Lメモ私的外伝追憶編(今回は少しダークで真面目な話) 投稿者:きたみちもどる
あれからどれくらい、時が経ったのだろうか?
未だに、あの時の出来事が僕を苦しめる。
そう、今も・・・。

Lメモ私的外伝 追憶編「我が胸の中に眠れ、想い出よ・・・」
*注:今回のお話は前回の「幻夢蠢く」の続きです。

「き、貴様たちは、梓、綾香、それに、靜!!」
その顔に驚愕の表情をを浮かべて、きたみち。いや、健。
「よもや、貴様等がくるとはな。これも、何かの縁。いまここで、貴様等を
屠ってくれる。」
「ちょっと、本気なの?自分の娘も巻き込もうっていうの?」
綾香が構えを取りつつ、健に語り掛ける。
「ふ、むろんさ。俺にとってこの娘は邪魔な存在なのさ。この『俺』が活動するのにはなぁ」
と、思い切り邪悪な笑みを浮かべて、健。
「あ、あんたって人は・・・。許せない!絶対に許せない!!」
と、怒りをあらわにして梓が構える。
「ちちうえぇ〜。どうしてそんなことをいうの?どうしてそんなかなしいこというのぉ?」
と、健の足元にしがみついている靜が瞳に涙を浮かべながら、物問いだけな目で
健に語り掛ける。
「うっ!やめろぉ〜!そんな目で、俺を見るんじゃない!!」
と、とたんに苦しみ出す健。
「うおおおおおおおおぅ!!やめろう!!やめてくれいぃぃぃぃ〜!!!」
その状況を見て梓と綾香はうなずきあう。
「これって、やっぱり・・・」
「ええ、その通りのようね」
ざっと、健の目の前に立ちはだかる梓。
「健、いいや、きたみち!あんたいつまで寝ているつもりだい?いいかげん起きろ!!」
苦しみながらも、きっ と梓を睨む健。
「何を言っている。目を覚ましたのは、俺の方だ。この体の本来の持ち主は、
この俺だ!!」
「いいや、あんたは、『本来』の人格じゃない。あんたは、創られた人格なのさ」
「違う!創られたのは、『ヤツ』の方だ!俺ではない!!」
「じゃあ、一体誰に創られたっていうのかしら?」
と綾香が話に割り込む。
「それは、あのにっくき男、『柏木賢治』だ!あの男により俺は、封ずられたのだ!」
それを聞いて、二人はますます確信をもつにいたった。
「おじ・・・いや、『先生』は、あんたを封じてなんかいやしない。あんたは、あんた自身の手で、
自らを封じたんだ」
「その時の事をようく思い出してみる事ね」
「・・・・・・・」

あの時、俺は・・・。

あの頃の俺は、一介の人斬りだった。ただただ、強い奴とやりあうことだけを
目的とした人斬り。
東に強い奴が居ると聞けば、早速赴き、殺りあう。
西に最強を名乗る者が居ると、斬りあう。
中には、サイボーグ化した奴も居たりしたが、サイボーグの事を研究する事により、
サイボーグ(及び、ロボ工学)の知識を得て、打ち勝つ事が出来た。
改造人間を名乗る奴が居たときもそうだ。
そいつに打ち勝つ事だけを目標に研究し、知識を得て、勝つ事が出来た。
そんなこんなで、一日に一回、血を見ないと気が済まなかった。

そんなある夜。俺は噂を便りにある集団にケンカを売る事にした。
『塔』。それがその集団の名前だった。
最強の戦闘術を駆使し、魔術を操る彼ら。俺の欲求を満たすには格好の相手だった。

「く、なんてヤツだ!あんな刀で、すでに三人も・・・」
「あんな刀だとは心外だな。これでもこの刀は由緒あるんだぜ、この『百魂の剣』
  はよ」
といって、手にした奇妙な形をした日本刀を見せびらかす。
「『百魂の剣』といえばあの、伝説の・・・」 
「『魂砕き』か・・・」
「オラ、何時までもびくついてねぇでとっとかかってきやがれ」
と健は小馬鹿にしたかのような口調で彼らを挑発する。
それに触発されたか、何人かは即座に魔術の構成を編み出した。
『言葉』。それが彼らの力。音声魔術と言われる呪法。
口々に魔術を編み上げるための言葉を紬だし、そして、放つ。
彼らは、自分たちの勝利を確信した。まさに、逃げ場の無いほどの光と熱。
それに包まれれば、如何に「魔人」とて・・・。
だが、この時の異変に気が付いたのはかなり冷静に見極めていた、この集団の
リーダーだけだった。
『ヤツ』のまわりに奇妙な結界の様なものを見たのだ。
(あ、あれはまさか・・・)
そして、轟音。
夜のしじまを破るが如く、膨大な光と熱、そして凄まじい爆発音。
恐らくは、この中心に居たものはこの世から消え去っているだろう。
だが、あろう事か、その光と熱がそれぞれ、放った術者の方へ跳ね返ってきたのである。
そして、自ら放った魔術により彼らは・・・。
「あ、あれが噂に聞く『制極界』・・・」
「その通りだよ。真の武道家でも張れるかどうかという攻防一体のバリア。
  これに攻撃したものは、たちまちカウンターとなって自分に跳ね返って来る
  という伝説の防御法」
と、揶揄したかのような口調でリーダーに話し掛ける健。
(い、一体何時の間に・・・)
驚きもあらわにして、健を見やるリーダー。
「いいか、貴様等の親玉に言っておけ!ザコを送って来るなと。次は『塔』で、
一番強い奴を送ってこいとな・・・」
かなりの屈辱の言葉だった。屈辱に耐えながらもリーダーは
「わかった」
と一言だけ答えて、この場より消え去った。

(案外、『塔』とやらもたいしたことはないのだな)
次なる闘いのさなか、俺は心の中でそう思った。
あれから、『塔』からは何の音沙汰もない。
待っているのもなんだので、俺は俺に果敢にも挑戦してきた哀れな男に闘いを
挑んだ。
(安っぽい正義感。そんな物のために命を落とすとはな)
俺は心の中でほくそえんだ。とにかく、また血が見られる。
その喜びだけが、今の俺のすべてなのだ。

闘いは呆気なく付いた。弱い。こんな弱い奴を斬った所では、俺の収まりが付かない。
確かに血が見れた。だが、お互いに命を掛け合ってぎりぎりの闘いでなければ、
俺の欲求は満たされない。こんな弱い奴を斬った所では欲求が収まるばかりか、
更なる欲求が持ち上がって来る。
そんな時、俺の目の端に映るものがあった。赤子だ。さっき、斬り殺した奴が
連れていた赤子だ。
こんな赤子を斬った所で欲求が満たされるわけがない。
だが、『斬りたい』という欲望を押さえる事は出来なかった。
赤子の前に立つ。
その瞳に俺が映る。
俺も、その瞳を見る。
何とすんだ瞳だ。一点の曇りもない、清らかな、純粋な瞳。
そして、何処かで見たことのある瞳。
何処か?
何を馬鹿なことを、生まれてこのかた闘いに明け暮れていた俺はこんな瞳を見たことはない。
だが、この瞳を見ていると、なんだか落ち着いた懐かしい気分になる。
何故だろうこの気持ちは・・・。

俺が、ひどくノスタルジックな気分に浸っていると、うしろからこえをかけられた。
「ほう、何で、その赤子を殺さないのかね?」
驚いて、後ろを振り向くとそこには、一人の男が居た。
えらく、無表情。恐らく、この世に生まれ出でて此の方、笑ったことも泣いた事も
ないと思われるぐらい、ひどく無表情だった。
「き、貴様は、一体何者?」
「私は柏木賢治。一応『塔』で、最強といわれている」
別段、気取るとか誇らしげにとか、そういう言い方ではなかった。
無表情で、無機質な、ただ事実だけを述べた言い方だった。
「そうか、それでは貴様の命を貰うことにより『最強』の地位を貰うことにしよう」
「別に、好きにするがいい。だが、その前に一つだけ聞く。何故その赤子を斬らない?」
その言葉は、深く俺の心に突き刺さった。
そう、何故だか俺はこの子を斬ることができなかった。
元に、この子を斬ろうとするが、体が言うことを聞かなかった。
指先一つ動けなかった。
その時、赤子とまた目があった。
今度はひどく悲しげな瞳をしていた。
何故だ?何故そんな瞳をする?
あの時と同じ瞳を・・・。
「恐らく君は深い悲しみがあったが故に、本来の人格を心の中に閉まっていたのではないかね?」
柏木賢治が俺に語り掛ける。
「また、その深い悲しみをあじわうつもりかね?」
いやだ、もうあの時の悲しみを味わいたくない。
「何時まで、逃げ隠れるつもりかね?いいかげんこの『現実』に戻ってきたらどうかね?」
脅すでも、怒るでもない、ただ単に少しの優しさが感じられるその言葉に
僕は、あの日の出来事を思い出しつつこの『現実』に戻ってきた。

あの日、僕は『彼女』と一緒だった。いや、何時までも一緒だった。
出会ったときから、お互いに誓い合ったことだったから・・・。
だがそれは、禁断の恋だった。許されざる恋だった。
いくら、母親の再婚相手の娘とはいえ、僕の妹には変わりないのだから・・・。
だが、どうでもいいことだった。お互いに愛し合って居るのだから・・・。
しかし、こんな事をしていれば何時かは天罰が下る。
あの日に起きた出来事はまさにそうだった。

目の前で、妹が・・・いや、俺の一番大切なものが陵辱されている。
僕がいけなかったのだ。
安っぽい正義感なんか持ち合わせていたために・・・
何とか守ろうとした。何とか止めさせようとした。
だが、頭を殴られ朦朧としている。
何がなんだかわからなくなってきた。
だが、妹の・・・僕の愛する人の助けを呼ぶ声だけがはっきりと聞こえた。
助けなければ、僕はどうなってもいい。だが、彼女を守るために、
あいつらを・・・妹を辱める奴等を「殺す」力を僕に・・・俺にくれ!!
その瞬間、ドス黒いものが俺の心に沸き上がった。
何時の間にか手には刀が握られていた。
そして俺は・・・奴等に襲い掛かった。

全身が血で濡れている。僕は呆然としていた。憎い奴等を確かに殺した。
だが、無情にも妹が・・・俺の愛する人が・・・死んだ。
何の事もない。僕の「暴走」を止めようと身を挺したのだ。
そして、この手でぼくは・・・。
最後に彼女から紡ぎだされた言葉。
あの、悲しげな瞳で・・・
「もうこれ以上自分を責めないで」
この言葉は僕を責めた。
いくら「責めないで」と言われても・・・。
僕は無力だ。
愛する人を守れなかったなんて・・・。
最後に僕は愛する人の名を呼んだ。
靜・・・・・・・・・。

「現実」に戻った。
それはつらい「現実」だった。
だが、逃げられない「現実」だった。
逃げてはいけない「現実」だった。
これからはこの現実を生きていかなければいけない。
それが、今まで斬った人達に対する償いだと柏木さんは言った。
それは当然だった。
辛くても生きなければ・・・。
柏木さんには、迷惑をかけっぱなしだった。一通りの護身術と、逆刃刀を貰った。
そして、養育資金を・・・。
そう、あの赤子は僕のこの手で育てることになった。
あの時、守れなかった悔恨の意味を込めて
「靜」と名付けて・・・。

「現実」世界に目を覚めると僕は、靜に抱きついて泣いていた。
また、この子をを泣かせるとこだった。
「ねぇ、どうしたの?ちちうえ?なんでないているの?」
「ありがとう」
「え?」
「靜、お前のおかげで全てから目が覚めたよ。本当にありがとう」
「え?え?」
静は何だか訳が解らず戸惑うばかりだ。
そんな光景を見て、梓と綾香は思わず貰い泣きをするのだった。

「ところでさ、きたみち?」
綾香が聞く
「はい、なんでしょうか?」
静をおんぶしながら笑顔で返答するきたみち。
「あんたの、もう一つの人格はどうなったわけ?」
「さぁ、多分消えてないんじゃないかな」
「「へっ!?]]
「そもそも、元は同じなんですから、そう簡単にはきえませんし、消せるもんじゃ
  ないですよ・・・て、柏木さんが言ってました」
「そうなの・・・」
梓がいささかげんなりとしていう。
「けど、もう多分大丈夫だと思いますよ。今度でてきても無事に押さえれる自信があります」
「はいはい、解ったから、今度は周りに迷惑をかけないでね」
「今度やったらただじゃすませないわよ!」
綾香と、梓がくちぐちにことばにする。
「はいっ」
そう答えたきたみちの顔は妙に晴れやかだった。

(追記):
その後、「志保ちゃんニュース」により、きたみちは、「嫁さんに逃げられた、
甲斐性無しの、変態二重人格男」として、伝えられたという。

その後、志保がどうなったかはご想像にお任せする。

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ふみゅー、Lメモに全然そぐわないダーク色の濃い話になってしまって
本当にごめんなさい。
一応、これで片が付いたと思いますが、何せ、予定とだいぶ、違ってますからね。
多分あらがあると思いますが、勘弁してね(笑)。
元ネタは「冥○計画ゼオライマー」の(ギャグ)ドラマCDだったはず。
それなのに、「るろ剣」やら、「37℃」やら、もう何がなんだか解らなくなって
しまいました・・・。
次回は、ちゃんとしたコメディかくぞ!!