つむじ風舞うリーフ学園グラウンド。 今ここに、世にも珍しい闘いにお火ぶたが切って落とされようとしていた。 日のいづる方角に悠然と立ち塞がりしは、学園最強のエルクゥと噂の名高いジン・ジャザム。 対して、日の沈む方角に立ちしは、小さな身体に精いっぱいの闘気をみなぎらすきたみち靜。 周りはまるで嵐の前のように静まり返り、日は中天を指し示していた。 二人の間には、西部劇でよく出てくる藁が丸まったものが、ころころと転がってたりする。 「ジンおにいちゃん、父上を傷つけるなんて・・・・・・、許さないんだから!!」 ぷんぷんと頬を膨らませながら靜。 「ふ、子供のくせに良い目をしてやがる・・・・・。いっとくが、俺は子供だからって手加減はしないぜ!!」 ぴしっっと指差しつつジン。 「望むところだよ・・・・・。いくよっ!!ジンおにいちゃん」 「よしっ!!こいっ!!」 「次で最後だけど、本当に良いの?」 靜がそう上目遣いでジンに聞く。 「ふん、ひゃだひゃだ(訳:ふん、まだまだ)」 なにか、変な発音でジン。 「だったらいくよ・・・・・・」 決意をみなぎらせて靜。 それを見てジンは力いっぱい肯く。 「じゃぁ〜んけぇ〜ん」 リズムを取るように、首を振る二人。 「ちょきっ!!」 両手がふさがっている靜は口頭で出す決め手を言う。 と、同時にジンも決め手を出すが、それは「パー」であった・・・・・・。 「じゃあ、いくよ・・・・・。ジンおにいちゃん・・・・・・・」 「よひ、ふぉ〜いっ!!(訳:よし、こぉ〜いっ!!)」 それを聞いて、靜はふさがってる両手−ジンの両頬にあるのだが・・・−を力いっぱい動かす。 「たてたてよこよこまるかいてちょん!!」 「あいてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」 その言葉通りにジンのほっぺたが動かされ、最後に思いっきり下に引っ張られる。 あまりにも、おもいっきり引っ張られたもんだから、ジンの両目の端にうっすらと光るものが溜まってたりする。 「ごめんね、ジンおにいちゃん・・・・・・」 初めの意義込みはどけへ行ったやら、ちょっと心配した様子で靜がジンの顔を覗き込んでくる。 それを見て、ジンは慌てて笑顔を繕い 「そんな顔をするんじゃねぇっ!!勝者はもっと胸を張って堂々としてればいいんだ!!」 そう(敗者なのに)胸を張って言いのけるジン。 「そっか・・・・そうだよね・・・・・・」 靜がそうつぶやく。 「じゃあ、靜の勝ちだよね♪」 にぱりんと微笑む靜。 「ああ、そうだな」 ニカッ!!と爽やかに笑いながらジン。 やがて、どちらからともなく笑い出し、辺り一面に笑い声が木霊する。 ある晴れたもうすぐ夏も近づく日の昼下がりの出来事であったとさ。 (終劇) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 不意に思い付いたこの作品。 バトルバトルしたものよりかは、こういうのもあってもよろしかろ? というわけで、ジンさんは熱血アニメ系ヒーローよろしく、女子供にゃ弱かったということで・・・(笑)。 でわまたぁ〜。