リレー企画・コンバットビーカー第5話『鬼の末裔』  投稿者:きたみちもどる
「ひなたさん、ひなたさん、はやくはやく」
「そう急かすなっ!!こっちは両手が塞がってるんだ・・・・・・。
  早く扉を開けろ!!」
「はいはい」
がちゃがちゃがちゃ・・・・・・・・・
がちゃり
ばぁ〜ん!!
どたどたどたどたどた・・・・・・。
ぴっ!!
美香加がテレビのスイッチを押すと同時に、テレビから時報の音が流れた。

****************************************

ジャン!!
という効果音とともに、バックにコンバットビーカーのシルエットが浮かぶ。


そして場面転換。
画面には、海と山に囲まれた深夜の街が写っている。
そして、渋い声のナレーションが流れ出す。


「深夜の隆山市。
  昼間の喧騒は鳴りを潜め、星々の瞬きの中にその身をさらしている。
  今は休んでいるこの街も、朝になれば再び目覚め人々の喧騒も戻るだろう。
  だが!!」
その言葉と同時に、街が激しく揺れ出す!!
地震だっ!!
眠っていた街も、その揺れで突如起こされる。
しばらく後、揺れは収まる。
だが、この時異変は起こっていた。
隆山市の背後にそびえし山。
かって、『鬼』が住んでいたといわれる山。
雨月山。
この山の一部が発光している。
その光の元をたどると、先程の地震の所為だろうか、裏山の一部が崩れている。
その光が収まると、そこには古代の祭祀場を思わせる遺跡のようなものが出てきた。
月と星の光を浴びて、悲しげにその姿をあらわす。
今、この時代に姿を現した遺跡は何を想っているのだろうか?


というところで、オープニング曲が流れる。
そして、提供とかコマーシャルが流れてサブタイトル



コンバットビーカー第五話『鬼の末裔』



朝。
昨夜の地震は、大きい揺れの割にはたいした被害もなく
みんな元の平穏な生活に戻っている。
そして、いつもの様な風景が流れる。
それは通学路でも変わらない。
「おはよう、beaker」
「あ、好恵さん、おはよう」
後ろから駆けて来た坂下好恵が、beakerに声をかける。
beakerも、さわやかに返事を返す。
そして、二人並んで歩き出す。
「しかし、昨日の地震はすごかったわねぇ」
「ええ、家は何ともなかったんですけど、ちょっと花瓶とかがね・・・・・・」
少ししかめっ面のbeakerに
「あ、それはうちの所もそうよ。
  お父さんたら、大事な壷が割れたって泣いていたわよ」
クスッと笑いながら好恵がそう言う。
「それは、大変ですねぇ・・・・・・・・・・・・」
「そうでもないわよ」
などと他愛もない会話を続ける。
「そういえば、知ってる?」
不意に好恵が尋ねてくる。
「なんです?」
「雨月山に何か古代の遺跡が出て来たんだって」
「遺跡?」
「なんでも、今まで見たことのない文明の形態なんだって・・・・・・。
  もしかしたら、『鬼』の文明かもって、噂されてるわよ」
「そうですか・・・・・・」
何か引っかかる物を感じたbeakerは、学校の帰りにでもよってみようと思った。



一方、所変わってここはダーク13使徒の本拠地。
人知れぬ場所にあるここで、今、この遺跡を狙う計画が持ち上がっていた。


「わかっているだろうな?
  あの遺跡にあるものを、奴等に渡してはならん。
  我らが手にするのだ」
謁見の間の奥にある玉座に座りながら、ダーク13使徒の長、ハイドラントがそう言う。
「はっ、分かっております。
  ですが・・・・・・」
片膝をつき、臣下の礼をとりながら
肩に30センチぐらいの生き物をとまらせた男が答える。
「なんだ?
  言ってみろ・・・・・・」
ハイドが先を促す。
「はっ、例の『コンバットビーカー』が邪魔をするかと・・・・・・」
男がそう答えると
「そうだろうな、奴が出てくるだろうな・・・・・・。
  その場合は、奴が遺跡の力を手に入れる前に、遺跡もろとも奴を消せ!!」
ハイドがそう命令を下す。
「はっ、了解しました。
  必ずやその命令、達成して見せます」
そういって、男が顔を上げる。
その貌には邪悪な意志と、絶対的な自信に満ち溢れていた。
「貴様の力は評価できるが、奴はかの葛田をも打ち破った男。
  俺自ら、貴様に力を与えよう」
そいって、ハイドか手を高く掲げる。
その指先から黒き雷が放たれ、男の前に落ちる。
そしてそれが徐々に異様な形になっていく。
それが収まった時、男の目の前には大きな人影(?)が二体あった。
3メートルもあるそれは、異様な形をしていた。
強いて言うなら、それは『鬼』であった。
「おおう、これは・・・・・・」
男に歓喜の色が浮かぶ。
「いいか、こいつを貸し与えよう。
  こいつで、コンバットビーカーを抹殺するのだ!!
  いけっ!!神凪遼刃!!!」
「はっ!!」
神凪遼刃といわれた男が、その自信に満ちあふれた顔をニヤリと歪ませた。
そして、肩にいる生き物=知音と共に出撃した。


暗闇の中にただ一人ただずむ、ハイドラント。
ずっと無表情に虚空を見つめていたが、やがて顔を上げそっと呟く。
「もうすぐですよ……。もうすぐで復活できますよ……様」
暗闇の中で、狂おしげに笑うハイド。
笑い声が闇に木霊する。



再び場面転換。
ここは雨月山の遺跡。
そこの突き出た岩山にすくっと立つ男一人。
それは、ジン・ジャザムであった。
彼はキッと眼下をにらみ
「来たか……」
そう呟いた。
すると、遺跡に連なる道に男たちの姿が見て取れた。
その男たちとは……。
「やっぱり、ジンさんだ」
「ジンさんも気付いてたわけですね」
「やれやれ、図書館の整理もあるんですけどね」
『エルクゥ同盟』と呼ばれる男たちであった。
だが、一人足りない。
たしか、五人の戦士で構成されるのだが・・・・・。
その時突然
「おおぅ、ジン!! 会いたかったぞぉ〜っ!!」
そういって、飛びつこうとする男が現れた。
とりあえず、その男に対してロケットパンチをぶちかますジン。
「おぐぁっ!!」
奇妙な悲鳴を上げつつ、軽く5・6mはぶっ飛び、宙に舞う男。
ぐしゃっ!! という、なんとも言えない耳障りな音をたてて地面に叩きつけられる。
誰もが殺ったと思ったが、ところがどっこい、男は体を一度ぴくりと痙攣させてムクリと起き上がる。
「ははははは〜、照れ屋さんだなぁ〜。そんなのではハナマル10点はやれないぞぉ〜」
爽やかに(首が明後日の方向へ向きつつも)笑顔を浮かべつつ男は言う。
「いらんわっ!!」
噛み付くように男=秋山登=にジンはいう。
「ところで、ジンさん。
  やっぱりジンさんも『波動』を・・・・・」
ゆきが確かめるように聞くと
「ああ、これは俺達、『エルクゥ』にしか感じることができねぇ・・・・・。
  それほど、特殊な『波動』なんだ・・・・・」
「どうして、そんなことがわかるんです?」
そう尋ねた風見ひなたにたいして、ジンは遺跡の入り口の方に指を向ける。
その指先には、五人の男女がいた。
柏木耕一を筆頭に、千鶴・梓・楓・初音。
柏木家のそうそうたるメンバーであり、『エルクゥ同盟』がつかえる女性たちでもある。
「ということは・・・・・」
まさたが声を震わす。
「そう、ここに『エルクゥの遺産』が眠っているんだ」
耕一がその後を継ぐ。
「それはいい事聞いちゃった☆
  だけど、あなたたちにはそれを渡さないわよっ☆ 」
能天気そうな女の子の声が、紺碧の空に響き渡る。
「だれだっ!!姿をみせろっ!!」
エルクゥ同盟の面々が、柏木家の女性を守るように陣形を組む。
すると、大きさが30センチぐらいある妖精らしきものが彼らの前に姿をあらわす。
「あなたたちの命は、私がもらうんだから☆」
嬉々としていう妖精。
「ふん、何言ってやがるんですか、虫ぶぜいが」
ひなたが呆れたようにいう。
「・・・・・虫というなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そう叫んだ瞬間、妖精の後ろに、三メートルばかりの鋼の巨人が現れる。
額に一本の角を生やした、ゴツイ感じの巨人。
それはまさに『鬼』とでも言うべきものであった。
その巨人の角から光がでて、その光に吸い込まれる妖精。
「この私、知音が、マスターに成り代わりほうむってあげる☆ 
  この『武神角』でね☆」
そういって、『武神角』と呼ばれた巨人の手に金棒が握られる。
そしてそれを振りかぶり下にいる人間に叩き付けようとする。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ☆」
唸りを上げて金棒が迫る!!



同じ頃、山のふもとでは、beakerが妙な胸騒ぎとともに、遺跡へと急いでいた。
(……何故だ…?何故だか嫌な予感がする……)
その想いとともに山道をひたすら走る。
だがその時!!
「!!」
beakerの第六感が働く。
その思うままに体を、横に投げ出す。
しゅばっ!!
beakerがいた場所が、闇に抉り取られている。
「だれだっ!!」
beakerが叫ぶ。
すると、抉れた場所から闇が滲み出し、それが人の形を取りはじめる。
やがて、完全に人になったそれは大袈裟に礼を取って
「はじめまして、私の名前は、ダーク13使徒が一人神凪遼刃。
  僭越ではございますが、あなたの命もらいます」
にこやかに笑いながらそういうと
「いでよ!!『阿修羅角』よっ!!」
右手を天高く掲げる。
すると、神凪の影が伸びそれが実体化する。
三メートルばかりの鋼の巨神。
六本の腕に、頭に生えし二本の角。
その様は、まさに阿修羅。
「さぁ、いきますよっ!!コンバットbeaker!!」
右腕の一番上の腕を振り上げる。
その手には巨大な刀が握られている。
そして一気にそれを振り下ろす。





【軽快な音楽とともにアイキャッチ】


【CM中】


【またまたアイキャッチ】





神凪が乗る阿修羅角の腕が振り下ろされる。
その影が見る見るうちにbeakerに迫る。
それを、見事なバックステップで躱し、一瞬で懐から取り出したクリムゾンを天高く掲げそして叫ぶ!!
「せっかくだから俺はこの赤い扉を選ぶぜっっ!!」 
beakerの右腕にクリムゾンが生き物のようにまとわりつき、彼の右腕を巨大なキャノンに変化させる。
このシーンはもちろんバンクシーンだ。
台詞も何もかも使い回しだ。
すたっと着地、すくっと登場。
われらがコンバットビーカー。
「ふっ、ようやく現れましたか。ならば本気で行きますよ」
武器を持った上二本の腕はそのままで、中の腕と下の腕が複雑な印を組む。
手の甲に、人の顔のようなものが浮かびあがり、それぞれ詠唱を始める。
「くらえっ!!二連妖術」
『光破』
『魔爆光』
それぞれの腕から、光がほとばしる。
その光がbeakerに向けて放たれる。



さて、一方のエルクゥ同盟の方だが……
武神角の金棒が振り下ろされようとしたその瞬間!!
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
怒号が木霊し、武神角の金棒が真っ二つに切り裂かれ、また、武神角自体も膝をつく。
「てててててて、一体誰なの?」
ディスプレイに体全体をぶつけた知音がそう叫ぶ。
「ああっ!!あなたはっ!!」
まさたが
「師匠!!」
ひなたがそれぞれ口にする。
師匠と言われた男=西山英志=が振り向く。
「ここは俺に任せて、おまえたちは先に行けぇ〜いっ!!」
そういうと、起き上がろうとする武神角に躍り掛かっていく。
「師匠!!」
ひなたが西山の後を追うとするが
「やめとけよっ!!」
その肩をジンががしっと掴む。
「西山は、俺達のために道を切り開いてくれたんだ。
  その気持を無駄にするつもりか?」
「し…しかし……」
なおも食い下がろうとするひなた。
そのひなたのもう一方の肩を掴む者がいた。
「……耕一さん?」
「君の気持は、痛いほどよく分かる。
  だけど、お前は、西山の気持ちを無駄にするつもりか?
  西山は俺達を信じて闘ってるんだ。
  だから、俺達はその意志に答えなければいけない……。
  違うか?」
諭すように穏やかな口調で耕一。
「……分かりました。
  行きましょう。
  はやく行って、師匠を助けるんです!」
ひなたが強い口調でそういうと、みんないっせいに肯き遺跡の入り口に向けて走り出す。
その時、一人の少女が振り向き、闘っている男に視線を移し
「……英志さん……死なないで下さい……」
そう呟く。
少女の呟きが、風に乗って流れていく。




「さぁ、どうやって料理してあげようかな☆
  熊手で八つ裂きかな?」
武神角の右手に熊手が
「ハンマーでぺちゃんこか?」
左手にハンマーが
「鉞で、ちょんっとやるのも面白いかも☆」
また右手に鉞が現れる。
「ふん、ごたくはどうでもいいから早くかかってくるがいい」
西山は人差し指でちょいちょいと挑発する。



またまた場面変わってコンバットbeaker。
二連妖術を食らって瀕死の状態だ。
「……つつつ……場面転換したらこの様ですか……?」
「どうやらそのようですね。怨むなら作者を怨みなさい!!」
「ええ、そうしますよって…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜っ!!」
そう言った、コンバットビーカーの体を阿修羅角が握り締める。
「でもその前に、このまま握り潰してあげますよ」
そういって、腕に力を込める。



場面転換。
薄暗い洞窟の中。
その中をひたすら駆け抜ける若者達。
「こっちです……こっちから声が聞こえます」
「どんどん強くなっていくよ」
「………………何だか懐かしい気がします………………」
「うん、こう、心にじんと来るような……」
柏木家の女性が次々に口にする。
そして、しばらくすると前方に広い空間が現れる。
そこには、朽ち果てた尖塔があった。
「こ…これは?」
秋山が疑問を口にする。
「これこそが、俺達『エルクゥ』の血を引くものを呼んでいたものの正体さ」
ジンがそれに答える。
「そう、エルクゥがこの星に降り立った際、密かに隠されたもの」
千鶴が言葉を引き継ぐ。
「……大宇宙を飛ぶ事が出来る宇宙船……」
楓が更に続く。
「宇宙船?これが?このボロボロの遺跡がか?」
秋山が当然のことを言う。
「そうだ、この姿は単なるダミーに過ぎない。  本当の姿はこの中だ」
耕一がすっと尖塔を方を指差す。
「この中ぁ?」
あからさまに信じきっていない様子で秋山が首をひねる。
「ま、今に分かるって」
子供のような悪戯っ子ぽい笑みで耕一が言う。
初音がそっと尖塔に手を翳す。
すると、今まで何もなかった壁にぽっかりと口が開く。
そして、みんな次々に乗り込んで行く。
「お、おい、待てよ………」
秋山も慌てて後に続く。
そして、たどり着いた場所は、まさに『艦橋』とでも言うべき所であった。
「こ…これは?」
「そう、『エルクゥ』の遺産たる船、『エルクゥファイブ』よっ!!」
梓がそういう。
「エルクゥ……ファイブ……」
秋山が呟く。
「それより、耕一お兄ちゃん」
「なんだい?初音ちゃん」
初音が不安そうな声を上げたのを見て、優しく微笑む耕一。
「この船・・・動くの?」
初音がそう呟いた途端、艦橋内のすべての電気が点る。
そして…………
(オオゥ、ヨウヤクワレガフッカツスルトキガキタ。
  アラタナルシュジンヲエテ、ワレフタタビココニヨミガエラン)
そう言った声が艦橋内に響き渡る。
「よしいくぞっ!!全館発進準備っ!!」
耕一がそう号令を出す。



(ま…まったくなんてやつなのよ……。  しぶといったらありゃしない)
知音は辟易していた。
目の前にいる男がこんなにしぶとい者だとは思わなかったのである。
いくら攻撃を与えても倒れはしない。
それどころか、こちらもかなり手傷を負わされているのだ。
「ん〜もうなんなのよぅ〜っ!!」
「…こっから先を通すわけには行かぬ。SS不敗の名にかけて・・・な」
満身創痍な西山の体に新たなるが湧き起こる。
その闘気に気圧されたのか、武神角が後ずさる。
西山が一歩前に出る。
武神角が後ずさる。
それを数回繰り返した後
「マ〜スタ〜」
武神角が逃げ去る。
「くぅ〜、まだ仲間がいたのか?早く行かねばっ!!」
西山は駆け出そうとするが、体に力が入らず、そのまま崩れ落ちる。
「す…すまぬ楓…」
そして、西山の意識が闇に落ちる。



ピクリとも動かなくなったコンバットビーカーを見つめ、神凪は恍惚としていた。
あの、葛田をも退けたコンバットビーカーを自分が殺ったのだ。
こんなに嬉しいことはない。
自然と笑いが込み上げてくる。
「ふははははっ、はっはははははははははははははははぁ〜っ!! 」 
そう仰け反って、笑っているところ
「隙ありっ!! クリムゾンショットォォォォォォォ!!!!!!!!!」
右腕のキャノンが火を噴いた。
「ぐはっ!!」
顔面に直撃を受けた阿修羅角が、仰け反った体勢からそのまま仰向けに倒れる。
「がふっ!!」
ご丁寧なことに、倒れた頭の先にはゴツイ岩があったから効果倍増。
一挙に顔面がボコボコにひしゃげる。
「ふっ、やった……」
beakerが勝利の笑みを浮かべる。
「このひきょーもん!!勝利の笑いをあげてる時に攻撃するんじゃないっ!!」
「だって、俺まだぴんぴんしてるのに、そっちが勝手に勘違いしてるだけじゃないか?」
「う…それは確かに……」
気まずい雰囲気が流れる。
(ま…まずい……どうすればいいんだ……)
冷や汗を足り流す神凪。
だが、その時
「マ〜スタ〜」
武神角に乗った、知音がこちらに向かってくる。
「ナイスタイミングです、知音。合体しますよ」
「わかった」
二人の機体が闇に包まれ、一つに合わさる。
そして、闇がが晴れた時それは姿を現す。
武神角と阿修羅角この二つが背中合わせにくっついたのである。
「妖術合体、双角鬼神・・・!」
神凪がそう次げる。
「いくぞ!くらぇ〜っ!!瘴気弾!!!」
武神角の腕からミサイルが飛ぶ。
「!!」
コンバットビーカーに飛んでいくかと思ったそれは、双角鬼神の目の前で破裂する。
「じ・・自爆ですか?」
そう思わずにはいられなかった。
黒くもやもやしたものが、あたりを包んでいるのでどういう状況になっているか分からない。
(でもこれは、勝機!!)
そう思って、beakerはクリムゾンの出力を最大限にまで上げる。
だが、その時、その黒い靄がコンバットビーカーを襲う。
「ぐっ、ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁあぁぁぁっぁあぁ」
黒い靄がきりきりとコンバットビーカーを締め上げる。
「どうですか?わが瘴気弾の威力は?
  この瘴気弾は敵意あるものを決して逃しはしないのです。
  そして、この瘴気は障壁も兼ねています。
  いかにクリムゾンの最大出力とは言え、突き破ることは不可能。
  さぁ、どどめっ!!」
瘴気の力を込めようとしたその時
「マスター、地下から巨大なエネルギー反応がっ!?」
「なに!?」



「機関始動!!」
「補助機関問題なし」
「主機関に接続!!」
「主機関に接続…完了」
「主機関内圧力上昇。臨界点を突破!!」
「ジャイロ正常!」
「反重力推進および粒子推進器に動力伝達!!」
「各部、問題なし。全て発進位置」
「よし、いくぞっ!!」
耕一が確認を取るように叫ぶ。
そして、みんながいっせいに肯く。
「鬼神戦艦エルクゥファイブ、発進だ!」



ずがががががががががががががががががががががががががががががが
大地が揺れる。
ぴしっ!ぴしぴしぴしぴしぴしぴしぴしぴしぴしぴしぴしぴしぴしぴしぴしぴしぴし
大地に亀裂が入り、中から目映い光が漏れ出す。
どがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
大地を割り『それ』が姿を現す。



「ま…まさか、あれが………?」
「エルクゥの遺産?」
神凪と知音が驚きをあらわにする。


姿を現したそれはまさに威風堂々。
鋭角的なデザインでありながらも、がっしりとした船体。
そしてどこか生態的な感じを醸し出している。
対空機銃が雛壇式に並んでおり、前後甲板に三連装主砲が一つずつついている。
ちなみに、甲板から下の色が赤いのは公然の秘密である。



「……ふっ、ともかく、コンバットビーカーの命が惜しければ素直にそれを渡してもらいましょうか?」
神凪が揶揄するように言う。
「どうしよう、耕一お兄ちゃん?」
初音がおろおろと耕一にたずねる。
しばらく押し黙る耕一。
やがて、キッとモニターを睨み付け
「艦首、航空魚雷発射管開けっ!!」
声高に叫ぶ。
「お兄ちゃん!!」
「耕一さん!?」
「耕一!?」
みんな耕一に集中する。
「いいから、早く急げっ!!」
耕一は相変わらず強い口調でそういう。



「マスター、あいつら……」
知音がエルクゥファイブを指差す。
艦首の魚雷発射管の一つが開き、中からミサイルが姿を現す。
「いいのか!?本当にやる…うわぁぁぁぁぁっ!!」
言い終わる前にすごい衝撃が、双角鬼神を襲う。
みると、西山が両腕を前に突き出した格好で立っている。
「見たか!これぞっ、石破エディフェル天驚拳!!」
西山が豪語する。
「だが、その程度の攻撃で我が瘴気が破れるとでも思ったかっ!!」
なおも黒い瘴気が渦を巻いている。
「さて、コンバットビーカーを……なにっ!?」
コンバットビーカーの姿が見えないのである。
「そんな馬鹿なっ!?奴はどこだっ!!」
きょろきょろとコンバットビーカーを探すが
「たわけものがっ!!今の攻撃が、コンバットビーカーを助けるためのものだとまだ気付かぬかっ!?」
「なにぃ〜!?」



「今だっ!!ヨークミサイル発射!!」
「……発射……」
ぽちっと発射ボタンを押す楓。
ずどぉ〜む!!
魚雷発射管からミサイルが飛び出す。
「そんなミサイルなんて通用は…うそぉ〜っ!!」
知音が驚きの声を上げる。
ミサイルが瘴気にあたった瞬間、瘴気がきれいさっぱり吹き飛んだのである。
「今だっ!!コンバットビーカーっ!!」
西山が叫ぶ。
爆風が消え去った後、岩の上にコンバットビーカーがクリムゾンを抱えて立っている。
「必殺!!最強兵器!! エチゼン!! ブレードォォォォォ!!!」
右腕に融合していたクリムゾンが徐々に巨大な刀へと変化する。
さらにクリムゾンは全身を包み、彼の容姿をも変化させていた。
「食らえっっっ!!!」
ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜ん
うなり声を立てて振り下ろされる。
双角鬼神が真っ二つに割れる。
そして、爆発。
爆風に飛ばされる、神凪と知音。
「やられちゃったよぉ〜」
「マ〜スタ〜」
キラン☆ミとそのままお空の星になる。
「やったぁ〜」
大喜びするbeaker。



「しかし、凄いですねこの船……」
beakerが感嘆の声を上げる。
「ああ、だけど、恐らくはこの船の本来の力の数%しか引き出していないと思う」
「あれで…ですか?」
耕一の答えに戸惑いを覚えるbeaker。
「だけど、これからはこの船が……『エルクゥファイブ』と俺達も君に力を貸そう」
「耕一さん……」
こうして、新たな力を手に入れたコンバットビーカー。
ダーク13使徒の野望を阻止するために、闘え!コンバットビーカー。
負けるな!!コンバットビーカー。


<つづく>
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【第六話予告】 降山市上空に現れた雷雲妖魔!出撃したコンバットビーカーは雷雲の中心に少女
を見る!その少女こそダーク十三使徒の刺客、川越たけるだった!
たける「友情合体マスターセリオ!いくよ、電芹!」
パステルジャザム「馬鹿な・・・この感じ・・・奴もクソゲーハンターなのか?!」
クルスガワセイヴァー「バッテリー残量20%・・・も、もたないっ?!」

川越たけるもクソゲーハンターなのか?!混乱する勇者隊にピンチが訪れる!今こ
そ合体せよ、ジン、beaker!

「日記合体!!スーパーパステルビーカー!!」
次回、コンバットビーカー第六話『四天王の謎』!お楽しみに!

これが勝利の鍵だ!『エチゼンブレードDC』