「別れ・・・そして出会い」 前編  投稿者:陸奥崇
LEAF学園に来てから近頃よく昔の夢を見る。
 
・・・幸せだった頃の夢を。

・・・自分の気持ちに気づいた頃の夢を。

・・・そして彼女を失ったあの瞬間の夢を。


Lメモ陸奥崇 過去編「別れ・・・そして出会い 前編」


「マスタ〜?」

「ん?どうしたのセリオ?」

「はい、ちょっとご相談があるんですけど・・・」

「へぇ、セリオが相談かい?何?」

「はい、実は・・・」



僕の名前は陸奥崇。

人殺しの技を継ぐものだ。

しかし、僕はかつての人殺しの技の力は持っていない。

僕の祖父が死んだ時、この流派は絶えることとなった。

それが祖父が望んだことであり、一族の者も反対することはなかった。

小さい頃、護身用にといくつかの技を教えられた。

それが僕の持っている力である。

本当に微々たる力。

だけどそれで良かった。

臆病者である僕には殺人術など使えるはづなどないのだから・・・。

僕には家族はいない。

先程僕をマスターと呼んだ彼女を抜かせば・・・。

彼女の名前はHM−13セリオ。

近頃売り出された来栖川メイドロボシリーズの最新型だ。

僕の両親が事故で死んだ時の保険金で僕は彼女を購入にした。

彼女は実際よくやってくれていた。

炊事・洗濯・掃除などの他にも僕の相談相手としてもよくやってくれていた。

そして、何故かセリオには感情があった。

僕が購入の時見たセリオは感情など全くなく、淡々と仕事をこなすタイプだった。

僕はそんな感情をもったセリオが大好きだった。

だからこそ彼女のことはずっと大事にしてきた。

端から見れば僕は相当の親馬鹿だったことだろう。

セリオが何をするにも心配し、まるで立場が逆だった。

そしてセリオも僕の言う事をちゃんと守ってくれていた。

僕にとっては愛すべき「娘」であったのだ。

そんなセリオが僕に相談を持ち掛けてきた。



「デ、デートを申し込まれた〜〜〜!?」

「・・・はい。」

「ダメー!ダメー!ダメー!絶対ダメー!!」

「・・・駄目ですか?」

「絶対だめ!とりあえず相手は聞いておくけど誰?」

「はい、仕事先の宮島さんです。」

「あいつか・・・・まぁアイツなら大丈夫かもしれんけどやっぱり駄目。」

宮島というのはセリオの仕事先にいる男だ。

いかにも良い人っぽい雰囲気をだしているけど、どこか影があるそうな感じの男だ。

「・・・・・・・・どうしても駄目ですか?」

すねた子供のような目で聞き返してくるセリオ。

「うっ、そんな目をするなってば。」

「・・・・・・・・どうしてもですか?」

「・・・そんなに宮島とデートしたいのか?」

「はい!宮島さんだけですから。私をメイドロボだからと違う目で見ないでくれるのは・・・。」

「そんなの僕だって見てないぞ。」

「マスターは特別ですよ。」

「そんなもんかなぁ〜。」

そんな事をいいつつも相変わらず拗ねた目で僕を見るセリオ。

「あぁ〜、もう分かったよ!許可するよ!。」

「本当ですか!マスター?」

「本当だって、ただしこのマイクを着用すること。」

「・・・・マイクですか?」

「そ、マイク。」

「えぇ〜〜。」

「嫌なら不許可。」

「・・・はい、分かりました。」

「うん、じゃ今日はもう寝ちゃっていいよ。」

「はい、おやすみなさい。マスター。」


『デートか・・・・。』

正直もの凄く不安だった。

セリオが自分以外の男と遊びにいく。

そう考えるだけで胸が締め付けられる。

世の中の父親というものは皆こんな感情を持つのだろうか。

・・・違うな。

きっと僕が彼女、セリオの事を好きなんだ。

相手はメイドロボだ。

結婚などできないし、子供だって産めない。

『セリオは娘であって彼女じゃない』

彼女と始めて会った時にそう決心したはずだった。

でも、さっきセリオからデートの話を聞いてから胸が痛くてたまらなかった。

『やっぱり、僕はセリオの事が好きなんだな。』

『セリオがデートから帰ってきたら告白しよう』

そう心に決めると僕は眠りに就いた。


−−−−続−−−−


−−−+++−−−
え〜、ご無沙汰しています陸奥です。今回書いたLは陸奥崇の過去になります。
今回の話で過去・セリオとの出会い・L学での役割などを描く予定です。
妙にシリアスな話で「ぶっは〜」も出てきませんがお暇な方は読んでくださいませ。
それでは今回はこの辺で失礼します〜。