「おや、あなたは・・・」 「ええと・・・きし・・・」 「ああ、XY−MEN君、でしたね」 「覚えてるんですか?どっかで・・・」 「いや、会った事はありませんね。でも、一応、私も教師ですから」 「ああ・・・なるほど」 「で、今日は怪我でもしたんですか?それとも、どこか具合が?」 「い、いや、そんなんじゃなくて、先生は、生徒の相談聞いてくれるって事だし、それで、ちょっと・・・」 「ああ、そういうことでしたか、ま、ま、こっち来て、座って。ええと、コーヒー、好きですか?」 「あ、いえ、おかまいなく」 「いえ、私もちょっと喉が渇いてきたとこだったんですよ。それに、温かいものを胃に入れると、心も落ち着く んですよ」 「あ・・・それじゃ・・・すんません」 「あのですね、俺、自活してるもんですから、屋台で、タコ焼きを・・・ああ、知ってましたか。それで、何とか やってるんですけど、そ、その俺の大事な屋台を・・・」 「屋台を?」 「壊しやがる奴がいるんスヨオオオオオオオオオオオオオウオオオオオオオオオオン!!!」 「ま、まあ、落ち着いて、ほら、これを飲んで・・・」 「ハァハァハァハァハァハァ・・・・はぁ・・・し、失礼しました。つい、頭に血が上っちまって・・・」 「いや、別にいいんですが、ジーンズの後ろの方から出てる、それは、なんです?」 「え、えっ、い、いややややや、な、なな、ななな、なんでもないっスよおおおおおお、はは、ははははは・・・・」 「ああ、そうですか・・・ううむ・・・その人たちに注意はしたのですか?」 「いや、まあ・・・でも、悪い人たちじゃ、ないもんで・・・」 「・・・優しいんですねえ」 「い、いや、そんなんじゃなくて、ええと、だから、その・・・」 「いや、君は素直で優しい人だと思いますよ。XY−MEN君」 「え、え・・・あはははははは、ちょっと、照れちゃいますね・・・あははははは・・・」 「どうです、コーヒーを、もう一杯」 「あ、はい、頂きます・・・でも、このコーヒー、いい香りですねえ」 「ああ、隠し味を、ちょっと入れてるんです」 「はあ、道理で・・・」 「しかし、実際問題として屋台が壊されるのは、生活にかかわるから、大問題でしょう」 「ええ、最近じゃ、商売敵もいやがるんで、なんとかしたいんすよ」 「壊れにくい屋台を作ってみては?」 「効きゃしませんって、そんなの。並みじゃないんすから」 「・・・ううむ・・・おお、こういうのは、どうです?」 「ど、どんなのです?」 「昔から、『柔能く剛を制す』といいますし、いっそのこと、簡単に壊れる屋台を作ってみては、いかがです か?」 「おお、いいっすねえ、それ。なるべく安上がりな材料とかで作って・・・」 「そう、そうすれば、すぐ復活です。手間いらずで、すぐ復活する屋台。どうです?」 「・・・ええと、段ボールかなんかで、骨組み作って、紙を適当に貼って・・・・」 「おお、なかなかのアイデアですね、それ」 「い、いやあ、それほどでも・・・」 「あら、また飲んでるんですか?」 「ただのコーヒーですよ、飲まれませんか、相田先生」 「遠慮しとくわ。どうせウィスキーでも混ぜてるんでしょ」 「いいバーボンが手に入ったもんですからね」 「全く・・・あら、あれ、何かしら・・・なんてこと!」 「どうしました?」 「校庭のど真ん中で、火事が起きてるのよ、うわあ、よく燃えてるわねえ・・・まるで紙みたいに燃えてるわ よ・・・」 ______________________________ XY−MENさん、ゴメン。報復は受けますので、ご勘弁m(..)m