Happy birthday-SERIO 投稿者:陸奥崇

『ついに、ついにこの日が来た……。
今日はセリオさんの誕生日。英語で言うとBirthday。
つまり今までコツコツと貯金して買ったこのプレゼントを渡す日!!』

のっけから飛ばしているこの男は陸奥崇。
セリオ萌え鼻血噴水ストーカー男として有名な男である。
LEAF学園のリネット棟の廊下を歩きつつ何やら妄想しているようだ。

『あぁ、このプレゼントを渡したらセリオさんどんな反応するのかな〜
頬を赤らめて「……嬉しいです」とか「ありがとうございます陸奥さん」
と言いつつキスをしてくれたりして!!
…い、いやもしかしたら確立変動ダブルリーチで
「…お礼は私で良いですか?」とかの返事が来るのでは!?』

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………暫しの沈黙。


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「ぶはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

恒例の叫び声と共にリネット棟の廊下という廊下を鼻血で染め上げる陸奥。
どうやら妄想で鼻血限界許容イマジネーションレベルを超えたらしい。

補足説明を入れると被害は廊下だけではない、もちろん生徒にも及んでいる。
その結果。
「貴様、マルチに何をするぅぅぅぅぅ!!!!」
「美加香はともかく僕まで血だらけにするとは何事ですか!!」
「髪の色が一緒になったら青い人と12の区別がつかねぇだろうが!!」

などというツッコミとありがたい洗礼の一撃を受け陸奥沈黙。


その後、保健室で血のチャージをした陸奥はセリオに会いに来ていた。
「あの、セリオさん、今日暇ですか?」
「これからですか、少し行きたいところがあるのでその後でしたら…。」
「あ、こっちはそれで全然オッケーです。」
「そうですか、それでは行きましょう。」

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「セリオさんが用事ある場所って遠いんですか?」
セリオの隣を歩きながら思ったことを口にする陸奥。
セリオと一緒にいることがよほど嬉しいのだろう。
目尻はいつもより30度くらい垂れ下がり、鼻の下は地面に付きそうなほど下がっている。

「それほど遠くはありません、あと2、3分で付きますよ。」
ふぅ〜ん、と適当に相槌を打ち暫く無言で歩く二人。
しかし沈黙に耐えられないのか陸奥がまた口を開く。
「その場所って娯楽施設か何かなの?」
「えぇ、楽しいところですよ。」
「へぇ〜こんなところにそんなのあるんだ。楽しみだな」
そうして談笑を続けながら目的地に到着する。
その場所は。



釣り堀。



『なんでやねん!!!!!!!!!!!???????????』
心の中で思いっきりセリオに突っ込む。
間違っても実際にツッコミはしない。
釣り堀を眺めながら呆然としている陸奥を尻目のセリオは行動を開始していた。

「小谷さん、こんにちは。」
「おぉ、セリオちゃんこんにちは、今日もいつものヤツで良い?」
「はい、お願いします」
などとお互い慣れた会話をするセリオと釣り堀のおじさん。

『セ、セリオさん常連客??!!』

ガビーンという効果音と共に顎を大きく開く陸奥。

「さっ、陸奥さん頑張りましょうね」
学校にいる時と違い妙に生き生きとしながらセリオがツリ竿を渡してくる。

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「セリオさんって釣り好きなの?」
掘りの周りに腰をかけながらセリオに問いかける。
「えぇ、大好きです。」
陸奥の方を振りかえり満面の笑顔で答えるセリオ。

『生き生きしてる……本当に釣り好きなんだな。』
その顔を見つめながら心の中で呟く。
いつも学校で見ている淡々とした口調・いつも崩すことの無いポ−カーフェイス
ではなく、無邪気な笑顔と明るい口調。
いつもと180度違う表情を見ていると自然にそう思える。

『でもこんな表情もするんだ、僕の見たことのない子供のような笑顔』
一日の半分近い時間をセリオに纏わりついていてもこの笑顔を見たのは始めてだった。
『ここに連れてきてもらったのを感謝しなきゃいけないな……。』
胸中でそんな事を思っていると

「陸奥さん、引いてますよ?」
「え?」
セリオにそう言われて釣り竿を見てみると確かに糸が引かれている。
「おぉ!?」
急いで釣り竿を手に取りリールを巻き上げる。
「急にリールを巻いてはダメですよ、巻いて戻して巻いて戻して
引きが強くなったら竿を上げて、力を抜いてやってみてください。」
「う、うん了解」

セリオに言われたとおり、巻いては戻し巻いては戻しを5分ほど繰り替えすと
徐々に水面に影が見え始めた。
それを確認してセリオが網を入れる。
セリオが掬い上げたものは




バナナ。




「マテマテマテマテぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
な、何故バナナ!?どーして?何故?WHY?引いてたぞ、水中だぞ!?」

頭を抱え込んで絶叫する陸奥。
傍ら
「あ、新鮮なバナナですね」
バナナを手に取り喜ぶセリオ。

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動揺しまくる陸奥に聞かせたセリオの説明では
ここは魚に限らず色々なモノが釣れる不思議な場所なのだそうだ。
その種類は不特定多数であり、とにかく色々なモノが釣れるわ、釣れるわ。


「これは?」
「足が付いており、この色といいタ○ノ君ではないでしょうか?」
「……引っかかりません、それ?」


「これは?」
「さぁ、私にも……」
「お願いです、どうか逃がしてください!私には生き別れた兄がいるんです!!」
うるうる瞳と八本の足をばたつかせながら哀願してくるタコ女。
「……逃がそうか」
「……そうですね。」


「これは?」
「この図鑑によれば信じ○心と出ていますが」
「それメーカー違う!!」


などなど、様々なモノが釣れた。
陽が落ち、辺りが暗くなり始めた頃セリオが声をかけてきた。
「そろそろ帰りましょうか?」
「うん、セリオさんが良いならそうしようよ。」
道具を返却し、釣り堀を後にして夕闇が支配する中を二人ならんで歩く。

「……今日は楽しかったな。」
誰に聞かせるでもなくポツリと呟く。
「え?」
「ん、何でもないです。」
『楽しかったよ。セリオさん……貴方の新しい一面が見えて』

「……これから何処に行くのですか?」
「へ?」
「いえ、私に何か用事があるのではないのですか?」
「あっ、うん、あることはあったんだけど、今日はもういいや。」
『どうにもプレゼントする雰囲気じゃないもんなぁ……。』

「それじゃ、僕はこっちなんで」
そう言って別れを告げようとした時
「…あの陸奥さん、これから用事ありますか?」
「これからですか…特にないですけど。」
「それでしたらこれから私と研究所へ行きませんか?」
「研究所っていうと来栖川電へ?」
「はい、長瀬主任達がパーティを開いてくれるそうなんです。
それでお友達も呼んでおいでって言われましたので。」
「……僕も行っても良いんですか?」
「えぇ、是非。」
「そういうことなら喜んで。」

『今なら言えるかな、いや言わなきゃ男じゃない…か。』
研究所への道を歩きながらふいに立ち止まる。
「陸奥さん?」
「……セリオさん、これを受け取ってもらえますか?」
「…これは?」
「え〜と、俗に言うプレゼントっていうヤツです。」
「プレゼント……?」
「つまり、その、あの、えっと……。」
「……………。」


「誕生日おめでとうセリオさん!!」



--------------完--------------


えっと、後書きです(笑)。
いや〜、疲れました。
今日の夜にIRCで脅迫されてから必死にネタ考えて書き始めたのが夜7時。
完成したのが夜の10時59分。
そんなわけで推敲も何もありません、文体ヘロヘロです。
口調も変です、ごめんなさい(笑)。
そろそろLも復帰しようかと思いつつ絵ばっかり描いてる今日この頃(爆)。
お会いすることがありましたら、どうか宜しくお願いします。