)この事件後、きたみちは巡回班局長の任を解かれ、準隊士まで降格。
        だが、副長のとりなしと、手におえない事件が起こったため
        『背に腹はかえられん』
        とか
        『誰だって叩けば埃はでる』
        などの意見が出たため、みごと局長に復帰する。
        つるかめつるかめ。





****************************************
ちょっと遅くなったけど、ティーさんのLの後日談ーきたみち家の場合ーお届けしました。
建前としては、前半の選択肢。
本音は、後の選択肢。
いわんでもわかるか(笑)。
でわ、今宵はここまでに死闘ございます(謎)。