Lメモ今回はちょっとラブコメ番外編「Lメモ・マール編」 投稿者:西山英志
 五月。
 春、麗らかな日差しが巨大学園都市・試立Leaf学園に降り注いでいた。
 放課後。
 学園最大の無法時間といわれる、時間帯。
 校庭にある巨木、別名「伝説の木」に一人の男の姿が、あった。
 二年生の学園問題児の一人、西山英志である。
 ちなみにこの学園の「伝説の木」は某と○メモの巨木とは全く違う。
 かって、この学園の生徒だった柏木千鶴が柏木耕一にこの木の下で告白したのが伝説の
始まりであったとか何とか‥‥‥‥(笑)
 どんな伝説なのかは‥‥‥‥あえて、書かないことにする。
 木陰の下で、西山は無意味に手の中のチケットを見つめていた。

 時間は少し、遡る。
「あっ、西山さん、西山さん」
 放課後のSS不敗流の修行のために、校庭の外れにある庵へ向かおうとしていた西山は
不意に声を掛けられた。
 振り向くと其処にいたのは、第二購買部のbeakerであった。
「良いトコで会いましたよ、西山さんに買ってもらいたいモノがあるんですけど‥‥‥」
「‥‥‥‥何だ?」
 西山の目の前にbeakerが、チケットを二枚目の前に差し出した。
『劇団五季・サソリ座の怪人』
 と、チケットに文字が印刷されている。
 最近話題のミュージカルのチケット、であった。
「いや、実は‥‥岩下さんから予約を受けていたんですけど、途中でキャンセルされちゃ
いましてね。どうです?半額で良いですから、買ってくれませんか?」
 チラリ、と西山はチケットに目を向ける。
(そういえば、楓もこのミュージカルを見たがっていたな‥‥‥)
 そう思ったときには、西山は数枚の紙幣をbeakerに渡していた。
「まいどあり〜っ」
 と、営業用の0円スマイルをbeakerは浮かべていた。

 そんな訳で、西山の手の中に件のチケットがある。
 春の陽光に微睡むこと、数分。
 巨木の木陰の下に一人の少女が現れた。
 その姿は春の日差しに儚く消えてしまう様な、幻に見える。
 柏木楓。
 西山と同じくLeaf学園の二年生で、ある。
「英志君‥‥‥何か、用‥‥‥?」
 鈴を転がす様な、声。
「い、いや‥‥‥‥‥その‥‥‥」
 SS不敗流・現宗家という肩書きもこんな時には一切、効力を持たない。
 西山は自分でも情けないほど、狼狽していた。
「‥‥‥実は‥‥‥コレを‥‥‥」

「ありがと、beaker」
「なーに、礼には及びませんよ‥‥‥」
 図書館のロビーでbeakerは学園三年生の柏木梓とお茶を飲んでいた。
「全く、あの二人を見ていると、もどかしくってコッチがハラハラしちゃうモノ‥‥」
「その為に、デートをお膳立て‥‥ですか?」
「当然でしょ、お互いに奥手なんだから‥‥‥」
 くいっ、と梓はお茶を飲み干す。
「‥‥‥ま、ソレが良いトコなんだけどね」
「そうですね‥‥そういう久々野さんと梓さんはどうなんですか?」
 意地悪そうにbeakerが微笑む。
「あっ、あたし達は‥‥‥‥」
 顔を真っ赤にしながら、梓は狼狽する。
 しかし突如、梓とbeakerが床に倒れ込む。
「‥‥‥‥beaker」
「‥‥‥‥何で、すか?」
「このお茶、貴方が持っ、て来たん、じゃ、ないの‥‥‥」
「私は、梓さ、んが持って来た、のかと思ってい、ましたけど‥‥‥‥」
 呂律の回らない会話を交わす二人を横目に見ながら、図書館の館長のまさたがメモを取
っている姿が二人の瞳に映っていた。
「ううーん、やっぱりこの調合だと、かなり遅効性のモノになってしまいますね。もう少
しチョウセンアサガオ(別名・キチガイナスビ)の量を増やしますか‥‥‥」
 この後、まさたは久々野と好恵のツープラトン攻撃を喰らう事になる。

「えっ?いいの‥‥‥‥?」
 こくん。
 西山の言葉に楓は頷いて、応える。
 その手には例のミュージカルのチケット、が握られている。
 その頬が少し桜色に染まっているのは気の所為、だろうか?
「そ‥‥‥、それじゃあ、今度の土曜日に、行こうか‥‥‥」
「‥‥‥うん。じゃあ、楽しみにしているから‥‥‥」
 楓はそう言うと恥ずかしそうに小走りに、校舎へ戻っていく。
 巨木には西山がただ一人、残されていた。
 春風が、そよそよ、と西山の頬を撫でていた。
 一瞬の間の、後。
「いやったあああああああああああああああっっっ!!!!」
 西山の絶叫が、校庭に響きわたった。
 そして‥‥‥‥。

『暴走』(エヴァ風に読む事・笑)

「遅いな、師匠‥‥‥」
「‥‥‥そうですね」
 校庭の外れの庵で、風見ひなたと結城光が立ちつくしていた。
 その時。
 ドガゴオオオオオオオオオオオオオオオオンンンッッッ!!
 遙か遠くの校庭の一角で爆音と火柱が昇る。
「‥‥‥‥あれは?」
 光の視線が火柱の方向に、向く。
「何か爆発のようですね。‥‥‥ジン先輩かしら?それとも‥‥‥」
 光の問に答えるように、赤十字美加香が二人にお茶を運んでくる。
「いけない‥‥‥あそこには‥‥‥美加香っ!!行きますよっっ!!」
「えっ?えっ?ちょっとおおおおおおおおおおおっっーーー??」
 風見は美加香の襟首をつかんで、走り出す。
 美加香の抗議の声が、ドップラー効果の残響を残しながら走り抜けていく。
「‥‥‥‥あのー‥‥、僕は一体どうしたら‥‥」
 湯気の立つ茶碗を両手に持ちながら、光だけが其処に、ぽつん、と残された。

「ふはははははははははっ!!西山ぁっっ!!今日の勝負はもらったぁっっ!!」
 そういうと同時に、三年生のジン・ジャザムが指先からバスター・ミサイルを一斉掃射
する。
 数条の噴射炎が西山に向かって、疾った。
 ルオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォッッッンッッッ!!
 西山の叫び声が衝撃波へと変化して、ミサイルを全て叩き落とす。
「やるなっ!!なら、これならぁっっ!!」
 ジンの右腕が高速左回転 を始める。
 そして何処から出したのか、ファン○ム・リングが右回転を始める。
「うるぁっっ!!ブ■ウクンッ・ファントムゥッッッ!!!」
 あんた、それ伏せ字になってないって‥‥‥。
 ジンの右腕から衝撃波を伴い、ロケット・パンチが打ち出された。
 周囲の空気を切り裂くかの様に西山へ向かって、疾る。
 ソレを西山は躰を僅かにずらして、躱わした。
 しかし。
「きゃああああああああああああああっっっっっ!!」
 幼い少女の叫び声が、ジンと西山の鼓膜を震わせた。
「なにぃっ!!」
「!!」
 二人が悲鳴の方向へ振り向くと、其処には少女が立っており、ジンの放ったロケット・
パンチが襲いかかろうとしていた。
 SS使いならともかく、並の人間がこの攻撃を喰らえば只ではすまない。
「やばいっ!、間に合わねぇっっっ!!」
 叫ぶジンを含む誰もがそう感じた、その時。
 グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーッッ!!
 叫び声と共に西山の躰が、疾った。
 信じられない速度、で。
 半瞬後。
 耳も裂けよという轟音が、校舎に響きわたった。

 一時間後。
 西山は第二保健室のベッドで、目を覚ました。
「‥‥‥‥俺‥‥」
「あら、気がついた様ね」
 寝室の白いカーテンが引き開けられて、保険医の相田響子が姿を現す。
「‥‥‥響子さん」
「全く、無茶をするわね。女の子を救う為に自らが盾になってジン君のロケット・パンチ
の直撃を喰らうだなんて‥‥‥」
 ブ■ウクン・ファントムだって‥‥‥。
 西山の手首をとり、脈が正常なのを確認しながら響子は優しく微笑む。
「‥‥‥ま、そこが英志君の良い所‥‥‥かな?」
「‥‥‥‥あの女の子は?」
「ああ、今、廊下で貴方が目覚めるのを待っているわ‥‥‥。ちょっと待ってね、直ぐに
呼ぶから‥‥‥」
 そう言うと白衣を翻して響子は廊下へと姿を消す。
 暫くして小さな少女と共に戻って来た。
 小さな少女、だった。
 七、八歳位だろうか?
 赤い髪が肩まであり、少々垂れ目気味の瞳は先刻まで泣いていたのか、赤く腫れていた。
「‥‥‥あ、あの‥‥‥」
「‥‥‥‥怪我は、無いか?」
 少女が言葉を紡ぐ前に西山は優しく、微笑んで訪ねる。
 珍しいこともあるモノだ。
 その様子を見ていた、相田響子は驚いていた。
 響子は西山の従姉妹であり、西山のことを良く知っている。
 その西山が、人間味を込めた笑みを見せる事は、滅多にない。
 この子が、ソレを西山から引き出したのだろうか?
「あっ‥‥‥、は、はい‥‥‥」
 少女は応える。
「感謝しますよ、師匠。この子を助けてくれて」
 ふと。
 西山の寝ていたベッドのカーテンの向こうから、もう一人の人影が現れた。
 風見ひなた。
 西山の一番弟子で、SS不敗流の元継承者である。
 西山本人はまだ諦めていないようだが。
 その横ではパートナーの美加香が、引きずり回されてあちこちぶつけられたのかボロボ
ロになっていた。
「風見‥‥‥この子の知り合いか?」
「ええ、この子は来栖川の新型HMでマールと言います」
 そう言って風見は赤髪の少女の頭を、撫でる。
「はっ、はじめしてっ、HMX−212a『マール』と言います」
 赤髪の少女‥‥マールは頭が膝頭につくのではないか思うほど、深くお辞儀をする。
「この子は一年生のマルチの娘にあたる存在、なんですよ」
「ほう‥‥マルチの‥‥‥」
 目を細めて、西山はマールに視線を向けていた。
 その視線に気がついたのか、マールは顔を真っ赤にする。
「なるほど、確かにマルチによく似ている‥‥‥」
 西山がまた、微笑った。

 その頃、マールの母親であるマルチは‥‥‥‥。
「えええええええええええええーーーーーーっっ!!?」
「子供だってええええええええーーーーーーっっ!!?」
 マルチから三人の娘がいることを聞いて、セリスとゆきが絶叫していた。
「はいっ、今日長女のマールが学校に来る予定なんですけど‥‥‥」
 ジンと西山の闘いの後始末の掃除をしながら、マルチが応える。
 しかし、二人の耳にはもはやマルチの言葉は聞こえていない。
「マ、マルチに子供‥‥‥‥じゃあ、父親は‥‥‥?」
 セリスとゆきが二人で壁に向かってブツブツと呟いている。
 あんたら、マルチがメイドロボって事を忘れていないか?
「いっ、いや、それより俺達はつまり、子持ちの人妻に恋しているのか‥‥‥?」
 をいをい。(笑)
「‥‥で、その子はなんでこの学園に?」
 取りあえず気を取り直したのか、ゆきはマルチに訪ねる。
「はい、どうやら情操教育のために、学園の生徒から里親を選ぶ為だそうです」
「‥‥‥へえ」
「‥‥‥まるで、ファテ○マのお披露目、みたいだね」
 それを言うなって。(泣)
 その時、二人の頭にある考えが浮かんだ。
 マルチの子供 → マルチと親しい → その子の里親になる → マルチとの関係が
さらに深くなる → 上手く行けばマルチと‥‥‥‥。
「ふ、ふふふふふふ‥‥‥‥」
「は、はははははは‥‥‥‥」
 不気味に笑いながら二人はマルチと一緒に、再び掃除を始めた。
 まったく。
 恋する男の考えることは、同じでありますねぇ。(嘆息)

「へえ、情操教育ねぇ‥‥‥」
 風見からマールの事をあらまし聞いた西山は、ゆっくりと梅昆布茶を啜った。
 ‥‥‥ジジ臭いぞ、あんた。
 ちなみに場所は、学園の大食堂。
 いい機会だから、西山の躰を調べようと解剖道具一式を揃えようとした、相田響子から
何とか逃げ出してきたのである。
 お昼の無法時間が過ぎたのか、食堂内は閑散としている。
「ええ、そうなんですよ。でも、なかなか良い里親がみつからなくって‥‥」
「ええっと、私はAランチとコーヒー。マールは何が良いの?」
「まあ、確かにな。ここは特殊な人間の博物館だからな‥‥‥しかし、何でまた学園の生
徒なんだ?」
「‥‥あの、お子さまランチ、ありますか?」
「それが芹香先輩の進言でして‥‥‥」
「ええ、この食堂で無いモノは無いわよ、おにぎりからフランス料理のフルコースまであ
るもの。じゃあ、マールはお子さまランチ、ね」
「芹香嬢の?、なんでまた」
「‥‥‥はい」
「なんでも、芹香先輩の占いではマールの運命の相手は、この学園の生徒だとか」
「すみませーんっ、Aランチとコーヒーとお子さまランチ、あと砂糖水をふたつお願いし
まーす」
「「ちょっと、待てええええええええええええっっっっ!!!」」
 すかさず、西山と風見のツッコミが美加香の後頭部に炸裂した。

 一通りの食事をすませた四人は、ゆるりと食後のお茶を飲んでいた。
 そこへ。
「このおっ、邪魔するなああああっっっ!!、ゆきいいいいいっっ!!」
「セリスさんこそ、邪魔しないでくださいいいいいいいいっっっ!!」
「お前には、初音ちゃんがいるだろうがああああああああああっっ!!」
「でも、マルチも好きなんですううううううううううっっっ!!!」
 そんな叫び声を撒き散らしながら、遙か地平の彼方から向かってくる影が、二つ。
 言うまでもなく、セリスとゆきである。
 走っている途中で、きたみちとか佐藤昌斗とかを吹っ飛ばしながらやって来る。
「「俺達の出番はこれだけかいいいいいいいいっっっ!!」」
 空しい絶叫が後に残される。
 すまんな、今回は我慢してくれ。その内活躍させてやるから。(予定は未定・笑)
 二人の内最初に食堂に入ってきたのは、ゆきのほうだった。
 食堂のドアを蹴倒して、にっこり、と笑いながらマールの方へやって来る。
「こんにちは、君がマールちゃんだね‥‥僕の名前は‥‥‥」
「くぉら待てえええええええっっっっ!!」
 ガギュウムッッッ!!
 後ろから襲ってきたセリスのビームモップを素早く受け流す、ゆき。
 よく見ると、セリスの躰には鉄錠網とか竹槍とかが刺さっている。
 どうやら、入り口の手前でゆき特製ののベトコン仕込みのブービートラップに引っかか
ったらしい。
「ちっ、生きていたんですか‥‥‥」
「当たり前だああああっっ!!この命はマルチの為だけにあるんだああああっっ!!」
 いやはや、見上げたド根性。
 ちょっと、竹槍刺さっているけど。
「くっ、こうなったら‥‥‥」
 セリスの攻撃を数回躱わし、ゆきは床に向かって何かを投げつける。
 ボムンッッ!!
 瞬く間に煙幕が、拡がる。
「ふはははははっ、マールちゃんはいただきますよっっ!!」
 煙幕の向こうから、ゆきの声が響く。
「くっ、このおっ!!待てぇっっ!!」
 素早くセリスは煙幕をM・Aフィールドで、かき消す。
 しかし、ゆきの姿は既に消えていた。
「しまった、マールちゃんが‥‥‥!!」
「私がどうかしたんですか?」
 へっ?と言う声と共にセリスは声の方向に、振り向く。
 其処には西山に抱き上げられたマールが、不思議そうな顔をしていた。
「じゃあ、ゆきが連れていったのは‥‥‥‥??」

 ゆきは素早く食堂から離れて、廊下を走っていた。
 右腕には何かを抱えている。
 しっかり1キロ走って、ゆきは足を止めた。
「‥‥‥ふう、どうやら追っ手は撒いたみたい、ですね」
 汗を拭って、呟く。
 その時。
 ゆきの近くから音が聞こえた。
 むしゃ、むしゃ、ぼりっ、ぼりっ‥‥‥‥。
 咀嚼音だった。
 咀嚼音?
 ソレはゆきの右腕から聞こえている。
 そぉっと、ゆきは自分の右腕を見る。
 そこにはゆきの右腕を喰べている、白髪の美少女がいた。
 ジンのパートナーの遊輝、であった。
「ふぅむ、なかなかの珍味ぢゃ‥‥‥」
 そう言いながら、ゆきの右腕を遊輝は味わっている。
 喰ってる、喰ってる。(ジンさん風に)
 一瞬の、間。
「あぎゃあああああああああああああああああっっっーーっっ!!」
 ゆきの言葉にならない絶叫が校舎に、轟いた。(ゆき様、スマンッ)

「マールちゃん、僕の所に来ないかい?」
 セリスが微笑んで、そう言った。
「ごめんなさい」
 マールはセリスにそう言った。
 おおっと、『ごめんなさい』だぁっっ!!
「うおおおおおおおおおんんんっっっ!!」
 マールの台詞にセリスは遙か彼方の夕日に向かって走っていった。
 気分は『ね○とん紅鯨団』。(古いぞ、お前)
「あらら、意外な展開でしたねぇ」
 小指を立てながらマイクを持って、カメラ目線で話す美加香。
「マールちゃん、どうして断ったの?」
「‥‥‥私はマルチお母さんじゃないです」
 そりゃ、ごもっとも。
「マール、結局お前の相手は見つかったのか?」
 美加香の頭部、斜め45度の危険な角度で踵落としをめり込ませながら、風見はマール
に話しかける。
「‥‥‥はい」
 恥ずかしそうにマールは、こくん、と頷く。
「へえ‥‥‥誰だい?、dyeさんかい」
「いいえ」
「じゃあ、まさたさん?」
「いいえ」
「ハイドラント」
「いいえ」
「Foolさん」
「薔薇はイヤです」(おいおい)
「日吉かおり」
「百合はもっとイヤ」
「TaS」
「子門真人」(アフロってーと、この人が思い浮かぶ・しかし『およげっ!たいやきくん』
って、もはや知らないだろうなぁ‥‥)
「ジン先輩」
「あのひと人間なんですか?」(確かに)
「浩之」
「誰です、それ?」(ひでえ‥‥)
 ふう、と一気に何人かの生徒の名前を言ってみた風見が一息つく。
「‥‥‥一体誰なんだ、マール?」
「そっ、それは‥‥‥‥」
 マールはいきなり真っ赤になって、視線をある一角へ向ける。
「「?」」
 風見と美加香もその視線を、追う。
 その先には‥‥‥。
 西山英志が、いた。
「なっ、なんだその視線は?」
 狼狽する、西山。
「師匠、マールをお願いしますね」
 風見がぽんぽん、と西山の肩を叩く。
「ちょっと待て、俺は別に‥‥‥」
「良かったわね、マールちゃん」
「うんっ♪」
 美加香の言葉にマールは嬉しそうに、応える。
「じゃあ、師匠今日はこの辺で‥‥」
「いや、だから、俺は‥‥‥」
「マールちゃんのこと、頼みますねぇーっ♪」
 人の話を聞いちゃいねえ。
「待てっていっているだろうがああああああっっ!!」
 まぁ、普通はキレるわな。
 しかし、其処には西山とマールの二人しか残されていなかった。
「‥‥‥‥‥」
 無言と共に溜息を漏らす、西山。
 その腕にはマールが微笑みながら、くっついていた。
「あっ、あの‥‥‥‥?」
「?」
「ご迷惑‥‥‥ですか?」
 マールの顔が、陰る。
 暫く黙り込む、二人。
 西山はそっとマールの顔に掌を重ねる。
「‥‥‥えっ」
 そっ、と西山の顔が近づいて‥‥‥。
「えっ、えっ、えっ?」
 狼狽する、マール。
 そして‥‥‥。
 むにっっ。
 マールのほっぺを西山は摘んで見せた。
「ほっ、ほへっっ?」
 柔らかい頬を摘まれて、マールの顔が愉快な形に変形する。
「‥‥‥‥‥ぷっ、あはははははははは」
 西山は笑っていた。
 誰にも見せなかった、楽しそうな笑顔を
「‥‥‥もうっ、ひどいですっ」
「ははははははは‥‥‥ご、ごめん、ごめん」
 むくれたマールを宥めながら、自分の中に何かが取り除かれた様な気が、した。
 多分、この目の前の女の子がそうさせたのだろう。
「ま、まあ、これからよろしくな‥‥‥マール」
「‥‥‥え?、良いんですか?」
 マールの顔が、ぱぁっ、と明るくなる。
「もちろん」
「ありがとうございます、西山さんっ」
「‥‥‥名前で呼んで良いよ」
 この子といれば、自分の無くした何かを見つけられそうだ。
 西山のこの予知は少なからず、当たることになる。
「‥‥‥うんっ、英志お兄ちゃんっっ♪」
 マールは生まれてから一番の極上の笑みを、初夏の風に溶かしていた。

 蛇足であるが。
 西山と激闘を繰り広げた、ジン・ジャザムは‥‥。
「うおおおおおおおおおおおーーっっ!!ここから出せええええええーーっっ!!」
 柏木千鶴先生に校舎地下の別名『反省室』に閉じこめられていた。
『すまんな、ジン。一週間ばっかし閉じこめておけって、千鶴先生のお達しなんだよ』
 ドアの小さな窓から柏木耕一監視用ロボット『超合金魂マジ○ガーZ』(声はもちろん
石○博也)が姿を現す。
『お前が、耕一先生の監視をさぼったりするからだぞ‥‥』
「だって‥‥‥」
『まあ、気を落とすなよ。毎日の食事は千鶴先生が作ってきてくれるってよ』
 びびくうううぅぅぅっっ!!
 ジンの表情が、バナナで釘が打てるほどに凍り付く。
「いやだあああああああああああああああっっ!!助けてくれええええええっっ!!」
『運命だと思って、あきらめるんやな。ま、一週間頑張れよ‥‥‥』
「うおおおおおおっっ!!出せぇええええっっ!!出してくれえええええっっ!!」
 それから一週間の間、校舎の地下から昼夜問わず、怪しいうめき声が聞こえたという。
 ‥‥‥ジン君、何か一言。

「ぼっ、僕が‥‥一番ガン○ムを上手く操縦できるんだ‥‥‥‥」(byアムロ・レイ)

 はい、ご愁傷様。(チーン)

                        <無意味に‥‥続く>

   あとがき〜又の名を戯れ言。

 と、言う訳で「Lメモ・マール編」のマールと私・西山との出会いのお話でございます。
 なんか、自分格好良すぎ。(爆)
 抗議のメールは覚悟しております。いや、ホント。
 特に、ジン・ジャザムさんとゆきさんとセリスさんの反応が滅茶苦茶怖いのよ(涙汗)
 メール爆弾だけは勘弁して下さい。マジで。
 とりあえず、この「Lメモ・マール編」あともう一回書きます。
 次回では、多分ハイドラントさんとEDGEと久々野さん等が活躍する予定です。
(あと、SS不敗流の弟子、結城くんと悠 朔くんも出る予定です)
 ノリとしてはかなりシリアスになりそうな予感が‥‥‥現在プロットを組み立てている
んですけど、全然面白くねぇ(まあ、いつもの事ですが)
 しかし、何時になったら出来ることやら‥‥‥(嘆息)
 Lメモは現在「過去編」をEDGEと共同執筆中。
 過去編では、ジンさんがかなり美味しい役を持っていきますので‥‥。
(今回のお詫びと言うことで‥‥‥‥笑)
 レスは今回はちょっと勘弁して下さい。いろいろ書きたい方がいるのに、本当にスミマ
セン。特に、私を出して下さった方、本当にありがとうございます。(ペコリ)
 それでは、また次回に。