校内巡回班L「日常的な非日常の中で」 投稿者:猫町 櫂
  裏山の鬱蒼と樹木が生い茂った森に、フランス軍の軍服を着、苦虫を噛み潰した
平家蟹の様な顔の歴史上の人物(土方歳三)の油絵を置いた小屋がある。
  校内巡回班、屯所である。

「一同・・・校内法度、暗唱!!」
  校内巡回班の仕事は、独自に設定されたこの「校内法度」の暗唱から始まる。
北海道出身の某小説家が考えた物であるが、原作を知っている人間もいないだろう
から、原文をそのまま斉唱する。
「ひとおーつ、高校生道に背き間敷事ォー」(ぎくっ)
  羽織を着た5名(高校生4名、初等部生徒1名)が、一列に並んで読み上げる。
「ひとおーつ、授業中ニ学園ヲ脱スルヲ不許ゥ〜」(ぎくっ)
「ひとおーつ、勝手ニ金策致不可ゥ〜」(ぎく、ぎくっ)
「ひとおーつ、勝手ニ訴訟取扱不可ゥ〜」(ぎくっ)
「ひとおーつ、私ノ闘争ヲ不許ゥ〜」(ぎく、ぎくっ)

  ・・・どうやら、多少以上護られてない条文があるような気もする・・・。


===校内巡回班L「日常的な非日常の中で・・・」===


  校内巡回班の目的は、「一般生徒の守護」と「治安維持」である・・・らしい。
何故、「らしい」が付くか・・・。
  この学園には「治安維持組織」が乱立しているからだ・・・。
  「ジャッジ」しかり、「警備保障」しかり・・・

  しかも、それぞれが自らの正義と趣味の為(としか見えない)に働いている。
  区別なんかそう簡単に付くはずもない。


「ジン先輩とDセリオ先輩が例によって戦闘してるぞ〜」


「仕方ないですね・・・校内巡回班、出動です」
  やれやれ・・・と言った表情で総長・きたみちもどるが愛用の逆刃刀を掴んで
立ち上がる。羽織は背中に「誠」の字の入った正統な例の「アレ」を着用している。
「おにいちゃんたち、がんばってねぇ〜」
  一応正統な羽織を和服の上から着用した、副長・きたみち靜が手を振る。
  機嫌がいいと、火打ち石までやってくれるらしい。
「んじゃ、一丁行きますか・・・けほ」
  手で口を押さえながらやっぱり正統な羽織スタイル(下は学ラン)で立ち上がる
のは、一番隊組長・九条一馬。
「吐血しながら言っても迫力ないよ、くま先輩」
  ・・・と言いながらも世話しているのがニ番隊組長・八塚崇乃。バンダナを巻き
グラサン、学ランと言うスタイルの上に漆黒の羽織を羽織っている。
「今日はきたみちさんの所に食べにいかないと・・・収入ないし・・・」
  で、零番隊組長・猫町櫂である。作業ズボンにカッターシャツのスタイルの上か
ら羽織を着ているのだが・・・背中の文字は「誅」。

  ちなみに準備されたものは、「ロープと楔」・・・だけ。


「でぇぇぇぇぇいっ・・・断っ空っ剣っっっっ!!!」
「その程度なら、サイファーで充分防御可能です・・・」
  かっきぃぃぃぃんんんん。火花が散る。鍔競り状態での硬直。

「珍しいなぁ・・・今日はチャンバラなんだ・・・」
  九条の感想はもっともだと思うが・・・
「とはいえ、いつ射撃戦になるか分からないから、いつもの奴の準備を・・・あと、
櫂くんと崇乃くんはそれが終わったら怪我人の治療を・・・」
  と、きたみちは指示を出す。


「食らえっ、ハイメガキャノンっ!!」
  ・・・ちゅどごーむ・・・。
「はーい、ここから先は入らないで下さいね。流れ弾が飛んでくる事もありますか
らね」
  そう言って楔を打ちつけ、ロープを張る。こうすれば多少は野次馬の整理も出来
るし、必要以上に近付く人も減る。


「(前略)おらおらお(略)らおらおらおら(中略)おらおらおら(略)おらおら
おらお(後略)」
  ・・・めき・・・ぼこ・・・ばき・・・どご・・・・

「う〜ん・・・終にDセリオさんがスタンド攻撃まで・・・」
「感心してる場合じゃないでしょう、九条さん・・・」

「大丈夫ですよ、今、癒しますから・・・ん・・・ハイ、もう大丈夫ですよ」
「「我は産む魂の雫」っ・・・次は誰ですか?」
  流れ弾に当たってしまった不幸な一般生徒の治療は主要な任務だ。


「行くぜ、元祖必殺ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!」
「行きます・・・超ド級・・・・・・」
「ブレスト・・・・ファイア−−−−−−っ!!!!」
「ヒート・・・・・ブレイザ−−−−−−っ!!!!」

「互角・・・かな?どう思います?猫町君」
「・・・いや、ジンさんの方が微妙に出力が高いですね・・・」
  まぁ・・・余裕が出て来ると、みんなで見物組に加わる事もある。


「あ〜、またやってるー。最近ネタも無いし実況しちゃえ。シッポ・デコイ・・・
準備はいい?」
「抜かり無しっ!!」
「OKっ!!」

  野次馬の整理は大事な仕事なんだってば。
「あのー、あまり二人を煽らないで下さいね・・・」
「あ、校内巡回班・・・いたの?」
「放っとけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!」
  ・・・総長、負けるな。応援してます・・・。


「・・・痛っ・・・きたみち先輩、そろそろ危ないです」
  「浄眼」の能力ですぐ先に迫った危険を感知出来る八塚がきたみちに告げる。
「分かった・・・全員、防御体勢っ!!」

「食らえぇぇっ・・・マイクロミサイルコンテナぁぁぁぁっっっっ!!!!!!」
「うふふふふ・・・ファイナルガーディアンっ!!!!!!」
  爆発と煙、閃光で二人の姿は既に見えない。
  ・・・と、同時に逸れた弾やミサイルが四方八方に散開する。

「・・・破衝っ!!」
  九条の(音叉兼)刀から放たれた衝撃音波が飛来する弾丸の運動エネルギーを奪
い、叩き落とす。
「我が道に舞えっ、・・・天蛇の魔槍っっっ!!!」
  虚空に呼び出された水の槍が召喚者・・・八塚・・・の名に従い、ミサイル群を
破壊する。
「飛天御剣流・・・土龍閃っ!!」
  きたみちの逆刃刀が地面を叩き、土塊が威力を殺す盾となる。
 3名の迎撃により観客席(?)にもうもうと煙と爆発が起こる。
「どうだ・・・」
「あらかた・・・」
「叩き落した筈・・・」

 そこに出来る小さな「油断」。
「危ないっ、第二波ですっ!!」
 今まで静観していた猫町が飛び出る。
「ダブルトンファー・堰っ!!!」
 ・・・爆発。

「櫂くんっ!!」
「猫町さんっ!!」
「大丈夫かっ!!」

 しーん・・・・・・。

 猫町は・・・
「けほん・・・けほん・・・痛たたた・・・」
 けっこう無事に立っていた(苦笑)。

 ・・・が、当の喧嘩の本人達は・・・
「・・・きゅう・・・」
「・・・ばったり」

「8分43秒、ダブルKOっ!!!!」
 (いつの間にか用意された)リングサイド机から志保の絶叫が響く。
 ・・・これで、今日の校内巡回班の活動は終わりを告げる・・・訳ではない。

「きたみちさん、猫ちゃん、こんちは」
「あれ、望さん、どうしたんですか?」
「実は・・・校内巡回班、新人募集してないかな・・・って」
「・・・・・・え?」
「「「「「ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇっっっっっ!!!!?」」」」」

  校内巡回班の最近の仕事・・・新人を獲得する事。


p.s:
  ちなみに、この晩、きたみち邸で「新人入会おめでとうパーティー」が催された。
  また・・・、次の日、全員が謎の頭痛(苦笑)で学校を休んだらしい。


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  「校内巡回班の仕事って何?」という問いに答えたかった・・・んですが、結局
何も分かっていませんねぇ・・・。

  はい、こんにちは。多少ブランクがありましたが、猫町でございます。

  このLは、総長(きたみちもどる氏)の許可と校正は頂いておりますので、一応
公式な「巡回班L」と言う事になります・・・しくしく。
  後、人命救助とか、人助けとか、治安維持とか・・・いろいろやってるみたいで
すよ。
  と、言う訳で巡回班に誰か入って。お願い。一緒に人助けしましょうよ、ね。
  巡回班一同、お待ちしております。(いやマジ)


  ここからは前回のL(ふゆものがたり・中)のネタばらし。

  1:催眠術にメトロノームは使います。いや、実際使うんだってば。
      信じてってば。単純な刺激を与えると眠くなるじゃないか。
      ・・・(生)猫町本人はあまり使わないけど。
  2:電話していたのはきたみち君の家です(ちなみに出たのは靜さん)。