===企画乗ります〜テニス大会参加Lめも「気持ちを伝え・・・」〜=== 投稿者:猫町 櫂
  ・・・春が過ぎ、夏が近付いている。
[アイス始めました。]

  こんなのぼりを店先に付けてしまう位の暑さがやってきている。
  中途半端に暑い時の方が喉は渇く・・・。
  屋台で、水物がよく売れる時期だ。

  伸びをしながら呟く。
「さ、今日もがんばりましょうかねぇ・・・」


===企画乗ります〜テニス大会参加Lめも「気持ちを伝え・・・」〜===



  朝。

  作りたての味噌汁のいい香りがする。

  とんとんとんとんとん・・・・・・

  包丁が軽快にまな板を叩く。

  床に臥せっている中年の女性が声をかける。
「本当に、どうもすみませんねぇ」
「いえ・・・みんなでご飯を食べるのは好きですし・・・」

  最近、雛山さんの家で材料持ち込みで朝食を食べる事が多くなった。
  週に二〜三回くらいはお邪魔しているんじゃないだろうか・・・。

「ニーチャン、おかわり」
「おかわりぃ」
  良太さんとひよこさん(妹さん)がほぼ同時に声をかける。
「はいはい、ちょっと待って下さいね」

[今日のズームアップ大日本!!  一度は行きたい隆山温泉郷]
  そんな記事の載った新聞を見ながら雛山さんは難しい顔をしていた。

「さて、そろそろ出ないと遅刻しますよ」
  ・・・ばたばた・・・


  登校途中、雛山さんはずーっと何かを考え込んでいたらしく、電信柱に派手に
ぶつかっていた。
「大丈夫ですか、雛山さん?」
「うう・・・痛たたたた・・・」
「どうかしたんですか?  さっきから、何か悩んでいるみたいですけど?」
「え・・・えっと、そう。何でもないって、何でも」
  両手を前でぱたぱた振りながら否定する雛山さん・・・だけど、表情が全然ご
まかせていない・・・。
「・・・なら、良いんですけど・・・。ま、何かあったら相談に乗りますよ」
  ・・・こうしか言えないですよね・・・。言いたくない事みたいですし・・・

「お母さんを温泉に連れていってあげたいな・・・、って思って・・・」
「・・・う〜ん・・・確かに言っても仕方ないですね・・・」
「母の日何も出来なかったし・・・あ、いいんだって。猫町君が気にする事ない
し、ね」
「すいません・・・」
  思わず下を向いてしまう。
「猫町君、あぶないっ!!」
「へ?」
  顔を上げた瞬間、目の前に電信柱があった。

  ☆ごっち〜んっ☆



  んで、放課後。

「ごめん、何か適当に・・・」
「いらっしゃいませ〜」
  屋台に来たのは、普段は見ない顔の方だった。
「え〜っと・・・警備保障の・・・OLH先輩・・・でしたっけ?」
「じゃあ、タコ焼きお願いね」

「しかし、OLHさん・・・」
「?」
  タコ焼きを食べている先輩を見ながら、ふと呟いた。
「テニスやってたんですか?」
「いや、今特訓中だけど、何で?」
「最近テニスルックの方とか、テニス用の鞄持った方とか多いんで、流行ってい
るのかなと思いまして・・・」
「あれ、知らないの?」
「・・・?」
「学内で今度テニス大会があるんだよ」
「そうなんですか・・・」
「優勝商品が温泉旅行だから、みんな気合入ってるんだよ、多分」
「OLHさんも出るんですか?」
「俺は勇希先生とだけどな・・・っと。ごちそう様」

  かたん。

  席を立ち、出て行こうとするOLHさんに声をかけた。
「・・・OLHさん・・・。テニス大会のエントリー、まだ間に合いますか?」



「え?  テニス?」
「ええ、テニス」
  その日の夜、バイトの終わった雛山さんと歩きながら、テニス大会の事を喋っ
てみた。
  商品が温泉旅行らしい事。ペア出場がルールらしい事・・・

「駄目もとで出てみませんか?」
「だって・・・私みたいな運動音痴な子と組んでくれる人なんていないだろうし、
それにルールだって全然分からないし・・・」
「大丈夫ですって・・・。ルールなんて図書館で調べればいいじゃないですか。
それに、テニスに必要なのはパワーでもスピードでもなくって、球を打ち返す、
意志力らしいですから・・・」
「へぇ・・・そうなんだ・・・」
「根性なら、雛山さんは誰にも負けませんよ」
  にっこり笑いながら、言う。
「でも・・・パートナーがいるんでしょ・・・?」
  私は、一呼吸置いて、ちょっとうわずった声で次の台詞を言った。
「パートナーなら・・・目の前にいませんか?」
  多分、顔は真っ赤だっただろう・・・。

「いいの?」
「冗談は言いませんよ。もし優勝できたら、おばさんと二人でゆっくりして下さ
いね」
「ありがとうね、猫町君」
  そう言って頭を下げる雛山さん。
「雛山さん、危ないっ」
  そして、雛山さんが頭を上げた先には・・・電信柱があった・・・



  そうこうしている内に、雛山さんのアパートに着いた。
「それじゃ、お休みなさい」
  かちゃり。
  雛山さんを送り届けてから、考えてみた。
「・・・もし、優勝出来たら・・・」
  雛山さんの喜んでくれる顔が、目に浮かぶ。
「・・・もし、万が一、優勝出来たら・・・」
  星空を見上げて、小さく呟く。
「・・・その時は、雛山さんに「好きだ」と、告白しましょうか・・・」
  遅い時間なので、空を夏の星が覆っている。
  その中の二つ・・・牽牛と織姫を見ながら決意する。

「その為には・・・本気で行きますよ・・・持てる力の全てを使って・・・」
  拳を、強く握る。
「・・・勝ちにいきますよ・・・」



===================================

  と、言う訳で「猫町  櫂+雛山理緒」エントリーっす。

  ・・・いいのか、俺・・・こんな危険な事書いて(汗)

  ・・・ゆるせ、YOSSYさん(笑)