Lメモ「何気ない幸せ」 投稿者:陸奥崇



というわけで、セリオイメージアップ企画開始(笑)。
自分にはこういった日常的なLしか書けませんが楽しんでいただければ幸いです。

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幸せを感じるのはどんな時だろう?
闘いに明け暮れる者、友人と戯れる者、そして愛に生きる者
その答えは人それぞれ違う。
しかし、幸せとは何気ない日常にこそあると私は思う。


Lメモ「何気ない幸せ」

ぴぴぴ!ぴぴぴ!ぴぴぴ!!
腕時計のアラームが4時の時報を告げる。
崇はゲームセンターでUFOキャッチャーに熱中していた。

「あぁ!もう少しでソアラお嬢様がとれたのに〜〜!」
UFOキャッチャーの筐体に顔面を擦り付けてワカメ涙を流しながら絶叫する。
一体の人形を取る為に既に4000円以上使っているのは秘密である。

「ふぅ〜、もうお金ないや、帰ろうかな。」

がっくりと肩を落としながら、出口に向かう崇。
そこにポンポンと肩を叩くものがいた。

「?」
叩かれた方を向くとそこには見なれた人物がいた。

「あれ、誠治さん?」

「よ、どうしたんだ、落ち込んでるみたいだけど?。」
「えぇ、集めてる人形をとろうと頑張ってたんですけどとれなくって。」

「ははっ、相変わらず単純だな。」
さもおかしそうに苦笑する誠治。

「そういう誠治さんはどうしたんですか?」
「僕達は、3年連中で遊びにきてるんだ、良かったら君も一緒にどうだい?」

その誠治の答えどうり、後ろからは実に様々な声が聞こえていた。

「京〜!貴様との決着をつけてやる!。」

「やっぱり新撰組の羽織はいいなぁ〜。」

「はは、マルチ〜、そ〜ら、いくよ〜♪」

「俺より前は走らせないぜ!」

「FENNEKさん、負けませんよ!」

「お兄ちゃん!相性判断は私と最初にやるの!」

「違うよ、ボクと最初だよ!」

「あぁ〜、分かったから一緒にやろうな。」

格闘ゲームに熱中する者、エアホッケーをしながら幸せを満喫するもの
レースゲームに熱中するもの、娘達に囲まれ幸せそうなもの、
それらの声が聞こえていた。

「いや、僕はいいです、もうお金も残り少ないんで。」
「そうか、残念だな、それじゃ帰り気をつけてな。」
「子供じゃないですよ、それじゃ。」

ゲームセンターを後にして、商店街を歩いていると
実に賑やかな光景が目に入ってきた。

「こら!YOSSY、beaker、またナンパ?」
「げっ、好恵さん!?」
「さ、坂下!?」

路地では、YOSSYFLAMとbeakerがナンパしているところを坂下に見つかり
追いかけられたり

「梓ぁぁぁぁぁ!俺を殴ってくれぇぇぇぇ!」
「梓先輩待ってくださ〜い!。」
「あぁぁ!もうしつこ〜い!!。」

などと、梓を追い掛け回す約2名。

「楓ぇぇぇぇぇぇ!」
「師匠、街中で暴走はやめてください〜!」
「ゆき、バカは放っといて帰るぞ。」
「えぇ!?いいんですか、ジンさん。」

などと相変わらずマイペースなエルクゥ同盟。

古本屋では芹香を中心に、雪智波、神無月りーず、トリプルG、東西など
オカルト研究会のメンバーがだべっており、

「えぇい!ハイドラント、綾香のとなりはオレだ!」
「何を言う、早いもの勝ちに決まってるだろうが!」
「あぁ、もう、うるさ〜い!喫茶店でくらい静かにしなさい!!」

と喫茶店では相変わらずな3人組。

「ねぇ、浩之ちゃん、今日どんな料理がいいかな?」
「別に美味ければなんでもいいぜ?」

「電芹、今日の晩御飯何がいいかな?」
「たけるさんと一緒なら何でもいいです(ぽっ)」

などと幸せ炸裂しているメンツ。

商店外を抜けて、河川敷にでると
葵を中心に、ディアルト、T-star-reverse、佐藤昌斗、TaSが
格闘技の話題などをしていた。

河川敷を抜け、人通りもまばらなる住宅街で崇は見なれた顔を発見した。

「セリオ先輩?」

そう、彼が住んでいるアパートに向かう途中の幼稚園にセリオがいたのである。
いつもセリオと一緒に下校している崇だが、近頃用事があるということでセリオとは
一緒に帰っていなかった。

セリオを見かけた時、セリオタイプの違うHMかと思ったが、すぐにいつも
会っているセリオであることに気づいた。

『LEAF学園の制服を着てるHMなんて、セリオ先輩しかいないよなぁ〜。』

実際には電芹などもLEAF学園の制服を着ているのだが、電芹は先程
商店街で見かけているので、その可能性は低かった。

数人の子供達に囲まれて、会話をするセリオ。
表情はいつものポーカーフェイスだが、実に幸せそうに見える。

「わぁ、セリオ先生いい匂いがする〜!。」

「ふふっ、くすぐったいです。」

「ねぇねぇ、セリオ先生、あのね、今日ゆう君がね。」

「こら、セリオ先生に言うなよぉ。」

『へぇ〜、セリオ先輩って子供に人気あるんだ。
子供のあやし方も上手だし、なんか以外な側面を見た感じがする・・・。

「それは私も見たかったですね。」

「でしょ、でしょ?面白かったんだよ〜。」

「あれ?セリオ先生、誰か来てるよ〜?」

子供に指摘をされ周辺を注目するセリオ。
その先には指摘どうり、見つかってバツの悪そうな顔をした男が立っていた。

「・・・陸奥さん?」

「あ、いや、別に覗くつもりじゃなくて、偶然通りかかって、
セリオ先輩を見つけて、あの・・・。」

「あぁ〜、照れてる〜、きっとセリオ先生のことすきなんだ〜。」

「えぇ〜、だめだよ〜、セリオ先生はぼくとけっこんするんだから〜。」

『い、いや、好きなのは認めるが、け、結婚までは・・・・。』

子供の質問に真っ赤になる崇。


「だめだよ〜、セリオ先生はぼくとけっこんするんだ〜!」

「はいはい、こどもはかえるよ、ここからはおとなのじかんなんだから。」

「そうそう、さ、かえるよ。」

「セリオ先生、またね。」
「はい、また明日。」

セリオに別れを言い帰宅する子供達。
すると一人の女の子が近寄ってきて、崇に呟いた。

「おにいちゃん、うまくやってね。」

「な!?」

「おにいちゃんがセリオ先生のことすきなのことぐらい見ればわかるもん。
 がんばってね。」

「ち、近頃の子供はませてるな。」

頭に冷や汗を浮かべながら呟く。

「どうかしたのですか?」
「あ、いや、なんでもないです。」

顔を真っ赤にしながら答える。
はっきりいって全然説得力がない(笑)。

「あら、セリオさん、お友達?」

そんな会話をしていると幼稚園の中からいかにも人の良さそうな老婦人がでてきた。

「はい、学校のお知り合いで陸奥さんです。」

「あ、どうも陸奥崇といいます。」

セリオに紹介され、挨拶する崇。

「あらあら、そうですか。あ、セリオさん、今日はもういいですよ。」

「分かりました、それでは帰りの準備をしてきます。」

セリオが中に入っていき暫くの沈黙、すると老婦人が声をかけてきた。

「・・・セリオさんには随分お世話になっているんですよ。」

「?・・・、お世話になっているってどういうことですか。」

「えぇ、実はこの幼稚園は私と主人で経営していたんですけど、先月主人がなくなりまして。」

「それで、保母さん募集の張り紙をしていたらセリオさんが訪ねていらして、
 お手伝いがしたいとのことだったんです。」

「へぇ・・・・。」

「・・・彼女が訪ねてきた時は正直雇う気にはなりませんでした。
 耳にセンサーがついていたので聞いたところメイドロボだったものですから。」

「・・・・・・」

「だけど、セリオさんと話してみたら、そんな考えはすっかり消えてしまいました。」

「私と話した時、セリオさん何て言ったと思います?。」

「・・・・分かりません。」

「彼女こう言ったんです。
 
 
 『私はメイドロボです。


 人のように感情で動けるではなく、プログラムされた行動をとるものです。


 でも、私は色々な意味不明な行動をとることがあります。


 なぜそのような行動を取るのか私には分かりません。


 お友達に聞いた時、それは感情のためだと言われました。 


 しかし、私には感情がどういうものなのか理解できません。


 喜ぶ時は子供のように喜び、怒った時は表情に出して怒り

 
 悲しい時には涙が流し、楽しい時には笑みがこぼれる。


 そんな感情を・・・人の心を私は学びたい。


 だから人と接する機会があれば、それを感じてみたい。』

 
 と。」

声が出なかった。
いや、出せなかった。
自分達が何気なく出しているものを、時には失望したりする感情を
セリオは純粋に学ぼうとしているのを聞いて、崇は胸を締め付けられる思いだった。

「・・・でも、どうして僕にそんな話しをするんです?」

先程から疑問になっていたことを口にする。
そして暫くの沈黙。

「あなたが・・・とても優しい目でセリオさんを見つめていたから。」
「・・・・僕が優しい目をしていたから?」

「えぇ、気づいてないかもしれませんがあなたがセリオさんを見つめている時の瞳は
 子供のように純粋な目をしてるんですよ。」
 
「あなたがセリオさんを見る目は、他の人がメイドロボを見る時の差別の目ではなく
 人として、あるいは愛しい者を見るとても優しい目をしてるんです。」

「・・・・・・・・・。」

「だから、あなたにお話したのだと思います。」
「・・・そうですか。」

「どうかセリオさんの力になってあげてください。
 彼女は確かに”心”があります。」

「・・・そうですね、僕もそう思います。」

崇と老婦人の会話が終わってすぐ、セリオが戻ってきた。

「お待たせしました。」

「さて、それじゃ帰りましょうか、セリオ先輩。」

「また遊びに来てくださいね。」

「それでは、また明日。」
「それじゃ。」

そう老婦人に別れを告げ、崇とセリオは幼稚園をあとにした。
住宅街を暫く無言で歩く二人。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

「・・・ねぇ、セリオ先輩。」
「はい、なんでしょう?」

「・・・・・さっきの話聞いてた?。」
「・・・・・はい、途中からですが。」

「そっか・・・。」

『よし、言うか!』
心の中で呟き、突然セリオの方に向きなおる。

「われ、ここに誓う!。汝の力となり支えになることを!。」

暫くの間、いつものポーカーフェイスと違いきょとんとした表情になるセリオ。
そして

「・・・われ、汝の言葉を受け入れます。」

暫く見詰め合う二人。
そしてどしらからというわけでもなく歩き出す。

そして再び無言。
暫くの後、どちらからともなく手を伸ばし絡めあう。

真っ赤になりながらも、手をしっかり握り歩く。

「幸せだな・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私もです。」

何気ない日常の一コマ。
しかし、そこには確かに幸せが存在した。
もうすぐ冬が来る秋の夜。
肌寒い風も二人には心地よかった・・・・・。

-----完------

え〜、やってしまいました(笑)。
L学の日常を描くつもりがセリオとのらぶらぶ話になってしまいました。
書いていてかなり背中がかゆかったりします(爆)
とりあえずセリオ萌えな方ごめんなさい。
でも、こういうLは書いた者勝ちではないでしょうか?(汗)。
意義あり!っというのであれば自分も書けば立場は一緒ですしね。


でもこういうLって近頃誰も書いてないような気がするんですよね。
LはLEAFキャラとの学園生活が基本コンセプトなわけですから
皆さん、こういった作品もっと書きませんか?
では、今回はこの辺で、次回作でお会いしましょう!

P.S

今回出てきた幼稚園とか老婦人とかはオリキャラでも大丈夫な部類ですよね?(滝汗)