Lめも・学園の日常:「判定結果〜最強屋台決定戦〜後編」 投稿者:猫町 櫂
  運命・・・。
  
  言葉にすると、とても陳腐で簡単な物。でも、感じると、とても大きな物。

  記憶を失う前の私が、どこで何をして暮らしてきたか・・・。そんな事はもう
どうだっていいと思った。

  今の私には、帰る場所があり、支えてくれる仲間がいる。
  その名は・・・
  「試立りーふ学園」。

「櫂くん、試合中だぞ、何ぼーっとしてるんだ?」
「・・・あ、すみません・・・」


====L・学園の日常:「判定結果〜最強屋台決定戦〜後編」====


「残り時間もあと半分となりましたっ。ここから画面をご覧の皆様に改めて説明
致しましょう!!  りーふ学園最強の屋台を決定する30分勝負が今!!  この
特設キッチンリングで執り行われておりますっ!!  食材、メニュー共全くの自
由!!  各料理人の誇りと気合が渦巻いていますっ!!!!!!
  赤レンジには、「ラーメン職人」ことディアルト、青レンジには「タコ焼き」
のXY−MEN、白レンジには「何でもあり」の猫町という組み合わせになって
おりますっ!!  なお、解説は柏木  梓先輩、司会は私長岡  志保で学園ネット
一局完全生中継でお送りしておりますっ!!!!!!!」

  解説ご苦労。

「そしてつい先程、XY−MEN、猫町両名がほぼ同時にタコ焼きプレートを加
熱し始めた所でしたが・・・梓先輩?」
「はい、何でしょう?」
「15分前から加熱して大丈夫なんですか?」
「多分、二人共銅製のプレートを持参しているんでしょう。銅製のプレートは熱
の伝導効率がとてつもなく良いから、タコ焼きのプレートには最適とされてるか
らね。そして、一度温めておかないと、均一に焼けないから、早めに加熱するん
だと思うけどね」

  解説口調を途中から忘れていますよ、梓先輩。

「5分前です」

「あ〜っと、ここで一気に勝負が加速したっ!!  ディアルトは薬味の準備に取
り掛かった模様っ!!」
「葱、なると、シナチク、焼海苔・・・そして・・・」
  と、言いつつ持ち込んだ圧力鍋を開く。
「秘密兵器の豚の角煮!!」
  会場からどよめきの声が起こる。飴色の光沢を持つ豚の角煮が取り出され、包
丁が入れられる。
「おいしそうだね・・・これは・・・」
「長瀬ちゃん・・・よだれ・・・」
  という声が客席から聞こえる。
「そして、麺の茹でに入った!!  微妙な時間だっ!!  間に合うかっ!!」

「そして、タコ焼き組が生地を流し始めたっ!!  両者ともほぼ遜色無い、鮮や
かな手際だっ!!」
  タコ焼きの生地を流し込む時のあの独特の音が、マイクで拡大されて客席に響
く。聞くだけで食欲をそそる、あの音だ。
  そして、具を投入して千枚通しで生地を分け、ゆっくりと形を作っていく。
「これが今回の最終兵器、瀬戸内産の蛸だっっっっ!!!」
「おっとぉ、XY−MENのブースに置かれていたクーラーボックスの中身はや
はり最高級の蛸だっっっ!!!  既に斬られているが光沢は死んでいない!!!」
「・・・刺し身で食べたら美味そうだ・・・」

「おっと、猫町はダシをとっているのか?  初代の和のアイアンマンに匹敵する
だけのかつお節を鍋に投入したっっっっ!!!  何をする気なのか!!!」
「・・・秘密です・・・」
「玉子焼(明石焼)?  それにしては妙だな・・・」


「!!  これで・・・完成っ!!」
  XY−MENさんが竹の器にタコ焼きを手際良く置いて行く。そして、自慢の
ブレンドソースと青海苔、かつお節をかける。

「・・・よし。これでいいでしょう・・・」
  同じ様に竹の器に盛ったものの、上には何もかけていない。

「・・・私も・・・完成ですよ」
  絶妙のタイミングで完成したラーメンを手に、ディアルトさんも言う。


・・・・Piiiiiiiiiiiii・・・・

「はい、そこまで。では、早速試食に移りたいと思います。審査員の方を紹介し
ましょう。皆様、右手のシートをご覧下さいっ!!!!」

  ざざっ。

「まず端から、保科智子さん、柳川裕也先生、フランク長瀬さん、柏木梓さん、
・・・そしてティリア先生!!」

  何故か巻き起こる拍手と、
「俺にもやらせろ〜!!」
「せめて一口だけでも〜っ!!」
  という声多数が静まった後、言葉を続ける。


「採点は20点満点で決定。合計点に、今までの集計結果の比率を加算するわ。
では、まずディアルトの作品から試食どうぞっ!!」

「・・・この角煮は美味だな・・・非常に良く煮られている・・・」
「麺の方も絶品や・・・」
「(ぞぞぞぞぞ・・・)」
「ダシと角煮のタレが合って・・・」
「おかわり、ある?」

「では、製作者ディアルトのコメントです」
「チャーシューよりも角煮の方が味がダシに染み出して実際美味しいんですよ。
コスト上、なかなか出来ないんですけど・・・」


「続いてXY−MENの作品をどうぞっ!!」

「・・・ふん・・・タコ焼きの王道ここにあり・・・と言った所だな・・・」
「やっぱ、これや・・・」
「(ひょいぱく、ひょいぱく)」
「外はこんがり、中はとろっとして・・・」
「・・・あ、タコ二個入ってる」

「XYーMENのコメントです」
「やっぱり俺にはこれで勝負するしか無いから、スタンダード一本で勝負してみ
ただけさ」


「では最後に、猫町の作品を・・・」
「ちょっと待って頂けますか?」
  そう言って各テーブルの前に作りたての「ダシ醤油」を置く。
「これで、食べてみて下さい」

「・・・これは・・・タコ焼きじゃないな・・・中に入っているのは・・・糸こ
んにゃくに・・・ハンペン・・・」
「味の濃い物続いてたから、あっさり系が嬉しいわ・・・」
「(ひょいぱく、ひょいぱく)」
「意外だけど美味しい・・・」
「これ、何て言う食べ物・・・?」

「これは、ラジヲ焼きと言って、タコ焼きの原形みたいな物です。ラーメンやタ
コ焼きの様な物が続いたら、さすがにもたれるかなと思いましたので・・・あっ
さり目にしてみました・・・」


「・・・集計の結果が出た様です・・・」
  試食終了5分。長岡さんがそう宣言する。会場が・・・静かだ。
  緊張を煽るBGMが流れる中、総合結果が発表される。
  カメラが、並んで立っている料理人達を映している。
「それでは、柳川先生に発表していただきましょう」
「まず、3名の料理人に対して一言。美味であった。では、結果を発表するぞ」

(((・・・ごくん・・・)))

「集計の結果、全員同点。引き分けだ・・・」

「「「「「「「「どおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!」」」」」」」」
「「「「「「「「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!」」」」」」」」
  巻き起こる怒号と歓声。その中で、戦った料理人達は、
「・・・引き分け・・・ですか・・・」
「・・・ま、負けなかっただけ良し、かな?」
「・・・(ふぅ)」

  ・・・という、「やれやれ」といった感じの表情で立っていた。


「・・・ディアルトさん、XY−MENさん・・・ちょっといいですか・・・」
「はい?  何ですか?」
「何だ、あらたまって?」
「実は・・・」
  こそこそ。ぼそぼそ。ごにょごにょ。

「やっぱり、猫町さんも考えていたんですね」
「だろうと思ったぜ」
「・・・それでは、やりますか?」
  三人同時に親指を立てて、了解の意を示す。


「悪ぃ、マイク貸してくれ」
「・・・え?  いいけど」
  壇上に上ったXY−MENさんは、マイクを握ると全校生徒に呼びかけた。
「今から、俺たちの料理をみんなに食って貰うっっっっっ!!!!!」

  ・・・・・・・・・・。

「「「「「「「「「「おおっ!!!!!!!!」」」」」」」」」」

「当然、無料サービスだっっっっっ!!!!!!!!」

「「「「「「「「「「おおおおおおおおっ!!!!!!!!」」」」」」」」」」

「食いたい奴は、特設ステージに集合だっっっっっ!!!!!!!!」

「「「「「「「「「「おおおおおおおうっ!!!!!!!!」」」」」」」」」」

  3分後。特設ステージ付近は別の意味で、「戦場」になった。
「ラーメン5人前お待ちどう様っ!!」
「タコ焼き13舟上がったぜ、持ってけっ!!」
「ラジヲ焼き希望の方、並んで下さ〜い・・・」


  こうして、「最強屋台決定戦」の幕は下りた・・・が・・・。


  次の日。
「すいませ〜んっ」
「はい、いらっしゃいませ・・・?」
  声を掛けてきたのは、情報特捜部の方々だった。
「えっと・・・この前はありがとうございました」
「いや、楽しかったし、いい記事にもなったし。こっちこそありがと」
「今日は何にしましょう?」
「それよりさぁ、一つ頼みがあるんだけど・・・」
  長岡さんが言葉を続けた。
「今度、部の雑誌で、「学園最高の甘味処」っていう特集をやる事になってね。
それで、この屋台もその対象に入るから・・・っていう連絡をしに・・・ね」
「・・・・・・?」
  また、いきなりの話。確かに、甘味系はやっていますが・・・。
「で、採点方法なんだけど・・・」
  こっちの困惑を他所に話を続ける。
「まず、7日後に「味」の勝負を付けて貰うわ。場所と時間、判定方法は後で指示
って所ね。で、「値段」と「雰囲気」は生徒の投票で決定。質問ある?」
  ・・・と、ここまでいきなりまくし立てる。
「・・・・・・えっと・・・」
「ないんなら、行くわよ。必要事項は伝えたから。頑張ってね」
「えっと・・・もう勝負はこりごりなんですけど・・・」
  本当に困った顔をしつつ、言った。

[かしゃっ]

「はい。その困った顔が欲しかっただけなのよん。いい表情の紹介写真がなかっ
たんでね」
「・・・ひょっとして・・・」
「う・そ☆」

  へなへなへな〜。
  思いっきり脱力した横で、みんなが笑っていたのが妙に印象的だった。


p.s:
  勝負終了直後、多数の人間が第二購買部に押しかけたらしい。
「ドローなら金返せっっっっっ!!」
  という声が聞こえたらしい。

p.s2:
  「最強屋台決定号」と題された今週の『報道審判 judgment days』
は、過去最高の売り上げを記録したそうだ。


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  ・・・落ちが面白くない・・・。

  と、言う訳でこんにちは。屋台Lの完結編、遅くなりましたがお届け致します。
皆様の予想は当たりましたでしょうか?
  出演して頂いた方々、ありがとうございます(謝謝)
  イメージが掴みにくいんですよ、みなさん・・・(言い訳、言い訳)

  特にディアルトさん、XY−MENさん。剃刀レター覚悟完了ッス(泣)
  本当にごめんなさい(深々)


  で、ここからは前回のL(巡回班L「日常的な非日常の中で・・・」)のネタ
ばらし。読んでない人やどーでもいい人にはどうでもいい小ネタです。

  校内法度の元ネタは、
  大昔の朝日ソノラマ文庫の「私闘学園」(著:朝松健/イラスト:島本和彦)
  ・・・です。
  おもいっきりマイナーですけど、面白いです。古本屋で見かけたら即ゲット!!